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■共謀罪制定を絶対に阻止しよう 日帝―安倍政権は、今通常国会で新共謀罪(通称「テロ等準備罪」)を三月十日にも閣議決定しようとしている。 安倍は新法案制定の目的を二〇年東京オリンピック・パラリンピックの「テロ対策」のためといっているが、それは労働者人民の批判をかわすためのペテンである。 共謀罪制定の真の狙いは、改憲と天皇代替わり=天皇の国家元首化、「対テロ」戦争や朝鮮侵略反革命戦争に向けた、日帝の国内治安管理体制の戦時的再編にある。 革命党組織のみならず、労働運動や反戦反基地運動など、労働者階級人民のあらゆる抵抗を「捜査」の名の下に常時監視し、共謀をでっち上げて根絶やしにすることを狙っているのだ。 われわれは、たたかう労働者階級人民とともに、改憲と戦争へと突き進む安倍右翼反動政権がもくろむ、現代版治安維持法=共謀罪制定を絶対に阻止していかなければならない。 ●1章 「テロ対策」に名を借りた共謀罪が本質 安倍政権は、一月五日の政府与党連絡会議で、通常国会に共謀罪法案(組織的犯罪処罰法の改悪)を提出することを明らかした。 安倍は、今通常国会で「一般市民は対象外」「過去の共謀罪とは全くの別物」(一月二十六日 衆院予算委員会)と語り、「テロ等準備罪」が共謀罪ではないと強弁した。 安倍が「これを共謀罪と呼ぶのはまったく誤り」(一月二十四日衆院本会議)であるとする「理由」は二つ。 それは第一に、「テロ等準備罪」の対象は「組織的犯罪集団」だけであり、対象を限定しているから「一般の方々が対象となり得ない」(同)というものだ。 安倍は一月二十六日の衆院予算委員会でも「今回のものはそもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければ(処罰対象に)ならない。これが全然違う」と語り、これまで三度にわたり廃案となった共謀罪とは違うと強調した。 第二の「理由」は、「犯罪の実行に必要な準備が行われた場合」に、はじめて処罰の対象となるという「準備行為」を犯罪成立の要件に加えたから、新法案は共謀罪でないと安倍はいった。 しかし、安倍のいう二つの「理由」は、まったくデタラメだ。 ▼1章―1節 「対象を限定した」は大ウソ 共謀罪の対象となる「組織的犯罪集団」とは何か。 法務省はこれを「四年以上の懲役・禁錮の罪を実行することを目的とする組織的犯罪集団」と規定している。 しかし具体的にどのような団体なのかは明記されていない。非常にあいまいな規定であり、いくらでも拡大解釈が可能だ(そもそも犯罪を犯すことを目的に掲げ、活動する集団が存在するだろうか?)。 しかも、この「四年以上の懲役・禁錮の罪」にあたる罪種は六百七十六にのぼる。政府はこれを九十一種二百七十七にまで対象犯罪を絞ったことで、「対象を厳格に限定した」というのだが、これも「数字のトリック」だ。 警察権力がこれまで革命的左翼、たたかう労働組合や学生運動団体、市民運動などに対するでっち上げ不当弾圧に利用してきた罪名はすべて新共謀罪の対象となっている。例えば「有印私文書偽造」「公正証書原本不実記載」「封印破棄」「威力業務妨害」などだ(その他にも多数あり)。 すでにこの間、われわれと共にたたかう諸団体や個人に対する「共謀罪」の先取り的な予防反革命弾圧が繰り返されている。京丹後Xバンドレーダー反対闘争に対する「白バス(道路運送法違反)」弾圧(一五年)や、伊勢志摩サミット反対集会使用会場での「詐欺罪」弾圧(一六年)など、国家権力=公安刑事の「組織的犯罪」ストーリーのねつ造による不当弾圧が連続してかけられているのだ。 新共謀罪成立によって、今まで以上に警察権力のでっち上げ不当弾圧が横行することは必至だ。 また、二人以上の集合を「組織的犯罪集団」と判断するのは捜査機関=警察権力なのである。警察の恣意的判断によって、二人以上が話し合って「計画(=共謀)」したと判断すれば、「組織的犯罪集団」とされてしまうのだ。 また安倍は、「そもそも犯罪目的の集団でなければならない」としていた当初の国会答弁を一転し、二月十七日の衆院予算委では「もともと正当な活動を行っていた団体でも、目的が犯罪を実行することに一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得る」と答弁した。 安倍のこの答弁は、「組織的犯罪集団」に対象を絞ったから「テロ等準備罪」は共謀罪でないという「理由」の一つを、法案提出以前に自ら否定したことを意味している。まったくデタラメという他はない。 ▼1章―2節 「準備行為」要件付加のペテン性 二つ目の共謀罪でない「理由」として安倍が挙げた「準備行為」についてはどうだろうか。 条文では「犯罪を行うことを計画した者のいずれか」によって「計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他」の準備行為が行われた場合に処罰対象となるとしている。 過去の法案では、「共謀」と表記していたものを、「計画」と言い換えただけのことであり、中身はこれまでの共謀罪法案とまったく同じだ。 そして、「準備行為」はそれ自体が犯罪である必要はない。 たとえば銀行での預金引落しや買い物など、誰もが日常生活の中で行っている行為が、警察権力に「資金または物品の手配、関係場所の下見その他準備行為」と見なされれば構成要件となる=共謀罪が成立してしまうのだ。しかも、「その他」という文言が付け加えられることによって、「準備行為」が適用される範囲の限定性は事実上無いのだ。 例えば、「基地建設に反対する市民団体が、工事車両を止めようと座り込みを決めた場合、捜査機関が裁量で組織的威力業務妨害が目的の組織的犯罪集団だと判断し、仲間への連絡が準備行為と認定される可能性がある」(『東京新聞』二月二十二日)のだ。 高江や辺野古における、新基地建設阻止のたたかいや、原発再稼働阻止のたたかいなど、ありとあらゆる労働者階級人民の大衆的直接行動が、新共謀罪の適用対象となっていくことは明らかだ。 ●2章 東京五輪口実とした治安弾圧体制の戦時的強化許すな 安倍は「わが国が条約の国内担保法を整備し、本条約を締結することができなければ、東京オリンピック・パラリンピックを開けないと言っても過言ではありません」(一月二十三日衆議院代表質問)と語り、国際組織犯罪防止条約の批准と、二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催には「テロ等準備罪」制定が必須であるという大義名分を掲げた。 安倍は、かつて東京オリンピック招致の際のスピーチにおいて、東京は「世界で有数の安全な都市」だと断言していたはずだ。いっていることがまったくアベコベである。 しかし、明らかに論理矛盾をきたしている発言や、ウソやペテン的な答弁を繰り返して「審議時間」を稼ぎ、最後は国会議員の「数の論理」によって、数々の反動法案を強行成立させてきたのが安倍独裁政権の常套手段であるともいえるだろう。法相金子の二転三転するデタラメ答弁や答弁拒否連発などはその典型例だ。 また、国際組織犯罪防止条約は、マフィアや暴力団の取締りを目的としたものであって、国際組織犯罪防止条約締結と「テロ対策」は何の関係もない。 安倍がいう「テロ対策のために新法が必要」なる主張は、労働者階級人民の批判をかわすためのペテン的イメージ戦略でしかない。 明らかとなった新共謀罪の正式な罪名は「テロ等準備罪」ではない。「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」の罪である。マスコミがリークした法案の条文によれば、「テロリズム」の定義や文字も出てこない。 新共謀罪は、戦後刑法の「既遂処罰」(実行された罪を罰する)の原則を取り払い、法体系の戦時的再編=一大転換をはかるものだ。 また新共謀罪は、昨年五月の刑事訴訟法改悪と一体化することで、でっち上げ不当弾圧が今まで以上に乱発されていく「根拠」を拡大する。 法相金子は、二月二十三日の衆院予算委分科会で、犯罪合意(「計画」=共謀)の手段を限定しない考えを明らかにした。 これは、会議などで対面した合意だけでなく、電話やメール、LINEのグループメールなどでの合意によっても共謀が成立することを意味する。 公安警察は、現在でもさまざまな団体に対する違法な住居侵入や電話盗聴、盗撮や、個人メールの盗み見など、情報収集活動を日常的に行なっている。 昨年大分地区労事務所の動画による盗撮事件が発覚したが、これなどは氷山の一角でしかない。 新共謀罪によって、公安警察の盗聴や盗撮、メール閲覧などが、「組織的犯罪集団」への「捜査」と称して「合法化」され、無制限に広がっていく。まさに公安警察の「やりたい放題」状態となるのだ。 新共謀罪は、労働者階級人民を常時監視下に置き、一切の反対の声を弾圧し、鎮圧することを目指す現代版「治安維持法」だ。 安倍右翼反動政権のもくろむ治安体制の戦時的強化を絶対に許してはならない。 天皇代替わり=天皇元首化や、改憲への踏み込み、辺野古新基地建設強行再開を宣言した安倍右翼反動政権による不当弾圧の激化は必至だ。 不当弾圧には運動と党組織を防衛する完全黙秘・非転向でたたかおう。 (追記)自民党は八日午前の法務部会で、法案の条文三カ所と表題一カ所で「組織的犯罪集団」の前に「テロリズム集団その他の」との文言を追加した修正案を了承した(三月八日「東京新聞」)。労働者人民の批判の高まりを受けた、まさに「付け焼き刃」的対応だ。共謀罪の悪らつな本質は何ひとつ変わらない。かつて特定秘密保護法に反対する国会デモを、自民党幹事長(当時)の石破茂は「テロ」だと言い放った。政府に反対するすべての人々を、国家権力は「テロリスト」と見なしていることの表れに他ならない。 |
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