共産主義者同盟(統一委員会)






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   【翻訳資料】
  
バイデン政権のシリア空爆弾劾
   米帝の「対テロ」戦争拡大を許すな
                      ANSWER連合
 (翻訳にあたって)以下は、米国の反戦団体であるANSWER連合が最近発表したふたつの声明である。
 一つはバイデン政権によるシリア空爆の翌日に発表された声明で、発足早々から歴代政権と同様に、中東における米帝国主義の権益の守護者として振る舞い、民衆の命を奪うバイデン政権を厳しく弾劾している。
 もう一つは、このかんの米国の「対テロ」戦争に関するもので、米国が中東やアフリカなどで軍事行動および軍事拠点を拡大し続けていること、中ロとの「大国間競争」が意識されるなかでも米国の帝国主義的利害にとって「対テロ」戦争が重要性を失っていないことを指摘し、それを批判するものである。
 それぞれ簡潔な声明だが、バイデン政権の性格と米帝の軍事動向を考えていく際に参考になるだろう。
                                    (訳者)佐々木涼



 ●ANSWER連合はバイデン政権のシリア攻撃を弾劾する

 ジョー・バイデンは米国の新大統領の通過儀礼として、就任からわずか一カ月強の二月二五日にシリアへの軍事攻撃を命じた。米軍のミサイルがイラクとの国境を越えたブカマルのシリア施設を直撃した。報道によると、この攻撃で五人から二二人が死亡したという。
 国防総省と主流メディアは、この攻撃は今月初めのイラクにいる米占領軍に対するロケット攻撃への報復として、シリアの「イランの支援を受けた民兵」を標的にしたと主張している。米国政府と企業メディアは、自国を不法占領する米国の追放を望むシリア人を標的にする際には、つねに同様の欺瞞的なレッテル貼りをしている。
 国防総省のジョン・カービー報道官は、今回の攻撃は「バイデン大統領が米国と連合軍の要員を守るために行動する」というメッセージだと述べている。米国が主権国家であるシリアを、隣国のイラクと同様に占領している間に、正当防衛のために爆撃することができるという考えは、すべての論理に反している。しかしそれは、トランプ政権が二〇二〇年一月四日に地域の緊張緩和に向けた任務でバクダッド国際空港に到着したイランのカセム・ソレイマニ将軍を暗殺した際に使用したのと同じ正当化である。
 米国が送ろうとしている真のメッセージは、中東の人々は米国が故国を占領し、終わりなき戦争をしている間、じっとしていなければならないということであり、バイデンは――歴代政権と同様に――この地域における米国の帝国主義的権益を守るということである。これには、イラン、イラク、シリア、そしてペンタゴンの戦争屋たちの前に立ちはだかるあらゆる国々に対して軍事行動を継続することが含まれている。
 平和への唯一の道は、この地域からすべての米軍を即時・無条件で撤退させることである。米軍は今すぐ撤退せよ!
  二〇二一年二月二六日


 ●対テロ戦争か、米国支配のための戦争か?

 世界各地での米国の「対テロ」作戦に関する新しい地図は、米国の「対テロ戦争」が二〇一八年から二〇二〇年にかけて世界の三分の一の地域での軍事的拡張を伴うものであったことを明らかにしている。ブラウン大学ワトソン国際公共問題研究所の「戦争のコスト」プロジェクトによって作成されたこの地図は、「対テロ戦争」が本質的にはアメリカの帝国主義的拡張戦争であり、特にアフリカ、中東、南アジアを標的とした戦争の婉曲表現であることを示している。
 この地図は、「対テロ訓練」、「軍事演習」、「代理者を通した戦闘または潜在的戦闘」、「空爆およびドローン攻撃」のそれぞれを分類している。過去三年間だけでも、米国はアフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、パキスタンを空爆している。
 米軍はアフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、シリア、イエメンでのプレゼンスを維持しつつ、ケニア、マリ、ナイジェリア、ソマリアでの戦闘に従事し、カメルーン、ニジェール、チュニジアへの軍事作戦を調整するための「権限」を宣言している。
 二〇一八年から二〇二〇年の間に、米国は「対テロ」の名の下で、八九カ国で軍事行動を行った。地図に添付された報告書には、「対テロ作戦は近年より広範囲になっている」と記されている。
 そのわずか数日後、インターセプト紙は、情報公開法にもとづく申請を通して入手した米アフリカ軍(AFRICOM)の二つの地図を公表した。それによれば、ペンタゴン(米国防総省)はアフリカ各地に二九の軍事基地を保持している。この地図は、アフリカ軍司令官スティーブン・タウンゼントが上院軍事委員会で、アフリカ軍はアフリカにおいて「軽くて比較的低コストの拠点」を維持していると発言した一カ月後に公開された。
 ペンタゴンの地図によれば、米軍は「戦争のコスト」プロジェクトによって特定された国々を超えて、ブルキナファソ、チャド、ジブチ、ガボン、ガーナ、セネガル、ウガンダ、アセンション島に米軍を擁し、「永続的な」プレゼンスを保持している。
 米国の外交政策ドクトリンが「対テロ戦争」から「大国間競争」や中国との対決に移行しているとしても、「対テロ戦争」が米国の帝国主義的拡張に重要な役割を果たし続けていることは明らかである。
  二〇二一年二月二八日
  

 


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