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■コロナ禍の中で闘うフィリピン労働者人民 ドゥテルテ政権は政治的殺害をやめよ 国際部 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、フィリピンにおいても労働者人民の命と生活に深刻な影響をもたらしてきた。しかしその中で、ドゥテルテ政権は活動家に対する政治的・超法規的な殺害を続けている。圧政と闘うフィリピン人民への連帯を広げよう。 ●1 コロナ禍の中での人民の苦境 フィリピンの新型コロナ感染は、インドネシアに次いで東南アジアでは二番目に多く、今年六月初旬の段階で感染者数は一二〇万人を超えた(死者は二万一〇〇人強)。とくに今年三月以降、感染者数が増大している。 そのフィリピン経済に対する影響は如実に現れており、二〇二〇年のGDPの伸び率はマイナス9・5%で、一九四六年の独立以降で最大の落ち込み幅となった。昨年の年間平均の完全失業率は、公式統計で10・3%と、前年のほぼ二倍に増加した。公式統計に現れないインフォーマル・セクターの労働者への影響を考慮すれば、その影響はさらに深刻だ。 コロナ禍に対して、ドゥテルテ政権は「コミュニティー隔離措置」と呼ばれる四段階のロックダウン(都市封鎖)措置を地域ごとに適用してきた。それは、検問に軍隊をも動員し、夜間外出禁止令などの違反者には罰則を科す強力なものである。 しかし、政権のそうした措置は人々の生活の必要への対策を伴っていないため、食料をはじめ生きる糧を確保しようとして移動する人々の大量逮捕をもたらしている。マニラ首都圏で初めてロックダウンが行われた昨年三月からの一か月間だけで約三万人が逮捕された。今年五月の数回目のマニラ首都圏での夜間外出禁止令の発出にあたっては、初日だけで一四〇〇人以上が逮捕されている。 外出制限の導入以降、フィリピンではすべての学校が閉鎖され、対面授業が中止された。一五歳未満の子どもの外出も原則として禁止されている。授業はオンライン形式で行われているが、しかし、フィリピンではインターネットにアクセスできる子どもの数は限られている。フィリピン教育省が認めているところでも、小学生から高校生までの生徒の約六割に当たる一四四〇万人がオンライン授業すら受けることができないでいるという実に深刻な状況が生まれている。 労働者人民の苦境を顧みない一方で、ドゥテルテ政権は、外国資本を呼び込むための法人税減税など、巨大多国籍資本の利益に奉仕する政策を続けている。また、「軍の近代化」と称してこれまでの政権と同様に、様々な武器購入のために血税を浪費している。その購入した武器は「対反乱作戦」、すなわち民衆運動弾圧のために使われるのだ。 ●2 継続・拡大する国家テロリズム コロナ禍を理由に人々の社会的・政治的活動に様々な制約を課す一方で、ドゥテルテ政権は政治的・超法規的な殺害をはじめ民衆の抵抗に対する弾圧を強め続けている。 昨年六月、ドゥテルテ政権は「反テロリズム法」を強行可決した。裁判所の許可がなくても被逮捕者の勾留延長ができ、盗聴も合法化するものだ。新民族主義者同盟(BAYAN)はじめ闘う人民は、それを「政府に対する反対意見を弾圧し、『テロリスト』のレッテルを貼られないように、人々に服従を強制するものだ」と批判してきた。 抵抗する民衆に対する超法規的殺害も続いている。 例えば、以前からサトウキビ農園の労働者らに対する殺害が続いてきたビコール地方では、武装警察と国軍による作戦によって、今年三月に五人、続く四月にさらに五人が殺害されている。南部タガログ地方では、三月七日の一日だけで四つの州で労働組合活動家や農民運動家など計九人が殺害されている。 ドゥテルテ政権による弾圧は、農民、労働者、先住民に加えて、弁護士、医師、芸術家、キリスト者、ジャーナリストなどにも広がっている。 フィリピン共産党(CPP)や民族民主戦線(NDFP)の幹部にも政治的・超法規的殺害は及んでおり、昨年八月にはNDFP顧問でパーティーリスト政党アナクパウィスの議長ランダル・エシャニスが、昨年一二月にはCPP書記長を務めたこともあるユージニア・マグパンタイらが殺害された。この他にも、とくに活動の第一線を退いた高齢の党指導者に対する拉致、監禁、殺害の事例が報告されている。 現在、ドゥテルテ政権は「訪問軍協定(VFA)」などをめぐる再交渉を米国との間で行っており、その過程で軍用ヘリコプターや戦闘機、爆弾、大砲や砲弾、ライフル銃や銃弾などの形で、フィリピン国軍や警察に対する米国からのより大きな財政的・物質的支援を引き出そうとしている。それは米国が、超法規的殺害や違法逮捕、先住民居住地域への空爆など、ドゥテルテ政権の血なまぐさい弾圧、人民に対する戦争に荷担するものだ。日本政府もまた、自衛隊の装備の供与など、ドゥテルテ政権を支えている。 フィリピン民族民主主義運動は今、ロックダウンの中で困窮する労働者人民に対する食料など生活物資の配布など地道な活動を行いながら、弾圧を強めるドゥテルテ政権と対峙して闘いを継続している。フィリピン人民の闘いへの連帯をさらに広げていこう。 |
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