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■9・1米軍・自衛隊参加の東京都総合 防災訓練(目黒区)に反対しよう! 九月一日、今年も東京都総合防災訓練が東京都と目黒区の合同で行われようとしている。二〇〇〇年「ビッグ・レスキュー」から十二年、我々はその時々の当該地域の闘う仲間と共に、この「防災」に名を借りた治安出動訓練・戦争動員訓練に反対の声を上げ続けてきた。とりわけ、二〇〇〇年のビッグ・レスキューに始まり、以降も度々会場にされてきた東京東部圏においては、石原の「三国人」発言に端を発したこの訓練を許さず、「関東大震災時の朝鮮人虐殺を繰り返すな!」をスローガンに掲げた息長い闘いが続けられている。今年は目黒区内の公園や小中学校を主要舞台に行われ、品川・世田谷・大田などの近隣区や都立高校への参加要請もされていることが判明している。〇五年からは米軍の参加も強行され、同時期より「国民保護訓練」の様相も強くなってきた「防災訓練」が、今年はどのような内容で行われるのか。以下、この間の情勢を振り返りながら注目していきたい。 ●スカイツリー舞台に「対テロ」訓練 五月二十二日、墨田区の東京スカイツリーがついにオープンした。これに先立つ四月三十日には、「光と影のスカイツリー」を舞台に「大規模テロ災害対処訓練」が行われた。主催は東京都と墨田区だった。東京では実に久々の「国民保護訓練」であった。「スカイツリー展望室で有毒物質使用のテロにより、多数の傷病者が発生。地上階においては爆発物を所持した不審者が確認された」という想定で、陸上自衛隊・警察庁・東京消防庁・東武スカイツリー関係企業、都職員・区職員、区民(周辺町会)五百名など、計二千名を動員した大規模訓練だった。我々は、「かつて関東大震災時の流言蜚語(朝鮮人が井戸に毒を入れた、爆弾を投げている)を想起させるような訓練想定に抗議するぞ!」「最大のテロリストは、猛毒をまきちらした東電と日本政府だ!」と声を上げ抗議行動を取り組んだ。 ゴールデンウィーク真っ只中、スカイツリーを一目見ようと詰め掛けた多くの観光客の前で繰り広げられたのは、お遊戯会かと笑ってしまう対テロ訓練ショーだった。「不審者」が現れるやシェパード犬が台本どおりに「ワンワン!」と吠え掛かる。拳銃をぶっ放している男が安々と警官に取り押さえられて連行される。「不審者」が残していった黒バックに、対爆スーツと楯で身を固めた爆弾処理班がにじり寄る。「乾電池と導線らしき物が確認されました」とアナウンスがされたのち、アームで掴んで特殊車両に収納、運び去られた。展望室ではやはり「不審者」が「わ~!わ~!」と声を上げながら「毒物」を散布すると、「観光客役」が「うー、バタバタ」と倒れる。すると来場者は何故かスカイツリー自慢の高速エレベーターを使わずに、三百五十メートルの高みから非常階段をゾロゾロと歩いて避難させられる。スカイツリーに上れるとの甘言で動員された区民たちはウンザリ顔だ。倒れてタンカに乗せられた「負傷者」は、階段の途中で消えたらしい。そして宇宙服のような防護服で身を包んだ自衛隊が登場し、「除染」。―このような茶番に、いったい幾らの血税が使われたのだろうか?。なによりも奴らが叫ぶ危機管理体制・治安管理の強化は、差別・排外主義を煽る「効果」にしか繋がらない。 ●市街地レンジャー訓練 続いて行われたのが、六月十二日、自衛隊の市街地レンジャー訓練(板橋区・練馬区)だ。地方の特性に合った遊撃活動・森林戦・夜戦・山岳戦・市街戦などのエキスパート―レンジャー部隊を育てるための訓練、文字通りの戦闘訓練の終着点として、荒川戸田緑地にヘリから降下した隊員たちが市街地を「行進」するというものだった。名前は「行進」であっても、市街地を戦場と想定していることは明らかである。迷彩服を着て、顔を真っ黒に墨塗りし、銃を携帯した隊員らが白昼堂々街なかを行軍する姿は極めて異様であり、注目を浴びた。このような訓練は、一九七〇年以来、四十二年ぶりだという。何故今なのだろうか?。 ●自治体動員し「自衛隊区役所宿泊訓練」 「レンジャー訓練」に驚かされたばかりの七月、今度は「自衛隊区役所宿泊訓練」なるものが行われることが判明した。七月十六日夜に練馬駐屯地を出発した陸上自衛隊第一師団(首都圏での戦闘や治安を担う)が、迷彩服のまま徒歩・車両等で二十三区の区役所を目指して進出、十七日朝にかけて一泊するというのだ。この演習は、陸自東部方面総監部が統合任務部隊司令部となり、陸海空三自衛隊の全部隊を指揮するものだ。さらに米軍も参加した。名目は「災害派遣訓練」。「災害派遣」と言っても、自治体行政から要請を受けての派遣と違い、防衛省が勝手に必要と決めて展開する「自主派遣訓練」だ。地域の拠点である区役所や、清掃工場(防災拠点に指定されている)を制圧し、後続部隊を誘導し、宿営地化するというシナリオ。有事訓練・治安出動訓練の目的があからさまだ。 しかも、なぜよりによって「さようなら原発十万人集会」が呼びかけられている七月十六日に行うのか? 「暴徒鎮圧」の裏想定があるのではないかと勘ぐらざるを得ない。二十三区の各地で、区に対して「自衛隊の受け入れを拒否しろ」等の抗議申し入れが急遽闘われた。迎えた十六日、猛暑の中「さようなら原発十万人集会・デモ」を闘い抜いた仲間たちは、その足で練馬駐屯地や練馬区役所へ向かった。出発地点での抗議行動を取り組むためだ。練馬駐屯地から、オートバイで、車両で、徒歩(八~十名の小隊ごとに)で、ゾロゾロと出てくる迷彩服姿の自衛隊員に対し、約二時間にわたり「街を歩くな! 基地へ帰れ!」「区役所ジャックを許さないぞ!」と抗議の声を上げ続けた。先のレンジャー訓練でも同様だったが、自衛隊は「練馬隊友会」や右翼排外主義者どもに動員を頼み、「兵隊さんありがとう。応援してます。感謝してます」などと叫ばせ「日の丸」をうち振らせ、反対行動に結集した市民と対峙させた。まったくもって許しがたい。 ●9・1「防災訓練」反対に決起しよう 3・11東日本大震災・原発事故から一年半。このようにたて続けに強行された自衛隊の市街地訓練の目的は何であろうか?。これらの訓練を通して、自治体側や市民に自衛隊主導の災害対処に慣れさせようという意図が第一にあるだろう。大震災への恐怖を利用し「防災」に名を借りて推進されるこれらの態勢は、そっくりそのまま治安出動や「緊急事態対処」にも使えるものだ。平素から自治体の「防災」・「危機管理」部門に、自衛隊からの出向者や自衛隊出身者を送り込み、自治体行政に介入する仕組みを作る計画も着々と進められている。都教委は、今年度から全都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施、消防・警察・自衛隊が「指導」にあたると発表。すでに数校で実施されている。十数名もの自衛隊員を招き講演や実習指導を受けた高校もあったようだ。 来る9・1東京都総合防災訓練もまた、自衛隊を宣伝アピール(防災とは無関係な戦闘機やPKO派兵の写真展示コーナー、子どもに自衛隊員の服装をさせて写真撮影させるコーナーなど)し、自治体・労働者・市民・学生・子どもらが自衛隊と共同作業することに慣れさせる目的が、軍事色が、今まで以上に濃くなっていくだろう。東日本大震災被災地において、自衛隊は確かに「活躍」した。しかしそこには、被災地での救命・救援ということだけではない国家権力の意図が貫かれている。菅政権は、レスキュー隊などを優先するのではなく、「自衛隊十万人出動」をもって国家が被災地全体の治安を掌握しようとしたのだ。軍事的目的―軍隊の治安出動が第一に企図されていたのである。 さらに言えば、福島原発事故の「最大危機」情報を自衛隊が独占し、避難民を置き去りにして避難所から撤退したこと、「トモダチ」の米軍が、いち早く八十キロ圏外へ退避したことなどを忘れてはいけない。「危機」において、軍隊は市民を守らない。守るために存在してはいないのだ。 欺瞞に満ちた「防災訓練」に否の声を! 九月一日、現地監視・抗議行動へ結集を! 共に闘おう! |
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