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   フィリピン・KMUメーデーの報告
   
                  2012年5月




 ●①はじめに

 五月一日、KMU(五月一日運動)は全国で約十万人、マニラで約三万人を組織してメーデーを闘った。KMUメーデーに参加した労働者の要求は、賃金引上げ、非正規雇用化反対、石油価格の引下げ、米軍の撤退等である。
 メーデー当日の朝、アキノ大統領は、KMUの要求である最低賃金百二十五ペソ引上げに反対を表明する等、反労働者的立場を明確にし、メーデーはこれを弾劾する闘いとなった。

 ●②アキノ政権を弾劾、賃上げ掲げたメーデー

 KMUのマニラのメーデーは、朝から夕方まで闘われる。前日のテレビニュースは、KMU役員のインタビューやKMUのデモ集合場所、また国家警察が警戒を最高レベルに引上げ警戒に当たること等を繰り返し報道していた。
 メーデー当日の朝、アキノ大統領は改めて最低賃金の百二十五ペソ引上げに反対を表明した。「インフレを引き起こす」「人員削減によって失業者が増大する」「フィリピンへの投資に影響を及ぼし、経済成長を鈍化させる」等と主張して、労働者の日であるメーデーに反労働者の立場を明確にした。KMUは、メーデー闘争を通じて、アキノ大統領の資本家よりの姿勢を弾劾し、百二十五ペソ引上げ運動を引き続き力強く推進していくことを明確にした。
 朝、マニラ首都圏の数カ所の集合場所にそれぞれ集まった労働者は、そこからプラザ・ミランダ(キアポ教会前)に向けたデモを行った。デモはそれぞれが数千人の単位で、その一つはアメリカ大使館前に向けてデモ行進を行った。四月三十日(フィリピン時間五月一日)には初めての米比の外交・防衛閣僚会合「2プラス2」が行われ、米比軍事関係を強化しようすることに対して、米軍のフィリピン駐留を弾劾し、駐留米軍地位協定(VFA)の破棄を求めてデモ行進を行った。
 午後、メーデー参加者は順次部隊を整えてプラザ・ミランダからメンジョーラ(大統領府前)に向けて繁華街の中をデモ行進した。メンジョーラでは、大型トラックのメイン・ステージとジプニー二台を左右に、計三つのステージを配置して集会が行われた。集会は冒頭で、アキノ政権を弾劾した上で、犬の姿をした(アメリカの言いなりになっている)アキノ大統領の人形を燃やして気勢をあげた。ステージではKMUの傘下労働組合やバヤン傘下団体などの発言が続いた。メーデーに参加した海外ゲストも登壇し、オーストラリアの労働者が代表してあいさつに立ち、労働者の国際的連帯の重要性を訴えた。海外ゲストの発言の後では、「インターナショナル・ソリダリティ(国際連帯)」のコールが繰り返された。集会後半で強い雨が降ったが、集会は途切れることなく継続され、最後には雨も上がり、タガログ語のインターナショナルでしめくくられた。

 ●③成功した鉱山ミッション

 メーデーに先立って四月二十五日~四月三十日、鉱山に関する国際ミッション(ISMM)が取り組まれた。鉱山事業は、露天掘りなどによる大規模な環境破壊、国軍の軍事展開による先住民族の立ち退きや活動家の政治的殺害など様々な問題を引き起こし、昨年十月には新人民軍(NPA)がミンダナオ島の日系企業を含む鉱山企業を襲撃する等、大きな社会問題となっている。ISMMは、鉱山事業に関して、鉱山労働者の視点から取り上げる取り組みとして行われた。この取り組みはKMUの他、フィリピン金属労働者連盟(MWAP)、労働組合人権センター(CTUHR)、クリスピン・B・ベルトラン資料センター(CBBRC)、職業健康安全発展機関(IOHSAD)の主催で行われた。海外ゲストは二つのグループに分かれ、ルソン島北部コルディレラ地方とミンダナオ島東北部カラガ地方を訪問した。ISMMは、鉱山企業が環境破壊を引き起こしているだけでなく、労働者の労働環境を劣悪なまま放置して労働安全衛生基準を守らず、また正社員を削減し非正規職化していること、労働者は低賃金で酷使され企業は膨大な利益をあげていることなどを明らかにした。四月三十日に行われた記者会見には、メーデー前日のKMUの記者会見ということもあって多くのマスコミが詰めかけ、ISMM報告をテレビ・ラジオ・新聞などで報道した。ISMMは初期の目的を達成した。

 ●④日帝よる武器(巡視艇)援助を許すな

 日本の連休中に、日本の国会議員たちが次々とフィリピンを訪問し、アキノ大統領らとの会談を行っていた。四月末に自民党の石原幹事長らが訪問し、メーデー当日の新聞にはアキノ大統領との会談写真が出ていた。五月初めには日本・フィリピン友好議員連盟の民主・自民・みんなの国会議員ら十五名が訪問。彼らは今回の訪問目的について、「中国の軍拡に深刻な懸念を示す米国の『国防計画見直し』を踏まえ、日本と同様に海に囲まれた島国であるフィリピンと米国を加えた三国同盟深化の推進が大きな目的」であった、と明らかにしている。
 この三月初旬には第五回となる日本フィリピン外交防衛当局者協議が行われている。さらに三月下旬には第一回の外務次官級の戦略対話が開催された。こうした会談を通じて日帝は、昨年十二月の「武器輸出三原則」緩和に基づいて、武器に該当する「巡視艇」十隻を政府開発援助(ODA)で供与する話を進めている。四月に行われた米比合同軍事演習バリカタンには初めて自衛隊が参加している。また四月二十四日付産経は「自衛隊がフィリピン基地使用 日米が検討開始、パラワン島有力」との記事を流している。
 国会議員らのフィリピン訪問は、日本とフィリピンの軍事的な結びつきの強化に向けたものに他ならなかった。こうした日帝の動きを許さず、労働者人民の国際連帯を強化しなければならない。
 日米帝のアキノ政権に対する軍事援助を許さず、不屈に闘うKMUをはじめとしたフィリピン労働者人民の闘い、反帝民族解放―社会主義革命の闘いを支持・支援しよう!労働者の国際連帯を進めよう!



 

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