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   3・11反原発闘争に決起せよ!

  
原発再稼働・輸出断固阻止!   全ての原発停止させ廃炉に
 



 二〇一一年三月十一日午後二時四十六分、東北地方太平洋沖地震が発生した。あれから、もうすぐ一年を迎える。今年の一月十八日時点で、犠牲者は死者一万五千八百四十四人、行方不明者三千三百九十三人(総務省発表)である。心からの哀悼の意を表明する。多くの被災者は今なお苦しんでいる。福島第一原発の崩壊、ならびに放射能汚染の拡散は収束していない。福島への差別抑圧、生活破壊が強まり、被曝労働者、被曝者、避難者が拡大している。反原発運動の歴史的前進をかちとらねばならない。復興庁がようやく設置された。日帝・独占資本が復興利権を略奪する機構である。復興特区やTPPをもって新自由主義が被災地人民を襲うのだ。新自由主義的略奪・再編とたたかう被災地人民の自立自闘の復旧・復興の闘い、その支援を断固推進していかねばならない。
 ここに共産主義者同盟(統一委員会)から、3・11大震災一ヵ年の政治アピールを提起する。3・11の当日、天皇や野田首相・官僚・自衛隊・大ブルジョアジー・労働貴族などが列席した中央追悼行事が排外主義的統合攻撃として策動されている。これを徹底的に批判し、痛打を浴びせなくてはならない。3・11は、反原発の巨万の決起をつくりだす日である。福島・郡山現地の「原発はいらない!」大集会をはじめ、大阪・中之島、北九州など全力で反原発の闘いを推進する。即時停止と廃炉を求め、放射能汚染からの避難を支え、被曝労働者・被曝者の解放運動をすすめる。日帝―野田政権を打倒する全人民政治闘争の怒りの炎を燃え上がらせよう。ともに、新たな階級闘争構造を建設し、日帝打倒―プロレタリア社会主義革命を準備し、統一戦線建設を進め、革命のコミューン・ソビエトをつくりだしていこう。


  ●1章 原発事故の「冷温停止状態」「収束」はペテン

 さる十二月十六日、野田は福島第一原発事故の収束を宣言した。「冷温停止状態」だという。大嘘である。爆発した原発現場では、いまも、ストロンチウムやプルトニウムなど種々の放射性物質を飛散させ、高濃度の放射能汚染を生み出している。多くの被曝労働者を犠牲にしている。放射線量が高すぎて、実状は把握できない。メルトダウンしたまま、放射性物質が垂れ流されている。二号機では、大量の注水を続けているのだが、温度計の一つが振り切れ、放射性物質の飛散が強まっている。昨年十一月、高い水温を示し放射性キセノンを放出し、政府・東電が部分的な再臨界を認めたのが二号機だった。一号機、二号機、三号機、四号機では、津波以前の大地震発生時、配管や圧力容器・格納容器・建屋が破損した。その証拠はあがっている。メルトダウンし、核燃料が融けたまま溶融物となり、放射能物質を閉じ込めることが出来ない状態にある。大量の注水でかろうじて冷却しているが、膨大な放射能汚染水を出し、土壌・地下水・海・空中へと放射能汚染が拡散している。レベル七のチェルノブイリ原発爆発事故を超えている。、広島型原爆百六十八発分のセシウム一三七など放射性物質が飛散しつづけている。半減期二万四千年の猛毒のプルトニウムも拡散している。三号機は、プルトニウムとウランのMOX燃料が使用されているという重大な問題がある。四号機も酷い。大量に存在する使用済み核燃料の貯蔵プールが傾き、崩壊の危機を抱えている。四号機の貯蔵プールが崩壊すれば、大量の使用済み核燃料棒が壊れ拡散し、大爆発する。余震が続く福島第一原発は、それが大きければ再び爆発や再臨界を発生させ、莫大な放射能汚染を繰り返す状態にある。
 今年一月、福島など放射能汚染地域では、一時間あたりの放射性物質の放出量が七千万ベクレルへ上昇した。山林の枝葉についた放射性物質が舞い上がり、同時に、福島第一原発自身から拡散しているからであった。一月の放射性物質の放出量は、一号機が二百万ベクレルで先月の五分の一だったが、二号機は二千万ベクレルで二倍となり、三号機も五千万ベクレルで一・二五倍に増えた。注水冷却の循環パイプの凍結や破損・劣化などで汚染水漏れが日常化している。汚染水のたまり水は福島第一原発のいたるところに存在している。高濃度・猛毒のストロンチウムやプルトニウムの吸着剤が循環パイプに設置された。放射性物質の拡散は現在も進行中である。深刻である。
 「冷温停止状態」「収束宣言」とペテン的言辞を吐く野田政権。福島現地をはじめ全人民が満腔の怒りをもって糾弾している。野田が政権発足時に語った「脱・原発依存」も真っ赤な嘘である。政府官僚・電力独占・電機独占資本・御用学者・報道機関や原発の地元権力者など「原子力ムラ」利権構造が巻き返し、核武装の技術的産業的基盤を死守するために、うそにうそを積み重ねて、原発の再稼働・輸出をしようというのだ。


  ●2章 日帝―野田政権の原発再稼働と輸出を阻止せよ

 現在、商業用原発五十四基のうち、ほとんどが定期検査や故障で停止し、残すところ二基の原発だけが稼働している。北海道電力の泊三号機、東電の柏崎刈羽六号機である。政府・電力会社たちによる「電力不足で原発不可欠」キャンペーンはまったくの欺瞞であった。このまま五月に入ると全原発が停止する。
 そこで野田政権は、原発の再稼働や輸出を進めるため、福島原発事故の「冷温停止状態」「収束」を捏造したのだった。二月八日、大飯原発三号機・四号機のストレス・テストに関する経済産業省原子力・保安院の審査会が行われた。結果は耐震・津波対策など「安全裕度」を「妥当」とした。傍聴者を別室に隔離し、三菱重工などから多額の寄付金をうけていた岡本幸司(東大教授)など三名の「利益相反」委員の辞任要求を抑え込み、委員会内部の正当な反対意見を封殺し、ストレス評価の「妥当」をでっち上げた。傍聴した福島からの女性が「今も、もくもくと煙をあげ、収束していない」と激しい怒りで委員につめよった。大地震の地盤変形が原子炉圧力容器・格納容器を損壊させたことや、瓦礫を含んだ津波がすさまじい破壊力であり、大火災も発生させたことなどが東日本大震災で明らかとなった。これらの福島原発崩壊の検証・総括はまったく反映されていない。欧州のストレス・テストは市民への判断材料を提示するためにある。大飯原発のストレス・テストは、今後、原子力安全委員会やIAEAの確認、地元自治体の可否、首相・閣僚の再稼働可否の判断という過程をとる。大飯町長や地元住民は、福島の検証もないなかで、再稼働に否定的である。当然である。断固、再稼働阻止をかちとらねばならない。
 野田政権は原発輸出にきわめて積極的である。昨年十二月十三日、ロシア、ヨルダン、韓国、ベトナムと原子力協定を結んだ。これも福島原発崩壊の総括がないまま、「原発輸出ありき」で断行した。世界中の原発権益の寡占支配をねらっている。日帝は、米帝がスリーマイル事故で原発増設をやめ、その技術と人材を後退化させるなかでは(軍事はもちろん維持)、今日、仏帝と並ぶ屈指の原発推進国である。原発利権の世界的拡大をねらい、しかも、核武装の技術・材料・人材を長期に確保・維持する手段として、日帝の原発輸出路線はあるのだ。
 ロシアとの協定では、ウラン資源とウラン濃縮材料を大量に確保し、東芝などが再処理工場や最終処分場をロシアで共同管理する予定だ。日帝は、原発の燃料資源の大量調達先を押さえ、世界各地に原発を売り込み、原発を建設し、その運転管理などの技術・人材をにぎり、使用済み燃料の再処理・廃棄物処分場を押さえることができる。
 二〇〇七年には日米原子力共同行動計画を確認した。安保理常任理事国は、日本だけにウラン濃縮と再処理を認めている。原発のライセンス・開発を日米で独占し、世界市場の制覇へと動き出すためだった。すでに、中国・アジア各地へ原発の主要部品・材料を輸出している。韓国の原発輸出も日本からの技術なしには不可能だ。先日、オバマ政権は、新規の原発建設を再開し、東芝が買収したウエスティング・ハウス社が受注した。南ジョージア州ボーグルに原発二基をつくるのだ。ベトナム・インドなどアジアにおいて、日帝は原発輸出を拡大しようとしている。
 国際連帯によって原発輸出を断固阻止しなくてはならない。


  ●3章 東電・政府の責任追及し、あらゆる被曝を許さない闘いを

 福島原発事故が発生して以降、政府は東電など電力独占・電機大資本などとグルになり、情報を隠蔽し、高い放射能被曝を許容する殺人行政をとってきた。「ただちに健康に危害を及ぼすものではない」と。内部被爆を含めた法定の年間被曝限度の一ミリシーベルトは、緊急対処だとなし崩しに緩和された。福島をはじめとする子どもへの被曝限度量は、年間二十ミリシーベルトまでひき上げた。はげしい抗議が闘われ、子どもには年間一ミリシーベルト未満を努力目標へ押し返したが、二十ミリシーベルト枠を残したままだ。原発の収束にあたる大量の被曝労働者には、通常値の年間五十ミリシーベルト(五年間の総量では百ミリシーベルト以内)から二百五十ミリシーベルトとした。これは「核実験に従事した兵士の基準に近い」(広島市立大・高橋博子さん)。
 SPEEDIによる放射能汚染の拡散情報とその地図は即座に米国へ提供され、その後、政府・経産省・自衛隊等へ流された。この重要な情報は被災・避難の住民には四月末まで長い間隠蔽された。飯館村などの方面へ避難した住民は放射能汚染の移動先へ動いたことが後に発覚した。食品には暫定基準値として、放射性セシウムでキロ当たり五百ベクレルを設定した。これを内部被曝に換算すると一回で十マイクロ・シーベルトとなり、これを十回摂取すると年間一ミリシーベルトとなる。内部被曝は外部被曝と比べようもなく危害が強い。アルファ線・ガンマ線・ベータ線が体内の諸器官・細胞を直接破壊するからだ。今年四月から食品基準を一キロ当たり百ベクレルへ下げるが、この基準も二十回取り入れると年間一ミリシーベルトの内部被曝となる。
 福島原発の現場では被曝労働者がすでに六人以上死亡している。さる十月の東電発表によれは、3・11に下請け作業員一人死亡、東電社員二名の行方不明(のち遺体発見)、五月に東芝の第四次下請け作業員・大角さん死亡(遺族が労災申請)、八月に下請け作業員一人死亡、十月に下請け作業員死亡などである。六月には、東電社員二人の累積被曝量は六百五十四ミリと六百五十九ミリであり、三人が二百五十ミリを超えていた。被曝労働の労災認定基準は、被曝労働を一年以上続け、白血病になった人について、五ミリシーベルト×労働年数であった。これをはるかに超える被曝が政府公認の下、福島原発の現場で労働者を蝕んでいる。政府も東電も百ミリシーベルト以下ならガンにならないと強弁した。しかし厚労省の発表では被曝の労災認定した十人中九人が百ミリ以下であった。四次から六次までの原発下請け労働者の構造には、ヤクザ手配師の支配とピンハネが横行し、被曝線量の管理はずさん極まる。その放射線管理手帳に被曝線量を記さず、各地の原発を回されるケースも多い。福島原発の事故現場で約百四十三名の労働者が行方不明となる事件が暴露された。これはニセの身分証明書などでヤクザに働かされるケースが大半だという。大阪・釜ヶ崎の求人で宮城行きのはずが、福島第一原発敷地内で働かされていた事実も発覚した。
 放射線被曝は六シーベルト(三千万ベクレル)で致死量となり、一シーベルトで吐き気・だるさ・血液異常など顕著な被害がでて、死ぬ人もでる。低線量であっても閾値(これ以下だと安全という数値)はなく、細胞のDNAの分子結合を傷つけ、命と健康・心身を破壊する。だからこそ福島第一原発を収束させ、放射能汚染の発生源を封じ込めることが最善の対策である。除染作業は現状では効果が無く、原発独占資本のボロ儲けか、一時的に移動するだけだ。避難と安全な食べ物で被曝しないのが一番の対処なのである。
 細野原発事故担当大臣は、野田収束宣言の同日、「住民が追加で避難しなければならない事態はもう絶対に起こらない」と言い切った。しかし、福島の現実は、子どもや女性などの避難民・移住者を不可避としている。福島県郡山市はさる十一月八日、小中学生を対象とする十月五日から三十三日間の累積放射線量を測定した。平均値は〇・一二ミリシーベルトで、これは年換算で一・三三ミリシーベルト。最大値は〇・四五ミリシーベルトで、年換算四・九八ミリシーベルトに達した。チェルノブイリ周辺の避難基準に当てはめると、郡山の子どもたちが通っている学校はほとんどが移住義務区域に相当する(年間被曝線量五ミリシーベルト以上)。
 細野原発相や政府は、年間二十ミリシーベルトを年間被曝限度へと拡大した。またしても子どもや妊婦に重大な健康被害の影響を及ぼす犯罪的で殺人的施策なのである。結局、命や健康よりも損害賠償を安くすることが優先されている。一二年度の原子力予算は、前年度予算より1・1%減の四千百八十八億円の横ばい。原発の代替である再生可能エネルギー関連は、技術開発費を増やしたが、総額は二千百億円余と原子力の半分だ。高速増殖原型炉「もんじゅ」は、前年度比二割減の百七十五億円で継続するというのだ。到底、認められない。
 福島県が強く求めた十八歳以下の子どもの医療費無料化は政府から拒絶された。一方で、政府・独占資本は、山下俊一(長崎大付属系、御用学者)という原発推進派を福島県に送った。山下は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任し、放射線限度の基準値大幅緩和を正当化した。「福島に健康リスクは無い」「毎時百マイクロ・シーベルト(年千ミリシーベルト)を越さなければ健康に影響ない」「飯舘村でも健康に害なく生活できる」等である。山下は福島県立医大の副学長にも就き、さる八月、放射線影響研究所と福島医科大が「教育・研究・保健分野の連携・協力協定」を結んだ。線量計をもつ福島の子どもたちに対して治療ではなく、被曝の人体実験材料にするというのだ。そのために福島医大の敷地には大幅な研究施設棟の増築が進んでいる。
 また、ゼネコンなど独占資本による瓦礫処理は、実際には放射性物質を含んだ瓦礫の全国への拡散と焼却としてなされている。瓦礫の焼却によって、放射能の二次的拡散が強行されているのだ。


  ●4章 全国で反原発闘争に決起し歴史的前進をかちとろう

 東電は、四月から企業向け17%の料金値上げや、秋に個人家庭の10%値上げの計画を発表した。東電社長は「事業者の当然の権利だ」と開き直った。全人民の怒りがますます高まっている。公約裏切り民主党政権に閉塞感を強めた労働者人民が、それを突破する反原発闘争へ陸続と決起している。こうした政治経験は、労働者・被抑圧人民の解放闘争の歴史的前進をかちとる好機である。3・11の一ヵ年にむけ、反原発闘争の任務を提起したい。
 第一は、福島など原発崩壊と放射能被害による搾取・差別抑圧・心身破壊を強いられる被曝労働者・被曝者の解放闘争をつくりだすことである。福島はもちろん東北・関東でも放射能の高汚染地帯(ホットスポット)が各地に存在する。野菜、穀物、肉類、魚介類、飲料水・牛乳にまで食品の放射能汚染がひろがっている。外部被曝とともに内部被曝を防ぐ課題は重大である。子どもたちや女性をはじめ労働者人民による放射能被曝・差別抑圧からの解放運動を本格化しなくてはならない。低線量被曝を含む放射能被害に閾値はない。人類と原発・核は共存できない。福島原発崩壊と放射能の拡散・被害を総力で収束させねばならない。これまでの放射能汚染・被害の情報隠蔽や規制緩和を進めた政府・東電など電力会社・電機独占資本・御用学者などの責任を追及し糾弾していかなくてはならない。大衆的実力闘争をもって国家・企業等から謝罪と賠償をかちとることだ。福島などの被曝者・被曝労働者の医療受診を充実させ無料化としなくてはならない。汚染地帯からの避難・移住、その国家的補償を実施させなくてはならない。原発の即時停止・廃炉化、核兵器廃絶、平和的生存権にむけた反戦反核反原発、被爆者、被爆二世・三世と新たな被曝者の解放運動を推進していかねばならない。
 第二は、貧困化・非正規など雇用と生活の破壊とたたかう労働者、左派労働運動と反原発運動を結合し、階級的労働運動を拡大していくことである。一時間〇・六マイクロ・シーベルトの放射線区域は「放射線管理区域」である。そこへの立ち入りは厳重に管理され、十八歳未満者の労働は禁止となる。こうした労働安全・健康管理を強め、被曝労働者の命と健康・生活の破壊を阻止しなくてはならない。被曝労働者を闘う労働組合に組織し、原発現場などに労働基本権を確立していくことである。
 第三には、原発の再稼働・輸出を狙う日帝―野田政権の打倒にむけ、全人民政治闘争・統一戦線を牽引することである。昨年、9・19の東京六万人決起など各地で反原発の大高揚が闘われた。今年の2・11代々木公園の集会デモには一万二千人が決起した。経産省抗議の占拠テントも反原発の運動拠点として展開されている。東電前、関電前、中電前など、直接抗議アクションが若者を中心に連続して行われている。これらの各地の闘いや、国際的な闘いと連帯し、原発の再稼働と輸出を阻止する全人民決起や統一戦線を大胆に牽引していくことである。たんぽぽ舎など反原発運動を長く担ってきた勢力とともに、その闘いの最前線に立って、日帝・野田政権を打倒する全人民政治闘争の大高揚をつくりだしていこう。
 3・11には、福島・郡山現地の開成山球場で行われる「原発いらない!3・11福島県民大集会」や、大阪・中之島公園、北九州など各地で反原発闘争の大爆発をかちとろう。さようなら原発一千万人アクションの署名行動をすすめ、3・24日比谷の集約集会・デモの成功を実現しよう。7・16の反原発大闘争も打ち出されている。祝島など上関原発建設阻止、福井現地の闘い、浜岡原発の完全廃炉化、九州・玄海原発反対など、原発の廃炉化・新増設阻止の闘いを全人民の広範な統一行動によって推進しよう。
 第四には、反原発闘争と反安保・反基地・国際連帯を結合し、反帝国際主義の政治的潮流の拡大をすすめることである。原発政策は日帝の核武装の基盤である。「もんじゅ」など「高速増殖炉」「再処理」は軍事転用できる高濃縮プルトニウムの生産システムであり、核戦争準備と一体のものである。在特会などファシスト排外主義勢力が反原発運動に敵対し、公然と核武装を宣伝している。これを粉砕しなくてはならない。反原発闘争は、核武装した日米軍事同盟の破棄や在沖在日米軍基地の撤去、アジアからの米軍総撤収の闘いと結合することを通じて、より強力な闘いとなる。日米帝の差別軍事支配と闘う沖縄解放闘争、アジア最大規模の米軍出撃基地とされる岩国基地の強化反対闘争など、反基地・反安保闘争と反原発運動を結合しようではないか。
 アジア太平洋地域では、米日帝が原発政策を支配する構造が強まっている。そしてチェルノブイリや福島の原発崩壊は、国境を越えて甚大な被害を長期にわたってもたらす。反原発国際連帯は不可欠である。アジア太平洋地域で大衆的な反帝国際統一戦線であるAWCは、1・28~1・31にCCB(キャンペーン国際調整委員会)を韓国で開催し、「原発の全廃を求める国際決議」もかちとった。またアジア・ノー・ニュークスは、反原発の国際行動として、先進的な闘いをくりひろげてきた。こうした闘いを支援し、反原発国際連帯をすすめよう。


  ●5章 被災地への新自由主義攻撃・復興特区・TPPを許すな

 反原発闘争とともに、被災地の住民・労働者・被抑圧人民による復旧・復興の厳しい闘いを支援することが求められている。被災地の仮設住宅建設は90%以上実施されたが、コミュニティ崩壊、厳寒と水道凍結など苦しい生活がつづく。瓦礫も一次処理が徐々に進んだけれども、最終処分はまだまだである。雇用、職場、農地・漁港の復旧は依然厳しい。心身の疲労・ストレス、健康破壊も続いている。労働者人民の解放運動勢力・革命的労働者党の支援責任が問われ、断固、応えなくてはならない。
 復興庁が二月上旬に設置された。税制優遇、規制緩和、企業誘致、高台移転、漁村・学校の整備交付金を軸とする「復興特区法」が実施される。総額十八兆円という税金や国債からの国家資本が被災地に投入される。独占資本が被災地の復旧・復興の利権に群がっている。自衛隊出身で野田と同じ松下政経塾出身の村井・宮城県知事は、「地球規模で考え日本の発展を視野にいれた計画」をとなえた。野村総研や三菱総研、日本総研など財閥系シンクタンクと結合し、「復興特区」設置やTPPで宮城復興をめざすものだ。「漁業特区」は沿岸部の集約と切り捨てであった。この選別・棄民化に抗議し、漁協が自らの生存権を押し立て、村井県政に怒りの総決起をしたことは記憶に新しい。
 太平洋セメント、宇部三菱などのセメント独占や、鹿島、清水建設などゼネコンが瓦礫処理・復旧インフラ工事などをどんどん受注している。認定された宮城の「民間投資促進特区」は、県内三十四市町村に三百八十九個所の「復興産業集積区域」を設ける。そのなかで、トヨタなど自動車とその部品産業・下請けを誘致し、その他、電子機械、食品加工、医療などを引き入れ、それらの法人税も五年間無税とした。岩手県の「保健・医療・福祉特区」では、病院の医師や看護師らの配置基準の緩和などが目論まれている。福島では、米国のコンサルティング会社A・Tカーニー社が進出し、植物工場などを画策している。
 復興特区とTPPによる東北被災地の「復興」事業は徹底的に批判されなくてはならない。新自由主義を強め、独占資本へ富を集中させ、農村農業や漁村漁業を大規模な株式会社経営へと統合し、多くの切捨て・棄民化が強行される。特区に群がる一部の大企業・資産家と、棄民化される農漁民・零細の過疎地域は激烈に進む。東北被災地に「1%の富裕層、99%の困窮層」といった格差・差別と貧困化が強まる。大切な食糧自給や、農村・漁村におけるコミュニティ、生物多様性、自然の豊かさ、環境景観など、その重要な多面的機能が大資本によって破壊されようとしている。労働者人民、農漁民の抵抗と反撃を組織していかねばならない。
 東日本大震災では、今なお、三十三万人が避難生活をおくっている。福島では十五万人が避難し県外に約八万人超が暮らす。被災三県では、大震災を原因とする約十五万人の失業者・離職者が生まれた。三十日分の解雇予告手当ての不支給も多かった。これには労働局も加担した。今年一月十二日から震災特例で延長された被災者の失業給付が次々と切れていっている。二月末までに約四千名が失業給付をうしなう。厚労省は自己責任で雇用確保すべきと見殺しにした。復興特区やTPPの動きと連動しているのだ。それは、経団連=独占資本の新自由主義的特需の要である。とりわけ「派遣法抜本改正」や「高い労働コストと多様性・柔軟性に欠く労働市場」(「二〇一一成長戦略」)を敵視し、いっそうの改悪化をねらっている。経団連が昨年五月に提言した「復興・創生マスタープラン」には、新自由主義・規制緩和の反労働者攻撃が列挙されている。「震災復興特別区基本計画で定める特例措置の例」は、「雇用の維持・確保に関する措置」として、次の項目を打ち出した。「・三六協定限度時間の緩和、・特別条項に定める時間外労働時間の延長時間の緩和、・一年単位の変形労働時間制の弾力的な運用、・期間の定めのある労働者の雇用期間上限緩和、・労働者派遣法における専門二十六業務に関する弾力的運用」である。要するに、一日八時間(週四十時間)の労働時間制を破壊し、労働者に低賃金・長時間労働・無権利を強制し、大企業のほしいままに労働力の搾取支配をしようというのだ。しかも、派遣や契約など「使い捨て」・非正規の雇用形態を強め、独占資本は特区内の労働者を奴隷労働としてこき使おうとしているのだ。日米帝がアジア各地の労働者に行う低賃金・長時間労働・権利剥奪の仕組みが東北被災地に持ち込まれようとしている。「ノーストライキ・ノーユニオン」の「輸出自由地域」「経済特区」と同じ攻撃が東北被災地の労働者に仕掛けられている。
 「復興特区」とTPPによる被災地への新自由主義攻撃をぜったいに許してはならない。断固として、押し返していこう。政府・大資本の新自由主義攻撃と闘い、被災地の労働者・被抑圧人民に主導された復旧・復興の取り組みに支援を注いでいかなくてはならない。


  ●6章 被災地人民の自立自闘による復興へ階級的連帯を

 東北被災地の復興利権にたいして、日米帝国主義=独占資本・多国籍企業が搾取・略奪・抑圧を激化させている。富める者がますます富み、多くの貧しい者がますます困窮する状況である。経団連など大企業(資本十億円以上)は、前年比九兆円増の約二百六十六兆円も内部留保金を溜め込んでいる。今年の経労委報告は、総額人件費の抑制、定昇ダウン・個人実績主義をぶちあげ、労働者へ賃金削減といっそうの非正規化を方針化した。東北被災地の復興事業を特需として食い物にし、さらなるボロ儲けをたくらむ独占資本。資本主義の無慈悲な基本矛盾はあらわである。「復興」の美名の下、東北地方で貧富格差、99%の困窮者が強制されていく。東北被災地の差別・格差・貧困化・棄民化が激烈に進むことに、怒りと批判は高まっている。大資本の進出・支配強化に抵抗し、地元主導の復興も反撃も生まれている。
 漁業は、水産資源・自然環境を守ってこそ成り立つ。農業・農村もまた、里山など生物多様性と豊富な水と自然環境や地域共同体、伝統的景観によって続いてきた。労働者・被抑圧人民は社会的多数であり、本来、生産の主人公である。これら全人民が差別分断を許さず、大資本・国家と対決し、連帯・団結することで、巨大な力を発揮することは歴史が証明している。
 独占資本による新自由主義的略奪、差別と格差・貧困化の攻撃に対して、被災地の労働者人民の怒りと抵抗・団結を支えていかねばならない。被災地人民の未来にむけた自立自闘の「復旧・復興」の取り組みを、断固として支援しなくてはならない。このたたかいは持久戦であり、長期戦である。東北被災地の差別と棄民化を許さず、粘り強い支援をおこなっていこうではないか。
 この一年間、左派労働運動、青年労働者、学生、被差別大衆の解放運動などの諸団体・活動家・有志が被災現地への粘り強い長期の復興支援を行ってきた。さらに朝鮮学校即時無償化実現をたたかう人々が、仙台や福島の被災した朝鮮学校の復旧支援を取り組んでいる。被災地の滞日外国人労働者支援も行われてきた。
 このような労働者人民の解放運動勢力が主導する階級的連帯の復興支援こそが全面化されなくてはならない。そうした闘いの蓄積のなかに、日帝(米帝)・独占資本の差別抑圧・略奪・侵略戦争を打倒する、プロレタリア社会主義革命のコミューン・ソビエト建設が内在しているのだ。我々は、その先頭に立って闘う。
 3・11大震災一ヵ年に対し、共産主義者同盟(統一委員会)は、以上の政治アピールを提起する。ともに闘わん!



 

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