|
■マイナンバー制度に反対しよう ●1 「マイナンバー法」はどのようにしてできたのか この制度は、税と社会保障の一体的改革の過程で作られ、二〇一三年五月二十四日に成立した「行政手続きにおける特定個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「マイナンバー法」)に基づく制度である。「住民記録番号制度(住記ネット)」の時には、「情報の流失の危険性」や「総背番号制」「費用対効果がない」と大きく話題となり、矢祭町は最近まで接続していなかったが、マイナンバーは地方自治体の義務となるので制度に加入しない自治体はない。 「マイナンバー法」は、民主党政権の時に議論されていたが、二〇一二年十一月に民主党政権による解散によって「審議未了廃案」になってしまった。しかし、二〇一三年三月に自民党政権になり、三月一日再提出、五月二十四日成立とあっという間に可決成立してしまった。「消えた年金」「生活保護の不正受給」などがセンセーショナルに騒がれ、もっとしっかり管理しろという言葉を巧みに引き出しながら、反対の声は政権交代のどさくさでかき消された。「国民が気付かないうちに憲法改正をしたナチスに学べ」とばかりに。 ●2 生きる権利を奪うマイナンバー 二〇一五年十月から住民登録地に日本人にも外国人にも「十二桁の番号通知」が郵送される。つまり、住民登録地に住んでいない人には届かない。そして二〇一六年一月から全ての行政手続きをする際にマイナンバーを提示することが必要となる。これは、会社に勤めた時の社会保険や年金の加入手続き、税金の申告手続きにも必要となる。雇用保険の受給や年金の受給にも必要だ。 つまり、「マイナンバー」を知らなければこうした手続きは、入り口のところでつまずくことになる。今は、アルバイトをする際に住民票の提出は基本的に求められていない。しかし、DVや借金で逃げている人や、路上生活、ネットカフェ生活などをしている人たちは、個人番号の提示を求められた時点でアルバイトをあきらめることになる可能性がある。マイナンバーを提示できないことによって、雇い主から冷たい視線を浴びせられることは火をみるより明らかだ。まして、正規社員で就職するなんて無理だとあきらめさせられる。ネットカフェで寝泊まりしたくても身分証明書のマイナンバーの提示が求められたらそれすらできなくなる。「税と社会保障の改革」という名の下に切り捨てられるのである。 生活上の必要から勤め先以外でアルバイトをしていることも個人番号を通じてすべて把握される。わずかな給料からも「総合課税」の下で徴税されるのである。また、一定数の人を雇っているのに社会保険に加入しないという社保逃れもできなくなる。労働者にとって良いことのように見えるが、悪質な企業は、社保の加入要件以下の細切れ雇用への転換を要求する可能性がある。労働者にとってこのマイナンバー制度は生きる権利を奪う制度ですらあるのだ。 ●3 監視し、管理するマイナンバー さらに、今国会の参議院では今、マイナンバー法がまだ施行すらされていないのに「改正案」が審議されている。衆議院では五月二十一日に可決されたが、この直後発覚した年金情報の漏えいによって参議院での審議は延長国会の土壇場までもつれ込むと言われている。「改正」の内容は、銀行口座とマイナンバーをリンクさせることや、メタボ対策などを名目に医療情報とリンクさせることを二〇一八年から行うという内容だ。全ての個人のお金の出入りが国によって管理されるのだ。金持ちは管理を逃れて海外へ身も金も持って行くだろう。しかし、労働者はわずかばかりの「資産」をつかまれ、収入がなくても資産があるからと徴税され、子供のアルバイト賃金まで把握され扶養控除も適用されなくなる。 「番号通知カード」の他に「写真付きの個人番号カード」も公布申請をすれば二〇一六年以降受け取ることができる。「住記カード」の普及率が5%程度(世田谷区)だったことを踏まえ、「マイナンバーカード」に「健康保険証」と同じ機能をもたせることも検討されている。こうなれば、金の出し入れだけではなく健康状態まで一元的に管理できる。マイナンバー法の「改正」と同時に個人情報を企業が使いやすくする「個人情報法の改正」も衆議院を通過した。所謂「ビックデーター」だ。人々の動きや購買傾向を把握し数値化しさらに儲けのようとしている。そして、これらのデータの管理などに総額一兆円近い税金が投入されると言われている。人間を資産、資源とみなす考え方が隅々まで浸透し、管理・監視されるのが当たり前の世の中になるのだ。 ●4 マイナンバーを使った経済的徴兵制も可能に 今は「税と社会保障にしか使わない」と政府は言っているが、こんな言葉は、舌の根も乾かないうちに忘れ去られ、マイナンバーの利用拡大は、徴兵(経済的徴兵制も含めて)に利用されることは、憲法を骨抜きにする安保法案を出して居直りとごまかしを繰り返している為政者にとっては朝飯前だ。今後自衛隊に入る人たちが減ってきたとき、この「マイナンバー」の威力が発揮される。家族の収入が低く、本人が非正規で働いている又は奨学金をもらって大学に行っている健康な若者を抽出したい思ったとき、防衛省はこの「マイナンバー」を使って、自衛隊への勧誘ができる。徴兵制も可能だ。日本に徴兵制があった過去の時代は役所の兵事係が、一人ひとりの健康状態や運転免許証の有無、特技などを収集して簿冊に書き込み、動員名簿を作っていた。しかし、これからは、ボタン一つで必要な情報を瞬時に集めることができる。 ●5 今こそ、運用停止と廃案・廃止を こんな悪法を絶対にゆるすことはできない。まず、参議院での「法改正」を廃案に追い込もう。そして、安倍政権のもくろむ「戦争法」「労働法改悪」などの悪法もろとも葬り去り安倍政権を打倒しよう。マイナンバーの危険性をあらゆるところで訴えて、「法律の施行中止」や「法律の廃止」を求める闘いを作りだし、勝利しよう。 |
当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.