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■読者からの手紙 東京・労働者
スクラム固く闘われた京品ホテルの闘い
一月二十五日東京ユニオン京浜支部が自主運営する「京品ホテル」に対して東京地裁の「組合員の立ち退きを求める仮処分」の決定が一月十五日に下されたことに基づき強制執行が行われた。このたたかいに参加した報告を送ります。
●1 職場を守り続けた闘い
京品ホテルは、品川駅前の老舗ホテルで、昨年の営業状況も黒字であった。しかし、経営者がおこなっていた他の事業の放漫経営によってできた借金六十億円によってリーマンブラザース関連企業に京品ホテルを売却することを決め、一方的に労働者およびテナントに通告してきた。こうした動きを察知した労働者は、五月一日組合を結成し、経営者側に団体交渉を申し入れてきた。しかし、経営者側は「二〇〇八年十月二十日をもって事業を廃業する。昨日廃業と売却を決定した。営業譲渡ではなく、会社を解散して此処をがらんどう状態にして売却する」と廃業を通告し、労働者を解雇してしまった。これに対して組合側は、「自主営業」を行ってきた。経営者側は、これに対して「明け渡しの強制執行」の仮処分申請をおこない、東京地裁は一月十五日「廃業した以上、従業員が事業の存続を求める権限はない」という理由で一月二十九日までに退去することを求める不当処分を決定した。組合側は、退去に対して応じないと決め「職場を守るたたかいを続ける」として強制退去に対して実力阻止のたたかいを行った。
●2 夜明け前から始まった一月二十五日の闘い
一月二十五日早朝にも強制排除の動きがあるという報が伝わる中、二十四日には続々と京品ホテルへ支援者が集まってきた。ホテルの中にはところ狭しと労働者が陣取っていく。ホテルの外では、権力の不当介入を警戒する支援者が立ち、マスコミも集まってきた。支援者の作ったおにぎりと当該組合員の作ったトン汁が配られる。トン汁は、さすがプロの味、気持ちのこもった夕食を食べた後、午前〇時から屋上で団結集会が開かれる。当該の組合支部長、東京ユニオン、全国コミュニティユニオン連合からの挨拶のあと、たまたま宿泊していたという社民党の福島瑞穂参議院議員からの挨拶があった。つづいて二十五日のたたかいの体制が指示される。指示に先立ち屋上ビアガーデンに残されていた文書が紹介された。「ビアガーデンには非正規雇用の労働者たちが働いていた。彼らは『ここで起きたいやだったこと、良かったことも全部これからの糧にしていこう。再来。』と書いている。こうした非正規の仲間たちの思いも受け止めながらたたかいを行おう」という発言に、このホテルをつぶさせてはならないという決意が更にかたまっていく。指示のあと、下におりて編隊の確認や、スクラムの練習が行われた。その後グループ毎に一時間交代で外での警戒態勢に入る。
午前一時、防衛態勢に参加した私達は、シュプレヒコールの後、各組合からの決意表明を行った。みんな未曾有の不況が開始される中でのそれぞれのたたかいを紹介しながら、この京品ホテルのたたかいが労働者にのみ犠牲を強いる今の体制への鋭い反撃のたたかいであり、連帯してたたかいぬくという決意を語った。その後、三時からと五時からの防衛配置に立った。
午前五時からは全体でホテル前で強制排除を迎え撃つ体制に入った。夜明け前の寒さが身に凍みるが、集まった労働者たちの意気は高い。約三百人が「京品ホテル従業員の生存権を奪うな」「警察は強制執行をするな」というシュプレヒコールを夜明け前の駅前に響きわたらせる。午前六時三十分頃排除のための警察車輌が駅前に現われた。強制執行後の物資搬入のためのトラックが二台目の前に横付けにされる。いよいよ実力阻止のたたかいだ。警察は、ホテル前の道路を一車線封鎖する。
午前七時東京地裁の執行官が警察権力に守られながらホテル前に来た。「帰れ! 帰れ!」との大合唱を浴びせかける。スクラム固く一歩も足を踏み入れさせないたたかいが続く。執行官と組合側との交渉が行われる間、当該組合員から「今までしっかり働きホテルは黒字になっていた。悪いのは経営者だ」「自分達の誇りを踏みにじり、生活の糧を奪うやり方は許せない」と決意表明が行われた。交渉の決裂が伝えられる。全体に緊張感が走る。更にスクラムを固くしピケを張る。午前九時頃警察官とガードマンによる実力排除が始まる。「帰れ! 帰れ!」の声を張り上げながらスクラムを組んで立ち向かう。次々にごぼう抜きが始まる。押し合いの中で倒される人、ホテルのガラスも割られた。「警察は暴力を止めろ」「強制排除反対」の声が響く中強制執行が行われる。
ホテル脇で総括集会が行われた。東京ユニオン委員長から「京品ホテルが警察に暴力的に奪われてしまった。しかし京品ホテルの自主営業のたたかいが百日以上続いたことは新しい労働運動の新しい幕開けである。まだこれで終わりではない。不当解雇を撤回させるたたかいはまだ続く」と決意が明らかにされた。支部長からは、「支援してくださったみなさん、全国のみなさんに感謝します。腹立たしい。悔しい。しかし私たちはこれからもたたかい続ける」という決意が搾り出されるような声で語られた。全体で「京品ホテルを守りぬくぞ」「解雇撤回を勝ち取るぞ」と最期までたたかい抜く決意をこめたシュプレヒコールを行ってこの日のたたかいを終えた。
全国のみなさん。資本の側は大不況を口実に労働者へ一方的に矛盾を押し付けている。内部留保金を握り閉めながら派遣切りや解雇を強行する、自らの経営責任を取ることなくレイオフを強行するなどが今全国各地で行われている。こうした中、労働者は次々に組合に結集してたたかい続けている。今こそ労働者のたたかいの嵐を全国で巻き起こそう。
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