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■急転回する朝鮮半島情勢をどう見るか 国際部 本年初めに朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)と韓国の各指導者が新年の辞を発表した。時を同じくして米韓合同軍事演習の延期が発表され、共和国の平昌(ピョンチャン)五輪参加を巡る南北閣僚級会議が開催された。その後の事務レベル協議で選手団・芸術団・応援団の派遣と開会式での統一旗を掲げた南北合同選手団の入場等が決まった。 一日の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の新年の辞は、昨年の成果として「国家核武力完成の歴史的大業を成就したこと」と「国家経済発展五か年戦略」遂行における大きな前進を挙げ、前者により「米国は私とわが国家を相手に戦争をしかけてくることは決してできません」という対米関係の認識を示した。続いて「共和国創建七○周年」、人民生活の改善、国防力の強化、党建設における権威主義的行為と官僚主義の根絶等を今年の課題に挙げた。最後に平昌五輪参加に言及し、米韓軍事演習を中止し、南北関係を改善して南北が「相互の誤解と不信を解いて統一の主体としての責任と役割をすべて果たすべき」、「今年を民族史に特記すべき事変的な年として輝かせるべき」と述べた。 十日の文在寅(ムンジェイン)大統領の新年の辞は最初に労働政策を挙げた。公共部門非正規職の正規職化と最低賃金16・4%引き上げを成果とし、「青年の就職問題を国家的な課題とする」「非正規職の正規職化、賃金格差解消、労働時間短縮、仕事の分かち合いといった根本的な仕事改革を達成すべき」として、労使政の対話を復元すると締めくくった。 続いて、経済、災害・事故、福祉、原発、改憲の各政策を述べた後に、南北関係について言及した。「私たちの外交と国防の究極の目標は韓半島(朝鮮半島)で戦争の再発を阻むことです。/私は今すぐの統一を望んでいません」「南北関係においても対話の必要性を持続して提起できました」「平昌五輪を通して南北関係の改善と韓半島の平和の転機にすべきです。今年が韓半島の平和の新たな元年にあるように最善を尽くします」「韓半島の非核化は平和に向かう過程であるとともに目標です。南北が行動で宣言した韓半島の非核化が絶対に譲歩できないわれわれの基本の立場です」。 最後に日本軍「慰安婦」問題について次のように述べている。「日本との関係をしっかりと解決すべきことも非常に重要です。しかし、ボタンの掛け違いは直されなければなりません。真実から目を背けるところから道を見出すことはできません。真実と正義という原則に立ち戻ります。歴史を正しく認識するということは、あのような残酷な出来事が二度と起こらないように人類社会に教訓を残し、共に努力していくことです」。 双方に共通するのは平昌五輪を契機に南北関係を改善し、それを通じて朝鮮半島での戦争を回避して平和を築き上げようという意志だ。それが五輪の大規模派遣として結実化した。共和国と米国が五輪期間中に接触する可能性すら報じられている。朝鮮半島情勢は軍事衝突の危機が一定緩和され、対話局面へ一気に転換したかに見える。だがこれは、昨年水面下で途切れることなく続いた対話のための様々な取り組みの結果だ。圧倒的な軍事力の格差の下で米帝と軍事的に対峙する共和国政府と、米帝と同等水準又は時にそれ以上の対北制裁政策を取り続けることで「批判の余地」を米帝に与えずに共和国との対話方針を維持した韓国政府は、米中ロとの相互関係の中で昨秋段階で平昌五輪参加を巡る具体的論議に入っていた。ちなみに「北の核」の恐怖を煽り自らの延命に最大限利用する日帝「国難政権」は制裁一辺倒方針に自縛状態となり外交ルートは枯れ孤絶した。打倒あるのみだ。 われわれは、南北朝鮮人民と連帯し、南北の自主的平和統一を断固支持するとともに米日帝国主義による朝鮮侵略反革命戦争策動に反対する立場から、労働者民衆の要求の反映としてある南北対話の再開を評価する。米朝間の対話とそれを通じた休戦協定の平和協定への転換(それは当然にも駐韓米軍の全面撤退といわゆる「北の核」問題の解決――帝国主義を含む全世界の非核化の一環としての朝鮮半島の非核化――を必須条件とする)なくして情勢の根本的転換(それは当然にも南北それぞれの「国内」状況に深く影響する)がありえないことは言うまでもない。 また、われわれはすべての核兵器に反対する。しかし南北対話の再開がこの転換への突破口になりうることも事実だ。ろうそく革命が示したように決定的な規定条件は労働者人民の闘いだ。われわれは、サード配備撤回闘争、被害当事者の意見を100%反映した内容での「日韓合意」変更を求める取り組みをはじめとする南北在外労働者民衆による労働者解放・民族解放の闘いを断固支持しこれに連帯する。同時に、日米帝国主義の戦争策動・戦争挑発を許さず、平壌(ピョンヤン)宣言の完全履行、日朝国交樹立、朝鮮学校「無償化」排除撤回を、帝国主義足下に生きる労働者階級人民の責務として求めていく。 |
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