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■産別労働運動への攻撃許さず闘おう! 中央労働運動指導委員会 全国の同志の皆さん、『戦旗』購読者のみなさん。今、労働運動にかけられている大弾圧に対して共に闘い抜き、勝利し、階級的労働運動の前進に向けて奮闘しようではありませんか。 ●1 労働運動潰しを狙う「共謀罪」型弾圧を許すな 今、労働運動に対して大きな弾圧がかけられている。それは、第一に全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下連帯労組関生支部とする)に対してかけられている二〇一八年八月から始まった滋賀県警や大阪府警による弾圧である。ストライキを「威力業務妨害」、建設現場の法令違反を告発するコンプライアンス(法令遵守)活動などの産業政策運動を「恐喝未遂」、さらにはビラまきまで「威力業務妨害」だとして、のべ六四人を逮捕し、うち、四三名を起訴した。裁判開始以降の五月三一日現在においてさえ、武委員長、湯川副委員長らは再逮捕が繰り返され拘留されたままである。 この弾圧は、本来は罪に問うことができない正当な組合活動に対して、刑事免責を核心とする労働基本権を定めた憲法二八条や労働組合法一条二項を無視して、つぎつぎと「事件」に仕立て上げてきたものである。 この弾圧は全世界の労働者が血みどろの闘いによって築き上げてきた「正当な組合活動・争議行為に対しては刑事免責とする」、また、労働組合が行ったストライキ等の争議行為に対しては「民事上の損害賠償はできない」という常識を、権力側から打ち破る許すことのできない弾圧なのである。 しかもこの弾圧は関西という地域の個別の労働組合に対する攻撃というにとどまらず、警察・検察・裁判所が一体となった労働者・労働組合の労働基本権へのあからさまな挑戦であり、「共謀罪のリハーサル」ともいうべき危険な側面をもっている。 われわれは現在、関西地方のみならず全国各地においてこの弾圧に対する闘いを繰り広げている。権力と一体となり、セメント・ゼネコン企業に従属する「大阪広域生コンクリート協同組合」と労働組合運動を敵視する右翼ファシストの攻撃を許さず闘い抜こう。 ●2 産業別最低賃金制度の確立に立ち上がった港湾労働者 第二の弾圧は、産別最賃の改定要求に対して「独禁法に抵触する」という理由で改定要求に応じないという弾圧が行われたことである。これに対して、港湾運送や関連職種の労働者で組織する全国港湾労働組合連合会及び全日本港湾運輸労働組合同盟は、四月一四日から一六日にかけて全国の港で四八時間のストライキに立ち上がった。 全国の港湾労働者を組織している全国港湾は、一九七二年以来、港湾の業界団体である日本港運協会と団体交渉をおこない労働協約を積み重ねてきている。そして、協約において産別最低賃金等を定め、二〇一五年まで改定を続けて来たという経緯を持っている。 ところが、二〇一六年以降、業界団体は産別最低賃金の回答はできないとの立場に固執したため、組合側より中央労働委員会にあっせん申請を行った。あっせんの結果は、当然のことながら「独占禁止法上の問題とはならないと解されるため、労使双方は、産業別最低賃金について、真摯に協議を行い、その解決に努めること」というものであった。 しかし、それでも業界側は産別最低賃金の回答はできないとしたため、やむなく四月一四日、一五日に組合がある全国の港において四八時間のストライキを決行したのである。 産業別最賃は、企業ごとの労働賃金のダンピング競争を防ぎ安定した労働環境を作るためには不可欠の課題である。欧米をはじめ多くの諸外国では労働組合の多くは産業別に組織され、その産業に働くすべての労働者の労働条件の問題などについて、業界団体と交渉を行っている。しかし、こうした世界的常識を「独禁法違反」になるとうそぶく経営者をわれわれは到底許すことができない。港湾労働者と連帯してさらに闘いを進めよう。 ●3 産業別労働運動を潰しを狙う日帝を許すな 連帯労組関生支部や港湾労働者に対してかけられている弾圧には共通していることがある。両方とも産別労働者を組織し、業界団体との交渉を行っていたことである。 日本の労働運動は、企業別に組織されているため企業の業績の明暗がそこに働く労働者の賃金、労働条件に直結することが多く、労使協調主義、企業利益を守ることが労働組合の役割であるとするところが多く、このことが日本の労働運動の衰退の一因となっているという指摘がされてきた。 連帯労組関生支部は、個別企業の枠を超えた業種別、産業別の労働組合である。この組合には企業に雇用されている正規職員のみならず業界に働く非正規労働者も組織している。 また、中小零細企業が多い生コン業界において、セメントメーカーやゼネコンの利益優先の圧力により発生するダンピング(生コン価格の値崩れ)や品質の劣化、労働条件の悪化に対して中小の経営者も巻き込んだ協同組合による共同発注やゼネコンからの共同受注を行い、生コン価格の安定化を組合活動の一環として取り組んできた。また、品質の劣化や労働災害を防ぐために法律の遵守を呼びかるコンプライアンス活動を行ってきた。 こうした闘いに対して「雇用関係にない企業に対してものをいうのはおかしい」ということを口実としてストライキや法令順守を呼びかけるチラシの配布などを「威力業務妨害」「恐喝」と言ってきているのである。 また、かつて港湾労働者は日雇い労働者が過酷な労働条件の下で働く現場だった。全港湾においては、「共同雇用」の理念を掲げ、港湾労働者の雇用責任および就労と生活の保障の責任は、港湾を整備拡充し、管理運営権を持っている国や地方自治体、港を利用する船会社や荷主、港湾運送事業者が共同して負うべきだとしてきた。このように港湾関連労働組合は使用者団体との間での協定遵守に力を入れてきた。 こうした活動が企業内に労働者を閉じ込める日本の労働政策と相いれないものであることが今回の弾圧の背景となっている。 19春闘においては、従来春闘相場を作ってきた自動車産業において「会社が苦境の時に賃上げもないだろう」「賃上げの額については非開示とする」など、労働組合総体の力で賃上げ相場を作ってきた「春闘方式」は解体したことが一層明らかになった。春闘の本来の姿は、企業、産別の枠を超えた全国一斉の労働者による賃上げ闘争である。 近年は、代わりに「官製春闘」ともいうべき安倍政権による経団連などのブルジョアジーへの働きかけが行われていた。今年は効率と生産性向上のための「働かせ方改革」が行われ、労働者の闘いを企業の枠内に押しとどめる攻撃が顕著になっている。 こうした中で企業の枠を超えて闘い抜く労働組合は目障りであり、憲法二八条の労働三権を完全に無視した刑事弾圧や、労働政策の常識もかなぐり捨てた「独禁法違反だから賃上げ交渉に応じない」なる弾圧が行われたのである。 まさに今闘われている、連帯労組関生支部や全港湾をはじめとする港湾労働者の闘いは日帝の労働政策の根幹に対する闘いでもある。だからこそこの闘いを全労働者の課題として押し上げ勝ち抜く必要がある。 ●4 職場の闘いに根差した反戦運動の強化を 関生支部や全港湾は、この間一貫して反戦運動を担っている。それはかつて港が侵略戦争の拠点となり、業界団体・労働団体がこぞって産業報国会になってしまったことを深くとらえ返し、現場において反戦の闘いを組織してきたからである。有事法制反対の闘いの時には陸海空二〇労組が呼びかけ反戦闘争が行われた。 しかし、こうした戦争動員に反対する闘いを職場に根差して行おうとする労働組合に対して日帝は集中攻撃を行ってきた。JALにおいては組合活動家を狙い撃ちにした不当解雇が行われた。JR東日本における非組合員の増加など組合解体攻撃が行われている。海員組合においては、ソマリア沖の安全保障を求めて自衛隊の出動要請すら行われてしまった。 こうした中で、連帯労組関生支部や全港湾は反戦の旗を掲げ、組合員を沖縄現地闘争や岩国闘争などに派遣し、職場から反戦闘争を堅持している。 全国港湾においては本年二月事前協議なく中城港に自衛隊車両を積んだ船を入港させたとして沖縄地区港湾労組は四日、本島中城港湾でストライキを行った。これを受けて全国港湾も「事前協議違反に対する抗議のストライキ準備指示」が発せられた。(ストライキは、事前協議遵守が約束されたため延期された)。 また、沖縄辺野古の埋め立てのための土砂などの本土からの搬出に対しても反対の声をあげ現地における闘いにも参加している。 こうした闘う組合に対する攻撃としても今回の弾圧を捉え、共に闘い抜こう。 |
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