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■読者からの手紙
国立市議会が意見書を提出
沖縄戦「集団自決」に日本軍の関与は明白
文部科学省は検定意見を撤回せよ!
九月二十一日、東京都国立市議会は、沖縄戦時の日米軍による集団死の強制を否定した教科書検定意見の撤回を求める意見書を可決しました。(下記)
今年三月、高校歴史教科書検定で文科省が「日本軍の強制」記述を削除させたことが明らかになって以降、沖縄では連日「島ぐるみ」闘争が取り組まれているなかで、国立市議会からもぜひ文部科学省や総理大臣、国会へ意見書を提出してほしいと、市民が署名を集めて議会に陳情していたものです。
採択十二、継続・不採択が十一の僅差でしたが、採択が決まると、傍聴者はじめ「採択」速報を聞いた市民らから歓声が上がりました。四月統一地方選で引き続き市民派市長を誕生させたことや、議会構成も市長派が躍進したことなども大きく働いたと思います。
それにしても自民党若手の石井伸之議員の不採択意見は聞くに堪えないものでした。「沖縄戦を体験した者はここにはいないのだから専門家に委ねて」「文科省の検定意見に従うべき」などとして沖縄戦体験者の証言を真向から否定しました。「現在は基地経済で生活が成り立っている」のだからお国の言うとおりにしておけばよいという、まさに国家主義そのものです。さすがに採択意見をした議員からは「戦後六十二年になるというのに、広島、沖縄の痛み、怒りを受け止められないのか」と怒りをぶつけられる場面もありました。
継続・不採択で否決にまわった公明党、自民党議員らはいずれも「評価が分かれる」「係争中である」「資料がない」などど、どこかで聞いたような屁理屈を並べて立てていましたが、そもそも「削除」案を作ったのは政府・文部科学省自身、審議会ではまともな審議もせずに原案を押し通したというのが真相であり、まさしく国家介入による暴挙なのです。
「従軍慰安婦は強制ではない」と発言した安倍元首相とともに、公明党、自民党のみなさんには、戦後、悲惨な体験を乗り越えて、自ら「語り部」となって次世代に史実のありのままを伝え、「平和」のために惜しみなく努力を重ねる人々の声がまったく聞こえないらしい。
今回の文科省による沖縄戦における史実の捻じ曲げは、改悪「教育基本法」の「お国のために死ぬ」子どもを育成する戦争国家化路線と同一のものだと言えます。
九月二十九日の沖縄県民集会に連動して、国立駅頭で情宣を行いましたが、雨にも関わらずチラシの受け取りはとても良かったです。市民・議員で二十名以上が参加しました。
意見書はまだまだ序章です。削除撤回に向けて、各地でも続いて欲しいと思います。
(国立市民)
■資料
●沖縄戦「集団自決」への軍関与を否定する
教科書検定意見の撤回を求める意見書
文部科学省は、二〇〇八年度から使用される高校教科書に、沖縄戦の「集団自決」について「日本軍による強制または命令は断定できない」との検定意見をつけ、五社七冊の日本史教科書で記述の削除・修正が行われた。これに対し、沖縄県では決定意見の撤回を求める意見書が二度にわたって全会一致で可決され、全四十一市町村でも同様の意見書が可決された。また、沖縄からは、教育長、超党派の議員団、県市町村代表者などが度々国への要請に訪れている。文科省は検定意見の撤回を拒否しているが、早期に検定意見の撤回を行えば、教科書は再訂正して出版できる。
そもそも沖縄での「集団自決」は日本軍の関与が無ければ起こり得ず、多数の証人証言があるからこそ教科書にも記述され続けてきたのである。今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである。沖縄からの意見書は「史実を史実として後世に伝えることが私たちの責務である」という県民の総意が示されたものである。
沖縄はアジア太平洋戦争で国内唯一の地上戦の地となり、多くの尊い命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県である。敗戦後も米国の支配下に置かれ、今もなお日本にある米軍基地の75パーセントが小さい島に集中し、様々な危険と不便を強いられている。この沖縄からの訴えを真摯に聞き、自分たちのこととして考えることが大切である。
教科書検定問題は沖縄県民だけの問題ではない。国立市民をはじめ全国民の問題である。平和を希求し悲惨な戦争を再びおこさないようにするためにも、沖縄戦の実相を正しく伝えることは重要である。よって、国立市議会としても、今回の教科書検定が速やかに撤回され、教科書の回復がおこなわれるよう強く求める。
以上、地方自治法第九九条の規定により意見書を提出する。
二〇〇七年九月二十一日
東京都国立市議会
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学省大臣、沖縄及び北方対策担当大臣
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