共産主義者同盟(統一委員会)
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■韓国の社会主義労働者政党建設運動の現状 韓国では李明博(イ・ミョンバク)資本家独裁政権の攻勢が依然続いている。 政治的には保守勢力の力が大きくなっている。李明博の最近の支持率は40―50%へ上昇している。民主党をはじめとして野党の側は守勢のままだ。経済面では回復基調にあると言われるが、根本的回復でなく。政府は金持ち優遇政策を進める一方で福祉を大幅に後退させている。国家財政赤字は増大し、失業率は5―6%と発表されているが、実質的には20%だという批判の声が上がっている。 労働運動では、最低賃金凍結、解雇、工場閉鎖が頻発し、地方自治体や公共企業における団体協約の解除、スト違法化といった攻撃が続いている。また、教育労働者・運輸建設労働者・特殊雇用労働者(請負)などで労働三権破壊が進み、労組専従賃金支払い停止、複数労組制導入に関する御用労組の動きが活発化するなか、今年に入り、民主労総を除名された現代重工業労組や脱退したKT(韓国通信)労組といった大労組を中心として新右翼系の第三ナショナルセンターが結成された。しかし民主労総は、こうした資本の攻勢に有効な反撃を組織するに至っていない。 李明博政権が対北敵視政策を続けているために南北間の交流は官民ともに実質的に中断したままだ。軍事的緊張は高原状態だ。 そうした状況の中で、主に二つのグループによって社会主義労働者政党建設に向けた努力が続いている。今から三年前の政権交代に時を合わせるかのように、二〇〇七年秋から二〇〇八年春にかけていくつかの左翼政治サークルが社会主義労働者政党建設に向けた活動を本格化させ、それは現在も進行中だ。日帝植民地時代の治安維持法を前身とする国家保安法が存在する中で始まった、資本主義の廃絶と労働者権力の樹立を公然と掲げた社会主義者たちの努力にわれわれは大いに注目する。 本稿ではまず、労働者民衆陣営=進歩陣営の主な政党および政治サークルの主張の要点を大まかに見る。そしてそのことを通じて、韓国の労働者民衆運動の目指すものが、改良なのか革命なのか、ブルジョア民主主義/資本主義なのかプロレタリア民主主義/社会主義なのかということを基準とすると、果たしてどこにあるのかを確認する。次に、これまでの社会主義・共産主義運動の流れをざっと押さえた上で、社会主義者たちが目指す組織と闘いの特徴を明らかにし、その意味と意義について考える。 ●1章 進歩陣営の主な政党と政治サークルの主張 ここでは韓国の進歩陣営の政党と政治サークルの主張を確認する。 まず、韓国のいわゆる「進歩政党」だが、民主労働党・進歩新党・社会党の三つがある。前者二党は国会に議席を持っている。 第一に、「平等と解放」を掲げて二〇〇〇年に結成された民主労働党は、その党憲と綱領で自らを「労働者、農民、零細商工人、都市貧民の政党であり、女性、障害者、青年と学生、良心的知識人の政党」と規定し、労働者民衆が主体の自主的民主政府の樹立、資本主義社会の桎梏の克服、民族統一国家の建設のために闘うとする。その上で、社会主義的共同体の実現にも言及している。「民主労働党は国家社会主義の誤謬と社会民主主義の限界を克服する一方、人類の長い知恵と多様な進歩的社会運動の成果を受容することにより、人類史の面々と続いてきた社会主義的理想と原則を継承発展させ、新たな解放共同体を具現する。」 第二に、進歩新党は民主労働党から分裂して二〇〇八年三月に結成された。自らを「労働者・庶民の政党であると同時に女性・少数者の政党であり、緑色政党」と規定する。しかし綱領での主語の大部分は市民であり、かつ綱領に社会主義という語はない。主な活動目的は、「代議民主主義をいっそう民主化し、下からの参与を拡大して代議制が持つ限界を補完する」こと、および「政府の構造と機能を社会連帯国家・平和国家・緑色国家の方向へ変え、国家官僚機構を民主的統制の下に置く」ことだ。社会主義建設を示唆した民主労働党の綱領より後退している。 第三に、社会党は、以前は社会主義的変革を綱領に記し、二〇〇二年の大統領選挙では「社会主義大統領候補」を立てて闘ったが、数年前に全面改訂された現在の綱領の柱は、全国民が対等な主権者として参加する「社会的共和国」の建設だ。新自由主義と差別に反対し、人間と自然の調和、および、北東アジアに非核平和体制のための多国間安全保障体制を樹立することを目指している。 次に、国民派=NLの「民主労働者全国会議」(略称「全国会議」)、左派=PDの「皆共に」と「平等社会へ前進する活動家連帯(準)」(略称「前進」)の三つの政治サークルを見てみよう。全国会議と皆共には民主労働党と関係があり、前進は民主労働党および進歩新党の両方と関係がある。 第一に、民族解放を重視するいわゆる国民派の主要政治サークルの一つである全国会議だ。その綱領は、「労働現場で労働者大衆の権益を先頭に立って擁護し、階級的団結を実現する産別労組時代を開拓していくこと、進歩運動の統一団結と民衆執権の時代、自主統一の時代を力強く開いていくこと」を宣言している。今年二月に発足した民主労総の現執行部はこの全国会議系だ。 第二に、「皆共に」だ。その「基本の立場」は次のように主張する。「労働者が富を集団的に統制し、利潤ではない人間の必要に応じて富の生産と分配を民主的に計画する社会のために闘う」。「資本主義は廃止されなければならない」。労働者の国際連帯が必要だ。帝国主義の世界支配と戦争に反対し、被抑圧民族の民族解放運動を支持する。 北韓(注:朝鮮民主主義人民共和国を指す。以下「共和国」と略)・中国・キューバは真の社会主義ではなく非民主的社会だ。女性・移住労働者・同性愛者・零細露天商・撤去民・貧民など差別されている人々の闘いを支持する。国家保安法は廃止すべきだ。労働者・被抑圧人民の大衆組織の中で活動し、それを通じて変革政治組織を建設する。その建設をもって労働者の根本的社会変革を実現する。 皆共には、実践的には民主労働党を人民戦線と位置づけた上でそれに対する加入戦術を取っている。社会主義労働者政党建設に対しては「基盤がいまだに脆弱」「時期尚早」と否定的だ。 第三に、前進だ。先述の民主労働党分裂を主導したが、その後で今度は自分たちが分裂し、結局は再統合したものの影響力を著しく失ったといわれている。進歩新党ではもちろんだが、民主労働党内での活動もしている。今年一月四日に発表した文章は「民主生態社会主義」を掲げた政治組織の建設への参加を訴えている。現存民主主義の枠に参与して大衆政治を作り出し、さらには現存民主主義の枠を越えて大衆の参加と自治を目指す、進歩政党運動・労働運動・社会運動・協同組合運動を発展させる、という内容だ。 以上見てきた進歩政党と政治サークルの目標は総じて、労働者民衆が真の民主主義を闘い取り、主導性を確立することにあるといえるだろう。民主主義の徹底化だ。社会主義を語る場合もあるが、基軸は資本主義体制内での改良だ。ただし、南北の自主的平和統一に関しては意見が異なる。民主労働党と民主労働者全国会議がそれを基軸として位置づけている一方で、進歩新党・皆共に・前進は消極的あるいは否定的だ。 左翼諸グループは前者を「民族主義」、後者を「社会民主主義」「市民主義」と批判している。両者ともに改良主義者であり、ブルジョア民主主義/資本主義を打破できないと見ているのだ。 ●2章 韓国における社会主義・共産主義運動の流れ 韓国の社会主義運動はその出発点を二十世紀初頭から連綿と続いた抗日闘争の中に見出すことができる。一九〇五年乙支条約および一九一〇年韓国併合を契機として日帝の植民地支配は始まったが、これに抗する義兵闘争さらにはパルチザン闘争という反帝民族解放闘争が社会主義者を生み出していったのだ。一九一七年ロシア革命は社会主義運動が前進する大きな契機となり、一九二〇年の第三インター第二回大会には韓人社会党の代表が参加している。 抗日闘争の過程でイルクーツク派、上海派、国内派などの共産主義グループが形成され、一九二五年には日帝打倒を掲げた朝鮮共産党が結成された。しかし過酷な弾圧および組織内の対立により瓦解と再建を繰り返す中、二八年コミンテルンが「十二月テーゼ」を通じて党組織の解体を指示した。その後も共産主義グループが再建を模索するがなしえず、解放後の四五年九月に再建された。マッカーサーの米軍政による弾圧が次第に激しくなる中で翌年十一月に朝鮮共産党・朝鮮人民党・南朝鮮新民党の三党が南朝鮮労働党を結成し、米軍政反対闘争、南北分断反対闘争を組織した。しかし、五〇年に勃発した朝鮮戦争の中で大衆基盤が失われ、山岳地帯でのパルチザン闘争を展開するも、党組織は結局瓦解した。 以後、南北間対立を背景とし、独裁政権が行った国家保安法による血の弾圧を柱とする徹底した反共政策によって韓国自生の社会主義・共産主義運動は組織としては途絶えた。 転機は八〇年の光州抗争と八七年の六月民主大抗争および七―九月の労働者大闘争だった。八〇年を境に労働運動は七〇年代の軽工業での争議から重化学工業への闘いに次第に重心が移っていった。また民主化運動も、それまでの親米から反米へ決定的に転換する。そのような八〇年代前半に日本からマルクス主義関連文献が流入して秘密学習会が組織された。続いて八〇年代中期以降にはマルクスやレーニンなどの著作の解禁もあり、社会主義思想は活動家と知識人の間に急速に広まった。 以降、八〇年代後半から九〇年代末にかけて、南韓社会主義労働者同盟事件、PD派とND派による社会構成体論争、ソ連・東欧などの「現存社会主義」を批判する国際社会主義者グループ(IS)の登場と内部闘争、九七年以降の労働者政治勢力化の取り組みの中から作られた「労働者の力」や現在の労働解放実践連帯など左翼諸サークルの誕生へと続いた。九八年の金大中政権の登場は政治空間の拡大をもたらし、それを背景にレーニン主義からスターリン主義まで、毛沢東主義からトロツキー主義まで、ありとあらゆる傾向の左翼政治サークルが生まれては消え、結びついては離れた。 二〇〇七年末から二〇〇八年はじめにかけて金大中・盧武鉉(ノムヒョン)の十年間に渡るブルジョア改革派政権が李明博ブルジョア右派政権に取って代わられたが、続く二〇〇八年三月の民主労働党の分裂と進歩新党の結成は、左翼諸サークルによる社会主義労働者政党建設の動きを加速させる契機になった。労働者民衆陣営内の左派は、大部分が社会主義労働者政党建設は時期尚早と主張したが、きわめて少数ではあるがそれを準備すべきとして実際に着手する部分も現われた。民主労働党が分裂した一カ月前に未来連帯など三つのサークルが統合して社会主義労働者連合(以下、社労連)が結成され、七カ月後には労働者の力会員を主力とする社会主義労働者政党建設準備会(以下、社労準)が結成された。 翌二〇〇九年にはこの二組織を中心に全国共同討論会が各地で約六カ月間開かれた。二〇一〇年一月、労働者闘争連帯を加えた三組織および個人の活動家が(仮)社会主義労働者政党建設共同実践委員会(社労委)に関する提案書に合意。その後、社労委発足を目指して討論が数回行われた。しかし四月中旬現在、組織建設の分野で工場細胞か地区細胞かをめぐる意見の相違が明らかになり、社労連と社労準の間、およびそれぞれの内部で対立が深まっており、社労委が発足するかどうか分からない状況だ。 ●3章 社労連と社労準の綱領的内容 韓国の社会主義者は、革命勝利後の社会主義建設をどのように考えているのだろうか。そして、革命勝利に至る階級闘争をどう進めようとしているのか。この二点に関する社労連と社労準の主張を紹介する。 ▼(1)社会主義建設論 ◆(イ)社労連 社労連は韓国社会主義革命勝利後の政策について、その「政綱」で次のように述べている。 「『労働者権力下の国有化』だけが社会主義に向かう決定的措置」だ。資本家権力の撤廃と労働者権力の樹立によって建設される社会主義社会は、@社会的共同所有の導入A社会全体による計画的生産の導入B計画経済と自主管理生産過程との全面的結合を実現し、それらを通じて@労働者階級を解放しA社会の全階級を撤廃しBすべての不平等を廃止しC生産力発展のすべての結果を社会構成員全体の完全な福祉と全面的な発展を保障することに使えるようにする。ブルジョア行政・議会・司法機構を廃止してこれを「立法・行政・司法全体をともに管轄するソビエト類型の労働者の直接民主主義機関へ置き換えるために闘う」。 革命的事業は以下の通りだ。 「労働者とその他の被搾取勤労人民の代表者機関を国家の最高権力として立てる。立法・司法・行政のすべての権力がこの機関へ単一に統合される。」「公務員の賃金は熟練労働者の平均賃金を超過しない。」 労働者人民の代表者や公務員は任期終了または選挙人の過半数の要求によりいつでも召還されて自分の職場へ復帰する。代表者機関と政府のすべての文書は完全に公開する。 「警察と常備軍は廃止し、これを労働者と人民の民兵隊へ置き換える。」民兵隊は義務制。 人民は「地域代表者機関と地方政府を自ら構成する権利を持ち、特殊な地域的問題については完全な権限を行使する」。 すべての生産手段と交換手段を「社会の共同財産とする。すべての土地の国有化」。 国有化されたすべての産業と銀行を統合し、労働者国家が計画的に運営する。各事業所は労働者が自主的に管理・統制する。 六時間労働制の導入。 「全産業で週当たり六十五時間以上連続した休息時間の保障。祭日を除き、一年に三十二日以上の有給休暇をすべての労働者に保障する」。 すべての残業と特勤の禁止。夜間労働廃止。変形勤労制の完全撤廃。 「十九歳〔数え〕未満の青少年の一日労働時間を四時間以下に制限」 成果給賃金制度を廃止。 「性と国籍、年齢に関係なく」同一労働同一賃金。 「健康に有害なすべての産業で女性労働の禁止。女性は出産前八週、出産後十二週間の有給休暇を受け取る。」 全作業場に託児施設と人員を置く。「父母を合算して育児休暇三年を保障する」。 年金・保険の全面国家負担。 「基本生活を実質的に保障する賃金を確立する」。「老人、孤児、片親家庭、障害者、青少年家長、未婚母、自然災害被害者などのための完全な社会保障制度を政府が確立し、この制度を受益対象者たちの自主的機関が統制し運営する」。 すべての臨時職雇用を禁止する。「すべての社会構成員に労働義務制を導入する」。 外国人・移住労働者に対する差別撤廃。 離婚手続きの簡素化。結婚に対するすべての制限の撤廃。 無償教育の導入。 医療無償化。 貧しい人々への住宅の提供。 言論・集会・ストライキ・結社・思想の完全な自由を保障する。 全農地の国有化。ただし「農業道具を所有する権利と現在耕作している農地を『使用』する権利を農民に保障する」。 農業労働者と貧農を生産協同組合へ組織する。小農と中農が生産協同組合へ参加する場合、最大限支援する。「そうして長期的に農業全体を集団的農業へ再組織する。」 「北の労働者階級が労働者革命を勝利へ導き誕生させる北の労働者国家との労働者階級的統一を追求する。外交文書は全世界に公開し、外交上のすべての秘密は撤廃する。すべての国の労働者闘争を積極的に支持し支援する。」 ◆(ロ)社労準 社労準は「社会主義 党、戦略、現場――二〇〇九年全国共同討論会報告文集」で次のようにいう。 「社会主義は`労働者民衆の自治的政治体制aと`民主(参与)計画経済aを通して、労働者民衆が国家の主要政策を自ら決定し執行していく自治統治原理と`生産―分配―消費aに至る経済運営の実質的主体となる経済運営原理を施行する。これにより人類は`自由人たちの連帯的共同体aへ進んで行くことができ、この過程で国家は死滅するだろう。」 「民主(参与)計画経済は生産手段に対する共有制(社会化)に基づいて社会的必要労働を公正に分担し、物質的生産過程を合理的に計画・統治する計画経済の性格を持つ。」「民主(参与)計画経済は生産者であるとともに消費者であり、同時にそれぞれ異なる生産、地域、消費単位に所属している労働者民衆グループ間の民主的な意思疎通と意見の調節、相互理解に基づく民主的合意の形成という運営原理を志向する。」 「直接民主主義の強化と大衆の自治能力の向上を通じて、労働者民衆が国家の主要政策を自ら決定し執行していく直接的自己統治原理を強化していく。」 「立法(議決)機構は直接民主主義優位の下に間接民主主義が結合される体制として組織されなければならず、立法(議決)機構が執行機構の役割を果たすことにより、議決と執行を統一させる。直接的自己統治体制の無力化を生む官僚機構の自立化と官僚層の支配層化を防ぐための制度的統制装置(召還権、官僚層報酬の労働者賃金水準への制限、関連した労働者民衆組織の政策決定過程に対する制度的参加保障など)を設ける。」 「`労働者主体の労働解放aプロジェクトとしての社会主義変革は、党独裁や党―国家融合による国家主義戦略へ進むことを防ぐために、党―国家―大衆(組織)間の新しい関係の設定を要求する。」 「労働者国際主義は変革の全過程で堅持されるべき基本原則だ。」 「(女)性、環境、人種、障害、人権問題などは階級矛盾に単純に還元されない問題で、政治経済的変化(階級矛盾の撤廃)だけで解決が可能ではない。」「階級矛盾の解決を越えて、性解放と性の差異の認定、生態主義の実現、差異が差別と排除につながらない社会主義運動、政治経済変革と文化変革(日常生活の変革)を結合する二十一世紀社会主義を志向しなければならない。」 ▼(2)階級闘争論 ◆(イ)社労連と社労準の共通点 @資本主義の廃絶なくして労働者の解放はありえない。 A二〇〇八年後半以降の状況は「恐慌」。 B帝国主義は危機を突破する手段として戦争を位置づけている、それゆえ帝国主義戦争反対闘争が必要。(社労連は「戦争とファシズム」の二つを挙げている) Cブルジョアジーとの闘いと合わせて民族主義・社会民主主義・改良主義との闘いが重要。 D新たなインターナショナルが必要だ。 ◆(ロ)社労連 社労連の指導者でマルクス主義経済学者の呉世徹(オ・セチョル)延世(ヨンセ)大学名誉教授『再び、革命を語る』(輝く展望、二〇〇九)は次のように言う。 革命の主体は労働者階級だ。 労働者のゼネラルストライキによって生産と流通を止め、実力的な街頭闘争を通じて未組織労働者とともに攻勢的な大衆闘争へ拡大させる。反復されるストライキを指導するストライキ委員会が労働者評議会でありソビエトだ。労働組合は革命の武器たり得ない。生産現場の階級闘争に基盤を置かない街頭闘争はブルジョア民主主義闘争だ。 「世界革命党がなければならない」。崩壊した第三インターに続く真の意味の第四インターナショナルを建設する必要がある。(注:社労連は二〇〇六年十月にソウルとウルサンで革命的マルクス主義者国際大会を開いた。ここには海外から国際共産主義者潮流(International Communist Current)と国際主義者展望(Internationalist Perspective)が参加した。韓国内からは「社会主義政治連合」「党建闘」「労働解放連帯」「ウルサン労働者学習会」が参加した。) 「基本的に第二次世界大戦後、世界は米国の主導するブロックとソ連が主導するブロックの間の敵対により分裂した。『民族解放』は人口の軍事的動員を正当化するために使用された完全な理念的神秘化であることが明らかになった。労働者階級や被搾取階級のいずれもこうした戦争から得るべきものはなかった。」 共和国との民族主義的統一には絶対反対だ。 東欧・共和国・中国の共産党は「労働者階級を抑え付け搾取する支配者たちの政党」だ。西欧と南米の社会党・社会民主党・労働党は「労働者闘争を改良主義の道へ退避させながらブルジョア体制を保護している」。 中国・共和国・キューバは社会主義ではなくスターリン主義であり国家資本主義だ。「ソ連、東欧、北朝鮮、中華人民共和国などの社会体制を搾取的で抑圧的な反労働者階級的社会体制度、労働者階級が打倒すべき反動体制と規定する。」 キューバ共産党はソ連スターリン主義と連帯し、それを賞賛し続けた。キューバはスターリン主義の複製版だ。カストロやゲバラなどの「グループは決して農民蜂起の表現ではなかったのであり、労働者階級の蜂起の表現ではいよいよなかった。それはブルジョアジーの一分派が他の分派を転覆してその座を占める軍事的表現だった。」「チェは誰よりもより果敢な民族主義的でスターリン主義的な指導者の中の一人に過ぎないが、いまだにカストロ主義というスターリン主義反革命の熱帯地域の変種の代表でもある。」 ベネズエラは世界資本主義体制の周辺、すなわち周辺部資本主義に過ぎない。反グローバリゼーション運動と米帝国主義反対運動の結合がいわゆる「チャベス主義」だ。「チャベス主義こそ社会主義を偽装した周辺部資本主義国家の民族ブルジョアジー分派の生存戦術に過ぎない」。 ◆(ハ)社労準 前掲書は社会主義労働者政党の活動について次のように主張する。 資本主義の克服と社会主義の建設、労働者階級の解放を通した人間解放が目標だ。 女性労働者の問題、性抑圧と差別の撤廃、生態系の保存と復元を主要な政治的課題とする。 少数者運動と直接結合し組織化する。 政治闘争と経済闘争を結合させる。 労働運動・地域運動・社会運動を展開し、影響力を拡大する。議会戦術を駆使する。 国際社会主義党派・政党との交流と協力を模索すべきだ。(注:社労準はフランス反資本主義新党とオーストラリア社会主義連盟に注目している) 「党員の資格は、党の綱領と規約に同意し、党の機構に属して活動し、党の事業に参加することと定めるべきだ。」 党の基本骨格は現場と地域に置くべきだ。 革命の主体は「労働者階級が中心に立つ民衆」だ。「'民衆'は事実上不安定労働層である中小零細自営業者、大学を通した身分上昇の機会が剥奪された(予備労働者、失業労働者層)である学生層、新自由主義の農業破壊によって没落の危機に直面している中小農民層だ。反(非)資本主義的志向を持ち資本と国家権力に抗して抵抗運動と代案運動に参加・支持する層もまた民衆に包括されうる。」 革命の経路は予測できないが、労働者のゼネストと民衆の蜂起、もしくは、選挙を通じた政権樹立が契機となって代替権力の萌芽が形成される場合が考えられる。 「朝鮮半島は中東とともに政治的、軍事的緊張と葛藤が鋭くぶつかっている地域だ。こうした緊張と葛藤は基本的に資本主義世界体制の産物で、この克服によってのみ完全な平和をなすことができるが、それ以前でも緊張を緩和できる政治状況を引き出すことが必要だ。統一もこのための過程でなければ意味がない。」 「韓国資本主義の亜流帝国主義化とともに韓国の国家権力は米国の世界覇権のための帝国主義的侵略同盟の下位パートナーとして積極的に自らを編入させている。駐韓米軍の戦略的柔軟性の認定、韓国軍の海外派兵などがその例だ。したがって、現時点での'反帝国主義(反帝)の意味'は米国に代表される帝国主義に対する反対だけにとどまってはならない。亜流帝国主義化する韓国資本の第三世界と共和国に対する搾取と収奪反対と、帝国主義侵略同盟の下位パートナーとして編入されている韓国の国家権力に抗する反帝の意味へ拡張しなければならない。」 ▼(3)評価 社労連と社労準の主張には、われわれから見て批判すべきと思える点が少なくないのも事実だ。たとえば、左翼共産主義的な階級観と組織観。第三インターが提起した三ブロック階級闘争論の否定もしくは無関心。国際主義を語る時の明確な欧州志向と、その裏返しとしてのアジアインター建設の展望の欠落、および、反帝民族解放闘争への敵意あるいは切り捨てまたは無関心。米帝の朝鮮半島―北東アジア戦略に対する無関心もしくは位置づけの弱さ、などなどがそうだ。 しかし、韓国の社会主義労働者政党建設運動が大きな意味と意義を持っていることは紛れもない事実だ。社会主義者たちの公然たる登場は、韓国階級闘争が革命党抜きにはこれ以上前進できない壁にぶち当たっていることを示している。資本主義の廃絶を目的とする活動抜きには労働者が生きていけない、権利を守ることができない時代に明白に突入したということなのだ。米国発の金融危機が世界資本主義の終末をあらわしていること、しかし資本主義は自動的には倒れないこと、資本主義は延命の突破口を戦争(とファシズム)に求めてくること――これらの点を社労連と社労準をはじめとする社会主義者の同志たちはともに自覚し、国家権力と全面的に闘い、あらゆる抑圧を跳ね返してこれを打倒する覚悟を決めている。 社労連は二〇〇八年八月にローソク闘争関連で国家保安法弾圧を受け、呉世徹氏をはじめ活動家八人が不当逮捕された。約一年後に起訴され、今年四月十六日には裁判が始まった。韓国の公安警察は「これまでは見逃してやったが、表に出たら(公然化したら、あるいは大衆的活動を行えば、の意――注)叩き潰す」と公言しているようだ。民衆の間にはいまだほとんど知られていない革命党作りの動きが持つ意味をブルジョア国家権力自身がよく分かっているのだ。それゆえ社労連はこの裁判闘争を、社会主義とは何かを公然と労働者に訴え、知ってもらい、広げて行く思想闘争と位置づけている。 一九五三年の南朝鮮労働党壊滅以来半世紀以上のときを経て、社会主義労働者革命を目指す政党が近い将来韓国に再建されようとしている。それが実現されれば、韓国階級闘争を前進させていく巨大な梃子になるだろう。 われわれはプロレタリア国際主義の立場から韓国社会主義者の仲間たちの闘いに今度も絶えず注目し、そして連帯していこう。 闘争(トゥジェン)! |
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