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   九年目の「福島3・11」を忘れるな

    東海第二原発の再稼働を許すな

                   
首都圏地方委員会

 

 
 ●1章 「復興五輪」による福島原発事故隠蔽許すな

 安倍政権は自らのアベノミクスの破綻を覆い隠すための絶好の機会としてオリンピックに飛びつき、しかも「福島は完全にコントロールされている」と世界に大嘘を言って東京に誘致した。しかし今、その嘘は完全に暴かれている。福島の帰還困難地域指定の一部解除を強引におこない、帰還を進めているが、いまだに放射線量が高く、インフラ整備もままならず、ましてや仕事のないところに帰る人々は極少数の住民だけなのだ。これで福島は安全だなどと言っても誰が信用するだろう。
 小児甲状腺がんは増え続けており二三〇人に達している。他に白血病、心臓疾患なども確実に増えている。放射性汚染物が詰まった一六〇〇万個以上のフレコンバックの処分も進まず、帰還困難地域の大熊町や双葉町に巨大な中間貯蔵地を作り集積しているだけだ。しかし最終処分場の目途は全くないので、大熊町も双葉町も再興の展望がないのだ。いや、安倍政権がそうなるように進めてきたのだ。昨年の台風・水害で多量のフレコンバックが流され放射能がバラ撒かれたのだ、それでも安倍政権は聖火リレーの出発地に福島第一原発近くのJビレッジを選び、世界に福島の安全性をアピールしようとしている。そんなところに住民、児童を大動員し、スポーツ競技までやらせようとしている。まったく福島県民を愚弄する許せない行為だ。世界は注視している。韓国ではオリンピック・ボイコットの声が日増しに大きくなっている。
 福島第一原発の廃炉、汚染水処理が全く進まず、停滞している。政府は二〇一九年一二月廃炉作業の現況報告を行い、使用済み核燃料のプールからの取り出しが遅れ、一号機は二〇二七年から、二号機は二〇二四年か二六年になると認めた。ましてや原子炉内で熔け落ちた「核燃料デブリ」などはその実態さえつかめてないのである。作業工程は大幅に遅れ、しかも東電―規制委が認めた方法では危険で大量の放射能を撒き散らすことになり、大量被曝の恐れがあるのだ。ましてや現場で働く労働者の被曝線量が多すぎて満足に作業が進まないのが現状である。良心的科学者はチェルノブイリのように石棺で覆い放射線量の低下を待つしか方法がないと言っているのだが、政府と東電は自分たちの失態を何とか覆い隠すのに汲々としているのだ。
 溜まりに溜まった汚染水はタンク一〇〇〇基以上一二〇万トンにものぼっている。「核燃料デブリ」を冷やす水や建屋に流れ込む汚染水は日に一五〇トンにもなり、多核種除去装置ALPSでも処理できない。トリチウムは除去できないのだ。経産省はトリチウムは被曝する危険は少ないなどと言っているが、内部被曝により細胞の遺伝子を傷つけることなどが明らかになっているのだ。
 汚染水の処理を検討する経産省の小委員会では驚くべきことに、タンクを設置する置き場がないから薄めて海に放出してもいいのではないかとか、気化して空中に放出してはとの検討がなされ、海洋放出が望ましいと政府に提言した。まさに「フクイチ」の汚染水が世界の海を汚染し続けることになるのだ。
 さらに環境省は、除染土利用のための「省令」を作る検討をしているのだ。つまり処理できずにたまっている汚染土や廃棄物を一般の建築材料として使えるようにするものなのだ。こんな傲慢で危険な安倍政権の原発政策を早く終わらせなければならない。

 ●2章 東海第二原発の現状

 二〇一八年に原子力規制委員会は、東海第二原発は「新規制基準」に適合していると認可し、同年一一月二七日には四〇年運転切れになるはずの原発をさらに二〇年運転延長を認めるという暴挙を行った。しかしこの原発には動かしてはならない様々な問題が存在している。
 一つはこの原子炉は四〇年超えの老朽原発の上、あの「3・11」震災では福島と同じ被災にあい、非常電源の作動によりかろうじて爆発を逃れた原発なのである。原子炉内部は金属劣化と放射能浸食でボロボロなのである。動かせば重大事故が起きるのは間違いない。かつて再稼働した川内原発にしても大飯原発にしても蒸気発生器が破損し汚染した蒸気が漏れる事故を起こしている。老朽原発は決して動かしてはならないのだ。
 二つには東海第二原発はきわめて軟弱な地盤の上に立っており地震、津波に弱いのである。ましてや「3・11」並みの震災が起きる確率は極めて高く福島、茨城沖を震源とする地震が頻繁に起きているのである。三つにはこの原発には燃性ケーブルが一四〇〇キロメートルにわたって使われているが、日本原電はほんの一部15%ぐらいを不燃性ケーブルに変えただけだ。被災でケーブルが焼けたなら原子炉の冷却機能は失われてしまい第二の福島事故が起きてしまう。東京から一〇〇キロメートル足らずの距離にある東海原発は、わずか数時間で首都圏を放射能汚染させてしまう。原発三〇キロメートル圏内で九四万人、東京までの間に三〇〇〇万人以上の住民の生命と生活が脅かされてしまう。人類と共存などできない原発は即刻廃炉にすべきなのだ。
 最後に見ておかねばならないのは、日本原電の経理的破綻の問題だ。まったく資金のない原電は、原電を作った東電、東北電、関電、中部電、北陸電に資金保障を要請した。すなわち再稼働するための工事費として三五〇〇億円という途方もない資金が必要なのである。これまで80%の電力供給をうけていた東電が二二〇〇億円、東北電が六〇〇億円、残り七〇〇億円を関電、中部電と北陸電が分担したが、結局その資金は電力使用者の負担となるのだ。今でも原発再稼働は全国の70%近くの人々が反対なのである。民意を無視する電力会社の横暴を許さず原発廃炉に追い込もう。破綻企業への無責任な経済支援など絶対に止めさせよう。
 住民への説明も合意もなく、すでに「安全対策工事」が進行しているが、工事は大幅に遅れ、完成は二〇二二年一二月と原電は発表した。その上に「テロ対策」と称した特定重大事故対処施設(特重)建設は二〇二三年までの完成が義務付けられているが、工事概要さえ発表されていない始末だ。これでは原発電気の採算も取れないのではと事業者側からも疑問が出る始末だ。こんな原発は廃炉にしなければならない。

 ●3章 廃炉に向けて全力で闘おう

 昨年末衝撃的でありながらも、やはりそうだったかと思わせる事件が発覚した。関電の闇の「原子力マネー」問題である。原発建設で得た巨額のマネーに建設業者、関電そして行政関係者がむらがり利益をむさぼっていたのである。こんな腐敗した構造は原発立地では確実にあると言われている。住民の安心・安全など二の次にしている電力会社を許してはならない。
 日本原電本社はこれまで集めてきた再稼働反対「署名」の受け取りを一年半以上も拒否してきた。その言い草は「当社の方針と違うものは受け取れない」という全く傲慢な態度だ。つまり住民の疑問や質問に全く答えない、問題があっても原発ありきは変わらないとする態度だ。福島事故の時、問題を謙虚に受け止めて対応していくと言った姿勢は微塵も感じられない。しかし昨年の「11・27廃炉デー・アクション」集会で、初めて「署名」と「申し入れ書」を受け取らせた。茨城県民をはじめ、われわれの声を受けとめざるを得なかったのだ。闘いの結果だ。
 二〇一八年「茨城方式」と呼ばれる周辺六市村で結ばれた「新安全協定」では、再稼働する場合は事前の協議・了解・同意が必要と定められている。しかし原電は、再稼働を前提とした工事を強行しており協定違反だ。茨城県内の半数以上の市町村において再稼働反対の議会決議が出されている。民意を無視し続ける原電を徹底弾劾していこう。
 オリンピック・パラリンピックを口実に福島の現状を隠蔽し、原発再稼働を推進する安倍政権は末期的状態を呈している。韓国で反原発(脱核)を闘うネットワークからは、ともに共闘して闘おうとのメッセージも寄せられている。反原発運動は国際主義的な枠から闘いを作っていくことも課題であろう。
 本年の3・11行動は「福島を忘れるな!」「東海第二原発を動かすな!」をメインスローガンに、三月七日、東電本店前抗議行動と日本原電本店前抗議行動として闘われる。
 安倍反動政治と真っ向から闘い、原発をとめよう。多くの皆様の参加を呼びかける。

 

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