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■新自由主義政策と対決し、 日韓労働者連帯運動を推し進めよう ●一章 韓国労働者の現状 韓国の人口は五千四十二万人(十四年)(以下、出典は全て省略)であり、GDPは一兆四千四百九十五億ドル(同)で世界第十三位。一人当たりのGDPは二万八千七百三十九ドル(同)だ。 労働人口は一千七百七十三万人(十二年)で、うち非正規職が半分近くの八百五十万人(同)。月平均賃金は、正規職二百六十万ウォン(約二十九万円)、非正規職百四十六万ウォン(約十六万円)だ(十四年三月)だ。最低賃金(時給)は十五年五千五百八十ウォン、十六年六千三十ウォンだが、最低賃金以下の所得の労働者の比率が14・7%を占める(日本2・0、米国4・3%)。労働時間は 年二十二一六十三時間(二〇一三年)。二〇一五年七月の失業率は3・7%だ。 ●二章 朴槿恵政権の労働者殺し政策 朴槿恵政権は、公共・労働・金融・教育の四大部門の構造改革という内容で新自由主義政策を推し進めている。労働分野については、十二年十二月の大統領選挙で非正規職労働者の状況を改善すると公約したものの、十三年二月の発足以後は何一つ実行しなかった。逆に同年後半から教育労働者の労組である全教組と公務員労組への弾圧に乗り出した。同年十二月の鉄道労組のストライキに対しては民主労総本部への機動隊の突入と蹂躙で応えた。そして、十四年三月に「経済革新三ヵ年計画」を発表し、その中で労働市場二重構造の改善をぶち上げた。「過剰に保護されている正規職の特権をなくして非正規職差別を解消する」というのだ。 労働者の権利をどのように奪おうとしているか。第一に、賃金ピーク制だ。十六年一月から退職年齢が五十五歳から六十歳へ段階的に引き上げられることがすでに決まっているが、日本と同様に年功序列賃金体系の企業が大多数の韓国で、賃金の頂点を五十五歳にし、それ以後六十歳まで賃金水準を段階的に急激に引き下げるというものだ。これにより青年の雇用を創出すると主張しているが、賃金削減と早期退職をもたらすことで、労働所得分配率60%は変わらないまま、労働者階級内部の分配を変えるにすぎないしろものだ。第二に、「低成果者に対する一般解雇等の雇用柔軟性の向上」だ。解雇要件を大幅に緩和し、すでに常態化している解雇の乱発をさらに加速させようというのだ。第三に、就業規則変更要件の緩和だ。労働者の同意なしに使用者が職場の規則を一方的に変えられるようにするというものだ。「使用者独裁」の完成であり、職場において形式民主主義すら消滅するということだ。 以上の「労働市場構造改革」策は、安倍政権の労基法改悪策動と同じ本質だ。新自由主義政策のごり押しにより労働者をむき出しの賃金奴隷に落とし込めようというのだ。朴槿恵政権はこれを今年下半期の最大課題と位置づけ、強行しようとしている。 ●三章 ゼネスト戦術で闘う民主労総 八七年労働者大闘争を契機とする労働運動の飛躍的前進の総括として九五年に結成された民主労総は、九六―九七年に労働法改悪阻止を掲げたゼネストを一ヵ月にわたって貫徹し、政府の策動を粉砕した。しかし、九八年IMF危機を背景とする政府の新自由主義政策により、整理解雇の嵐が吹き荒れるとともに、非正規労働者が急増した。民主労総は指導部の地下活動及び獄中闘争を前提とするストライキと街頭実力闘争など激烈な戦術でこれに抗したが、資本と国家権力の攻勢を押し返すまでには至らなかった。〇四年には右派指導部が登場し、それが十年間続いた。労働運動の主体的力量が全体的には低下したが、延期を重ねていた役員の直接選挙制が十四年末についに実施され、政府と対決するゼネスト即時突入を公約したハン・サンギュン氏が委員長に当選した。左派指導部の登場だ。 煙突や広告塔に上っての座り込み闘争などをはじめとする争議が全国の至る所で続く中、新執行部は公約を実行する作業に直ちに取りかかり、波状ストの第一次として四月二十四日ストが方針化された。獲得目標は四つだ。すなわち、阻止目標として、①「より容易な解雇、より低い賃金、より多くの非正規職」を狙った労働殺し政策粉砕、②公的年金強化及び公務員年金改悪中断、争取目標として③最低賃金一万ウォン争取、④勤労基準法の全面適用及び労組法二条改定、全労働者の労働基本権争取――だ。組合員六十五万八千人のうち68・4%が投票し、投票者のうち84・4%(全組合員の54・9%)である三十六万二千人が賛成し、スト権が確立された。四月二十四日は全国十七ヵ所で集会が開かれ十万人が参加したのをはじめ、二十七万人がスト行動を行った。 五月一日のメーデー、六月の最低賃金一万ウォン争取行動の全国展開に続き、七月十五日には第二次ゼネスト集会が十四ヵ所で開かれ、五万人が参加した。ここで民主労総が掲げた五大要求は、①労働市場構造改悪粉砕、②最低賃金一万ウォン争取、③公務員・全教組の法外労組化と民主労総指導部への拘束など労働弾圧粉砕、④公的年金の強化及び国民年金保障性の強化、⑤4・16(セウォル号事件)連帯闘争を弾圧し国会立法権を否定する朴槿恵政権の退陣だった。 八月二十六日の第十一回民主労総中央執行委員会会議は十五年上半期の事業を次のように評価した。すなわち、労働市場構造改悪の一方的な強行を阻止したが、ゼネストの組織化において限界が明らかになった、決議の責任性及び一体的組織化・闘争戦略が必要だ――。そして、今年下半期の方針として、①労働市場構造改悪恐慌時に直ちにゼネストに突入する、②労働市場構造改悪阻止及び財閥の責任、青年の仕事、労働者庶民を生きさせるための十一―十二月政治ゼネストに突入する、③十一月十四日の十万人民衆総決起闘争により朴槿恵退陣民衆連帯闘争戦線を強化する――を決定した。法人税引き上げと財閥税の立法化、実労働時間の年一千八百時間への短縮など、新たな要求も登場した。ゼネスト組織化において現出した限界(注)を克服して政権退陣政治ゼネストの貫徹に向かう民主労総の取り組みにさらに注目していこう。 ●四章 日韓労働者連帯を前に進めよう 二〇〇八年のリーマンショックは新自由主義政策の破たんを意味した。恐慌的状態が世界的規模で続く中、代案なき国際ブルジョアジーは、しかしそれ以降も新自由主義政策をより激化させた形で実行している。貧富の格差の拡大と労働者の貧困化は資本主義国にとって例外なき現象となっている。 生きるために闘わなければならない時代なのだ。総賃金額の減少、労働者内の格差の拡大と非正規職労働者の増大、労基法改悪による権利の剥奪と蹂躙など、各国労働者の抱える課題に本質的な違いはない。国境を越えて連帯し、共通の問題を解決するための共同の戦列を作り上げていく必要性がますます高まっているのだ。 韓国労働者民衆との反帝国主義共同闘争をより強めて行こう。反戦反基地のみならず、新自由主義政策と対決する労働運動の国際主義的連帯をさらに進めて行こう。帝国主義支配を打ち破り、労働者民衆が主人公になる社会の建設に向け、共に進んでいくのだ。闘おう。 (注)この「限界」を克服するための方策を許榮九(ホ・ヨング)民主労総元首席副委員長と左派労働者会が提起している。その要旨を見てみよう。 許榮九「減らない現代自動車の労働時間――労働時間上限制が必要だ」(『月刊左派』第十六号(一四年八月)は、平均年収が一億ウォンを超えて正規職労働者の代名詞でありつつ民主労総の主力部隊だった現代自動車の労働者が、七千ウォン前半の時給制の給与体系の下で土日出勤当たり前で年間二千七百時間働き、休憩時間も株式の動向に気が気でない実態を報告し、闘えなくさせられている構造を暴き出した。そのうえで労働時間上限制を提起している。 同じ著者の『新しい時代のナショナルセンター、左派労総』(十二年、未訳)は、金融資本主義が破局的危機に直面していると指摘し、韓国の民主労組運動の歴史を総括しつつ、それが衰退し、労働者政治も右傾化した現状を批判したうえで、非正規職労働者を主力部隊とし、新自由主義と全面対決する左派労総の建設を、その綱領案とともに提唱している。特に韓国労働運動の歴史の総括は、八十七年労働者大闘争以降の民主労組運動の指導者の一人であった筆者ならでは深く鋭い内容で、注目に値する。 左派労働者会が十四年末の民主労総役員選挙の公約集として著した『民主労総五大革新課題』(未訳)は、先述の左派労総構想の理念を土台に、しかしそれを新たなナショナルセンターの建設という方法ではなく、民主労総の綱領と組織構造の抜本的変革として打ち出した。すなわち、新自由主義と全面的に対決する内容への綱領の全面的改定、非正規職労働者組織化のためのオルグ千人規模の設置と財政配分、争議現場と不当解雇された労働者の生活を全面的に支え、民主労総の基軸を産別労組から地域本部へ全面転換するという、換骨奪胎的な組織構造と財政配分の大転換だ。戦闘的な民間大工場正規職労働者を主力としてきた民主労総が構造的に有する限界を突破し、階級的労働運動を再生するために、非正規職労働者を階級闘争の主力として位置づけ、そのための組織化と争議など現場闘争の前進に民主労総の命運をかけるべきだという提起だ。 |
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