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■ILPS(国際民衆闘争同盟)第五回総会報告 11・14~16 フィリピン 反帝統一戦線が形成され打ち固められた 十一月十四~十六日にフィリピン・マニラで国際民衆闘争同盟(以下「闘争同盟」と略)の第五回総会が開催された。日本からは、アジア共同行動日本連絡会議など二団体が参加した。 闘争同盟はフィリピン人民の国内と海外での闘いを基盤とし、全世界の闘う組織が結集して二〇〇一年に結成された。一致点は反帝国主義・民族解放・民主主義だが、決議文と発言には「社会主義」の語が幾度となく登場し、目指す方向性は明らかだ。今回の総会の主題――「社会的に公正な世界に向けて、民衆の連帯を強化し、帝国主義の収奪、危機、戦争に反対するたたかいを強めよう!」――にもそれがはっきり示されている。 総会は、全体会、十七の分科会、全体会という具合に進んだ。以下引用する分科会の主題をみれば、闘争同盟が何を課題としているかが分かる。 一、帝国主義とすべての反動勢力に対する民族解放、民主主義、社会的解放の大義 二、抑圧され搾取された諸国、諸民族のための社会的経済的発展、および、すべての勤労人民のための社会的平等 三、国家暴力、民族抑圧、階級的搾取・抑圧、ジェンダーによる抑圧、ファシズム、レイシズム、カースト主義、宗教的偏見に反対する市民的、政治的、経済的、社会的、文化的な分野での人権、および、違法な逮捕と拘束(とくに政治囚)、法的手続きの侵害、拷問、超法規的処刑、強制失踪、違反、大規模強制立ち退き、その他の露骨な形態の人権侵害に対する正義と被害者への賠償 四、公正な平和および反革命戦争や侵略に対する闘争、核兵器、生物・化学兵器、ミサイルその他の大量破壊兵器に対する闘争の大義 五、社会的解放に向けた闘いという歴史的使命の追求のなかでの労働組合その他の労働者階級の民主的権利の促進、あらゆる形態で強まる労働搾取や労働者階級の組織の破壊に反対する賃金や労働条件の改善 六、農地改革および封建的、半封建的、資本主義的な搾取と抑圧に対する貧農、農場労働者、漁民の権利 七、女性解放の大義およびあらゆる形態の性差別、性搾取、性暴力に反対する権利 八、青年の教育と雇用の権利 九、児童労働、性的虐待その他の形態の搾取に対する子どもの権利 十、帝国主義と各地の反動勢力による差別、レイシズム、民族抑圧に対する先住民、少数民族、諸民族の自己決定と脱植民地化の権利 十一、教員、研究者その他の教育関係者の権利、および、民衆に反する方向の思想や研究に反対する闘争 十二、民衆の医療・保健の権利、および、医療・保健労働者の権利 十三、収奪と公害と人間の生活の基盤の破壊に反対する民衆と開発、環境保護のための科学技術、および、安全で健康な食糧や水への権利、および、帝国主義の利益のための遺伝子操作技術への反対 十四、民衆の利益に奉仕する芸術、文化、自由な情報の行き交い、および、帝国主義と反動勢力のプロパガンダと抑圧に反対する芸術家、作家、ジャーナリストその他の文化労働者の権利 十五、帝国主義と各地の反動勢力によって強制的に立ち退かされた家のない人々、難民、移民労働者の権利と福祉 十六、老人やその他のさまざまな障害をもつ人々が尊厳をもって安全に生きる権利 十七、差別、非寛容、ホモフォビアに反対するゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々の権利 第一日。闘争同盟の歌の合唱で総会の幕が開いた。開会の辞に続く基調報告は米国とパレスチナだ。米国は、アフガニスタン侵略戦争に国会議員としてただ一人異を唱え批判したシンシナ・マッキニー。米政府の侵略戦争と国内の人種差別を批判した。次にパレスチナ人民解放戦線のライラ・ハリドが帝国主義者とシオニストを弾劾し、パレスチナの解放を訴えた。 ホセ・マリア・シソン闘争同盟議長のビデオ報告などに続き、「闘争同盟をどのようにして強化するか」が全体で討論された。 続いて、分科会の説明が行われたが、一部の分科会は先行して論議が開始された。女性分科会では日本連の仲間が報告者の一人として「軍事主義と女性」について説明した。 第二日。分科会が進行した。日本連は、午前中は反戦反帝闘争(第一。戦争法批判の報告を行った)、午後は平和(第四)と女性(第七)に出た。分科会ごとに決議と特別決議を討議し採択した。 第三日。全体会で、まず、各分科会の報告があった。次に、総会決議を検討し、採択した。最後に、執行委に当たる国際調整委員会が選出された。三十五人が立候補し、二十七人が選ばれた。パレスチナ、クルド、フィリピン、韓国、香港、インドネシア、マレーシア、インド、オーストラリア、セネガル、メキシコ、エクアドル、ベネズエラ、アルゼンチン、グアテマラ、米国、カナダ、ドイツ、ベルギー、スペイン。加えて、フィリピン政府による不当な入国禁止措置が十年以上も続く日本連の仲間も当選した。 ちなみに、アジア太平洋地域からは中国、台湾、ベトナム、カンボジア、パプアニューギニアの代表団も来ていた。 総会閉幕後、連帯の夕べがもたれ、進歩政党の国会議員のあいさつやミュージカル俳優によるレ・ミゼラブルの「民衆の歌」、女性や先住民の歌と踊りなど多彩な出し物に場内は盛り上がった。日本連の派遣団はミグランテ・ジャパンの仲間と共に肩を組んで「座り込めここへ」を歌った。 翌十七日には「民衆の権利と闘いのための国際フェスティバルがフィリピン大学で開かれた。主催はイボン・インターナショナル、アジア太平洋研究ネット、闘争同盟。日本連はTPP及び女性の分科会に参加した。 闘争同盟の世界情勢認識は、①危機を深める帝国主義が収奪と侵略戦争を強めていること、②資本主義中国とロシアが協力関係を強めながら台頭して米日欧帝との争闘が激化していること(南中国海における領土問題はその一つと位置付けられている)、③帝国主義・資本主義に抗する人民の闘いが全世界で堅持されていることが柱となっている。加えて、ISはISISと表記され、米帝が作り出し、支援し、現在は統制できなくなった反人民勢力として全面的な批判と非難の対象だ。 日本に関しては、戦争法の成立と沖縄・岩国・京丹後での米軍基地建設を批判し、それらに反対する人民の闘いを支持すると表明した。 闘争同盟の第五回総会は、帝国主義の侵略反革命戦争及び新自由主義と闘う反帝統一戦線が形成され打ち固められる場としてかちとられた。パレスチナ・クルド・フィリピンをはじめとする武装闘争、キューバを支持するベネズエラなど中南米の民衆運動、アジア・アフリカにおける反帝民族解放運動、日米欧における自国帝国主義打倒闘争の革命的な合流だ。 武装闘争から、労働者・農民・先住民・青年学生の集会デモなどの闘い、さらには草の根民主主義、研究や議会活動に至るまで、様々な形態と水準の闘争が総結集し連帯する場となった。 情勢分析も闘争方針も真の意味で民主主義的に、時間をかけて論議に付され、合意が形成されて決議された。 さらに、ほとんどの各国・地域の代表団の半数以上が女性であり、またLGBTの分科会が位置づけられるなど、階級闘争の「国際基準」が明確に示された。われわれ自身の取り組みが大きく立ち遅れていることを思い知らされた。 東方諸民族大会(一九二〇年)や極東諸民族大会(一九二二年)の地平を継承してそれを世界規模に拡大した、反帝統一戦線の再生ともいえる闘争同盟の意義を改めて押さえ、総会での種々の決議の内容と意味を捉え返して、反帝国主義と国際主義の道を、全世界人民と連帯しつつ進んで行こう。最後に、総会で何度も叫ばれたスローガンを確認しよう。 敵は一つだ! 国際連帯万歳! |
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