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■F35Bの岩国基地追加配備弾劾 基地と対峙する「愛宕山見守りの集い」 八月二六日、防衛省は岩国市に、米軍岩国基地に最新鋭のステルス戦闘機F35Bが追加配備されることを説明した。FA18戦闘攻撃機の一二機を、F35B戦闘機一六機と交代させるという。岩国市長は、騒音の拡大について懸念を示し、どれだけ騒音が増えるか示すよう求めた。 九月二四日、岩国市議会は全員協議会を開き、防衛省の担当者から計画の内容を聞き取った。国側が「安全保障上の意義」を強調する一方、議員からは生活環境が悪化する不安や負担に応じた地域振興策を求める声が相次いだ。九月二五日岩国市長は、大きな影響はないとしてF35Bの追加配備を容認。九月二九日、地元市町長が理解を表明したとして村岡県知事が容認。一〇月一日FA18の代替部隊の第一陣が岩国基地に到着した。 一方九月二九日、カリフォルニア州で訓練中のF35Bが空中給油機と接触、墜落事故を起こしたことが報じられた。岩国に配備されるものと同型機である。かつて岩国に所属しており、今は別の所属であることが一週間以上経ってわかった。岩国でもいつ起きてもおかしくない事故である。海兵隊所属機の飛行をすべて停止するべきである。しかし市長・知事とも、事故を受けても容認は変わらないとした。 一〇月一一日の愛宕山見守りの集いで大西市議(共産党)は、「市議会の中でも基地問題を取り上げる声が以前より小さくなった。政府が情報をギリギリまで出さない。市民や議会に時間を与えず、説明を省いて決めてしまう」と話した。山口県は米軍再編交付金(一〇年間五〇〇億円)を全国で唯一受け取っており、反対はしにくい。 市民は「基地機能強化だ」と反対し、住民説明会を求めている。瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワークなどが市にF35B追加配備計画容認撤回を申し入れた。 岩国市民は福田市長を相手に裁判(岩国市長沖縄出張公費選挙応援公費返還請求裁判)を闘っている。二〇一八年九月宜野湾市長選挙に際し、佐喜真前市長の後継・松川候補の応援演説をするために岩国市長として、沖縄に二泊三日の公費出張をした。福田市長は沖縄の観光視察、錦帯橋空港の利用促進キャンペーンが出張目的だったと言っている。当時、市内の豪雨災害の対応が緊急であった。その直前の金曜には市議会を引退する議員(田村さんを含め)の慰労会があったが、沖縄行きの話はされなかった。マスコミにも事前に知らされなかった。沖縄では防衛局の車で移動するなど多くの疑問点がある。この選挙で宜野湾市長に当選した松川氏も、選挙運動での不正が追及されている。 九月九日山口地裁で弁論が行われ、原告の田村さん、松田さんが意見陳述した。裁判に注目・支援しよう。小さな問題のように見えるが、安倍前首相の桜を見る会の不正と同質の権力のおごりがあり、追及する必要がある。 九月一六日、菅政権が発足し、岩国市を含む山口二区選出の岸信夫(安倍前首相の実弟)が防衛相に就任した。岩国の米軍再編交付金は二〇二一年度に期限となるが、何らかの名目で交付金を続けるであろう。岸は二〇一六年、外務副大臣の立場で岩国基地にF35Bを配備することを岩国市議会で説明した際、岩国市をさしおいて市内の学校給食無償化を発表した。基地関連交付金は、終わりのない基地強化をよびこむ。周辺住民への事件・事故の脅威がさらに増えることを市民は恐れている。 それはまさに現実となった。一〇月三日夜、広島市内で岩国基地の海兵隊員が窓ガラスを割って民家に侵入、強盗事件を起こした。日本語で「お金、お金」と要求、七〇代の住民男性が「駄目、駄目」と答えると、室内のテーブルを持ち上げて男性に襲いかかってきて、取っ組み合いになった。駆けつけた警察官が取り押さえた。住民男性は、「大きな若い男で、命を失うかもしれないと怖かった」と話している。 一〇月一一日、第二七四回愛宕山見守りの集いが開かれた。 九月一日には見守りの集いの一〇周年記念集会が行なわれた。二〇一〇年八月から愛宕山の米軍住宅建設、艦載機移転に反対し、毎月一日、一一日、二一日に座り込みを続けている。岩国での市民運動の拠点となっている。 この日の集会では、愛宕山を守る会・岡村さんが来る衆院選への対応について話した。岩国を含む山口二区では、野党共闘候補者として松田さんを選んだ。岸防衛大臣と直接対決する、歴史的な選挙戦になる。 安倍政権以来、どんどん状況が悪化しており、菅義偉自身が安倍政権を継承すると言っている。貧富の格差が広がり、貧困が増えている。セイフティネットがない。政治が貧困だ。コロナ禍で、中小企業、自営業の人々の倒産・廃業が増える。政治を変えなければならない。日本学術会議の六人の任命拒否の問題で、菅政権は早くも牙を剥いてきた。安倍以上に忖度を求める。むしろ菅が忖度政治の中心だったのだ。 住民投票を力にする会・松田さん(予定候補)は、二〇〇六年の空母艦載機移駐を問う住民投票のように闘うことを呼びかけた。住民投票では有名人のよびかけでもなく、草の根で投票をよびかけ、投票率50%の開票条件を超えることができた。そのような闘いで、声を国政に届けようと訴えた。 高知沖でFA18とKC130空中給油機が接触、墜落し六名が亡くなった事故(二〇一八年)の再調査報告書を読んで、飛行中の読書・自撮り・ひげそりなど隊員のレベルが低い問題のほか、薬物・覚醒剤が蔓延していることが読み取れると明らかにした。 岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会からは、「廿日市でもうるさい。うちの上を飛んでいる。一年目、二年目、三年目で爆音の種類が違う。岩国で上手になった人たちが本国に帰っていくのだろうか。基地の沖合移設は、移設ではなく基地強化である。オスプレイの飛行に反対する。普天間のオスプレイが今後東富士の演習に参加する予定で、岩国に寄るのを監視している」と話した。 岩国の市民運動の拠点となっている愛宕山見守りの集いは一〇年を超え、福田市政・村岡県政・政府防衛省と正面から対峙している。基地との共存NOの闘志を燃やし続けている。 反戦労働者はアジア共同行動とともに、闘う市民を支え、反戦・反基地を闘い抜こう。 |
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