共産主義者同盟(統一委員会)
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2008年・年頭のメッセージ(1) ●小城修一さん 元・全国金属労働組合京滋地方本部書記長 「戦争のできる国」許さず階級的労働運動の構築を 新しい年が明けた。今年は、帝国主義国の首脳が集まるサミットが日本で開催され、また国会の情勢からしても総選挙が行われる重要な年である。 * 「日米同盟基軸」を強調してブッシュのイラク侵略戦争をいち早く支持して派兵し、靖国神社への参拝をくり返すなど「戦争のできる国づくり」と「構造改革」の名のもとに市場原理主義で規制緩和・民営化をおし進めて弱肉強食の競争社会をつくり出した小泉政権のあとをうけた安倍政権は、「戦後レジーム(体制)からの脱却」をかかげて改憲を明言し、そのための国民投票法の成立や、教育基本法の改悪、海外派兵を本来任務とする防衛省昇格関連法案をも成立させ、七月の参議院選挙で「安倍か、小沢か」の選択を声高に叫んだが、民衆の反発は大きく、野党が過半数以上当選した。 が、安倍は続投を決めて内閣を改造し、十一月一日で期限切れとなる「テロ対策特措法」を延長しようと画策したがうまくいかず、前代未聞のことであるが、国会で所信表明演説を行った翌日に突如辞任し、そのあとを福田が引きついだ。 そして、福田は何とか「テロ対策特措法」の延長をと、民主党の小沢を引きこんで党首会談を行い、かつての大政翼賛会的な自民・民主の大連立をもちかけた。が、民衆の反撃をおそれた民主党幹部が反対して小沢が辞任を表明し、説得されて戻る、という失態が演じられた。しかし、この大連立構想が完全に消えたわけではない。 福田政権は「テロ対策特措法」の延長をあきらめて「新テロ特措法案」を提出して可決しようとしている。 そして、在日米軍基地の再編・強化では賛成する自治体に見返り交付金をばらまいているが、岩国や沖縄をはじめ各地における民衆の反対闘争は激しく、事態は進んでいない。大衆的な闘いこそ重要である。 そして、防衛省守屋前事務次官と軍需専門商社・山田洋行の宮崎元専務とのゆ着が発覚し、額賀や久間ら歴代の防衛大臣や防衛庁長官とアメリカ政府関係者たちが宴会で同席し、兵器売り込みの便宜をはかったのではないかとの利権疑惑が問題になっている。 この連中をとりもったのは「日米平和・文化交流協会」という団体の幹部で、彼は、自民・公明・民主各党国会議員が名をつらねる「安全保障議員協議会」の事務局長もやっており、毎年二回「日米安全保障戦略会議」を開催し、日米の国会議員や経営者団体幹部と軍需産業の経営者が参加している。 その会場には、ボーイングやロッキード・マーチン、三菱重工や川崎重工など日米の軍需独占資本が兵器の展示場を併設している。 この防衛省をめぐる疑惑は、官僚と商社役員の個人的な問題でなく、日米一体の大規模な軍需贈収賄事件の氷山の一角であり、「日米同盟基軸」がその根源である。 * 現在、労働運動はきびしい状況下にある。一九八〇年代における労働戦線の右翼再編で労働運動の中心勢力は階級的労働運動を批判し、「企業の発展」と「国際競争の中での生き残り」を基本とする自動車、電機、鉄鋼などの民間大企業本工労組幹部になった。 その右翼再編が進行中の一九八五年、当時の日経連は「労働問題研究会報告」で「我が国の労使関係は諸外国からうらやましがられる状態で、その根底には労使双方に階級意識が極めて希薄であることがあげられる」とのべている。 賃金に成果主義が導入され、「減量経営」という首切り合理化攻撃、臨調・行革攻撃、国鉄分割・民営化攻撃、福祉関係の切り捨て、相次ぐ労働法規の改悪、地域の拠点組合つぶし、規制緩和・民営化など、資本家階級は自らの利益を守るために、あらゆる場面において階級的な攻撃をかけてきている。 ところが、連合の指導部である大企業労組幹部にはそのような意識はなく、「企業の発展」を願って対応しているのでは闘いにならない。階級意識が希薄なのは「労」の側だけである。 八五年に労働者派遣法が制定され、それまで法律で禁止されていた人入れ稼業のピンハネがまかりとおるようになり、九五年には日経連が「新時代の日本的経営」において本工(正規労働者)を少なくし、無権利で低賃金の非正規雇用労働者を中心とする「労働者の使い捨て」方針を発表し、九九年には派遣法が改悪(原則自由化)される状況の中で多くの派遣業者が出来て、大企業への労働者派遣や偽装業務請負でピンハネをして大もうけをしている。 しかし、その人入れ企業の多くは、労基法や労安法など労働法規を守らずに違法な労働をさせているのが実態である。 このように無権利で低賃金の「日雇い派遣」などの派遣労働者が増えて、働いてもまともに生活ができない「ワーキング・プア」といわれる人たちが多くなり、格差と貧困は拡大しており、本工中心の労組の組織率は減り続けている。 連合の幹部もこの事態を無視することができず、「非正規労働者センター」を設置して労働者派遣法の見直しを求めている。 しかし、見直しではなく派遣法という悪法の廃止を要求する闘いが必要である。 階級的な労働運動を構築するためにも、非正規雇用労働者の組織化を進め、共に闘う体制をいかにしてつくり出すのかが問われている。 ●白松哲夫さん アジア共同行動日本連共同代表 日米安保反対の旗を掲げ反戦と改憲阻止に起とう 年頭の所感を述べ、新春の挨拶といたします。 昨年は、平和を希求し人間の尊厳を高々と謳いあげる人民の反帝・反戦などの諸闘争の前進が輝かしい光を放ち、他方、日米帝国主義の衰退が一段と鮮やかに白日の下に晒されてきている、そんな年だったと思います。 米軍基地の再編強化に反対する日本人民のたたかいは沖縄・岩国・神奈川などのたたかいをつらぬいて韓国・フィリピンの反米軍基地闘争と連帯して、いまや燎原の火のように全国を押し包んで燃え上がろうとしています。 十月二十八日の「アジアから米軍の総撤収を!日米軍事同盟に反対する岩国国際集会」の大成功と、そこで、アジア太平洋地域の民衆団体の連名によって、岩国アッピールが発せられた意義は計りきれないほど大きいものがあります。これらのたたかいのなかで当然のことながら人民のたたかいを鼓舞激励する文化が確実に生み出されてきています。これは素晴しい労働者階級の文化運動の出現を充分予見させるものです。 今日、私たちがたたかっている重要な問題の一つに改憲阻止のたたかいがあります。「憲法九条改悪を許すな!アジア・メッセージプロジェクト」の運動を力強く推し進めると同時に、日常的に反憲法的なものと不断にたたかってゆかなくてはならないことを年頭に当たって改めて強く感じています。反憲法の最たるものは米軍基地であり、自衛隊であることはいうまでもありませんが、そしてなによりも日本国憲法を蹂躙している日米安全保障条約こそ最大の問題だと言うことを特に強く感じています。 反日米安保の旗を高々と掲げたたかっていきましょう。 ●遠藤良子さん 国立市民 地域に根をはる反戦平和 反「日の丸・君が代」を闘う 明けましておめでとうございます。 教育基本法改悪を強行した安倍政権が倒れた昨年、私たち市民は地域から「日の丸・君が代」強制の旗頭に立つ石原都政への反撃のたたかいに、たたかう教職員とともに邁進してきました。 教育基本法改悪の先取りとして、国立の教育破壊、右翼・マスコミによる偏向教育キャンペーンは、その後もやむことなく続き、10・23通達となり、たたかう教職員・生徒・保護者・市民を弾圧する道具、踏み絵として「日の丸・君が代」強制が行われてきました。 しかし、どんなに激しく強制が吹き荒れても、だからこそたたかうという教職員の非妥協的なたたかいは、根津公子さんの停職処分を受けても、校門前に立ち続ける姿によって、またそこに続く多くの教育労働者によって、むしろ「日の丸・君が代」問題を教育現場だけの問題として切り縮めることを許さず、社会的問題、反戦平和の問題として、世の人々に訴える力となりました。 元日本軍「慰安婦」が世界に訴えた、日本の侵略と排外主義の歴史と現在を糾弾する国際戦犯法廷のNHKの映像を、右翼そのものとなって抹殺しようとした安倍が様々な醜態をさらして敗退したのは、当然のこととはいえ、しかし戦後民主主義の理念の礎であった教育基本法を改悪したことは軽視できません。 すでに教育現場の実態は教育基本法などどこ吹く風という荒れた状況です。子どもも教職員も過度の競争の中に叩き込まれ、格差社会を反映して、新自由主義と規制緩和の波にのみこまれ、基本的な学力さえ子どもたちに平等に与えられることなく、教育の根幹をくつがえすような管理と抑圧と差別で学校運営が行われています。その中で心ある教職員はそうした教育のあり方の象徴が「日の丸・君が代」の強制であるとして、単に強制に反対するだけでなく、国家に従属することを是とする教育のあり方そのものへの抵抗として反「日の丸・君が代」のたたかいを継続してきました。だからこそ、多くの支持が今も根強く続いているのです。 沖縄戦を隠蔽しようとする輩が教科書の記述を変えさせようと文科省と一体となりうごめいていましたが、沖縄の十一万人集会の怒りの抗議の声によって、いまや改めざるを得ない状況になっています。 私の住む国立市は、石原都政誕生と同時に上原革新市長が登場、そして昨年統一地方選では、上原市長の突然の退陣にもかかわらず、その後継者として関口市長が当選。敵陣はあっけにとられるというありさまでした。 沖縄戦の教科書記述問題にもいち早く抗議の意見書が採択されました。 どのように理不尽な弾圧にあっても、あきらめず、粘り強くたたかいの炎を燃やし続ければ、必ず反撃の時はくるし、勝利を得ることはできることを表しています。 本年も地域に根をはる反戦平和・反「日の丸・君が代」のたたかいを押し広げていきます。ともにたたかいましょう。 ●遠藤憲一さん 弁護士 戦時司法―治安弾圧法案 テロ等謀議罪を粉砕しよう 二〇〇八年を迎え、皆様の御活躍と運動のご発展を祈ります。 本年は、新聞にもかかれているように、資本主義にとって「出口のない不安」の年です。サブプライムローンの破綻により危機は一層深刻化し、「好況」の叫びも虚しく、矛盾は益々拡大しています。危機乗り切りのため、戦争に向かって、社会のファシズム的再編と治安強化が進められています。 〇九年五月に施行される裁判員制度は、呼出状一本で人民を国家の権力作用に強制動員します。そして無期や死刑の判決言渡しを行わせます。人々に治安意識を植え付け、国家意識との同化が狙われています。数百億円もの血税を湯水のように使い、女優を宣伝に使って動員に必死ですが、人民の八割は反対しており、実施自体が崩壊必至なのです。こんな制度ができれば、被告人は、いやおうなくわずか三日の審理で刑務所に送り込まれ、死刑に処せられるのです。裁判員制度は施行前につぶす以外にありません。簡易・迅速・重罰化こそ戦時司法のメルクマールです。〇四年以降、死刑判決は〇六年の四十五件を最高に着実に増え、迅速化と重罰化が確実に進んでいます。刑事裁判を闘う弁護士への不当な攻撃も激化しています。これもすべて刑事司法改革の物質化としてあるのです。十二月十一日東京高裁は、マンションへの政党ビラ配布について一審無罪判決をひっくりかえし有罪判決を出しました。人民を相互監視する密告社会化し、ビラ一枚配らせないところまで敵は追いつめられているのです。 共謀罪制定策動も決して消えてはいません。むしろテロ等謀議罪と名称を変更することによってよりその本質を鮮明にしました。すなわち、共謀罪は、革命党・組織、戦闘的団体を弾圧することにその本来の照準を据えているのです。一切の修正策動を許さずテロ等謀議罪を粉砕しましょう。 ●畑中文治さん 共産主義者同盟首都圏委員会 米軍再編粉砕と九条改憲阻止の闘いで労働者人民の解放を 二〇〇八年の年初に、統一委員会の仲間と『戦旗』読者の皆さんに、連帯の挨拶を送ります。 二〇〇七年の政治社会状況は、世界的にも一国的にも構造的な地殻変動が起きつつあることを示しました。本年、間近に迫るわが国総選挙と、十一月の米国大統領選挙の中で階級闘争の世界的な激動が、さらに明瞭に反映されることになるでしょう。 英国ブレアの退場は既に旧聞に属します。残る主要国で、米帝ブッシュの最大の支持者と言われたオーストラリア・ハワード首相は、〇七年十一月の総選挙において自身も落選すると言う歴史的大敗北を喫して、これも退場し、十六年ぶりに労働党政権が誕生しました。 私たちの見る所では、新自由主義の一時代は終わったのです。侵略戦争を次々と引き起こし、軍備の増強に耽る一方で、国民生活をないがしろにして金持ち優遇と国際的情報・金融独占の利潤追求に奉仕し続けてきたことの結果が、米・英・日における支配政党の退潮となりつつあります。サブプライムローン問題を原因とする、米国発の世界的経済的危機は、その端的な現れでしょう。 一部では、世界経済は既にスタグフレーション局面に突入しているとの指摘もなされています。かつて七〇年代中期、ケインズ主義・福祉国家政策の破産の証拠とされて、ほかならぬ新古典派、新自由主義政策の興隆の根拠ともなった、同じ経済現象が、再度指摘されていることの意味を、歴史の皮肉を含めて、私たちは資本主義の一時代の終わりと受け止めています。際限のないマネー経済の膨張が、世界的な金融不安を生み出し、食料、エネルギー、希少金属などの戦略資源の価格高騰が、広範な人民の生活を直撃しています。世界資本主義はこうした危機を繰り返すことによって、その歴史的衰退を深め、同時にこの歴史的趨勢が労働者階級による政治・社会革命の実行を促すことになります。資本攻勢に代わる労働攻勢が行われなければなりません。 世界的規模での経済的格差の拡大、貧困化の進行にたいする青年労働者、被抑圧民族人民を先頭とする、生存のための闘争は、国際階級闘争の展望を大きく広げてきています。この事態を社会経済的背景として、〇八年のわが国階級闘争は、反改憲闘争をはじめとする、全人民的政治闘争の大きな結節点を迎えることになるでしょう。その具体的焦点は、沖縄、岩国、座間、横須賀などで、広範な労働者、地域住民を結集して闘われている米軍再編粉砕の闘いです。 このことを九条改憲阻止の闘いの視点から見るとき、事態の性格ははっきりしてきます。「テロ対策特措法」廃案の後を受けて、現在、自・公政府与党が国会に提出している「補給支援特措法」は、米軍の世界的展開に対応するわが国自衛隊の一体化を進め、これを支持、支援する目的をもつものであり、事実上の九条改憲攻撃に他なりません。そして〇七年七月参院選挙における、自・公与党の大敗と、「ねじれ国会」の出現は、小泉政権以来の新自由主義、米国追随外交がもたらした諸結果への、広範な国民の、明確な不同意の意思表明でした。したがって、支配階級を更に追い詰める福田自・公政権打倒の闘いは、九条改憲阻止を試金石として、その具体的な攻防環としての米軍再編反対の闘いに結び付けられなければなりません。これはとりもなおさず、世界的な米軍再編との闘いとの、反帝国際主義の連帯を実現する闘いでもあります。七月・洞爺湖サミットをめぐる闘いもここから配置されることになります。 そして、いうまでもありませんが、この闘いを文字通りの全人民的政闘争として、その政治的内実を組織し物質化する共産主義運動の組織の総合的力量が試されることになります。二一世紀のこの現実の中で、どのように、綱領・戦術・組織を提示し、実行に移すことが出来るか、この点をめぐって、左翼世界においても政治組織再編は必至です。とりわけ〈党・統一戦線〉のあり方が問われていると私たちは考えます。私たちも、統一委員会の皆さんの活動を大事な手本としながら、この政治と生活の試練に及第するために全力を挙げる決意です。 私たちは、直面する〇八年の階級闘争にあって、この決定的な時期に、労働者階級人民の希望のためにこそ、共産主義運動が存在することを、社会的生産の実践を伴って強く訴えていく所存です。統一委員会の皆さんの変わらぬご友誼をお願いいたします。持てる力を振り絞って準備を整え、決定的とも言える局面に臨みましょう。ともに闘わん! ●岩田吾郎さん 『関西共産主義運動シンポジウム』事務局 10・21京都反戦共同行動=新たな「全人民的統一戦線」の萌芽と結合し、 共産主義運動の再生・再統合をめざそう! 共産主義者同盟(統一委員会)に結集されている皆さん、そして「戦旗」読者の皆さんへ二〇〇八年新年の連帯アピールを送ります。 はじめに、昨年10・21反戦共同行動IN京都から10・27―28岩国国際反戦集会の成功に際し、アジア共同行動・京都の奮闘に対して敬意を表します。10・21反戦共同行動は、現在の階級闘争に於ける政治的大衆闘争の再生と、新たな共同行動の「枠と質」を生み出したと思われます。今日のシングル・イシュー化した政治運動・労働運動・市民運動の多様な要求を掲げた全関西的な共同行動であり、その実現の為の左翼諸党派の新たな共同戦線でもありました。この事は、京都・関西と言う地域性に留まらず、全国性を内包していると思われます。新たな共同行動の「枠と質」とは、一言で言えば「全人民的統一戦線」と言えます。衆知のように、九〇年代に社・共共闘―総評による「市民主義的統一戦線」は崩壊しました。その後、様々な「新左翼」共闘一般によっても政治的大衆闘争の再生が模索されましたが、政治的大衆闘争のシングル・イシュー化を突破しえていません。10・21反戦共同行動は、「全人民的統一戦線」の萌芽と言えます。そして、「第三期」現代革命の「統一戦線」の一つのモデルでもあります。本年六月京都サミット反対闘争、そして九条改憲阻止闘争等の全人民的政治闘争に向かう大きな布陣でもあります。10・21反戦共同行動の継続と発展の為には、プロレタリア・ヘゲモニーとして左翼諸党派の新たな再編成と再統合が不可欠です。その新たなプロレタリア・ヘゲモニーによってのみ、日本帝国主義・政府に対する、プロレタリアートの革命的政治闘争と反帝統一戦線が生起すると思われます。二十一世紀に入って、『帝国』主義によるグローバリゼーション・新自由主義が全世界を覆う中で、再びプロレタリアート・人民は持続的な対抗から反撃を始めています。「一九九〇年からはじまるグローバル=多国籍企業の時代は、巨視的に見る時、十八世紀から一八七〇年までの産業資本主義の時代、一九九〇年までの過渡期をへた古典的帝国主義の時代が最終的にベトナム戦争で終わり、二十世紀の過渡期を経て、新たな『帝国』主義の時代として、いわば資本主義の第三の段階と考えるべきであろう」(KCM呼びかけ文より)。 世界社会フォーラムから香港WTO・ドイツG8サミット反対闘争は、実力闘争を伴い数十万人の結集で闘われました。そして、ヨーロッパ、アメリカ、韓国では労働運動の再生と新たな左翼の登場があります。中南米では、キューバ(革命)と結合したベネズエラ・チャベス反米政権等の「新しい社会主義」が闘われています。国際的に持続する反グローバリゼーション・新自由主義の闘いと結合する「第三期」の国際的共同行動としても、10・21反戦共同行動の継続と発展は求められています。その為には、「反日共」「新左翼」等の古いパラダイムを超える必要があります。10・21反戦共同行動は、一方では日共有志、社民党、新社会党、左翼諸党派等、他方では共産同系諸派、革共同中核派との共同戦線でもありました。公然、公正な論争は不可避であり、新たな左翼諸党派の再編成と再統合も不可欠なものであり、各々の「党の革命」も求められて行くと思われます。我々は、昨年から『共産主義運動年誌』関西シンポジウムを開催して来ました。主要に「関西ブント(第二次ブント)の再総括と現代革命理論の模索」を追求し、昨年十二月第六回シンポ「現代における国家と革命―ネグリ『帝国』をめぐって」(八木沢二郎)をもって第一期を終了しました。本年から「関西共産主義運動(KCM)シンポジウム」として第二期を開始します。KCM呼びかけ文では「……第一に、『関西共産主義運動シンポ』は、始まりつつある新たな『帝国』主義に対する戦いと深く結びつかねばならない。もちろん『関西』シンポは、これらの戦いの指導機関ではない。戦いの各戦線で活動する組織や活動家の交流、討論の場であり、広報し支援し参加を呼びかける場である。第二に、……このような戦いのためには、これまでの新左翼運動とりわけブントの思想的理論的総括が必要であり、また帝国主義の最新の段階とそれがもたらす矛盾と階級闘争に関する理論的深化が必要と考え、学び議論し深める場である。第三に、……党を目指すものではない。我々は日本共産党、純粋な革共同主義や社会民主主義者以外の先進的人士の参加を広く呼びかける。我々は、階級闘争の発展のためには強固な指導組織が必要であると考える。『関西』シンポは、願わくば、一、二の活動を通じて少しでも組織の形成が促進される事を願うものである」としています。巨視的には、新たな共産主義革命―「第三期」世界革命・現代革命の模索を開始したものです。 さて、本年は一九五八年共産主義者同盟結成から五十年を迎えます。新たな『帝国』主義との闘いは、共産同、革共同等「新左翼」運動五十年の決算も含めて、新たな共産主義運動の再生―左翼諸党派の再編成と再統合を不可欠にしています。我々は、貴団体と共にその一翼を担う事を誓い、新年の連帯アピールとします。 ●新自由主義・国家主義と対決する学生・青年ネットワーク(SYN)有志 分断と競争を拒否し、団結して貧困と戦争、帝国主義と対決する 共産主義者同盟(統一委員会)の皆さん! 戦旗読者の皆さん! SYN(新自由主義・国家主義と対決する学生・青年ネットワーク)でたたかう私たちより、年頭のアピールを送ります。 帝国主義による学生・青年への攻撃は、ますます激化しています。雇用の不安定化や失業は拡大し続け、ほんの一部の「勝ち組」と、圧倒的多数の「負け組」の格差が、拡大しつづけ、固定化されています。日本の若年層(十五歳から三十四歳)の完全失業者数は三十万人にも及び、とくに十五歳から二十四歳までの完全失業率は、8・7%と全体の完全失業率4・4%の二倍となっています。また、十五歳から三十四歳までの就労者六百三十四万三千人のうち、パート、アルバイト、派遣社員などの非正規雇用の労働者が三百六十万人と全体の57%を占めているにいたっています。資本の要請に沿った「教育改革」の中で、教育現場においても、大学・学校間や個人間ばかりではなく、地域や学部間など重層的に格差が拡大しています。しかも、将来が約束される「勝ち組」といわれる大学や学校に進学できるか否かは、親の経済力に規定され、格差が世代を超えて固定化しつつあります。 もうたくさんだ! 私たち多くの学生や青年はこのような社会で生きることはできないし、このような社会を断固として拒否します。しかし、帝国主義者は、差別・排外主義と愛国主義を煽り、学生・青年を自らの鎖に繋ぎ止めようとしています。「戦争こそが希望だ」―若い人たちからのこのような声は、ひとつのあらわれです。私たちは、分断と競争を拒否し、団結して貧困と戦争、それを押し付ける帝国主義と対決していきます。二〇〇八年のたたかいを共に推し進めていきましょう! ●槙渡さん 共産主義者同盟(蜂起派) 新しい左翼のイニシアティブで反グローバリズムのうねりを! <1> 貧富の階級的格差がグロテスクなまでに拡大し不公正で不平等な「いびつな世界」を生み出している。世界を十人の集団にたとえると、一人が99%の富を独占し、残りの1%を九人が分け合っているという状態だ。つまり特定の豊かな国のしかもその中の一握りの「持てる者」が富を独占し、圧倒的多くの「持たざる者」は貧困に苦しんでいるのだ。原因はどこにあるのか。それは紛れもなく世界を支配している資本主義・グローバリゼーションの仕組みにある。資本主義世界経済のグローバル化の恩恵に浴しているのは、もっぱら豊かな「持てる者」であり、圧倒的多くの貧しい「持たざる者」は生活に困窮し世界中で怨嗟の声をあげている。 しかもグローバリズムを推し進める新自由主義――民営化・規制緩和・社会保障(福祉)削減を三位一体とする政策――が、社会のひずみ、貧富の格差の拡大に拍車をかけた。先進国でも労働市場(雇用)の規制緩和によって失業や半失業―半就労の不安定雇用(非正規のパート・派遣・契約・日雇など)が拡大され、職もなく家もなく全ての人に平等に保障されなければならない権利を奪われ社会的排除にさらされている「新たな貧困者」が増えているのである。 このように貧困問題は、いっこうに解決されず、むしろ一段と深刻になっており、二十一世紀の現在においても世界が直面する最も重大な課題としてある。グローバリズムは、世界中で労働者・民衆を競争に駆り立てながら「最低限度の生活」さえ保障せず生存を脅かし、「持たざる者」の目、耳、声を塞ぎ苦しめているのだ。 誰かを犠牲にして成り立っている「繁栄や平和」は公正ではない。「弱肉強食」の貪欲な競争に駆り立てられる生活は私たちの生き方ではない。貧しい「持たざる者」が虐げられる世の中は公正・平等ではない。グローバリズムがもたらした「貧困と隷属」の中で「虐げられて生きる」のか、それとも世界に変革をもたらし貧困や隷属・戦争・階級のない、誰も搾取されない・抑圧されない・排除されない・虐げられない、そうした真に公正・平等な新しい社会を実現するために「連帯し闘って生きる」のか。プロレタリアは、自らの生き方が根底から問われる試練の時代を迎えているのである。 <2> いま日本の全ての政治党派・政治勢力は、右派・左派を問わず、旧来の政治的パラダイムの転換が否応なく迫られるという、一大政治再編の渦中にある。言い換えると今日の新自由主義・グローバリズムへの対応を巡って、右も左も政治的な大地殻変動にみまわれているのである。 「戦後レジームからの脱却」を唱えながら参院選で歴史的な惨敗を喫し衆参「ねじれ」という窮地に立たされるや唐突に政権を投げ出した安倍晋三の首相辞任劇。急きょリリーフしたものの「沈み行く船」でしかない福田政権。それとの「大連立」に走りつまずきズッコケてしまった民主党小沢一郎。これらは「戦後政治の劣化」を象徴していると言える。 新自由主義的な「構造改革」(小さな政府路線)がもたらした貧富の格差の拡大、「国民的一体感」の喪失といった社会の「分裂」状況に危機感を募らせたこの国の為政者は、危機脱出・解消の手段として「共通の敵」を作りあげ参戦国化―改憲を企てている。 だが「拉致問題」をテコにした「北朝鮮脅威論」も米朝直接対話が進行する中では「賞味期限切れ偽装」でしかないことが明らかになった。世界に混迷をもたらしている全ての元凶が、米ブッシュ政権による「テロとの戦い」でありイラク戦争の失敗と中東政策の破綻であることも明白になった。イラク戦争に参戦した国の政府は、どこも評判が悪いか指導者の退陣や政権交代に見舞われた。 ところが閉塞感が漂う日本の政治状況を打破すべき左翼は、いまだに「反転」への契機をつかみかねている。議会内左派・反対勢力としての社民党、日本共産党は「衰退の危機」にあり、その左翼反対派として存在を維持してきた革共同も大衆運動を「草刈り場」にしたセクト主義的同心円的拡大路線が破綻をきたし内部分裂の危機に直面している。 「新しい左翼運動」の再生を目指している我々の現状も、いまだに多くの克服すべき課題や弱さを抱え旧来の殻を破れずにいる。このままでは遠からず我々新左翼の「水脈」は枯渇を免れなくなる。やがて立ち行かなくなり錆付き劣化し朽ち果てざるを得なくなる、という強い危機感さえ抱いている。 新左翼が長期の停滞から脱し得ない要因は、二つあると思う。第一に、自らの失敗や弱さをごまかし偽る隠蔽体質を克服しようとしない思想性だ。過去の過ち(負の歴史)から教訓を学ぼうとせず、自己を問い直す(これでいいのかと疑う)思想性が希薄だから、自己の立ち遅れた現状に無自覚で、自ら変革(刷新)を拒む惰性(前例踏襲のマンネリズム)に陥りがちになる。危機感を欠き前衛的意識性に乏しくなる。こんなアン・フェアな姿勢では失った信頼を取り戻すことは難しい。 第二は、「情勢をどう捉え、いかに闘うか」という政治性、戦略の問題だ。相変わらず時代錯誤の「戦争危機待望」論で「オオカミ少年」をいまだに演じようとしている。つまり大きく変容する世界の情勢に対応するには、グローバリズムへの反抗を組織する戦略を再構築しなければならない、という今日の最も問われている理論的・戦略的な課題に応えられないからだ。展望を切り拓く政治的イニシアティブに乏しい左翼に将来はないのだ。 <3> 「湿った薪には火がつかない」。虐げられたプロレタリア民衆の心の奥深くに潜在する「怒り」に火を点け、「抵抗」を燃え上がらせ、国境を越えた「連帯」を前進させる。そうしたイニシアティブを創り出すことができさえすれば反グローバリズム運動のうねりを起こし、新しい左翼運動の再生は可能だ。それがどんなに困難であっても、「再生への試練」として乗り越えない限り、世界に変革をもたらすことはできないのだ。 共産主義者の歴史的使命である「プロレタリア解放」への情熱とは――プロレタリア世界革命という目的に向かって苦悩を感受しながらエネルギッシュに努力を傾けるプロレタリアの本質的力である(マルクス)。それは、世界に変革をもたらす闘いへの「希望」を取り戻す情熱であり、絶えず自らを変革し団結を鍛える「学び」への情熱である。すなわち「第一に学ぶこと、第二に学ぶこと、第三にも学ぶこと」(レーニン)である。 いまや帝国主義・グローバリズムがもたらす「搾取と抑圧」「貧困と隷属」は、虐げられた「持たざる者」・プロレタリアの深部に「怒り」を宿し、「抵抗」を生み、「連帯」を育んでいる。欧米に比べて大きく立ち遅れてきたがこの国の反グローバリズム運動は、「持たざる者」の中に深く根を下ろし、貧困・社会的排除に抗する新しい社会運動、パレスチナ・韓国・フランスとの国際連帯行動を生み出している。それがやがて大きなうねりとなる日もそう遠くないであろう。 我々新しい左翼・共産主義者にとって、未来への「希望」の拠り所とは、全世界のプロレタリア――すなわち労働者・無産者・貧民である虐げられた「持たざる者」――が国境を越えて連帯し団結することである。「革命は連帯の上に築かれなければならない」(マルクス)。 共産主義者同盟結成から五十周年を迎える今年、ともに力を合わせて共産同(BUND)再建への橋頭堡を築き「新たな一歩」を踏み出そう。反帝―反グローバリズムと新しい国際主義の旗を掲げ、「希望のインターナショナル」として第五インターを立ち上げよう。我々は今こそ、生ある限り心に「希望と情熱」の火を絶やすことなく、「希望は取り戻せる!」「世界は変えられる!」と訴えよう。「全世界のプロレタリアの団結と解放」のために! |
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