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   9・1東京都・立川市合同防災訓練許すな!

  
地域住民・児童・生徒を動員する治安弾圧訓練反対に起ち上がろう

       


 九月一日、東京都総合防災訓練が三多摩地域の立川市で行われる。今年の訓練は「九都県市合同防災訓練」としても実施されることが明らかとなっている。例年以上の大規模訓練になることは間違いない。そして例年、「九都県市合同防災訓練」では時の首相が参加している。慣例どおりとするならば、安倍首相が立川に来ることになる。さらに、訓練の主会場は「天皇在位五十年」を記念して建設された通称「天皇賛美公園」と呼ばれる昭和記念公園である。
 われわれは、自衛隊・米軍が参加する防災訓練を絶対に許さない。「自衛隊・米軍参加の東京都・立川市総合防災訓練―九都県市防災訓練に反対する実行委員会2015」(略称「防災実」)は活動を開始し、学習会や教育委員会に対する申し入れを行っている。石原都政時代からの闘いを継承し、地域住民や児童・生徒の戦時動員をも目論む二〇一五年「東京都・立川市総合防災訓練」に防災実とともに反対しよう。

 ●1章 自衛隊による防災訓練を許すな!

 本年の総合防災訓練に反対する闘いは、戦争法案との闘いとの関連において極めて重要な闘いになる。われわれは、戦争法案反対の闘いと一体のものとして自衛隊参加の総合防災訓練に反対していこう。
 今国会で成立が目論まれている戦争法案は集団的自衛権行使「合憲」を柱とする自衛隊の恒久的海外派兵法であり、文字通りの「軍隊」―実戦部隊として自衛隊を再編するというものである。こうした自衛隊の本質を覆い隠してしまうのが防災訓練なのだ。防災に何故自衛隊―暴力装置が必要なのかという本質的議論は一切されずに、自衛隊の防災訓練参加がなし崩し的に強行されてきた。二〇一一年の3・11を契機として救援部隊としての自衛隊というキャンペーンが張られてきた。以降、社会的には自衛隊が防災に役立っているかのようにイメージされているが、これは全くの誤解に過ぎない。
 「自衛隊の主たる任務は、防衛出動=戦争をすることだ(自衛隊法三条)。災害救助を理由に自衛隊を認めてしまうことは、軍隊の本質を隠蔽し、国家が防災を利用して戦時体制作りをすすめることを助長することになる」(『戦旗』第一四二六号、二〇一三年十一月五日「11・23東京都総合防災訓練に反対しよう―大西一平」)ということであり、そもそも暴力装置としての自衛隊が防災に役立つことは本質的にあり得ない。戦車・戦闘機の類が人命救助に役立つことはない。
 「自衛隊などが行う救助活動というのは、防災対策の一部でしかないことを認識すべきである」「東日本大震災での救助は、一般に私たちがイメージする『救助』(=建物の下敷きになった人を助け出す)とは違い、すでに避難した被災者の移送や誘導がほとんどだったと私は推測している」(『戦旗』同号)。自衛隊・警察は明らかにしていないが、消防による3・11における救助内容は、「全体の救助者数は四千六百十四人だが、内訳を見ると千三百人『仙台空港から誘導』、九百七十一人『孤立集落の要救助者を……ボートを使用して救出』、六百六十七人『○○小学校の屋上の要救助者を救出』、百人『○○病院屋上孤立 県防災ヘリで救出』などとなっている」(同)となっている。また阪神・淡路大震災では、「救助者数の比較では、消防、警察、自衛隊によって救出された人数は八千人、近所の住民によって救出された人数は二万七千人…という調査がある」(同)ということである。 つまり防災というものを真剣に考えれば、日常的な住民による自主的避難の徹底であり、住民同士の日ごろからの関係づくりこそが重要なのだ。自衛隊も含めて救援部隊の主要な活動はすでに避難した被災者の誘導であって、具体的な人命救助そのものは全体で言えば少数でしかないのが実態なのだ。
 われわれは自衛隊参加の防災訓練という行事そのものが、極めて政治的な位置づけで行われていることを暴露していかなければならない。それは住民動員を含めて「軍隊の本質を隠蔽し、国家が防災を利用して戦時体制作りをすすめることを助長する」という政治目的をもって行われているのだ。そしてこの政治目的が戦争法案の成立策動と連動して、より強化されることはまちがいない。自衛隊の実戦部隊化が抽象的なイメージとしての防災―人命救助に結びつけられ、戦争法案の成立に利用されようとしているのだ。戦争法案成立阻止と一体のたたかいとして自衛隊参加の防災訓練反対を闘おう!

 ●児童・生徒の動員を許すな!

 そしてこの間の防災訓練の特徴として、地域児童・生徒の積極的動員があげられる。今年は九月一日という平日に行われるので、地域住民の動員は見込めない。その分、立川市内の義務制学校の動員を大きく位置づけている。「地域学校の動員を主目的にあえて平日にしたのではないか?」とも噂されている。その真偽はともかく、地域学校の動員が防災訓練の重要な構成要素になってきていることは間違いない。
 防災実は立川市教育委員会に対する申し入れ行動を行った。そこで明らかになったのは、今回の防災訓練では立川市内小中学校の生徒四百名程度が「総合学習」の授業として参加する予定になっているということである。訓練の中身は救急救命等の「体験型訓練」と、会場に隣接している体育館における「物資搬入訓練」になる。また今回訓練には小学校二年生も参加するというのだが、小学校二年生には「総合学習」の授業はない。市教委はこの矛盾点の追及に対して「今後考える」と回答するのみであった。
 この一事からも明らかなように、市教育委員会は自衛隊参加の防災訓練への小中学生動員に関して、まず初めに動員ありきであり、教育的問題よりも行政的問題として考えているということである。そうでなければ、学校の授業として存在しない時間を「今後考える」などと回答はできないであろう。
 この間、教育現場と自衛隊の関係が密になってきている。そして、子どもたちを自衛隊と関連付けられる際の用語が「防災」である(『戦旗』第一四五九号、二〇一五年五月五日「道徳の教科化を許すな! 安倍教育『再生』攻撃と闘おう!」参照)。総合防災訓練は地域住民はもとより、地域児童・生徒の動員・組織化―子どもたちの戦時動員訓練として位置づけられてきているのだ。
 われわれは子どもたちの戦争動員を許さないたたかいとして、同時に安倍教育「再生」攻撃に対する闘いと一体の闘いとして東京都総合防災訓練に反対していこうではないか!

 ●東京都・立川市総合防災訓練に反対しよう

 さらに、今年度の総合防災訓練は「九都県市総合防災訓練」と同時開催で強行される。「九都県市総合防災訓練」は東京都、千葉県、千葉市、埼玉県、さいたま市、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の自治体合同の訓練であり、対テロを前面に押し出した治安訓練としての色彩が濃い訓練といわれている。例年は東京都総合防災訓練とは別の日程で行われてきた。また、この訓練に首相が視察にくることが慣例になっている。今年は東京都総合防災訓練と同日に開催されることが決定しており、慣例に従うならば極右政治家である安倍首相が視察にくる可能性が大きい。
 そして主会場は昭和記念公園である。この公園は「天皇在位五十年」を記念して建設された公園であり、「昭和天皇記念館」というヒロヒトの歴史を賛美する博物館を有している。三多摩地域の反戦勢力は、いみじくも「天皇賛美公園」と呼んでいる。この昭和記念公園開園時には付近の公園を国家権力がすべて押さえ、反対運動やデモを封殺し、あまつさえ周辺地域住民にはゲリラ対策と称し窓を開けることも禁止して開園を強行した公園である。
 さらに、この昭和記念公園に隣接して航空自衛隊の立川基地が存在する。のみならず、公園周辺には立川署、消防、そして裁判所・検察の出張所、さらには拘置所や内閣府の施設が集中している。 地下には「第二首相官邸」まで配備され、政府機能のバックアップ体制が完備されているとも言われている。
 まさしく、三多摩地域における警察・官僚・軍隊―すなわち国家権力の実体が昭和記念公園を中心として配置されているといっても過言ではない。このような場所で自衛隊が参加する「防災」訓練が強行されようとしていることも押さえておかなければならない。
 さらに、横田基地へのオスプレイ配備問題に関連しオスプレイの動員も噂されている。オスプレイの防災訓練動員は策動されている。二〇一三年十月二十五日から三日間、自衛隊主催の南海トラフ地震を想定した日米実働防災訓練が、高知県香南市にある高知駐屯地を中心に行われようとしていた。今回の訓練会場すぐそばに航空自衛隊立川基地が存在することを考慮するならば、「防災」を口実にオスプレイを動員する可能性は十分ありえるのだ。われわれは、オスプレイの横田基地配備反対のたたかいとしても今年度の「東京都・立川市総合防災訓練」反対に立ち上がらなければならない。
 軍都―立川における「東京都・立川市総合防災訓練」に反対していこう。防災実が呼びかける八月二十一日の「安倍とオスプレイは来るな! 児童・生徒の動員やめろ! 東京都・立川市合同総合防災訓練反対プレ集会」に参加しよう。そして九月一日当日は監視行動・市内デモを防災実の仲間とともにたたかっていこう!


 

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