共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   非正規労働者差別を打ち破り

         労働運動の前進を勝ち取ろう

                      窪川 涼





 安倍首相は二月二七日突然、新型コロナウイルス対策として「三月二日から全国の小中高を春休みまで臨時休校とするように要請します」と発表した。これを聞いた全国各地の労働者から悲鳴に近い声があがった。小学校低学年を育てている親たちは「子どもを一人にさせておけない。突然仕事を休めない、賃金は払われるのか?」。小中高で働く非正規労働者は「三月二日から休ませられるのか? 休業補償はどうなる」。また、学校の代わりに子どもたちを預かることになる学童保育の現場では「少ない人員で保育しているのに、突然長期休暇なみにするのは無理。しかも子どもたちの安全を考えながら狭い空間でどうしろというのか」。給食などの食材を入れている事業者は突然のキャンセル対策に追われた。
 この泥縄式の「対策」に最も困っているのは、現場で働く非正規労働者だ。安倍が「正規・非正規に関係なく保障します」と言っても「保障は企業に対して一人あたり八三三〇円、フリーランスは条件つきで四一〇〇円」というわずかな金額である。それさえも「手続きが面倒だから有給休暇で休め」「非正規に休業補償はない」という対応をしている企業が多いのが現実である。業績悪化を理由とした内定取り消しや雇い止めが行われている事が労働相談に寄せられている。
 こうした動きに対して、郵政の職場や自治体では「非正規は自分の有給休暇を使え」という会社や当局に対して怒りの声をあげ、正規・非正規を問わず特別休暇を認めさせている。われわれは、正規・非正規、フリーランスを問わず、「新型コロナ関連での休業は全て特別休暇として賃金100%を保障しろ」「新型コロナを口実とした解雇・賃金の切り下げなど労働条件の切り下げを許さない」という要求を資本・政府に突きつけよう。そして今こそ、こうした職場実態を変えるために労働者は起ち上ろう。新型コロナを口実とした改憲に向けた「非常事態宣言」を許さない闘いを繰り広げよう。

  ●1 パートタイム・有期雇用労働者の闘い

 日本においては、戦前から「臨時工」の労働者は、雇用の調整弁として扱われてきた。景気の良い時は働けても一旦不景気やその会社・業種が儲からなくなると首切りが当たり前のように行われ、この首切りに対する闘いが労働運動の大きな課題となってきた。
 また、日本の労働政策においては、女性労働者の多くを「家計補助」のために働いているとみなし、とりわけパートなどの非正規で働く女性労働者の賃金を低く抑えるということが行われてきた。一方一九八六年の派遣労働法制定以降業務の拡大が進められ、有期雇用労働者は男女に限らず増加していった。非正規労働者の処遇格差を是正する法律がなかった中で、労働者は「公序良俗に反する」「いかなる差別も許さない」等と裁判闘争などを行ってきた(一九九六年「丸子警報器事件」においては地裁判決において「非正規労働者の賃金は正規の八割とされたが、控訴審において差額全額是正と正規職員化で和解)。
 しかし、正規労働者が多数を占める労働組合の無理解や無視、「非正規になったのは個人の努力が足りないから」等の風潮の中で差別解消に向けた動きは進まなかった。二〇〇八年秋に起きたリーマンショックに伴う派遣切りが大きく社会問題となり、政権交代が行われる中で、二〇一二年労働契約法が制定され、二〇条において「不合理な格差の是正」を求めることができるようになった。この「労働契約法二〇条」を武器に労働者は次々と格差是正を求めて立ち上がった。
 安倍政権は口先だけの「同一労働同一賃金」の検討をはじめ、本年二〇二〇年四月一日から(中小事業所は二〇二一年四月一日から)「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理等の改善に関する法律」(以下「パートタイム・有期雇用労働法」とする)が施行される。この法律は、旧労働契約法二〇条・旧パートタイム労働法八条を「不合理性の判断方法・基準をより明確にし」「短時間労働者に対する差別的扱いの禁止を有期雇用労働者にも拡大した」とし、「事業主の労働者に対する説明義務を拡充した」としている。この法律の施行に伴う指針や通達によれば、「不合理かどうか」の判断は「職務の内容」「配置変更の範囲」「その他の事情」等に照らして行うとされている。
 裁判等で「今後幹部職員として期待される正規職員とそのような期待がない非正規職員との格差は不合理なものではない」というようないい加減な不当判決を出させない闘いが必要である。
 このような判断をさせないために、労契法二〇条裁判闘争に引き続いて「パートタイム・有期雇用労働法」を武器に「客観的・具体的実態に照らして不合理であるとみなされるものを認めない」ということを貫いた職場での闘いや裁判闘争を闘い抜こう。

  ●2 職場での闘いを更に推し進めよう

 現在、多くの「労契法二〇条裁判」が最高裁において係争中である。この最高裁における判決内容が今後の「判断基準」となる可能性かある。最高裁係争中の闘いを支援しよう。
 また、郵政の職場では多くの非正規労働者が働いている中において、二〇二〇年二月一四日に一五四人が賞与や手当の格差是正を求めて東京地裁などに提訴した。北海道で働く労働者は「正規職員でも非正規職員でも寒い中郵便配達するのは同じなのに、非正規に寒冷地手当が出ないのは明らかに差別」と訴えている。郵政労働者の闘いを支援しよう。
 また公務職場においては「非常勤」「アルバイト」が一般職公務員として「会計年度職員」となった。六か月以上の勤務の場合にボーナスが支給されるようになったが、自治体によってはボーナスを出すから月々の給与は引き下げるという不当なことが行われている。こうした不当な労働条件の変更を許さず、今後も自治体職場において「会計年度職員」の組織化と労働条件の改善、そして公務労働者の労働三権の奪還に向けて取り組みを進めていこう。
 非正規労働者への差別を許さない闘いを労働運動・労働組合の中心課題に据え、階級的労働運動の前進を勝ち取ろう。




 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.