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   高浜、美浜原発再稼働絶対阻止

   5・17大集会の成功をかちとろう

                   
関西地方委員会

 

 
 ●1章 再稼働反対 事故だらけの高浜原発

 一月三〇日、福井県の高浜原発の門前で「再稼働反対」のコールが響いた。定期検査で停止していた高浜原発四号機の運転再開(再々稼働)が強行されるという報道に、全国から駆け付けた人々によって雨天にもかかわらず抗議行動が闘われたのだ。高浜四号機は、昨年九月一八日からの定期検査で蒸気発生器伝熱管の減肉が発見されたため運転再開が二月にずれこむ予想だったが、実際には二週間ほど早めて再稼働が強行された。
 この日の抗議行動を主催した「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」と参加者一同による申し入れ書の冒頭には、最近三年間に高浜原発で起こった事故の数々が掲げられている。それによると、二〇一七年二号機のクレーン倒壊事故、二〇一八年八月四号機の原子炉容器上蓋の蒸気漏れ事故、九月三号機での作業員被曝線量超過、一〇月一号機での作業員負傷、二〇一九年三月の一号機格納容器内火災、九月の四号機蒸気発生器流量計指示値異常および一、二号機安全対策工事での作業員の負傷。さらに二〇一八年六月に四号機で、九月に三号機で、二〇一九年九月に四号機で見つかった蒸気発生器伝熱管の損傷。一〇指に余る事故が高浜原発で起こっている。
 高浜三、四号機は、玄海三号機、伊方三号機とともに、MOX燃料を使用する危険なプルサーマル発電で、四号機は新規制基準のもとで二〇一六年二月に再稼働したがわずか三日後に発電時のトラブルで停止。その後三月には高浜三号機とともに大津地裁の運転差し止め仮処分決定により一年以上停止しした。二〇一七年五月に再稼働したが、現在、一月六日から定期点検で停止している。

 ●2章 老朽原発動かすな 高浜一、二号機、美浜三号機廃炉へ

 この日再稼働が強行された四号機のすぐ隣では、高浜一号機二号機の補強工事が行われていた。それぞれ一九七四年一一月運転開始から四五年超え、一九七五年一一月運転開始から四四年超えとなる超老朽原発だ。
 原子力規制委員会は二〇一六年六月に高浜一、二号機の運転期間の二〇年延長(六〇年)を認可した。これは福島第一原発事故を受けて原発の寿命を原則四〇年とした原子炉等規制法改定以降初で、同年一一月には一九七六年一二月運転開始から四四年超えとなる美浜三号機の運転期間二〇年延長も認可した。
 この背景には、3・11以降の原発ゼロ政策から安倍政権下で一転「原発は重要なベースロード電源」とした二〇一四年第四次エネルギー基本計画がある。そして二〇三〇年度に原発比率を20~22%にするとした第五次エネルギー基本計画(二〇一八年)によって、老朽原発の再稼働に拍車がかかっているのだ。
 よって二〇二〇年の関西での反原発運動の最大・最重要の課題は、福井県若狭地方の高浜一、二号機、そして美浜三号機という四〇年超え老朽原発の再稼働を阻止し、全国の老朽原発の六〇年運転への道を断ち切り、廃炉に追い込むことである。これが安倍政権打倒闘争の機軸ともなる。
 そのうえ美浜三号機は二〇〇四年八月九日に、二次冷却水の配管が破損し高温の蒸気が噴出する事故で、定期検査の準備作業をしていた下請会社の作業員五人が死亡、六人が負傷する悲惨な事故を引き起こした原発である。
 事故一五年目となる去年の福井新聞の記事によると、破損した配管は水流や腐食のために厚みが減る減肉により一〇ミリメートルの厚みが最も薄い所では〇・四ミリメートルまで減っていたのだ。破裂個所は点検リストからも漏れ落ち、運転開始から事故まで実に二八年の間一度も点検されなかった。それに気付いた関電子会社の担当者が関電に報告したが重大な問題として扱われず、点検は二〇〇四年八月からの定期検査に先送りされた。
 そして事故は起こった。被害に遭った作業員は定検による停止期間を短縮するため、準備作業として運転中のタービン建屋に入り、配管の真下に作業スペースを設置していたという。
 福井新聞の取材に関電元幹部は重要な問題と認識しなかった関電の過ちに言及し、「立入りさえしなければ少なくとも人は死ななかった」と悔やんだという。
 しかし関西電力がこのような惨劇を二度と繰り返さないとは到底思えない。減肉による損傷は、程度の差はあれ立て続けに起こっており、それはいわば原発の宿命ともいうべきものだ。
 今回再稼働した高浜四号機の定期検査で発見された蒸気発生器伝熱管の減肉では、当該の細管に栓をして使わないように処置しただけで、減肉の原因となったとされる異物(ステンレス片)が蒸気発生器に混入した理由も明らかになっていない。
 前掲の関西電力宛ての申し入れ書では、この間の高浜原発の事故について「トラブルの中でも、高圧高温水が流れ、原子炉圧力容器の一部とも考えられる伝熱管の度重なる損傷は深刻で、重大事故に至る要因となりかねません」と強く批判し、今回の運転再開は「人々の安全安心をないがしろにする暴挙」と断じている。
 これらの事実は、運転開始四〇年に満たない原発でも重大事故につながる損傷を不断に受けていることを示しており、ましてや四〇年をはるかに超えた高浜一、二号機、美浜三号機を六〇年まで稼働させることは、絶対に許されない関西電力の犯罪行為である。
 関電だけではない。最近、日本原電の敦賀二号機の新規制基準審査で、原子炉建屋直下に活断層があるかどうかという調査資料記述を原電が少なくとも数十か所書き換えていたことが報道された。安倍政権がこの改竄の良きお手本になっているのは間違いないだろう。

 ●3章 5・17老朽原発うごかすな 大集会の成功を

 犯罪行為といえば、東京電力の旧経営陣三名に不当きわまりない無罪判決が下された翌週九月二七日、関西電力の現役役員が高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたという報道が全国を駆け巡った。
 八木誠会長、岩根茂樹社長をはじめとした現経営陣二〇名以上が、分かっているだけでも三億二千万円という巨額な賄賂を受け取り続け、多額の現金や小判、金貨、高級スーツ券等々として「原発マネー(税金と電気代)」が関電の懐に還流していた。
 死人に口なしとばかりに被害者面を決め込もうとした経営陣の厚顔無恥な態度とも合わさって関電への怒りが噴出した。八木会長は辞任、岩根社長は第三者委員会報告を待っての辞任となった。昨年末に出るはずの報告はまだ出ないが、常識的に考えて疑惑の中心人物が率いる第三者委員会の調査結果が信頼に足るわけはなく、関電への怒りは今も原発立地と関西全域に充満している。
 さらに高浜原発三、四号機は、いわゆる「テロ対策施設」である特定重大事故等対処施設(特重)の完成が設置期限に間に合わず、三号機が今年八月に、四号機が同じく一〇月に停止することがすでに決定している。
 大飯一、二号機、美浜一、二号機はすでに廃炉が決定しているので、今年六~七月にも強行されようとしている老朽原発の再稼働を阻止すれば、原発全廃への大きな好機となる。
 高浜四号機再稼働反対闘争当日の一月三〇日、大阪高裁は大飯原発三、四号機の運転差し止めを認めなかったが、同実行委員会は「原発の四〇年超え運転と新設を阻止すれば、最悪でも二〇三三年には若狭から、二〇四九年には全国から稼働する原発がなくなる」と訴えている。
 原発全廃の闘いは、どのような社会を作るのかをめぐる希望を作り出す闘いでもある。放射能オリンピックや福島原発汚染水海洋放出への国際的批判の高まりとも結合し、国際連帯で原発も戦争もない新しい世界を作ろう!


 

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