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   米軍Xバンドレーダー基地建設阻止

    
京都府・経ヶ岬での新たな米軍基地の建設を許すな
     




 今年二月二十二日の日米首脳会談において、オバマ大統領と安倍首相は米軍Xバンドレーダーの日本国内への追加配備に合意した。これを受けて、京都府京丹後市の経ヶ岬に新たな米軍基地を建設しようとする策動が進められている。それは日米軍事一体化をおし進め、東アジアにおける軍事緊張と戦争の脅威を拡大するものだ。この新たな米軍基地建設を許してはならない。

  ●Xバンドレーダーとは何か?

 ここでいうXバンドレーダーとは、弾道ミサイル迎撃システムの一部であり、THAADミサイル(サード・終末高高度防衛ミサイル)という最新鋭の迎撃ミサイルのためのレーダーである。一千キロメートル以上の探査距離をもつこの高性能レーダーが捉えた情報にもとづき迎撃ミサイルが発射されることになる。
 米軍のXバンドレーダーは、米軍再編計画の一環として二〇〇六年に青森県つがる市の自衛隊車力基地に国内で初めて配備された。丹後半島の先端に位置する経ヶ岬への配備計画はそれに次ぐ二番目のものだ。その目的は朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)によるミサイル発射への対応とされている。つまり対共和国戦争体制づくりの一部である。車力のレーダーはハワイに向かうミサイルを、経ヶ岬に配備予定のものは主にグアム方面へと向かうミサイルをより前方で捕捉するためとされている。
 現代の戦争においてレーダーとそれが捕捉する情報は決定的に重要な役割を果たす。それゆえ戦争の際にはレーダーは真っ先に攻撃の対象となる。イラク侵略戦争においても米軍は開戦と同時にイラク側のレーダー網を破壊している。米軍Xバンドレーダー基地の建設は、丹後半島を東アジアでの戦争の最前線に変えるとともに、周辺住民を戦争とそれがもたらす破壊の恐怖にさらすものとなる。

  ●百六十人の軍人・軍属が駐留

 防衛省の説明によれば、米軍のXバンドレーダーの本体は現在の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地の敷地内に配備される。しかしそれだけでなく、制御設備や電源設備、冷却装置など関連設備を設置するために、新たに数ヘクタールの用地を取得して、そこを含めて新たに米軍基地がつくられようとしている。また、あわせて自衛隊基地自体の拡張も計画されている。
 建設予定の米軍基地には約百六十人の軍人・軍属が駐留するという。防衛省はそのほとんどが民間の技術者と警備員だと説明している。しかし、この説明はなかばごまかしだ。「警備員」とは、いわゆる民間軍事請負会社から派遣されるいわば傭兵なのである。米軍を先頭としたイラク侵略戦争なかで、米軍とともに米国の民間軍事請負会社ブラックウォーター社の傭兵による民間人虐殺が大きく非難されてきた。青森県・車力のXバンドレーダー基地の警備を請け負っているのは、このブラックウォーター社の関連会社である。
 またレーダーの設置にともなって、海側に向かって半径六キロの半円柱状の飛行制限区域が設定されようとしている。地元の人々はこれがドクターヘリの運用や海難救助・捜索活動に支障をもたらすことを懸念している。

  ●東アジアの緊張を煽る基地建設

 経ヶ岬での米軍Xバンドレーダー基地の建設は、第一に、朝鮮民主主義人民共和国を仮想敵とすることで、不可避に朝鮮半島・東アジアの軍事緊張を高め、戦争の脅威を拡大するものになる。日本政府・防衛省は「共和国脅威論」の排外主義的煽動をもってこの新たな米軍基地建設策動を正当化しようとしているが、日米の側の軍事強化、共和国への戦争挑発、戦争体制づくりこそがまず何よりも批判されていかねばならない。
 第二に、この米軍Xバンドレーダー基地の建設策動は、日米両軍の軍事一体化をさらに推し進めるものとなる。Xバンドレーダーの情報は自衛隊も共有し、ミサイルが日本を標的にしていると判断されれば自衛隊もイージス艦に配備されたSM3ミサイルなどによって迎撃する。しかしその判断基準はあいまいであり、常にグレーゾーンがつきまとう。米国を狙ったものを自衛隊が迎撃したとすれば、それは集団的自衛権の行使にあたる。こうした状況のなかで、安倍政権は集団的自衛権の行使そのものの容認に向けて動き出し、さらには憲法改悪の道を進もうとしている。
 第三に、いったん経ヶ岬での米軍基地の建設を許してしまえば、それは京丹後および京都府北部におけるさらなる軍事体制強化につながっていく可能性をもつ。レーダーが戦時において真っ先に攻撃の対象となることはすでに述べた。Xバンドレーダーが配備されれば、次にはそれを守るという口実で迎撃ミサイルが配備される可能性が大きいことが指摘されている。京丹後市に近い舞鶴市には海上自衛隊基地があり、このかんイージス艦の配備など対共和国戦争体制づくりの重要拠点として強化されてきた。この舞鶴自衛隊基地の問題を含め、米軍Xバンドレーダー基地の建設による、京都府北部におけるさらなる軍事体性強化を許してはならない。
 第四に、米軍基地のあるところではどこでも米軍犯罪がつきまとうということである。われわれはそれを沖縄や岩国、神奈川などの経験によって知っている。経ヶ岬の米軍基地だけが例外だということなど決してないのだ。青森県でも車力のXバンドレーダー基地に配属された「民間警備員」による住居侵入事件や地元の人への暴行傷害事件が発生している。

  ●反対運動を強化し建設阻止へ

 地元の人々は新たな米軍基地建設に多くの不安を抱いている。米軍による事件・事故をはじめ、レーダーが発する電磁波の周辺住民の健康や農漁業など生業への影響、飛行制限区域の設定がもたらす緊急医療等への影響、レーダーの冷却に必要な大量の水の取水と排水処理の問題など、多くの懸念が出されている。京丹後市が主催して行われてきた住民説明会においても不安や反対意見がいくつも表明されてきた。
 しかし、日米両政府はなんとしてもこの経ヶ岬での米軍Xバンドレーダー基地の建設をおし進めようとしている。その圧力のなかで、京都府および京丹後市はいくつかの条件を付けた上で、米軍Xバンドレーダー基地の設置の正式な受け入れ表明に向かおうとしている。
 反対運動を圧倒的に強化しなくてはならない。地元住民の不安と向き合い、反対の声を拡大し、京丹後市・経ヶ岬での米軍Xバンドレーダー基地建設阻止のたたかいを全関西的・全国的な課題へと押し上げていかねばならない。これはまた、日米軍事一体化のさらなる推進や集団的自衛権の行使容認・憲法改悪策動など、安倍政権による戦争への道に抗する極めて重要なたたかいの一部だ。
 アジア共同行動・京都は「止めよう!経ヶ岬の米軍レーダー・危険な戦争準備を許さない」緊急府民の会・南部連絡会の一角として、このたたたかいを全力で担っている。沖縄・岩国・神奈川でのたたかいに連帯するとともに、全国反基地闘争の一部として京丹後市・経ヶ岬での米軍Xバンドレーダー基地建設策動を阻止するために共にたたかい抜こう。


 

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