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■2014年東京都防災訓練を許すな 自衛隊参加の治安訓練反対! 本年八月三十日、杉並区を中心として東京都総合防災訓練が強行されようとしている。われわれは自衛隊・米軍が参加する治安体制強化型の防災訓練に断固反対していく。「防災」の名を借りた地域住民の軍事訓練動員を許すな。 この間の総合防災訓練の特徴として、高校生・中学生の積極的動員が挙げられる。都・自治体は生徒・学生を「自助・共助」の美名のもとに軍隊的に組織しようとしている。「集団的自衛権行使容認」が閣議決定される時代にあって、東京都総合防災訓練も次世代の戦争動員を見越したものとして位置付けられようとしている。 また九月一日には九都県市(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市、相模原市)による合同防災訓練も予定されている。ここでは相模原の在日米陸軍相模総合補給廠を主会場に約一万人規模の訓練を行うとされている。さらに、本年十一月には「テロ」を想定した東京都主催の「国民保護訓練」が計画されている。 政府そして都・各自治体は米軍・自衛隊が参加する「防災訓練」の規模を拡大し、かつ恒常化しようとしている。 われわれは集団的自衛権「合憲」閣議決定弾劾―日本の戦争国家化を許さないたたかいと一体に、これら「訓練」に反対していく。「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会2014」が呼びかける八月三十日の監視行動と杉並地域デモをともに闘おう! ●1章 8・30東京都総合防災訓練を許すな 二〇〇一年の「ビッグレスキュー」以来毎年行われている「東京都合同総合防災訓練」が、今年は杉並区を中心にして行われようとしている。テ―マとして「自助・共助」「(住民と防災機関の)連携」「木造家屋密集地域での救助」を掲げ、二〇一二年に作成された「首都圏直下型地震等による被害想定報告書」を根拠として被害想定規模を定めることになっている。 現段階で明らかになっている訓練内容は、①地域住民の避難場所への避難訓練及び避難所運営訓練、②住民共助による訓練、③木造密集地域における救出救助活動等訓練、④医療救護班活動訓練、⑤支援物資及び広域部隊の受援訓練、⑥り災証明発行等訓練、⑦検視・検案・身元確認訓練、⑧展示・体験、応急復旧等訓練である。 このうち、①地域住民の避難場所への避難訓練では、ヘリコプターが動員されるのではないかといわれている。また、③木造密集地域における救出救助活動訓練では、自衛隊が動員されることになっている。さらに、②住民共助による訓練と⑤支援物資及び広域部隊の受援訓練でも、自衛隊の動員が予想されている。 この間の防災訓練の特徴として、地域住民の組織化を主眼としたものに訓練内容がシフトしてきている。もちろん、訓練総体から自衛隊が引くということはない。かつてのような「軍事パレード」のごとき訓練よりも、むしろ自衛隊と地域住民が一体となった訓練として組織されてきているということである。その意味において治安強化の性格がより濃くなってきている。 「自助・共助」「(住民と防災機関の)連携」というテーマ設定そのものが、総合防災訓練の性質を表現しているともいえる。被災したら地域住民は自衛隊(防災機関)と連携し、すなわちその指揮下で共同してことにあたれ、という意味を含めた治安強化の意図が見え隠れしている。自衛隊(軍隊)と一体となった地域住民の軍事訓練が「総合防災訓練」にほかならない。 われわれは自衛隊と米軍が主導する「防災訓練」を許さない。それは治安維持を主目的とした地域住民の軍事訓練である。その政治目的は、「防災」を名目としながらの有事―戦争に対応する地域住民の軍隊的組織化にほかならない。すなわち、戦争国家にむけた人民の動員政策としてあるのだ! 「集団的自衛権行使容認」―解釈改憲と連動した戦争国家化との対決として、二〇一四年の「杉並区・東京都総合防災訓練」に反対しよう! ●2章 生徒の動員を許すな! そしてこの間の防災訓練の最大の特徴は、中学生・高校生の積極的動員である。「防災」を名目にして生徒の動員が位置付けられてきている。今回の防災訓練計画においても、住民共助の位置付けで「生徒等による救助」が明記されている。 杉並区では二〇〇五年に「杉並区中学生レスキュー隊」なるものが各学校で組織された。この「杉並区中学生レスキュー隊」とは「災害や事故等いざという時に役に立つよう心身を鍛え、地域に役立とうとの意識や防災意識の向上」(〇五年八月五日杉並区広報)を目的としている。今回の総合防災訓練ではこの「杉並区中学生レスキュー隊」が活用されるのではないかと言われている。 ちなみに「杉並区中学生レスキュー隊」が組織された二〇〇五年当時の杉並区長は松下政経塾出身の山田宏である。山田は現在、石原とともに「次世代の党」に在籍し、党の暫定幹事長として衆議院で活動している。 この〇五年は、杉並区でいわゆる「つくる会」教科書の採択が浮上した年でもある。教科書採択をめぐって大衆的攻防がたたかわれていた。この時期に山田は、教育改革を掲げ「つくる会」教科書採択や「杉並師範塾」等の反動政策をごり押ししていた。「杉並区中学生レスキュー隊」はこうした山田の「遺物」でもある。 一方、今年五月二十一日、東京都教育委員会は比留間教育長名義で「平成二十六年度東京都・杉並区合同総合防災訓練への参加協力について(依頼)」なる文書を出し、各市町村の教育長に対して、「小・中学校の参加協力及び児童・生徒の見学、啓発に御協力をお願い」している。ここで言う「お願い」とは半ば命令である。訓練会場として各学校が使用される以上に、地域の小・中学生が「共助」の訓練に動員されようとしている点が問題である。 この間、東京都は「防災」を媒介に、自衛隊と生徒の一体化を政策として推し進めてきた。これまでも総合防災訓練では当該地域の学校が訓練施設として利用され、また生徒の訓練参加を追求してきた。現在では学校で寝泊まりをする宿泊型の防災訓練は全都立学校で行われている。 昨二〇一三年には自衛隊の朝霞駐屯地での「宿泊防災訓練」に高校生が動員させられた。田無工業高校の生徒三十四人が七月二十八日から二泊三日で参加している。この訓練に参加することを決めた責任主体は、形式上は当該学校長であるが、訓練における予算の一切は東京都教育委員会から出されており、さらに都教委職員がこの訓練に随行していることからみて、都教委主導で計画された宿泊訓練であることは間違いない。 自衛隊サイドは「宿泊防災訓練」を「体験入隊」扱いで位置付けている。これは、企業などから依頼される新人研修と同様の扱いだ。訓練の中身は部隊行動の基本である行進訓練や、夜間に叩き起こされる非常呼集訓練などである。また「止血法」「包帯法」などの救命方法を指導されているが、一方において「躾(しつけ)」「着隊指導」などの内容も盛り込まれている。ちなみに「着隊指導」とはベッドメーキング等の部隊生活上の規律をたたき込む指導のことである。 この「宿泊防災訓練」とは「防災」の名を付けてはいるものの、その実態は軍隊的体験を通じた軍事教練に限り無く近いものだ。そしてこの「宿泊防災訓練」が本年も強行されることが明らかになっている。都教委は大島高校の生徒三十三人が十一月二十六日から二十八日にかけて、陸上自衛隊武山駐屯地(神奈川県横須賀市)で「宿泊防災訓練」に参加すると発表している。 「防災」を媒介としながら教育現場と自衛隊(軍隊)が接近している。明らかに防災訓練を梃子にして生徒・学生の軍隊的組織化が目論まれている。われわれは集団的自衛権「合憲」閣議決定直後、全国の高校生に自衛隊の採用案内が送付された事実を忘れてはならない。実戦に踏み出そうとする日帝にとって、青年層の軍隊への組織化が課題として浮上してくることは明らかだ。自衛隊(軍隊)と生徒の結合こそが日帝の戦争遂行体制の生命線でもあろう。そして両者の媒介をなす概念がまさしく「防災」なのである。「防災」の名を借りた「学徒動員」を許してはならない。 二〇一四年総合防災訓練に反対し、生徒・学生の戦争動員を阻止しよう! ●3章 米軍・自衛隊参加の防災訓練反対 われわれが批判しなければならないのは、「ビッグレスキュー」よりソフトなイメージで組織されようとも、総合防災訓練が米軍・自衛隊参加の訓練であることに変わりはないということだ。総合防災訓練の本質は地域住民を巻き込んだ治安訓練・軍事訓練にほかならない。 東京都の総合防災訓練と同時に、九月一日には九都県市(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市、相模原市)による合同防災訓練も予定されている。ここでは相模原の在日米陸軍相模総合補給廠を主会場に約一万人規模の訓練を行うとされている。また本年十一月には「テロ」を想定した東京都による「国民保護訓練」が予定されている。米軍・自衛隊が参加する「防災訓練」の規模を拡大し、かつ恒常化されようとしている。首都圏の人民はまさに「訓練漬け」の状況下におかれ、繰り返し治安強化型訓練を強制されようとしているのだ。 さらに、われわれが確認しなければならないのは、自衛隊はけっして「防災組織」ではないということだ。その本質はあくまでも軍事組織である。米軍・自衛隊参加の防災訓練を批判する基本的視座は「【寄稿】11・23東京都総合防災訓練に反対しよう!/大西一平(『戦旗』第一四二六号二〇一三年十一月五日)」で明らかにされている。 そこでは、「自衛隊の主たる任務は、防衛出動=戦争をすることだ(自衛隊法三条)。災害救助を理由に自衛隊を認めてしまうということは、軍隊の本質を隠蔽し、国家が防災を利用して戦時体制作りをすすめることを助長することになる。また危険な原発を再稼働させて事故の危険を高めながら、一方で自衛隊による『防災』を拡大する政府の姿勢は自作自演であり、本当に防災を考えるなら原発廃止こそが必要だ」と提起されている。 われわれは基本的にかかる観点に立って、総合防災訓練に反対していかなければならない。総合防災訓練は「防災」という衣をまといながらも、その本質は地域的軍事訓練である。そしてこうした性格は集団的自衛権「合憲」の時代において、より一層際立つことは間違いない。われわれはあくまでも反戦の立場から「米軍・自衛隊が参加する総合防災訓練反対」を挙げて、反対行動に立ち上がっていく。 二〇一四年度の総合防災訓練に反対すべく、地域住民を主体とした「米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会2014」が活動を開始している。八月三十日には、監視行動と杉並区役所周辺から高円寺に向けた地域デモが呼びかけられている。この行動をともにたたかい、二〇一四年「総合合同防災訓練」を粉砕しよう! |
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