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   ■名護市長選勝利から辺野古新基地建設阻止へ
   


 ●1章 市長選勝利の確信と新基地阻止の決意固める稲嶺市長

 「私の相手は候補一人ではなくて日本政府という、自民党本部という大きな力との権力とのたたかいでもありましたので、たいへんな選挙になると思っていたんですが。多くのみなさんがそれらを吹き飛ばして打ち破って、権力にも打ち勝ったというような選挙でもございました」。
 二月十三日に開かれた「沖縄等米軍基地問題議員懇談会 第一回勉強会」で、稲嶺進名護市長は、市長選勝利についてこのように発言した。
 さらに稲嶺市長は「名護市民は誇りと気概を示してくれたということでは誇りに思います。誇りと気概を支えていただいたのは全国から集まってくれた皆さんの後ろ盾があったからだと思っております。この動きは日本国内にとどまりませんでした」「私たちは、名護市は、沖縄は孤立させられるのではないかという心配を持っておりましたけれども、それらを跳ね除けて、孤立するのは名護市、あるいは沖縄県ではなくて、今のやり方を続けていくならば、日本政府が世界から非難されて日本が孤立してしまうことにつながるのではないか。日本の民主主義の熟度が試される、そういうところまで来ている」と勝利の核心について述べた。
 そして「これからが正念場だということも控えていると思いますので、みなさん方の日本中、世界中からの応援があるならば、私もまた前面に立って辺野古の埋め立てを白紙に戻す、そして普天間は即返還する、閉める、ということをかちとっていかねばならないと決意をいたしているところであります」「私たちは田舎の小さな街ではありますけれども、そこから強力な発信を続けてまいります。そして全国民から支持される運動をこれからつくりあげていきたいと思います。今『オール沖縄』が崩れかかってきたという話がございます。しかし私はそれはそうではない、建白書も私は生きていると思います。沖縄はまた一つにまとまれると思います。四年前のスタートが名護市長選でしたけども、今度それを再構築するためのスタートが今回の名護市長選でありたい」と名護市議選の意義を明確にし今後の闘う決意を示した。
 稲嶺市長の静かな語り口で力強い発言は、会場いっぱいに集まった二百五十名を超える参加者を勝利の喜びを共有し今後ともに闘っていこうという思いにさせた。主催した議員懇も再結成して初めての会合に稲嶺市長からの報告を受けたことで、辺野古新基地建設を許さない活動を決意させる場となったのだ。

 ●2章 歴史を画する名護市長選勝利の意義

 名護市長選挙の勝利は、歴史を画することだ。
 まずもって名護市民が権力に金に屈服せず、基地に依存しない、基地のない社会に向けた政治を選択したことだ。
 一九九六年辺野古新基地建設計画が浮上して以降、十八年五回の名護市長選のなかで、今回のように辺野古新基地建設に反対するか否かの争点が明確になった選挙はなかった。辺野古新基地と引き換えに金を垂れ流されたり、基地問題を棚上げにして争点がはずされたりしたことで辺野古新基地建設反対が過半数を占めた市民投票以降、名護市民は辺野古新基地建設への自己決定をはぐらかされてきた。その結果、基地容認―見返りの金頼みの市長を許してきた。しかし、その後の年月こそ、名護市民は基地の見返りの金と政策の欺瞞に気づき、子どもたちの未来にまで名護市が基地のもとに置かれることを拒み、稲嶺市政四年間の中で基地に依存しない政治、生活を作り出していけることをつかんできたのである。すなわち名護市民は政府に踊らされることなく覚めた目で選択したのだ。
 自民党・安倍政権は名護市長選の敗北が濃厚となってくるやいなや、「昨年末、沖縄県知事が辺野古埋め立てを承認し、そこは決定している」(菅官房長官)「基地の場所は政府が決めるものだ」(石破自民党幹事長)と名護市民の自己決定をないがしろにして屈服を迫ってきた。さらに石破は名護市に出向いて「五百億円の名護市振興基金」なるものをぶち上げ、露骨にも金で票を買うことまで言い出したのである。だがこれが名護市民の誇りを傷つけ怒りを買い、稲嶺市長の当選を決定づけたのだ。
 また名護市長選の勝利は、「オール沖縄」の沖縄人民の闘いを継続させた。
 自民党・安倍政権、日帝国家権力は普天間基地の県外移設=辺野古反対の「オール沖縄」を自民党国会議員と県議に公約を破らせることで崩し、さらに仲井真知事を抱き込んで埋め立て承認させたことで稲嶺市長の再選を阻むというドミノ倒しで、沖縄人民の闘いをズタズタにしようとしてきたのだ。
 しかし、「琉球処分」と同じだと言われた沖縄選出の自民党国会議員を屈服させた姿、仲井真知事に承認を取り付けさせたやり口など一連の政府の沖縄への圧力と差別に、「保守革新ではなく、人権の問題だ」と保守層の中でも自民党・安倍政権への怒りが渦巻いた。名護市長選はこの暴挙を止める砦として沖縄中からの応援へと波及したのだ。
 そして、名護市長選の勝利は、全国の反戦・反基地闘争をはじめ日帝国家権力と闘っている諸階級・層に勝利への展望と力を与えた。それは日本国内だけでなく、全世界へも波及し始めている。名護市長選でも国内外から多くの支援と連帯行動があったのだ。
 まさしく名護市長選の勝利は、辺野古新基地建設を阻止する展望を指し示しているし、沖縄差別軍事支配そのものに楔を打ち込んでいるのだ。この辺野古新基地建設阻止闘争は、対中国・朝鮮半島を射程に入れた米軍再編と自衛隊強化という新たな日米軍事同盟のもとに沖縄の基地を再編強化することに対しての闘いであるが、それ自体が沖縄の未来をどうするかということを全面的に問う闘いという日帝の沖縄差別軍事支配打破―沖縄解放への導水路となっているのである。言い換えれば、この一連の沖縄の基地再編強化を許すならば、また長い間、基地のもとでの生活を沖縄人民が強いられるだけでなく、釣魚諸島を口実とした戦争挑発によって再び戦争の犠牲を強いられるということであり、「本土」人民も日米軍事同盟の鉄鎖で戦争動員させられることとなるのだ。

 ●3章 稲嶺市長への敵対を強める安倍右翼反動政権

 安倍政権は、名護市長選の結果を消し去るように、矢継ぎ早に辺野古新基地建設を進めようとしている。そのために、稲嶺市長への敵対を強めてきているのだ。
 名護市長選後二日と経たぬ一月二十一日に、沖縄防衛局は、辺野古新基地の設計や環境調査などの受注業者を募る入札を公告した。政府は三月末までに業者と契約し、約一年かけて調査・設計を行い、二〇一五年春をめどに埋め立て工事に着手するとしている。さらに二十四日にも、辺野古新基地の陸上部のボーリング調査の受注業者を募る入札を公告したのだ。
 また、政府は二十一日、名護市の稲嶺進市長が辺野古新基地の工事を阻止すると主張していることを受け、防衛省の審議官一人を対処方針を策定する特命担当に指名した。総務省でも同日、「市が事務手続きを行わない場合は、工事を進めるために政府が県を通して(名護市に)是正要求することも考えられる」との見解を示した。さらに、二十三日には政府が市長権限を制限するため是正措置や行政代執行などを検討していることが明らかとなっている。
 一方、今や政府の先兵と化している自民党参院議員の島尻安伊子は、稲嶺名護市長が市長権限を行使して辺野古新基地建設を阻止すると述べていることについて、「政治目的から行政の権限を乱用することは地方自治法上問題だ」と言い放ち、辺野古新基地建設の旗振り役として稲嶺市長に敵対している。その上で辺野古埋め立てに伴う住民らの現地闘争に対し、「埋め立て工事では違法な妨害活動を阻止しなければならない。警察と海上保安庁の積極的な対応が必要だ」「危険な行為に先んじて対策を打つことが必要だ」などと、現地闘争への妨害と弾圧を公然と促し、古屋圭司国家公安委員長に「法と証拠に基づいて違法行為が行われたのであればちゅうちょすることなく、厳正に対処するよう沖縄県警にもしっかり指示したい」と言わしめ、現地闘争をさせないようにしている。沖縄選出国会議員という肩書を利用して沖縄を売り渡す最悪の輩、島尻安伊子の横暴を許すな!
 これらの暴挙を粉砕していくためには、仲井真知事の裏切りを許さず、稲嶺名護市長の決意を支持し、辺野古新基地建設阻止の闘いを推進していかなければならない。
 沖縄では、昨年暮れの仲井真知事による辺野古埋め立て承認をめぐる県庁前行動に人民が連続決起した。さらに知事辞任要求を決議した県議会や北中城村議会ほか、八市町村議会では県内移設断念や埋め立てを承認した知事に抗議する意見書などが可決された。そのうち二月三日に可決した名護市議会の知事承認撤回を求める意見書は、昨年十二月に安倍晋三首相が示した基地負担軽減策に仲井真知事が「驚くべき立派な内容で百四十万県民を代表して感謝する」と発言したことを「県民の総意と大きく懸け離れており、県民代表の資格はない」と厳しく批判。名護市長選で辺野古新基地建設に反対する稲嶺進氏が再選されたという民意を重く受け止めるべきだと強調した。その他の市町村議会での決議はこれからも予定されており、仲井真知事に抗議する決議が増える見込みだ。
 「本土」東京でも、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックらが昨年暮れの仲井真知事による辺野古埋め立て承認をめぐる県庁前行動に連帯し、官邸前、国会前、防衛省前と連続した抗議行動を展開した。さらに名護市長選勝利の翌日にも、〝名護したいーひゃ〟と銘打った防衛省への抗議行動をおこない、その翌週もおこなった。
 一月二十九日には東京の全電通労働会館ホールで、平和フォーラムと辺野古への基地建設を許さない実行委員会の共催による「辺野古新基地建設反対1・29集会」が会場いっぱいの約五百名の結集でかちとられた。沖縄からの訴えで、ヘリ基地反対協議会共同代表の安次富浩さんは、辺野古新基地建設の問題点を名護市作成パンフの画像を使いながら指摘した。そして「沖縄の将来は沖縄が決める」と力強く述べ、世界支援遺産の候補に大浦湾を入れるように求めていくことを明らかにした。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんも「政府・権力の圧力は、これまでにも増して執拗で、容赦ないものになるでありましょう。しかし、それにめげていたら、未来はないので闘わなければなりません。どうぞその決意をまず理解してください。全国は沖縄とともにあり、沖縄の闘いを守り、沖縄の民主主義が日本の民主主義につながる。そういう決意を示して、ぜひ沖縄とともに歩んでもらいたいし、闘ってもらいたい」と述べた。
 まさしく辺野古新基地建設阻止闘争は正念場だ。名護市長選勝利から辺野古新基地建設を阻止する陣形を沖縄―「本土」で強固につくりあげ、闘いぬいていこう!


 

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