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   石原「三国人」発言から二〇年
   関東大震災時朝鮮人虐殺から九七カ年

     コロナ状況下での9・1を考える



 今年の東京都総合防災訓練は、一一月二二日に北区において実施されると発表された。元々今年は、東京オリンピック・パラリンピックの期間を避けて一〇月頃に開催されるのではないかと言われており、更に春からの新型コロナウイルス感染拡大―東京五輪延期事態の中で、例年のような形での防災訓練実施は無理だろう、中止となるのではないか、と予測されていた。コロナ感染が最も拡大すると案じられる冬季入口に、(現時点では)ほぼ例年通りの内容で、実施するとの発表は意外であった。
 六月一五日付「令和二年度東京都・北区総合防災訓練の実施について」(要旨・実施概要)に、「コロナ対策」の文字は見当たらない。熊本をはじめ各地を襲った豪雨水害被災地においても、同時にコロナ感染拡大が危惧され、対策は困難を極めている。「大規模災害発生・避難所生活とコロナ感染」は当初より課題とされていたのに、今回発表の東京都総合防災訓練概要はあまりにもチグハグなものだ。

 ▼1 石原「三国人」発言から二〇年後の都政

 「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練反対」の闘いは、今年で二〇年目を迎える。二〇〇〇年、当時の都知事石原が「震災時に外国人が騒擾を起こす」と、いわゆる「三国人」発言を行なって自衛隊を鼓舞し、銀座に装甲車を繰り出すなど大々的に自衛隊を参加させたのが「ビッグレスキュー二〇〇〇 首都を守れ」であった。
 その後石原都政時のようなド派手なパフォーマンスは徐々になりを潜めてきたものの、治安出動訓練の要素と自衛隊の宣伝活動、児童・生徒・労働者・市民の動員は毎年着々と重ねられてきた。
 「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会」は、当該地区の労働者・市民とつながりながら、毎年の抗議申し入れや訓練監視行動、抗議デモを闘い続けてきた。同時に石原の「三国人」発言が「パンドラの箱を開けた」とも言えるヘイトスピーチの横行に対しても、声を上げ続けてきた。
 長かった石原都政から猪瀬、舛添都政を経て、小池都政下で起きていることについては、すでに周知の通りである。小池知事は、あの石原都政ですら踏襲し続けてきた9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典(両国・横網町公園)への追悼文送付を「全ての犠牲者に哀悼の意を表している為、個別の形での追悼文送付は控える」との理由で二〇一七年より拒否し続けており、墨田区長もこれにならっている。
 同年より「真実の慰霊祭」なるヘイト集会を開催し、朝鮮人犠牲者追悼式典への妨害を重ねているレイシスト団体「そよ風」と、小池百合子による共同作戦であるとも目されている。そよ風・小池らの狙いは、朝鮮人犠牲者追悼式典と追悼碑を潰し、朝鮮人虐殺加害の歴史そのものを抹殺することだ。
 二〇一七年まずは「全ての震災犠牲者」と虐殺犠牲者を同列に扱った。そして「虐殺犠牲者六〇〇〇人は嘘」「暴徒化した『不逞鮮人』による暴行・略奪・殺人・強姦があったことこそ真実であり、正当防衛であった」等デマ喧伝するヘイト集会と、追悼式典を同列に扱い、「喧嘩両成敗」による中止に追い込むことを画策してきたのだ。
 二〇一九年末、追悼式典実行委の公園占有許可申請に対して東京都は、公園使用に関する数々の条件を提示し、これに反した場合は式典が中止されたり「不許可」になっても「異存ありません」との誓約書にサインするよう求めてきた。そよ風の方にも「公平に誓約書をお願いする」と。
 追悼式典実行委は六月、「民族差別の犠牲者を追悼する式典と、民族差別を煽動する集会を同列に扱い規制することは、『公平』でも『公正』でもない」「東京都は占有許可を従来通りに出すべきであり、『そよ風』の集会に対し、東京都人権尊重条例の精神に基づき対処すべきである」との声明を、多くの賛同人名と共に提出した。
 朝鮮人虐殺を「二度と繰り返させない」思いで行なわれてきた追悼式典を、小池都政と「そよ風」等レイシスト集団の攻撃から守り抜く闘いは、更に新型コロナ感染対策も迫られ今夏、正念場を迎えている。追悼式典の実現・継承を、全力で支えよう! そして東京都・墨田区の追悼文送付を、必ずや再開させよう!

 ▼2 「新型コロナ災害」―「緊急事態」に見えたもの

 失策続きの安倍政権に比して、「強いリーダーシップ」を印象付けて再選された小池都知事。しかし「小池都知事は新型コロナウイルス対策の一兆円で再選を買ったも同然」との批判があるように、その実際はひどいものだ。「『自粛』をお願いしてきましたが、今日からは『自衛』です」と一貫して自己責任、レインボーブリッジを赤く染めてみては物見遊山者の「密」を作り出したり、「夜の街」「接客を伴う飲食店」への敵視を煽り「自粛警察」による暴力を生み出した。困窮する労働者への補償、「ステイホーム」が出来ず「アベノマスク」すら届かない野宿労働者や、サポートを必要とする全ての人々、教育現場へのフォロー、何より急務である保健・医療体制の拡充は遅々として進まない中、感染が日に日に拡大し続けている。
 感染者の情報が晒されネットリンチが横行し、医療従事者など感染リスク下での過酷な労働を余儀なくされている労働者と家族までもが差別されている。かつて原発事故による被災者や避難者、収束・除染労働者が受けてきた差別が、またも繰り返されている。そのような中、国が行なったことは「医療従事者へ感謝激励」のブルーインパルス東京上空飛行という呆れたものだった。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号はじめコロナ災害対策にあたった自衛隊医官や自衛隊員には、日額四〇〇〇円の特別手当やボーナスが増額支給されることなどが発表された。しかし民間の医療従事者は当初マスクや防護服も不十分な中、ゴミ袋をかぶってでも治療にあたらなければならなかったり、大変な緊張と激務を強いられたにもかかわらず「経営悪化による減給」を通告されたりと、何重もの苦難を強いられているのだ。
 新型コロナ感染拡大阻止のために必要であると喧伝され、多くの人が「早く早く」と口々に望んだ「緊急事態宣言」発令は、国家・首都機能の維持のために労働者・市民は諸権利を放棄し忍従しろ宣言であることが目の当たりとなった。その結果は惨憺たるものであり、さすがに「もう一度」とは誰も言わなくなった。安倍政権はコロナ災害を政治利用し、緊急事態条項追加改憲強行を目論んでいる。絶対に許してはならない。
 九七年前の関東大震災時に起きたこと、九年前の東日本大震災で起きたこと、熊本地震や豪雨災害、今回の新型コロナ災害で起きていること、全ては地続きだ。国家や軍隊にとって人命は最優先ではなく、不安・不満の矛先が為政者に向けば鎮圧され、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムは許容(時に煽動)される。その最たる事態が戦争だ。来る九月一日、そして一一月東京都・北区総合防災訓練に向け、改めて共に考え、声を上げていこうではないか!
 「考えよう! 防災訓練の問題性・危険性8・22集会」(八月二二日一八時~滝野川西区民センター)に参加を!



 

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