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   系侵出企業の搾取・抑圧と闘う
    フィリピン・スミフル労働者に連帯を! 国際部


 

 労働者がストライキに立ち上がると軍隊を使った強制排除が行われ、さらには組合役員に対する暗殺事件まで発生する。このようなあまりにも深刻な事態が、フィリピン侵出日系企業の下で起こっている。過酷な弾圧に抗して闘う現地の労働者たちへの支援と連帯は、日本の労働者階級の重要な国際主義的課題だ。(国際部)

 ●1章 ストライキに立ち上がった労働者たち

 昨年一〇月一日、フィリピン・ミンダナオ島南部、コンポステラ・バレー州にあるバナナの梱包工場で、約九三〇人の労働者たちが一斉にストライキを開始した。その主要な要求は、正規職化であり、労働組合の認知であった。
 工場を経営しているのは住友商事系列のスミフル・フィリピンである。「スミフル」は日本が輸入するバナナの約三分の一を占めるトップブランドだ。スミフル・フィリピンはミンダナオに約一万二〇〇〇ヘクタールという広大なバナナ・プランテーションを所有している。ストライキに立ち上がったのはそこで生産されたバナナを輸出用に仕分け・梱包するための工場で働く労働者たちだ。
 労働者たちはコンポステラ・バレー州に一一あるバナナ梱包工場のうち七箇所を封鎖し、操業を麻痺させた。

 ●2章 軍隊による強制排除、放火、暗殺事件

 これに対してまず起こったのが、軍隊、警察、私兵集団を使ったピケット・ラインの強制排除であった。一〇月一一日に発生したこの事件で多数の負傷者が発生した。その後、経営側はストライキに参加した労働者たちを懲戒解雇処分とした。
 しかし、事態はそれに留まらなかった。一〇月三一日には「何者か」による組合役員の暗殺事件、一一月一一日には別の組合員に対する暗殺未遂事件が発生した。一二月一五日には労組委員長宅および労組事務所を全焼させる放火事件が起こった。これらの実行犯は不明であるが、それがストライキと関連して引き起こされたものであることは明白である。

 ●3章 マニラ抗議キャンプの設営

 この状況の中で、昨年一一月二四日、約三五〇人の組合員たちがマニラに向けた抗議キャラバンに出発し、同月二七日にはマニラの公園に抗議キャンプを設営し、スミフル・フィリピンのマニラ事務所やフィリピン労働雇用省に対する連日の行動を開始した。コンポステラ・バレーからマニラまでの距離は約九六〇キロで、東京から鹿児島までの距離に等しい。
 いくつか場所を変えながら今日まで継続されているこの抗議キャンプはまた、スミフル労働者とマニラの労働者たちの交流・交歓の場となってきた。現在も五〇人以上の組合員がマニラでの活動を続けている。家族から遠く離れ、また言葉の問題も抱えながら(ミンダナオで彼らが通常使う言葉はタガログ語とは異なる)、スミフル・フィリピンの労働者たちは、自らが直面する問題を広く訴えるために、困難を乗り越えて闘いを続けている。

 ●4章 労働者の権利を無視する日系企業

 そもそもの問題は、スミフル・フィリピンが長年にわたって労働者たちを低賃金・長時間の過酷な労働条件で搾取しながら、労働者を雇っているのは請負業者だとして直接的な雇用関係を否定し、労働組合の存在を認めず、一貫して団体交渉に応じてこなかったということにある。
 昨年一〇月のストライキに先立ち、約一〇年に渡って雇用関係の確認や労働組合の認知をめぐって、フィリピン労働雇用省に対する申し立てや裁判闘争が闘われてきた。二〇一七年六月には直接的な雇用関係を認める最高裁決定が出されている。しかし、スミフル・フィリピンはそれを無視してきた。そうした中で、スミフル労働者はついにストライキに立ち上がった。しかし、それに対する回答は前述したような激しい弾圧であった。

 ●5章 住友商事の欺瞞的対応

 スミフル・フィリピンは今日まで、労働者の正当な要求に対して誠実な対応をしていない。全国労使関係委員会(日本の中労委にあたる)は今年一月三〇日、ストライキに参加した労働者への懲戒解雇処分を認めず、職場復帰を命じる決定を出している。しかし、スミフル・フィリピンはその決定さえも無視している。
 「スミフル」(旧住商フルーツ)は二〇一二年までは住友商事の明確な子会社だったが、その後会社分割と資本関係の再編がなされ、現在では、住友商事は公式には系列の投資会社を通してスミフル・フィリピンの親会社であるスミフル・シンガポールの株式の49%を保有するという関係になっている。これをもって住友商事は、「マイノリティー株主なので他社の判断については答えられない」といった態度をとり続けている。しかしそれは、まったくの欺瞞であり、責任逃れにすぎない。大株主である住友商事には、系列会社において労働者が直面している過酷な状況や労働者の権利を無視した経営の在り方を改善するよう働きかける責任がある。

 ●6章 日本の労働者階級の課題

 「五月一日労働運動センター(KMU)」傘下の「スヤパ農園労働組合(NAMASUFA)」に結集する当該の労働者たちは、自らの権利を勝ち取るためにあらゆる困難を乗り越えて闘いを続けている。
 われわれが確認しなければならないことは、これは日系侵出企業下で起こっている問題であり、フィリピンの問題ではなく、日本の資本主義・帝国主義の問題だということだ。日本資本の膨大な海外権益は、このスミフル・フィリピンの例が示すように、現地労働者への強搾取と血塗られた弾圧によって守られている。過酷な弾圧に抗して闘う労働者たちへの支援と連帯は、日本労働者階級のきわめて重要な国際主義的課題である。闘うフィリピン・スミフル労働者への支援・連帯を進めよう。




 

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