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災害時に障害者の避難場所の確保を要請 |
2021年3月 |
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(岩元哲治) 去年の夏、市から防災マップを送ってきました。住んでいるところを含め市街のほとんどが三メートル水没する予測になっていました。新型コロナの感染の問題もありましたが、多くの障害者が、まだまだ家族介護でそんなに早く逃げられるわけがなく、特に重度の障害者は薬や医療器具などを持ち出さなければならないので大変だと思い、交渉をしようと思いました。一回目の交渉は九月三〇日、六人の仲間で行きました。要請内容は@介護の付いた障害者の避難場所の設置、A設置検討会議に当事者である障害者を参加させること、でした。対応した役所は防災危機管理課と「障がい福祉課」の二つで、こちらの要請に対し避難場所に逃げてくださいの一点張りでした。障害者の避難には介護が必要であることを訴え、一時間くらい話しました。避難の際の介護は、ヘルパーに頼んでくれとのことで、厚労省から通達が出ているという話でした。通達書を持って帰りました。文書回答が一〇月二七日に届き、国・県の災害基本計画にのっとって計画を作っているとの話で、会合に障害者が出る必要はないと書いてありました。 私たちは、これを見て次の要請書を作りました。そこには共助の部分の近所の人たちが障害者を避けており、到底一緒に避難することが不可能であることと、ヘルパーさんだけでは到底介護が回らないことを書き加え、二回目の交渉に持っていきました。 二回目の交渉は、今年一月一三日に行い、障害者の現状を訴えました。役所は私たちのことだけに答えれば良いという感じで、業者との意思統一をしてくださいと言いました。私たちは、山口の障害者の全体のことを訴えているはずが、なぜか自分たちの身の安全を何とかしろと置き換えられていたような気がします。参加者の方から、普段の介護が逼迫しているから、災害時にはなおさら逼迫すると発言があり、日常的な福祉のもろさが露呈しているのだと話しました。また、近年私たちの周りで、ヘルパーの免許がないと障害者に触ってはいけないくらいの差別的な意識になっているように感じることも伝えました。 交渉の後、電話して聞いたところでは、避難時に介護が必要な障害者は、市が調べただけで一三一五人、そのうち個人情報を周りに提供してよいか市が聞いたところ、提供してよいという人が五二六人。主観ですが、どうしても障害者の家族は自分たちでしなければならないと考える人が多く、また迷惑をかけてはならないと思う人が多いのではないかと思われる節があります。養護学校(特別支援学校)義務化から四二年が経ち、ますます障害者と一緒に暮らす機会を失ったまちの人が多くなっているのも事実です。 この二回の交渉でこのようなことが背後にあることが分かってきました。障害者差別を許さず、地域社会自体をどう作っていくのかが課題にもなっています。 |
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