共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   ■安倍政権の「働かせ方一括法案」を許すな!

     
 

 ●1章 全国各地の職場・地域で反撃の闘いを組織しよう

 安倍政権が、ウソとペテンを繰り返しながら延命しようとしている事が連日白日の下にさらされている。森友学園疑惑では、公文書の改竄(かいざん)までしていた。南スーダンでの日報隠しのみならず、イラク派兵時の日報まで隠されていたことが明らかになった。憲法改悪については「憲法に自衛隊を書き込むだけだから何も変わらない」とうそぶき、戦争ができる国へと作り替えようとしている。そして、安倍政権が今国会の重要課題としていた「働き方改革」においても裁量労働制の拡大を巡って、データを都合よくごまかして、法案を成立させようとしていた。
 こうした中、労働者市民は連日国会前へ街頭へ「安倍打倒」の運動を繰り広げている。とりわけ「働かせ方一括法案」については、緒戦においてデータのごまかしが暴露され、「裁量労働制の拡大」については今国会での一括法案から削除せざるを得なかった。今こそ、安倍政権を闘いの中で追い詰め打倒しよう。

 ●2章 「働かせ方一括法案」は、労働者の命を奪うものだ

 四月七日安倍政権は、今国会の最重要課題と位置付けていた「働き方改革一括法案」(以下「法案」とする)を閣議決定し、衆議院に提出した。安倍政権が当初もくろんでいた日程は、自らが招いた森友疑惑と裁量労働制の拡大を狙ったデータの改竄によって大幅に遅れている。だが、安倍政権は国会会期末(六月二〇日)までに成立させようと国会審議を強行しようとしている。
 そしてブルジョワジーの側もまた「柔軟な働き方を認め、労働時間ではなく成果で給与を支払うことで生産性を高めたい」と成立に向けて政権の尻を叩いている。一方、「法案」に含まれている中小企業においても「一か月の時間外労働のうち六〇時間を超える時間の割り増し賃金率を50%とする」という「見直し」については中小企業団体等が反対している。また、「残業時間の上限規制」や「同一労働同一賃金」についても「コストがかかりすぎる」と反対する声がある。
 この「法案」の特筆すべき点は「高度プロフェッショナル制度」の創設である。これは、「残業代ゼロ」制度である。安倍政権は二〇〇七年の第一次安倍内閣の時に「ホワイトカラーエグゼンプション」制度を導入しようとしたが、「残業代ゼロ制度」として批判が高まり、法案の国会提出が見送られた。また、一五年には法案を提出するも国会で審議入りできずに廃案となった。一七年には連合指導部の屈服を引き出して、連合と「事実上合意」をしたが、連合の屈服を許さない闘いが巻き起こり、「合意見送り」となった。そして本年二月には厚生労働省によるデータのごまかしが暴露され「裁量労働制の拡大(定額働かせ放題)」については今国会への提出が見送られた。以上でも明らかなように労働者、労働組合の闘いによって何度も葬り去られてきた制度である。
 労働者、労働組合の怒りの根拠は、この制度導入によって過労死や過労自殺が促進されるからである。この制度は賃金が「年収一〇七五万円以上」の「金融ディーラーや経営コンサルタント」を対象として想定し、労働基準法の「労働時間や休日、深夜の割増賃金の規定から除外する」というものだ。「本人同意や労使委員会での決議」が必要で「年間一〇四日間の休日」「四週で四日以上」の休日の確保や「臨時の健康診断・二週間連続の休日・終業後一定時間の休息のいずれかを義務化」するとなっている。「年間一〇四日間」の休日では週休二日+祝日を満たさない。また、「四週で四日以上の休日」とは、二四日間連続して働いて(しかも寝る時間も削りながら)、ようやく四日間休めるということであり、これも違反にはならないということになる。この制度を「脱時間給」と喧伝する読売新聞によれば、大手資産運用会社で働くファンドマネジャーは「運用成績に応じて収入が増える」と期待し、人事担当者は「こうした職種は労働時間と成果が結びつかない。社員が働き方を主体的に選べるのがメリットだ」と言っているが、この「法案」のどこにも「成果に応じて給与を支払う」とは書かれていない。むしろ「残業時間の規制の中で、仕方がなく残業時間を過小申告している」として違法行為であるサービス残業を強制されている証券アナリストの「今の残業規制は実態にそぐわない」という言葉に表されているように、過酷な労働時間の実態に合わせた制度を作り長時間労働を合法化しようとするものである。「だらだらと仕事をする社員ほど残業代を多くもらうケースが減り、企業の生産性が上がる」ということがこの「残業代ゼロ制度」の狙いなのである。まさに、過労死促進制度である。
 そして、日本経済研究センターが行った朝食会で、塩崎厚生労働大臣は「高度プロフェッショナル制度はまあ、一〇〇〇万以上もらっている人って、実は働いている人の4%くらいしかいないんですね。そのうち1・5%は役員だから残りの2・5%で、それも希望者だけとなればもっと少なくなる。まぁわれわれとしては小さく生んで大きく育てるという発想……経団連が早速一〇七五万円を下げるというもんだから……それはちょっとぐっと我慢して頂いて通すことだ」と語っている。これがブルジョワジーの本音なのである。更に今回見送られた「裁量労働制の拡大(定額働かせ放題)」についても経済界関係者は、「安倍政権の賃上げに応じてきたのに、『法案』からの削除は納得いかない」「裁量労働制拡大も諦めるわけにはいかない」と言っている。「残業代ゼロ制度」は、成立してしまえば年収要件はどんどん下がっていく。年収要件のない「裁量労働制(定額働かせ放題)拡大」についても諦めていない。
 「法案」の問題点はこれだけではない。「同一労働同一賃金」と言いながら、資本にとって都合のいいように労働者の分断をおこなう制度作りや、「残業時間の規制」と言いながら、過労死ラインを超えて働かせることを合法化するなど、どれをとっても許すことができないものである。しかも一括して審議し成立を強行しようとしている。
 全労協などが組織する「権利春闘実行委員会」は閣議決定の当日、「法案」反対の集会を開催しデモを行った。また、ナショナルセンターの枠を超えて「働き方改革法案反対」の全国キャラバンが結成された。キャラバンは、北は北海道、南は沖縄から行進して、五月二二日の日比谷野音で全国集会が行われる。全国各地、職場から「法案」反対の声をあげ、廃案を勝ち取ろう。



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.