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   天神峰現闘本部破壊・撤去を弾劾する

           
8・6三里塚現地攻防

  

 
 八月六日未明、千葉地裁執行官と成田空港会社、千葉県警は、反対同盟が所有する天神峰現闘本部を「強制執行」と称して急襲し、破壊撤去した。この歴史的暴挙を満腔の怒りをこめて弾劾する!

 ●1 未明の破壊攻撃

 千葉県警は午前三時三十分から機動隊七百五十人を集結させて、攻撃を準備した。執行官は公然とは姿を見せないまま、夜明け前から「強制執行」を開始した。破壊を請け負った西森土木のハサミつきユンボ二台が壁を引き剥がし、次々と産廃コンテナ車に積み込んで運び去った。
 現闘本部の建物は、一九六六年に建設された木造の建物部分と、一九八八年に増築された鉄骨・鉄板三階建て部分がある。さらに、その外側に運輸相(現在は国土交通相)が封鎖処分で施した鉄板が取り囲んでいた。しかし、その構造など何ら区別することなく、ただただ引き剥がして切り刻んで積み出してしまった。しかも、我々が抗議していた北側の鉄板だけは目隠しとして最後まで残し、反対同盟や弁護団が内部を確認したり撮影したりすることを妨害し続けた。
 この攻撃の急報を受けた反対同盟と支援連は、現闘本部北側に隣接する市東孝雄さんの畑に結集した。現闘本部は空港会社が二重の鉄板フェンスで囲い込んでいながら、県警は機動隊を動員して戒厳態勢を敷いた。機動隊は、私有地である市東さんの畑の入り口で検問を強行した。この重弾圧態勢を打ち破って結集した反対同盟と支援連は破壊現場に肉薄して、「現闘本部死守、強制執行許さない」の横断幕を掲げ、反対同盟の闘争本部破壊という権力犯罪を徹底弾劾した。知らせを聞いて各地から駆けつけた人々とともに、「作業をやめろ」「作業員は帰れ」「現闘本部を奪還するぞ」「証拠隠滅弾劾」「反核、反原発」「被災地の怒りとともに闘うぞ」と声をあげ、弾劾し続けた。
 午前九時に現場に到着した弁護士が執行官との面談を要求した。また、成田治安法封鎖処分が毎年更新されており、封鎖処分を無効にして破壊撤去を強行するためには、国土交通相あるいは国交省の担当職員が立ち会うのが当然であり、これに対する面談も要求した。しかし、空港会社社員が威圧的に対応するだけで、執行官の所在も何も答えなかった。

 ●2 「世の中が変わるまで闘う」

 午前十時三十分、反対同盟と弁護団は、市東さんの畑に設置したテントで記者会見を行った。
 萩原進さんが最初にマイクをにぎり、現闘本部に対する思いを述べた上で、「この無様なやり口は何だ。国策というなら、国民の理解の得られるやり方があるだろう。それができないところに、われわれが勝利できるという確信がある」と語った。
 北原さんは、「現闘本部は、反対運動が始まったときに反対同盟と全国の支援者の資材、労力、カンパで建てられた建物だ。全国の労農学の憩いの場、交流の場だった。旧地主との間で地上権を設定し、反対同盟が使用する正当な権利がある。地裁、高裁は実地検証の要求から逃げ続けた。高裁は仮執行つきの反動判決を出した。現闘本部は私の名義だが、何の連絡もなく取り壊された。破壊に怒りを持っている」と語った。さらに、報道陣に対して「日本の一角でこんなことが起きていることをもっともっと報道しなければいけない」と述べ、「これからも三里塚闘争は、世の中が変わるまで闘いますよ」と結んだ。
 弁護団は、「執行官への面談を求めたが、空港会社職員が出てきただけで、執行官は出てこない。執行官がいるのかも答えない。国交省の担当者にも会わせない」と手続きの違法を批判した。また「反対同盟は、地裁藤山裁判官による執行官への現闘本部破壊授権決定を不服として、最高裁に特別抗告中である。この判断が出ていないうちに、強制執行を行うのは不当だ」、そして「当事者である北原さんへの立会いの是非をたずねることもなく、夜間に執行するという連絡も受けていない」と、違法不当な強制執行であることを弾劾した。

 ●3 悔しさを怒りに変えて

 十時過ぎには、北側の鉄板も撤去し、敷地の鉄板フェンス越しには何も見えない状態になった。十一時過ぎには完全に破壊し尽くして、ユンボも停止した。
 反対同盟と支援連は皆怒りをたぎらせつつも、この状況を確認し、現場での弾劾行動を終了した。全体が市東さん宅の庭に再結集して、総括集会を行った。
北原さんは「ここまで追い込んだという点で今日は勝った。三里塚の闘いは日本が変わるまで続く」と総括した。
 萩原さんは「あれほどフェンスで囲い込んでいても、8・6広島の早朝四時という、ある意味禁じ手の時間にやってきたことが、彼らの弱さの表れだ。今日の悔しさを怒りに変えて、次に倍返ししよう」と檄を発した。そして、当面する具体的方針として「市東さんの畑の裁判、第三誘導路の裁判など、この問題はまだ終わっていない。市東さんの農地を守る運動を目的意識的に強化していこう。八月三十日の裁判は重要なので傍聴闘争をよろしくお願いします。監視行動は、畑の防衛のため続けていく」と確認した。
 弁護団は「今後の法廷で、今日の現闘本部強制執行の違法、違憲を追及していく。空港会社に責任を取らせる。成田の問題は全国的な問題だ。3・11福島原発の事故から、矛盾が深化している。空港廃港まで闘おう」と呼びかけた。
 動労千葉、関西実行委員会、さらに、支援各派が発言した。統一委員会の同志は、反対同盟四十五年の闘いの拠点を破壊した空港会社、千葉地裁、千葉県警に対する憤りを明らかにするとともに、侵略反革命と闘う被爆二世の会を先頭にした8・6広島の反核―反原発闘争と結合して三里塚闘争を闘っていく決意を述べた。
 総括集会終了後、鈴木加代子さんの炊き出しおにぎりを頂いた。現闘本部は不当にも破壊されたが、反対同盟は全く動じず、意気軒昂である。

 ●4 闘争圧殺攻撃を打ち破れ

 8・6現闘本部破壊撤去の暴挙を、われわれは憤怒をもって心に刻み込み、必ず三里塚闘争の勝利をつかみとるまで闘うことをしっかりと確認しよう。
 空港会社、千葉県警は、七月四日以降破壊のための周到な準備を重ねた上で、8・6広島に多くの人々が取り組んでいるその日を狙って攻撃してきた。弁護士によれば、通常民事事件で執行官に強制執行を土曜・日曜に要請しても実施することは決してない。土曜日に執行官が動くこと自体が、国家権力の強い要請なのだ。
 誘導路の工事としては、この時期に現闘本部を破壊撤去する緊急性は決してなかった。市東さんの農地の裁判はまだまだ続いているからだ。現闘本部を撤去しても第一誘導路が直進化できるわけではない。この時期に強行したのは、反対同盟の闘争拠点を破壊し、三里塚闘争そのものの圧殺を狙ったということだ。
 5・20東京高裁井上の超反動判決と五十名逮捕弾圧という攻撃をもってしか「仮執行」に踏み込むことができなかった。そして、千葉地裁の7・4強制執行決定、8・6未明の急襲という攻撃を重ねてきた。しかし、反対同盟と支援連は5・20弾圧を全員完黙非転向で押し返し、7・4以降8・6現地攻防まで徹底的に攻勢をとって闘ってきた。この結果、残ったものは、空港会社の卑劣で残忍な攻撃の事実であり、反対同盟の大義である。

 ●5 違法執行徹底追及

 そして、弁護団が明らかにしたように、徹頭徹尾違憲違法の不当な強制執行だったということだ。
 八月六日の攻撃は、反対同盟の闘争拠点の破壊であると同時に、国家的な証拠隠滅だったからだ。上告審がこれからなされるというときに、実地検証が一度もなされていない現闘本部を、内部を確認できないように隠しながら破壊したのだ。
 千葉地裁の7・4強制執行決定は、内部の木造建物を「収去」の対象とし、封鎖を解除せぬまま破壊できるとしていた。東京高裁はこの決定の誤りを認めながらも、授権決定を行なった。反対同盟は、これに対して特別抗告を行っていた。その決定がなされていない状況で、執行を強行したのだ。
 執行官がなす強制執行であったが、だれも執行官がいたことを確認していない。千葉地裁は、報道機関に対しても「内容は非公開」として、執行官の人数も含めて何一つ事実を明らかにしていない。報道機関ですら、執行官による「執行」を確認していないのだ。
 強制執行にあたっては、訴訟の当事者である反対同盟の代表を立ち合わせなければならないが、執行官は北原さんに対して、立ち会いの要請すら行なっていない。また、未明からの強制執行は夜間執行の許可が必要だが、その許可がなされているのかどうかも明らかにしていない。
 三里塚なら、法を乗り越えて何をやってもいいなどということを絶対に許してはならない。しかも、裁判所の執行官がその指揮をとったのだ。この理不尽きわまりない攻撃の責任を絶対にとらせなければならない。

 ●6 市東さんの農地を守る闘いを

 空港会社は、現闘本部破壊の次には、市東さんの農地を奪おうとしている。
「訴訟」を装った農地強奪攻撃と同時に、市東さん宅を誘導路で取り囲む第三誘導路の軒先工事を本格化させている。大型クレーンを使った難工事だ。二百億円もの血税をつぎ込む誘導路工事を即刻やめさせよう。
 成田空港建設がだまし討ちの繰り返しであることは四十五年間一貫している。空港建設に対する怒りを新たにし、体を張って農地を守る反対同盟とともに闘おう。



 

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