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■沖縄―「本土」貫き土砂搬出と闘い、 辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう 九州・山口地方委員会 ●1章 各地の土砂搬出地で、土砂搬出反対の取り組みを 二〇一三年五月、沖縄「県」に提出された沖縄防衛局の公有水面埋立承認願書(添付図書―10「埋立土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」)には、沖縄本部、国頭地区以外にも、徳之島地区、奄美大島地区、佐多岬地区、天草地区、五島地区、門司地区、瀬戸内地区が記載されている。前記の地区は、七月にも予想される埋立区域に投入される土砂(岩ズリ)が搬出される予定地である。埋め立て土砂採取量の内、海砂(約五八万立方メートル)、山土(三六〇万立方メートル)以外の岩ズリの採取量(一六四四万立方メートル)を、西日本各地の岩ズリ供給業者の岩ズリストック量を前提に防衛省(沖縄防衛局)は承認願書を「県」に提出した。 ストック量合計二五〇〇万立方メートル(本部地区六二〇万立方メートル、国頭地区五〇万立方メートルを含む)が、実際のストック量かは定かでない。岩ズリは、主に花崗岩を砕石した後に残された排石と言えるものである。販売もままならず山積され、砕石業者にとってマイナス資産として砕石場に放置されているものを多く含んでいる。 岩ズリストック量が、本部地区砕石供給業者を除いて最大の供給業業者は、門司地区のヤナイグループである。門司地区と記載される供給業者の砕石場は、門司地区の砕石場以外に、山口県周南市の黒髪島や、防府市向島の砕石現場も含む。黒髪島も向島も海上からの搬出に向けて整備が進んでいる。ヤナイグループは、土砂搬出の契約状況について一切口を閉ざしているが、話があれば、岩ズリを供給すると言う。屑化したマイナス資産が膨大な資産へと変わるからだ。 土砂搬出に反対する人々の現地調査では、そのストック量のあやふやさから、他の砕石業者からの転売も考えられということでありその調査も進められている。 すでに、どの砕石現場に佇んでも、痛ましいほど環境も景観も破壊されている。今後、膨大な量の搬出がおこなわれれば、やんばるの森や辺野古・大浦湾と同様に、後戻りが出来ない程に砕石場付近の生活環境や海が破壊されることが懸念されている。 本部、国頭の採石場から、それぞれ六二〇万立方メートル、五〇万立方メートルの岩ズリの海への投下が目前に迫っている。来年からと予想されている西日本各地の搬出時期は早まるだろう。 ●2章 「土砂条例」を活用し、各地の取り組みを強めよう 沖縄「県」「公有水面埋め立て事業における埋立用材に係る外来生物の進入防止に関する条例」(土砂条例)が制定され、二〇一五年一一月一日から施行されている。「公有水面埋め立て事業の実施により外来生物の進入を防止することにより、生物多様性を確保し、もって祖先から受け継いだ本県の自然環境を保全すること」(第一条)を目的とし、搬入禁止項目を第三条、第四条として設けている。「事業者は、特定外来生物が付着又は混入している埋立用材を県内に搬入してはならない」(第三条)。 さらに、八条で、埋立用材の所在する場所に立ち入り、埋立用材を調査、質問することもできるとしている。その上で、「埋立用材に特定外来種が付着又は混入していると認められる時は、事業者に対し、埋立用材の防除の実施又は搬入若しくは使用の中止を勧告することが出来る」(九条)としている。 条例施行後、実際に那覇空港第二滑走路建設のための埋立石材を採取する奄美大島の砕石場周辺で、土砂条例に基づく「県」の調査が行われた。二〇一六年三月、四日間かけた調査でも、実に、六地点全部で、特定外来生物のハイイロゴケグモが確認されたのだ。しかし、その後、沖縄総合事務局は、石材を埋立海域に投入したのである。 土砂条例においては、砕石現場でのわずかな調査機関や目視での調査方法の制約、搬入を中止する権限は、勧告に留まっている。条例制定当初から、実効性のある土砂条例への改定が求められていた。 いま、土砂採取・搬出地の西日本六県でのその実効性ある活用が、大衆的な取り組みにおいて、かけ値なしに問われている。 ●3章 岩ズリを送らせない、ケーソンを造らせない闘いを 「(防衛省・沖縄防衛局との用材の埋立契約をおこなった)事業者は、県内に搬入する予定日の九〇日までに届け出をする」としている。沖縄以外の岩ズリ採取地からの岩ズリ搬入量は膨大な量であり、沖縄「県」職員が侵入特定外来生物(動物・植物)を調査する範囲は、あらかじめほんの一部に限定されてしまう。 防衛省は、民間埋立事業や砕石供給者にすべて丸投げし、沖縄の土砂条例を遵守することをまったく考えていない。その環境監視等委員会も想定していなかったことが暴露されている。駆除対策として成し得ていることは、特定外来動物種のアルゼンチンアリとセアカゴケグモの二種を熱風処理するサンプル試験のみだ。西日本で繁殖が見られるオオキンケイギクなどの特定外来生物種の駆除方法を検討中するとしているが、サンプル実験さえやっていない、駆除方法も検討していないのが現状である。 語るに落ちるとはこのことだ。特定外来種は、全搬出土砂を対象として駆除しなければならない。沖縄「本」島の生態系や生物多様性の豊かな辺野古・大浦湾を死滅させかねない大きな原因をつくるからだ。 政府・防衛省の杜撰(ずさん)で悪辣な土砂搬入計画を批判し、西日本から土砂とケーソンの搬出をやめさせよう。現地攻防に応える「本土」での闘いとして押し上げよう。辺野古海域・大浦湾の埋立を遅らせ、破産させよう。 ●4章 自治体間の広域連携求める取り組みを 西日本各地の辺野古に土砂を送らせない各団体は、沖縄「県」土砂条例の実効性を高めるために、自治体間の広域連携を当該県に対して要請する活動を強めている。自治体議員との協力した議会内外の取り組みを積み上げている。「本土」での県民世論を創り出す取り組みに奮闘している。実際に土砂搬出をストップさせるために。 各地の当該県において沖縄「県」土砂条例の実効性を求めて搬出地の県として砕石場への立ち入りや外来生物の調査を要請している。熊本県、長崎県、山口県などでは、沖縄「県」の要請がある際には、「協力する」との回答を引き出してきている。 しかし、国、県は、生物多様性国家戦略、地方戦略を策定し、併せて、外来生物進入対策を策定しているにもかかわらず、その実行については極めて無自覚で弱い。みずからが破っているのだ。特に、辺野古・大浦湾への用材(岩ズリ)の埋め立てに伴う特定外来生物対策については、あまりにも不充分である。この現状は、土砂の搬出当該の各県が防衛省の辺野古新基地建設の強行を容認してしまうことと意味している。 外来生物法(「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」二〇〇四年六月公布)は、外来生物被害三原則(入れない、捨てない、拡げない)を謳っている。 しかも、外来種被害防止行動計画(二〇一五年三月二六日、環環境省、農林水産省、国土交通省)は、国内の他地域から非意図的導入の際に、島嶼(とうしょ)などの生物多様性保全上重要な地域については、注意すべき行為や経路の把握に努め、実行可能な対策を検討する必要性を記している。生物多様性国家戦略や地方戦略を担保する外来生物法に基づくならば、土砂採取・搬出地に隣接ないしは付近の海域の六割を超える海域が、生物多様性の観点から重要度の高い「重要海域」でもある。二〇一六年国際自然保護連合ハワイ決議「島嶼生態系への外来種の侵入経路の管理の強化」に着目し活用することで、「協力する」と回答させる成果を実際に勝ちとっている。 当該各県、各市自治体に対して、その回答を履行させる大衆行動を組織しよう。 ●5章 辺野古現地行動へ、「本土」での土砂搬出阻止を 防衛省の無謀な辺野古・大浦湾埋立工事は、埋立承認時の承認事項を数々変更し、また、違法に暴力的に強行されてきた。だが実際は、止むことのない沖縄人民の多様な闘いによって、追いつめられているは国―防衛省の側だ。 奥港、本部塩川港からの海上輸送は、重大な承認変更・留意事項違反である。その岸壁使用や仮置き場の違法使用、加えて、大浦湾の海底地盤の問題や、それにともなう大型ケーソンの大幅設計変更、さらに、ケーソン製造のメドもたたない状況だ。二本の活断層調査の不公表の問題もある。 七万四〇〇〇群体とも言われるサンゴ移植のための特別採捕許可への知事の対応をめぐり、これに伴う、K4護岸工事でのヒメサンゴの移植による環境保全措置の断念と汚濁防止枠を二重から四重に増やすアセス計画の変更と変更承認の必要。 沖縄ジュゴン訴訟・再戻し審での本格審理が始まろうとしている。二〇〇九年にまとめられた環境影響評価(アセスメント)準備書のジュゴンに関する内容を巡り、その杜撰で、価値のない環境アセスへの追及もはじまるだろう。 沖縄人民の闘いは、承認取り消し裁判、岩礁爆破の差し止め裁判の敗訴を超えて、国―防衛省を追い詰めている。あらゆる闘いの局面で攻勢を強めている。 いま、沖縄人民は、翁長「県」政による埋め立て承認撤回を求めつつ、島ぐるみの総力闘争へと歩を進めている。私たちもまた、西日本各地で地域ぐるみで、自治体を巻き込み土砂搬出・搬入を止める闘いへと歩をすすめるのだ。激しさを増す攻防に一つ一つ勝ち抜き、七月名護市議選、一一月県知事選の勝利をもぎとろう! |
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