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■韓国・平澤米軍基地拡張阻止闘争の近況と展望

2006年7月22日韓国平澤米軍基地拡張阻止第4回汎国民大会

●@ 平澤米軍基地拡張阻止闘争は今が始まりだ

 二〇〇六年五月四日、国軍まで投入した大規模な行政代執行以降、韓国政府―国防部はマスコミを動員して「平澤問題は終わった」という宣伝を繰り広げてきた。しかし、事実はまったくそうではない。この間、現地住民とともに一貫してたたかってきた平澤米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会は、「平澤米軍基地拡張阻止闘争は今が始まりだ」という。日本のマスコミも黙殺しているこの二ヵ月半のたたかいと今後の展望について報告し、平澤米軍基地拡張阻止闘争への連帯と支援を訴える。

●A 弾圧許さず、大衆的活動を広がる住民と支援者

 五月四日、五日の二日間に渡る激烈な攻防の末に、韓国政府は収用予定地を鉄条網で囲い、反対派住民の住む二つの村(テチュ里・トドゥ里)を分断し孤立させ、田んぼと畑しかない農地を軍事施設保護区域に指定して国軍と警察部隊を常駐させ監視を継続している。5・4事態以降も一日も休まずロウソク集会を続けながらも、一九八〇年光州蜂起で民間人に対し国軍が投入されて以来の空前の弾圧に現地住民が受けた衝撃、そして生計手段である農地から鉄条網で隔離された喪失感は計り知れない。韓国政府・国防部は口先では対話を言いつつも、この機に乗じて五月十四日にテチュ里で開催が予定されていた第二次汎国民大会への参加部隊の村への進入を二万人の警察によって封鎖・妨害し、なりふりかまわぬ弾圧を強めてきた。このような弾圧による度重なる逮捕者・負傷者にもかかわらず、平澤現地では連日のロウソク集会、破壊された村の再建、テチュ小学校の図書室を再建する空き家を利用した村民図書館の開設などが行なわれ、さらには大学生や労働者・市民団体のメンバー(ピョンテク・チキミ=守る人)が残った農地での農業支援活動に入り、住民たちと生活を共にしながら日常的に激励してきた。他方で、拘束者釈放、軍部隊撤収、営農活動の保障、米軍基地拡張全面再協議、軍事施設保護区域指定撤廃の五大要求と共に、駐韓米軍の侵略的再編を意味する危険な戦略的柔軟性合意の中心に平澤米軍基地拡張があることを広く訴える大衆的活動が組織され、連日のソウル光化門まえのロウソク集会も展開された。さらに六月五日、調査を受けるために警察に自ら出頭したペンソン住民対策委員会キムジテ委員長(テチュ里長)が不当にも逮捕・長期拘留される事態が起こり、これに抗議して六月六日から二十一日間に渡って高齢のムンジョンヒョン神父が大統領府前の決死のハンスト抗議闘争を展開した。

●B 大成功した第3回汎国民大会とその後の弾圧

 6―18平澤米軍基地拡張阻止!第三次汎国民大会は、これら「外部」での反撃戦と、孤立のなかにあるテチュ里・トドゥ里のたたかいとを結合する方式で組織され大きな成功を収めた。5・4事態以降この日はじめて、韓国のインターネット新聞「民衆の声」は「活気を取り戻したテチュ里」と報じている。しかしそれは決して容易な闘争ではなかった。三千人の韓国軍(白馬部隊=ベトナム戦にも参戦した陸軍戦闘部隊)が動員され鉄条網内に配置され、さらに一万人以上の警察を動員した全面封鎖体制が敷かれた。その中をテチュ里に集結した現地住民と支援部隊が汎国民大会を行った後、分断されているトドゥ里まで、警察と軍の何重もの阻止線をかいくぐりぬかるみにはまりながらも、あぜ道や小川、丘を越えて数時間かけてついにトドゥ里に到着し、そこで人間の鎖などを展開しているトドゥ里住民・支援者たちと感動的に出会い、鉄条網を切断・抗議の旗を掲げた。他方、学生たちが川伝いにボートで鉄条網に囲まれたファンセウル平野に上陸するなど、多様な創意工夫に満ちた闘争として多くの犠牲を払ってたたかわれたのである(写真参照)。そして同日夕刻七時から平澤駅前でテチュ里・トドゥ里住民と参加者二千名で六百五十六日目のロウソク集会が開かれた。この日、行動に参加した人々の総数は四千名とも言われる。

 このような6・18汎国民大会の意義深い成果を受けて七月五〜九日、平澤米軍基地拡張阻止と韓米FTA協議反対のための「平和よ、歩こう!二百八十五里・平和行進団」が取り組まれた。炎天下のソウルからテチュ里まで約百キロ(注:韓国の一里は日本の〇・一里)を歩いてテチュ里へ入る予定の平和行進団は、ゴール直前の七月八日夜、棍棒をふりかざす暴力団まがいの商店主たちの悪夢のようなテロ襲撃を受け、これを傍観・放置した警察の対応によって多くの負傷者を出す事態となった(写真参照)。それのみならず平澤警察署前で抗議した行進団約五十人を真夜中に連行(一名を拘束)するという暴挙が行われた。また村への進入を阻まれている平和行進団に会おうと村を出てきた住民たちが、警察の妨害で村に戻れずそのまま野宿せねばならない事態まで発生した。私たちはこのような平澤米軍基地拡張阻止闘争への常軌を逸した大弾圧に強く抗議する。

●C 支援勢力と住民が結合して弾圧恐れず闘いぬく

 このように軍・警察による封鎖や分断に屈することなくそれを突破してたたかい続けられる平澤米軍基地拡張反対闘争の最大の成果は、絶望感に打ちひしがれていた住民たちが封鎖された村から自らの意思で出て「外部の」支援勢力と積極的に結合してきていることであり、またこれに鼓舞された全国の労働者・学生・市民が平澤闘争の担い手(チキミ)として弾圧を恐れず次々と先頭に立っていることである。トドゥ里長のイ・サンニョルさんは六月十八日、汎国民大会を成功させた参加者たちに感謝しつつ「今は`外部勢力a百人より住民一人の立ち上がりが重要な時だ」とユーモアを込めて決意を語っている。政府の側が、どれほど「純真な住民」を扇動する「過激な外部勢力」という図式を描こうとも、そんなものを吹き飛ばす闘争主体がたたかいの中から育っているのである。米軍と韓国政府にとってこれほど恐ろしいことはないのだ。韓国政府・国防部は、当初の予定を早め、七―八月住宅強制撤去、十月用地内盛土作業の開始、十二月施設の撤去を公言している。これに対し、たたかう韓国民衆は「米韓政府の米軍基地拡張問題の全面再協議」を実現すべく、来る七月二十二日第四次汎国民大会、九月には第四次平和大行進を十万人の力で実現しようという方針を提起している。今こそ日本からさまざまな連帯戦を組織することが求められている。

 最後に、AWC日本連ではこの間、平澤闘争に注目し、昨年十一月にはAWCと韓国のたたかう仲間と共に平澤平和フォーラムを開催し、その後もアジア共同行動に平澤現地で奮闘する活動家を招請して岩国を始めとして数次の交流を重ねてきた。その中から世界的規模で進行する米軍再編に対して国境を超えてたたかう団結が作られつつあることに注目しよう。米軍のいっそうの侵略的再編成、また米軍再編と結合することによって自らの軍事大国化・戦争のできる国づくりを一気に推し進めようとしている日本政府、そして軍隊を動員して自国民衆の抵抗を圧殺してまで米軍再編を完成させようとする韓国政府、これらに対する日米韓軍事同盟の足下でのたたかいを結合し、必ず大きな歴史的勝利を勝ち取らねばならない。(以上)

 

 

 

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