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■中央省庁の障害者雇用水増しを許すな 障害者の雇用の実質的な剥奪だ! 中央省庁など国の三三行政機関のうち約八割に当たる二七機関が、雇用している障害者の人数を当初の六九〇〇人から三四六〇人も水増ししていた。 水増しは内閣府(二九人を五六人へ水増し)や総務省(四〇人を一一〇人へ)、国税庁(三八九人を一四一一人へ) 国交省(二八六人を八九〇人)、法務省(二六二・五人を八〇二人 短時間労働は〇・五人として算出)など。実際の雇用率は大きく減少し、公表していた2・49%から1・19%になった。 また、八月三〇日東京新聞によれば、全国三七府県で雇用の水増しがあったことがわかったという。地方行政にも満遍なく浸透し、全国津々浦々、国をあげて中央省庁から地方の行政機関まで障害者の雇用問題をあざ笑う実態が明るみになった。 この問題は、第一に障害者雇用制度をまさに中央官庁が率先しておこなっていることを演出する一方、実際は法外な水増しで、法定雇用率を引き上げ、実際の障害者を行政の労働現場から締め出すことを中央官庁から全国の行政機関まで巻き込んで推進していたものだ。絶対に許してはいけない。 障害者の法定雇用率について、国や自治体の雇用率は2・5%、民間は2・2%、さらに一八年四月の法改正によって、二〇二〇年度末までにそれぞれ0・1%上がるとしていた。 達成できない従業員一〇〇人超の民間企業は納付金を徴収され、法定雇用率を達成した企業には、未達成企業から徴収したお金を、助成金として支給するという制度がある(障害者雇用納付金制度)。雇用率を達成しない企業は金を搾り取られ、ますます雇用が厳しくなる。 しかし、中央省庁、地方の行政機関には、こうした制度が盛り込まれず、野放しの状態である。地方の行政機関による障害者雇用については、採用試験に特別枠を設けて雇用枠を確保しているが、国家公務員には何もない。障害者は国家公務員採用試験では採用されない差別的制度が厳然としてあるのだ。 厚労省は、民間企業に対して「障害のある方の安定した職業生活を支える企業在籍型『職場適応援助者(ジョブコーチ)』」と称して、障害者雇用を企業に安定して促進させるための支援を大々的にアピールしてきた(企業に在籍している人が、ジョブコーチの研修を受け、障害者が労働と職場に適応できるように指導・調整を担う人)。 また、障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)として、障害者労働者の職場適応のために、地域障害者職業センターが作成または承認する支援計画で必要と認められた支援をジョブコーチに行わせた事業主に対して、助成金を支払うなどとして、障害者の雇用の促進を演出してきた(支給額は一人あたり月額三万円から一二万円までと区別されている)。 民間企業に対する、障害者雇用に関する、こうした飴と鞭の政策は、文字通り行政が率先して、障害者雇用を促進しているという演出の下、行われてきたのだ。 しかし、すべてはお手盛りの行政政策で雇用率達成を演出した一方、実際の障害者が行政の労働現場で働くことは阻止し、労働現場から締め出していたのである。障害者が働く現場は、ただでさえ障害者差別が蔓延し、たとえ就職したとしても不当な安い賃金で過酷な労働を強いられているというのが現状である。地方行政は、障害者を雇用する枠を行政自ら用意しているにも関わらず、まったく障害者が実際の生活で呻吟していることを嘲笑い、労働現場から締め出し、排除していた。 いわんや、中央省庁における国家公務員採用に関していえば、障害者の採用枠がそもそも存在しない中で、非正規の不安定な労働現場の中にわずかに採用枠を設けているだけで、あとは架空の採用枠を思いっきり拡大して大量の雇用水増しを演出していたのだ。国をあげて障害者政策を弄ぶ犯罪行為を断じて許すな! 第二に、こうした差別は、日本の歴史的な障害者政策の根本的な差別性を露骨に表したものであり、断じて許してはならない。 障害者雇用促進法は一九六〇年に成立し、七六年には、身体障害者の雇用の義務化が事業主に課せられた。二〇一八年四月には、精神障害者の雇用の義務化がうたわれ、法定雇用率も五年毎の見直しを図るなどの改正が行われた。雇用の水増しは、七六年雇用の義務化が行われるようになった当初から一貫して、四二年間に渡って行われてきた。この雇用促進法の改正自体が、国連の障害者権利条約の批准に向けた対応の中で、二〇一六年四月に成立した障害者差別解消法を受けてのものである。 それは障害者雇用に関する分野で障害者を差別することを禁止するという名目で、「合理的配慮の提供義務」として、改正された。しかし、その「合理的配慮」なるものは、「当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く」として、実際の効力を無効化し、かけ声だけの政策を行っているのである。 二〇一七年四月東京新聞によって行われた差別解消法施行後一年のアンケートによれば、「社会は変わらない」と回答した障害者やその家族は七割に達し、「差別受けた」という回答は三割を超えている。 そうしたデータを実質的に証明する差別的現実がある。ますます巧妙にかつ大胆に進行する障害者差別の国家的推進を断固として阻止しよう! |
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