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   【翻訳資料】
  反乱と弾圧 資本主義の長く暑い夏が始まる
   社会主義解放党(PSL)機関紙「リベレーション」(解放)

 (翻訳にあたって)コロナ危機のただ中で発生した、白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの殺害は、黒人層をはじめとした米国の広範な人民の怒りに火をつけ、街頭での抗議行動は瞬く間に全米の主要都市に拡大した。戦闘的な抗議行動の展開に対して、トランプは六月一日、その演説の中で闘いを鎮圧するための米軍の出動にさえ言及した。
 以下に紹介するのはその直後の六月二日に米国の社会主義解放党(PSL)が発表した声明(の前半部)である。
 現実政治は、トランプ演説をエスパー国防長官が否定・批判し、首都ワシントンDC近郊に集結していた米陸軍に撤退を命じるなど、トランプによる統治の限界を露呈させ、トランプ政権および支配階級内部の分裂を促進するものとしていったんは展開した。
 しかし、ここで紹介するPSLの声明からは、現在米国で起こっている事態が、単にその人民決起の規模の大きさだけでなく、米国における階級支配、差別分断支配をその根底から揺るがす深い変革的契機をもつものであることを読み取ることができる。
 今日PSLに結集している勢力は、イラク戦争開戦直前のワシントンDCでの五〇万人デモをはじめとして米国での大規模なイラク反戦運動をけん引してきたことで知られている。しかし、彼らは当時の人民の大規模な街頭行動の直接延長上に、今回の声明にある「革命的危機の萌芽期であるように思われる」(「声明」後半部)といった情勢認識を導きだすことはなかった。そうした意味でも、このPSL声明は米国内の革命的左派が現在の事態をどのように捉えているかが垣間見られて興味深い。
 付け加えて言えば、そのように今回の事態を歴史的なものとして捉える認識は決して彼らだけのものではない。われわれは決起する米国の労働者人民に対して、また、帝国主義の心臓部において階級支配を廃絶し、差別・抑圧がない社会をつくりだそうとして闘う米国内の共産主義者の努力に対して心からの連帯を表明する。同時に日本国内における在日・滞日外国人に対する差別排外主義攻撃と断固として闘い抜く。
 なお、以下の訳文の( )内は訳者による注。。


 
 ●反乱と弾圧

 トランプは昨夜、ホワイトハウスから、「暴動を終わらせる」ために全国的な軍事動員で「街頭を制圧する」と宣言し、「都市や州が必要とされる行動を拒否する場合」には「米軍を派遣して速やかに問題を解決する」と宣言した。
 トランプの演説の数分前、ちょうど数百フィート離れた外で、馬に乗った警官が催涙ガス、ゴム弾、スタングレネード(音響閃光弾)で平和的な抗議を分散させた。「警察による暴動」が始まったとき、群衆は自分たちの両腕を空に向け、「手を上げている、撃つな」と叫んでいた。われわれの組織のメンバーは最前線にいて、スタングレネードや銃弾で負傷した。多くの抗議者が逮捕された。ブラックホーク(軍用ヘリコプター)が「ショー・オブ・フォース作戦」を展開し、デモ隊の上空を飛び交った。ヘリは大量の風と粉塵をまき散らし、地上の人々を麻痺させた。これはアメリカ帝国主義がイラクやかつてのソマリアで行ってきた戦術だ。
 これは疑いなく、より公然たる警察国家への大きな転換を意味している。急速に国内を席巻したレイシズム(民族差別・人種差別)に対する正義の反乱は今、困難な試練に直面している。トランプは残虐な力を行使するつもりであり、その運動を血で溺れさせると脅している。同じ演説の中で、トランプは「合衆国憲法修正第二条の権利」(銃を保有・携帯する権利)の擁護に言及した。これは武装した極右を結集させるための叫びとしか読めない。今週初め、トランプは「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と言った。民主党の市長たちは、運動を封じ込めるために、早いところでは午後六時からの外出禁止令を宣言して、それに歩調を合わせている。
 トランプはこの新しい民衆運動に宣戦布告した。それは「極左過激派」と「暴徒」を止めるという言葉で表現されている。バー司法長官は彼らを「国内テロリスト」として告発すると語った。しかし、これは古典的なスケープゴートであり、実際には、運動全体を抑圧し、鎮圧するための宣戦布告である。
 抗議と言論の自由の行使を軍事的に弾圧しようとするこのファシズム的な動きに歯止めをかけなければならない。抗議活動は継続されなければならない。いま行動を止めることは、トランプの軍事主義と極右を強化することになる。今夜ワシントンDC、ルイビル、フィラデルフィアなど多くの都市の街頭で示されたデモに立ち上がる勇気と集団的な意志の力は、簡単に破壊されることはないだろう。
 ただトランプの軍事的弾圧は、裏目に出るかもしれない。全般的に外出禁止令を支持している企業メディアでさえ、ホワイトハウス近辺でのデモ隊を一掃するための極端な武力行使を非難している。トランプはセント・ジョンズ教会の前で、聖書を手に持ってその強硬姿勢を演出してみせた。しかし、その同じ教会の司教は、警察の作戦およびトランプが教会を背景に利用したことを「暴挙」と呼んでいる。
 しかし、いまさらに厳しい弾圧の脅威の下で闘いを続けているわれわれにとって、この五日間に起こった出来事が、いかにしてわれわれをここに導いたのかを理解することは極めて重要である。
 戦略を練り上げる上で最も重要な要素は、敵と味方を区別することだ。先週、この運動にはトランプの発表の基礎を築いた多くの偽りの味方がいることが示された。

 ●偽りの味方と本当の敵

 資本主義の支配階級は、様々な手段を保持する洗練された力である。それが拡大する全国的な決起によって、バランスを崩して守勢に立たされ、伝統的な弾圧と吸収の方法によっては決起を抑制することができなかった。
 おそらく、もし警官たちがすぐに逮捕されていればそうした方法は機能したであろうが、殺人警官に対する逮捕と告発――それは決起の最も基本的な要求であった――がない中で、運動はますます拡大した。民主党の政治家たちによる連帯のリップサービスも十分なものではなかった。ミネアポリスでの四人の警官の解雇も十分なものではなかった。「法に委ねる」という言い訳は人々をさらに激怒させた。デレク・ショーヴィン(ジョージ・フロイドさんを殺害した警官)の第三級殺人罪での起訴は侮辱であった。
 こうして運動は広がり続けた。この反乱を抑えることができなかったため、企業メディアと共和党・民主党の政治的エスタブリッシュメントたちは、ストーリーを変えるために動いた。その主要な戦略は「外部の煽動者」に焦点を当てることだった。支配階級内のリベラル派と保守派の双方が、このストーリーの周りに電光石火のようなスピードで結束した。民主党の「進歩的な」市長からドナルド・トランプ自身まで、彼らすべてがこの運動は暴力的な過激派に「乗っ取られた」と特徴づけ、とりわけアナーキストやいわゆる極左をスケープゴートにしている。
 今やドナルド・トランプは、警察組織による街頭の「完全な制圧」を要求し、「これまでにない」ようなワシントンDCでの抗議行動に対する攻撃を自慢している。
 しかし、トランプの最新の攻撃を助長したのは、民主党の市長や知事、ナンシー・ペロシのような議会指導者など、リベラル・ブルジョアジーである。彼らが、トランプとバー司法長官が必要としていた政治的正当化をすべて発案し、広めたのだ。ホワイトハウスではなく彼らが、現在行われている言論の自由の権利を行使する民衆の大量逮捕の根拠になっている不当な夜間外出禁止令を課したのである。夜間外出禁止令は警察国家を強化し、警察の暴力を常態化する。それはレイシズムに反対する反乱の新しい波に集中的に向けられる。
 この同じ民主党の政治家たちは、パンデミックの絶頂期に行われた、ロックダウンの直接的侵害である、重武装したほぼすべて白人の右翼による「再開」デモに対しては、まったく何の対応もしなかった。
 この民主党による支配機構が自らを反トランプの「レジスタンス」と自画自賛しているのは、完全なジョークである。実際には、それは長い間、国家弾圧という鉄の拳をソフトに見せるビロードの手袋だったのだ。
 また、これほど多くの反乱が全般に民主党が統治する都市部で起きていることを見過ごすことはできない。これこそが、民主党が反レイシズム運動を納得させる政治的リーダーシップを示すことができない主要な理由である。この運動は客観的には、トランプと同じく民主党の政治的リーダーシップに対する反乱でもあるのだ。このかん警察による殺害が発生し、正義がもたらされないままそうした殺害が続き、ジェントリフィケーション(再開発による都市の「高級化」)によって黒人が歴史的に住んできた地区から追放され、予算の削減によって医療サービスや教育が空洞化しているのは、民主党が統治している諸都市においてである。どんなに多くのレトリックを使っても、その記録を隠すことはできない。
 バラク・オバマは、より多くの「刑事司法のための具体的な要求」と選挙に向けた努力を伴った「真の変革」を実現する方法について、抗議行動に参加する人々にレクチャーするエッセイを発表した。しかし、誰がそんなアドバイスを真剣に受け止めるだろうか。オバマ政権そのものが、大規模なブラック・ライフズ・マター(黒人の命も大事だ)運動やファーガソンやボルチモアでの民衆の決起にもかかわらず、横行する警官による殺害と大量収容に対して、八年間の統治期間中に何の「真の変革」ももたらしてこなかったのだから。
 そのため、トランプが運動に対する民主党政治家たちの「弱腰」を訴えるとき、彼は民主党の典型的な封じ込め戦略が機能していないと考えている企業や金融界の多くの人物の心情を代弁しているのだ。運動がこれほどまでに広がり、反乱の感情が何百万人もの人々の心を掴んでいるこの段階では、殺人を犯した警官全員を第一級殺人罪で告発し、新たな警察による殺人を止めることだけが、人々を街頭から撤退させうる可能性をもっている。だが、国家はこの基本的要求を認めようとしない。それに代わるものとして採用されたのが、徹底的な弾圧なのである。
 資本家政府を含めて、世界中の他のほとんどの政府は、都市の中心部で七五以上の戦闘的な反乱に直面しており、それに対するある種の改革策を準備している。当該の人物が辞任、解雇、あるいは刑事責任を問われる国もある。しかし、支配階級がその悪質さ、軍事主義、レイシズムのレベルだけでなく、その並外れた傲慢さでも際立っている資本主義国・米国では、それが無い。米国には労働者階級の経済状態を改善し、黒人の不満を解消する広範囲にわたる社会経済プログラムを制定しうるあらゆる物質的資源があるが、支配階級は譲歩することを拒否している。
 彼らがもたらしてきたものは、ただ警察の暴力である。



 
■資本主義の長く暑い夏が始まる 社会主義解放党(PSL)(つづき)


【翻訳にあたって】

 
前回(戦旗一五七二号)は、『反乱と弾圧:資本主義の長く暑い夏が始まる』と題する社会主義解放党の声明(六月二日付け)の前半部を紹介した。今回はその声明の後半部を紹介する。
 五月二五日に発生した白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの殺害事件は、同じように警官の暴虐にさらされてきた黒人層をはじめとする米国の抑圧された労働者人民による一斉の抗議の決起として瞬く間に米国全土に拡大した。その闘いは、世界各地で共感と連帯行動を呼び起こすとともに、約二カ月が経過した現在も持続しており、殺害事件を引き起こしたミネアポリス警察の「解体」の決定、白人中心の歴史観の見直しなど、様々な変革をともなって進行している。
 今回紹介する声明の後半部では、急速に展開するラディカルな抗議行動の渦中において、革命をめざす米国内の共産主義者が事態とその背景をどのように捉え、行動すべきなのかが論じられている。



 ●純粋な革命というものはない

 革命とは混沌としたものである。革命は平時ではなく、危機から生まれる。革命は出来事の渦巻くような速度、相対立する情報の錯綜、秩序の崩壊、政治的忠誠心の再編成、そして初めて自分たちの力を感じた人々による新たな社会的力の爆発の中でなされる。多くの異なる側がそれぞれ、新しいレトリックと戦術を採用し、新たな同盟を打ち立て、策略のためのエージェントを配置して、自分たちが望む方向に向けて物事を進めようとし、より大きな動乱の中に自らを刻印をしようとする。
 これが現実世界の中での革命の姿だ。革命運動が完全にできあがった姿で出現し、そのプロセスがはっきりと区別された二つの側だけによって展開されること――善人が片方の側に並び、もう片方の側に悪人が並んで、どちらかが勝つまで闘われるといったように――を期待するのは漫画的な政治見解である。
 革命政治の技術とは、出来事の先を行くこと、次に何が起こるかを予測すること、この混乱の中から最も本質的なものを見極めること、味方の長所を見極め、それを国家の短所に集中すること、そして敵を理解し、反撃に備えることである。いかなる運動も勝利から勝利へと向かうことはできず、国家からの攻撃に耐えることによってのみ強くなることができる。
 まず何よりも、この決起によって、何十万人もの人々――そのほとんどが貧しい労働者階級の若者たち――が、自分たちの集団的な強さを初めて感じることができた。抑圧されていたフラストレーションと怒りが一斉に解放されたことで、すぐに国家の能力を凌駕するようになった。それが彼らの自信につながった。家に戻れという要求に抗して、共に立ち上がり、デモ行進を行い、行動を起こす力。武力弾圧に直面した時に互いに同志として支え合う連帯感。自分のすぐそばにいる人の勇気を感じることができること。警察やごろつきがついに退却したのを見たときの爽快感。これらはすべて、抗議活動の地平を広げ、人々に闘いとさらに多くの要求に向けたより強い決意をつくりだした。国家の性格についての多くの人々の意識が、彼ら自身が行動に参加することによって、一週間足らずで変化した。
 われわれは、その周辺にすべての矛盾と粗さを抱えたこの運動に団結しているが、自然発生的な運動に合流するだけでは不十分である。
 政治的な側面では、我々は運動を「良い抗議者」と「悪い抗議者」というの二つのイメージに分けて描き出そうとすることに反対して闘わなければならない。それは「悪い抗議者」の弾圧と逮捕を招き、運動全体を後退させるものである。そうしたストーリーは怒りの爆発を生み出した根本的な社会問題から人々の意識を遠ざけることを助長する。それは横行する警官による殺人に関する支配階級そのものの責任をそらすものとして機能する。それはまた、決起の戦闘性が、とりわけ黒人に集中してきた弾圧の経験の蓄積に根ざしているということを否定するのに役立つものである。
 この運動に工作員や挑発者の浸透はあるのだろうか? もちろんだ。警察と連邦当局自体が、弾圧を容易にし、運動に分裂の種をまくために、デモ参加者を装って数え切れないほどの工作員を街頭に送り込んでいることは間違いない。我々はこの数日の経験と米国のあらゆる強力な社会運動の歴史的経験からそれを知っている。もちろん、資産の破壊など特定のことに焦点を当てて抗議行動に入り込んでいるアナーキストその他の政治勢力もいる。前述したように、革命のプロセスとは混沌としたものである。しかし、運動が「乗っ取られた」という考え方は、まったく間違っている。
 この「乗っ取られた」というレトリックは、それ自体が、街頭で何が起こっているのかについての混乱と疑念を生み出すのに役立っている。それは、街頭に立つ人々の動機に対する冷笑主義を呼び起こし、不吉な力が働いているという恐怖をつくりだすことを意味している。彼らは街頭の人々に対して、いま経験している驚くべき、ほとんど崇高な、一体感と力の感覚は本物ではなく、自分が理解することができない暗黒の、あるいは外国の問題に奉仕しているのだと言おうとしている。そして、自分が街頭に立っていないのであれば、運動を恐れるように教え込もうとしているのである。
 しかし、重要な任務は、レイシズムに反対する決起に団結するために、貧困者や労働者のより広い層を引き込むこと、そしてこれを労働者階級全体のための運動であると認識することである。われわれはまだ数日しか経っていないが、現在の瞬間は革命的危機の萌芽期であるように思われる。後に振り返るとき、これはより大きな革命的危機のためのドレス・リハーサル(通し稽古)だったとみなせるかもしれない。

 ●現在の危機の深刻な原因

 大衆が単純な要求――今回の場合はジョージ・フロイド、ブレオナ・テイラー、アーマウド・アーベリーなどレイシストや警察のテロの犠牲者に対する正義――から始まるのは、革命の過程では珍しいことではない。基本的な説明責任が果たされるべきこと。同じことをした他の誰もがすぐ逮捕されるのと同様に、これらの警官も逮捕されるべきこと。しかし、その要求が実現されないまま、階級闘争そのものが出来事の速度と意識状態をダイナミックに加速させ、闘争はたちまち社会の最も根源的で解決不可能な危機の様相を帯びて成長していく。
 そこには、結局のところ、複合的な危機が重ね合わさっている。まず、新型コロナウイルスによる公衆衛生の危機がある。政府はそれをまったく食い止めることができず、人道的かつ有効な対応すらしてこなかった。圧倒的な経済危機が存在する。四〇〇〇万人が失業し、一六〇〇万人の雇用が永久に失われると予想され、あちこちで強制退去の波が押し寄せている。この大規模な経済破壊と三か月間のパンデミックの間に、億万長者の資産は四三四〇億ドル(約四七兆円)増加した。そして三つめに、アメリカにおける黒人の連続暗殺という進行中の危機がある。ロックダウンにもかかわらず、その割合は二〇一九年から二〇二〇年まで一定のものにとどまっている。
 これらすべてが、資本主義国家とトランプ政権の正統性の危機を生み出している。政治システムは混乱に陥っている。それを信じている人はほとんどいない。選挙自体はほとんど話題にならない。ロックダウンは鍋に蓋をしたが、同時に温度を上げた。水は今では沸騰しきっている。不満を解決するための資本家政府の伝統的な方法は機能していない。
 社会主義者は、自分たちがどのような段階にいるのか、そして今何が最も必要とされているのかについて、独立した評価を必要とする。PSLは二〇一九年八月の党大会で、「革命の現実性」――すなわち、来るべき激動と爆発的決起の時代――を引き寄せるわれわれの努力を前提にしつつ、来るべき時期に向けた戦略的ビジョンを打ち出した。われわれは、システムが衝突に向かっており、貧困や白人至上主義といった米国資本主義の止まることない抑圧的な特徴に加えて、気候や雇用破壊、戦争などによってそれがもたらされうることを強調した。その代わりに、世界的なパンデミックが起こっているが、結果は同じであった。
 われわれの任務の大きな部分は、今まさに反乱している大衆と全面的に結びついて共に闘うことである。いかなるグループも、一夜にして爆発したこのような大衆運動を一方的に導くようなことはできない。すべての革命的プロセスは、長く抑圧されてきた生のエネルギーを解放するものであり、われわれは、一般化した大衆の怒り、この瞬間を利用して自分たちが奪われたものを奪い返そうとしている貧困層、未来のない社会で成人を迎えようとしている若者たちの姿を目の当たりにしている。その「略奪」と「暴力」は、資本家階級の略奪と資本家国家が日々繰り出している暴力とは比較にならない。
 社会主義者は反乱のこの側面に執着すべきではないが、われわれは決起の有機的リーダーたちと共に連帯し、国家の魔手を避けるために、こうしたダイナミクスを戦術的にナビゲートしなければならない。起こっている根本的な事態は、あらゆる背景を持つ若者が共に街頭で立ち上がっているということである。群衆は圧倒的に貧困層と労働者階級の人々であり、親の世代よりもはるかに将来を保障されていない中産階級出身のプロレタリア化した人々も多数含まれている。
 われわれの信念は、革命を実現するためには、闘う人々と肩を並べて立ち上がる革命的組織を建設しなければならないということである。われわれは、戦闘性を損なわせるのではなく、われわれが目にしてきた戦闘性と闘争心を規律ある組織に注ぎ込もうとする多くの人々の例に注目している。このタイプの組織を建設しようとしている革命家の新興世代に対して、われわれはPSLを建設した自らの経験と、われわれが学んだ他の革命の教訓を提供する。
 われわれは街頭で闘争に参加しつつ、警官の資格による免責を終わらせることを要求する。われわれは、パンデミック期間中の家賃と住宅ローンのキャンセル、およびそれを銀行に支払わせることを要求する。われわれは、すべての強制退去および差し押さえを止めさせることを要求する。われわれは、失業したすべての人々に対する100%の賃金補償を要求する。われわれは、アメリカの現在の差別的な警察の取り締まり制度、大量投獄、および警察機構の解体を要求する。これはわれわれがその実現のために闘うプログラムであり、それは労働者階級の広範な層をこの運動に引き入れることができると考えている。
 ドレス・リハーサルは、教訓が学ばれた場合にのみ、より大きな革命を導くことができる。米軍は、その勝利と敗北を綿密に研究している。彼らは戦いながら学び、次の戦いに備えるために活動している。新しいシステムを夢見て闘うわれわれにも同じ責任があるのである。

                   (佐々木涼 訳)



 

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