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ジェノサイドへの道を歩むな!

     〜学習討論会に参加して  
             
   

2014年10月

                                                                                 




                                                    東京・東部労働者
 
 
 関東大震災時朝鮮人虐殺九十一ヵ年の夏、私たちは八月三十日杉並区と晴海埠頭で行なわれた東京都総合防災訓練(防災に名を借りた戦争動員訓練)に対する監視・抗議行動を取り組み、九月六日には荒川河川敷(旧四つ木橋)で開催された追悼式に参加。そして十二日、すみだユートリヤにおいて、「九月、東京の路上で 一九二三年関東大震災 ジェノサイドの残響」を執筆・出版した加藤直樹さんを講師に招き学習討論会を行なった。荒川・墨田・山谷・足立の仲間、加藤氏の本に感銘を受けたはるばる遠方からの参加者などなど、四十名が集った。
 まず四地区実から、石原による「三国人」発言とビッグレスキュー(二〇〇〇年)以来十四年間取り組みを続けてきた報告と問題提起。米軍と陸・海・空自衛隊、海保、警察、消防、自治体、町会、そして教育機関の連携が目的の「防災訓練」は、有事訓練そのものであり、関東大震災時を彷彿とさせて余りある。必ず中高生ら子ども達が多数動員され、自衛隊があたり前のように会場での勧誘を行なってきた。「防災訓練に反対」と言うのは一般的にはなかなか支持されず、困難な闘いではあるが、我々はその狙いが戦争動員であることをしっかりと暴露し、取り組み続けて行きたいと訴えた。
 そして「この本を書くに到る出発点は、四地区実と同じ二〇〇〇年の石原発言だった」という加藤さんからの講演を頂いた。「災害時には『三国人』が騒擾を起こす可能性があり、治安維持を強化すべき」との石原発言を聞いた加藤さんは、過去全世界の大地震の後でそのような例があったのかを全部調べ上げたのだという。結果、災害に乗じて外国人が暴動を起こし、軍隊が出動したなどという事実は一例もなかったのだ。辛うじて見つかった事例として、一九〇六年サンフランシスコ大地震の際、空き巣と間違えた人間を軍隊が殺害している。同時に一九一六年カナダの国会議事堂が火事になった際、「ドイツ人による放火に違いない」と噂された、中世のフランスでチフスが流行した際「ユダヤ人が井戸に毒を入れたに違いない」との流言が広がった、などの例を知る。いずれも警察や行政が果たした役割が大きかった。日本において関東大震災時は言うに及ばず、阪神淡路大震災、東日本大震災、記憶に新しい広島土砂災害の現場でも流言蜚語というものは発生した。しかしそこで大きく事態を左右するのは、警察や行政の対応なのだ。だからこそ、石原の発言がいかに重大で恐ろしいかということに、ぐるっと回って気が付いたのだという。以降、研究を続けてきた加藤さんだが、新宿・新大久保の出身であり―当時は今のような韓流タウンではなかったものの、常に二〜三名は在日(本名通学)のクラスメートがいる中で育った。その新大久保でのヘイトスピーチに心底腹がたち、抗議する「しばき隊」や「プラカ隊」の登場に触発され、街行く人にビラを配る「知らせ隊」を結成した。毎週千人規模の仲間の結集と三つの「隊」の連携で、大久保から在特会を事実上追い出すことに勝利したのだ。少しだけホッとした加藤さんは「九月東京の路上で」のブログ執筆を始める。すると大変な反響で、書籍としての出版に漕ぎ着けた。「二〇〇〇年にはピンとこなかった周りの人たちが、十四年たって今はこの問題にピンとくる……それだけ今が悪くなっている証拠だ」と言う。「日清戦争時からの価値観……中国・朝鮮はずっと日本の後進であり、日本の真似をし、おさがりであって欲しい……と、現実との乖離がひどくなればなるほど、認めたくない思いからレイシズムへ走っていく。ドイツに出来て日本に出来なかったこと、それは『帝国意識』の清算だ。日本もそうすればよいのだ!」と、ヘイトスピーチ吹き荒れる原因を分析された。
 集会の最後、慎民子さん(在日二世)からの連帯発言では「二十歳の頃に関東大震災時虐殺を知った。『私が殺されないためにはどうしたら良いか』と考えた末に、本名で暮らし、本名で子どもを育て、地域運動に参加し、私を決して殺さない仲間や友人を作ってきた。」と訴えられた。
 今後も地域の仲間と共に、差別排外主義と戦争動員を許さない取り組みを重ねていきたい。秋にはまた、「有事」を想定した「国民保護訓練」が東京で行なわれようとしている。抗議の声を、共に上げよう!
    

        

 

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