共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■主要論文

■綱領・規約

ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

 ■フィリピン

 第24回KMU・ISA報告

 マニラ・メーデーに参加し労働運動現場訪問

 急逝したベルトラン氏に哀悼の意を表明する





 四月二十九日から五月八日、フィリピンで、第二十四回KMU・ISA(五月一日労働運動センター・国際連帯会合)が行われた。これに、AWC日本連や自立労連から派遣団が組織された。その一端を報告する。現地の暑い、マニラ・メーデーで、KMU名誉議長でアナクパウイス政党国会議員のクリスピン・ベルトラン氏(カ・ベル)と会い、元気でデモ参加している姿にふれ、かつ、日本の労働運動・反戦運動の活動家へのメッセージを受け取った。そのカ・ベルが、五月二十日、息子の家の屋根を修理中に転落し、頭に重傷を負い、逝去された。彼は、一九九二年の「日米軍事同盟と自衛隊海外派兵に反対する十月国際会議」に出席し、以降、AWC共同議長に就かれた。その後、一九九六年のマニラAPEC反対闘争や、二〇〇五年香港WTO反対闘争などで、AWCとともに闘い、国際会議を組織した同志であった。冒頭、フィリピン人民運動とKMUの偉大なリーダー、カ・ベルへの哀悼の意を表明する。

 今年五月の暑いフィリピン現地は、米など食料や日用品の急騰、ガソリン・燃料の高騰が人民生活を直撃していた。この間、すでに食糧暴動も発生した。さらに中国企業との三億二千九百万ドルのブロード・バンド事業契約に伴う、アロヨ政権の収賄事件が暴露されていた。フィリピン人民のアロヨ辞任要求は沸騰していた。アロヨ打倒運動は、二〜三月の高揚期を経て、四〜五月の夏休み時期にあった。六〜七月攻勢が計画されていた。現在、米帝は沖縄の米海兵隊約四千規模をフィリピンに常駐させ、米比合同軍事演習を行っている。フィリピン国軍・警察との強い関係を握る米帝は、その暴力基盤からアロヨ政権を支え、フィリピンで反共・「対テロ」の戦争を事実上進めている。活動家の政治的虐殺や拉致・拘束の暴力的弾圧を浴びながら、KMUやBAYANなどフィリピン人民の解放運動が活発に行われている。

 四月三十日、KMUのオリエンテーションを受けた。フィリピン労働者の貧困化・失業の状況、アロヨ政権による政治的虐殺・人権侵害の情勢など、報告を聞いた。

 五月一日、マニラ・メーデーに参加。KMU系は、市内の五カ所からデモで、ボニファシオ公園の中央行事に集結し、全体集会をする。その後に、マラカニアン宮殿・メンジョーラ橋へデモ行進し、鉄条網の阻止線の前で抗議集会を開いた。ISA派遣団を代表し、オーストラリアAMWUがアピールし、続いて日本側のAWC共同代表が、日米帝国主義打倒、米軍即時撤去、国際連帯のアピールを行った。この日、出発地点にて、元気なカ・ベルと会い、メッセージをもらった。KMUは全国一律一日百二十五ペソの賃上げ要求を強めている。マニラ・メーデーは、KUM系がバヤンなど総動員で一万人を組織化する。他方、改良主義派勢力が二千名、ほかに反グローバリゼーションの数百名の闘争などが報道された。KMUはマニラ首都圏の第一勢力であり、南タガログやセブ、ミンダナオなど全国の各地方でも主流派として闘争を展開していた。

 翌二日〜七日、南部タガログ地方の労働運動現場をエクスポージャーとして回った。この地方は、カラバルゾン地方と呼ばれ、日帝のODAによる総合開発計画が進み、日本・欧米・韓国・台湾などの外資が低賃金で無権利の労働力を強搾取する「輸出経済地区」があちこちにある。いわゆる、ノーユニオン・ノーストライキの反労働者政策が軍や警察・ギャングを使って行われ、しかも、労組活動家が虐殺されている。ネスレ労組、フィリピン・トヨタ労組、フィリピン・日産労組、ヤザキ労組、ハンジン労組など、多国籍企業・外資とたたかう労組が多い。戦闘的な労組の争議では、ほとんどが労働委員会・裁判で時間をかけて救済策を勝ち取っても、会社・経営側が無視し、暴力的支配を続けている例が多い。また大地主の大農園や、プランテーションにおいて、闘う農民運動も組織されている。この農民運動には、「新人民軍の支持者」とデッチ上げた反共キャンペーンが軍隊を使われて暴力的に繰り広げられていた。その典型的な事件として「タガイタイ5政治犯」が、二年前から不当な長期拘束を強いられていた。

 第二十四回KMU・ISAでは、フィリピンの反帝民族解放闘争を担う戦闘的労働運動によるアロヨ打倒闘争の推進、その国際支援勢力の強化拡大が組織された。われわれは、フィリピン反帝民族解放闘争をすすめる戦闘的労働運動KMUのISAへ派遣団を組織し、連帯関係を継続して強めた。KMUの闘いは、現代帝国主義の戦争と新自由主義グローバリゼーションに抵抗する、東アジア階級闘争の重要な拠点である。厳しい虐殺攻撃を受けるKMUやバヤンなどは、反帝民族解放―社会主義の労働運動を堅持し、東アジアの階級闘争と労働運動の国際的発展の一翼として奮闘している。今回のISA派遣団は、バヤンとの会議、KMUのメーデーやエクスポージャー(現地交流視察)に参加し、トヨタ・日産・ヤザキなど日系侵出企業とたたかう労組への支援、タガイタイ5政治犯救援など、各種連帯活動を行なった。
 止まることのないアロヨ政権の汚職・腐敗、軍・警察の反革命戦争の激化、食料・日用品・燃料の高騰、人民闘争の激化のなかで、フィリピン情勢の政治流動は激しい。連帯運動の要請は強い。ともに、アジア階級闘争の国際主義的結合を推進し、日米帝とたたかう反帝国際統一戦線と共同行動を強めようではないか。最後に、カ・ベルから日本の活動家へのメッセージを記して、〇八年KMU/ISA報告を締めくくりたい。

 『親愛なる日本の活動家たちへ。私たちの皆が尊重することは、勝利を成就するために――できるかぎり何時も協力して――私たちが奮闘することなのです。私たちは、いずれ必ず、勝利します。マブハイ! クリスピン・B・ベルトラン(カ・ベル)』
 

 

 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.