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■老朽原発をすべて廃炉に! 東海第二原発再稼働阻止! 沢田教二 ●1章 3・11から八年 福島を忘れるな! 福島第一原発の過酷事故から八年が過ぎたが、福島の現状は一向に変わってない。メルトダウンした福島第一原発の核燃料デブリの取り出しは全くメドが立ってない。周辺は高放射能で汚染されており、全廃炉にかかる費用も期間も検討がつかないというのが現状なのだ。 汚染水は一〇〇万トンに至り、さらに増え続けている。原子力規制委員会は、その処理に困り、海に放出しても大丈夫だなどと無責任に言っているが、洗浄ろ過でも取り除けないトリチウムが含まれており被害が増々拡大するだけなのだ。 徐染が終わり、放射線量が低くなったとして帰宅困難地域への帰還を始めているが、地域の再生復興のメドは立ってない。道一本挟んだだけで放射線量の違いがでており欺瞞的避難解除だ。住民を愚弄する行為だ。小児甲状腺がんは検診ごとに増え、その数は二〇〇人を超えている。許せないことに福島県はいまだに原発事故による放射能被害であることを認めてない。国が率先して棄民化政策を進めているのだ。 安倍政権はオリンピック誘致のため「福島は世界一安全」とうそぶいた手前、「福島は復興している」と喧伝せざるえない、まさに福島県民を犠牲にして己の悪行を覆い隠している。全原発の廃炉をあらためて誓おうではないか。 ●2章 3・10東電・原電行動を闘う 首都圏では東海第二原発の再稼働を推進しようとしている東電、原電抗議行動が取り組まれた。東電本店前には二六〇名もの人々が集まり。福島の原発事故責任と賠償を求める怒りの声が鳴り響いた。 柏崎刈羽原発の再稼働を目論む東電は、東海第二原発の再稼働をその導水路にしようと多額の資金補償をしようとしている。日本原電は全ての原発がストップしており、資金は底をつき「安全工事」などとてもできない財政状況である。当初の予算が膨らみ三〇〇〇億円が必要となり、筆頭株主の東電が、そのうち必要な一九〇〇億円を保証し、東北電力が二四〇億円、残り六〇〇億円を中電、関電、北陸電の三社で債務保証するという。 東電そのものが、これまで国から二二兆円もの支援を受けて存続している破たん企業だ。しかも廃炉費用も含めてこれからフクイチ処理に八八兆円もかかるとの試算もでている。破たん企業が破たん企業を支援するというとんでもない事態がおきているのだ。東電はまず第一に原発被害者を保障することが最優先義務だ。 原発再稼働を弾劾するため東電前に集まった仲間は、秋葉原の新ビルに移転した日本原電本店抗議行動も取り組んだ。二〇〇名近い参加者は原電へ弾劾のコールを浴びせかけ、圧倒的なデモを敢行し、沿道の民衆に「東京の原発」ともいわれる東海第二原発の危険性を訴えました。 安倍政権は昨年、「新エネルギー基本計画」を閣議決定した。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発電気を20~22%維持するとするものだ。しかしこの数値を維持するということは、今ある原発をすべて稼働させなければ出来ないのである。まさに原発を国策として位置付け、民意など無視しても構わないという独裁政治をうみだしつつある。原発の再稼働、辺野古新基地建設やミサイル攻撃のイージスアショアの導入などは、安倍政権が「戦争のできる国家」に突き進むカギとなるものである。 ●3章 東海第二原発を動かしてはならない根拠 東海第二原発を動かしてはならない絶対的根拠がある。一つは、この原発はあの「3・11」で被災した四〇年越えの老朽原発であるということだ。かろうじて福島級の事故は免れたが、原子炉内部までは点検できないうえに、老朽化のため金属疲労や亀裂を起こしているのだ。また膨大な長さのケーブルが無数に走っている。難燃性の強化として「難燃化塗装」で対応しようとしているが、すべての長さにできるわけではなく、一部の塗装で済まそうとしている。新座市でのケーブル火災や女川原発での配電盤ケーブル火災を見ても分かるように致命的な事故を生起させるのだ。 二つ目は、東海第二原発に隣接する、東海核燃再処理工場がわずか二・七キロメートルの近さで存在していることだ。防潮堤の工事は原発周辺のみで、この処理工場は外しているのだ。原発関連施設の密集化は複合的事故を生み出す。こんな杜撰な安全基準で、どうして住民の命が守れるというのだろうか。政府の研究機関でさえ、茨城沖でマグニチュード七クラスの地震が起きる確率は、三〇年以内に80%と公表しているのに、福島の教訓が何も生かされていないのだ。 三つ目は、この原発の三〇キロメートル圏内は一〇〇万人近くもの住民が住む地域であり全員の住民避難などできるはずもないということだ。「新安全規制基準」に避難計画が義務づけてられない、いやそもそも全住民の安全避難などできないことが分かっているがゆえに、安全規制に入れなかったのだ。周辺住民が不安と疑心暗鬼であるがゆえに、周辺六市村は、再稼働には県と当該自治体だけの合意ではダメだとして原電と再稼働のため協議を要求した結果「新協定」を結んだのだ。原電は協定に「拒否権」などないと開き直っているが、民意は再稼働反対が多数となっている。茨城圏内でも三〇以上の地方自治体が「再稼働反対決議」を上げているのだ。 また東海原発から東京まではわずか一一〇キロメートルであり、福島の経験でもわかるように首都圏全域が放射能被害にあう位置なのだ。まさに首都圏全滅もありうる近さなのだ。こんな原発は動かすなとの声が茨城現地以外にも広がり、首都圏でも埼玉や千葉を中心に「再稼働反対」決議が上がってきている。まさに生産地と消費地との共同した闘いで圧倒的包囲網を作り、日本原電を追い詰めていこうではないか。 これまでも四〇年以下の原発でも再稼働のたびに事故が起きている。二〇一五年の川内原発一号機の事故は、復水器冷却細管破損、二〇一六年高浜原発四号機の一次冷却の水漏れ、伊方原発三号機でも水漏れ事故、昨年再稼働した玄海原発三号機では水蒸気漏れを起こし配管に一センチの穴アキが見つかっている。再稼働した原発は100%問題を起こしているのだ。 いくら点検しても核納容器の内部までの厳密な点検は不可能なのだ。金属は確実に劣化する。まして四〇年を超えたポンコツ原発は確実に事故を起こすのだ。原発は人類と共存できない代物であることをハッキリと自覚しなければならない。世界の脱原発の流れは明確にそのことを示している。 ●4章 反戦・反核・反原発掲げ、原発再稼働を阻止しよう 首都圏に最も近く、電気のほとんどを東電が買い取っていたこともあり、原電の原発は何としても消費地である首都圏で止めなければと、昨年「とめよう! 東海第二原発 首都圏連絡会」が結成された。短期間で五万筆近い署名があつまり、経産省、原子力規制委員会、東電に提出してきた。しかし肝心の原電だけが受け取りを拒否しているのだ。「当社の方針と反対の意見は受け取らない」のが社の方針だとぬけぬけと言い放った。 住民の税金と電気料金で作られた会社が「署名」も「申し入れ書」も受け取らないという前代未聞の対応だ。今後一層の運動の強化で原電を追い詰め、再稼働を阻止しなければならない。 安倍政権の本質は「戦争推進政府」だ。三年前の戦争法強行採決、そして沖縄の辺野古新基地建設強行に見て取れるように、安倍政権に民意の尊重などはありえない。安倍政権は、力すなわち軍事力だけが国家的危機を救う方法と考えている。権力維持のために「国策」という名で民衆を黙らせるというのが安倍政治だ。かつて日帝のアジア侵略は資源略奪を「国策」、すなわち日本が生き延びる最後の手段の正当化として使ってきた。こんな安倍政治は一刻も早く終わせなくてはならない。 安倍政治は差別排外主義に満ちている。民意など一片も聞く耳を持たない政府だ。政権の維持のためには、軍事力を高め、場合によっては他国への攻撃や侵略も辞さない政府なのだ。破たんした原発輸出政策を見ても分かるように「命より金」を追求する政府なのだ。アジアの民衆はそうした日本を警戒して見ている。国際連帯を一層強めていく闘いを推し進めていかなければならない。反戦・反核・反原発を国際主義的内実で打ち固めて闘っていこうではないか。 |
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