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  新「防衛計画の大綱」下、

    進む沖縄への日本軍=自衛隊配備許すな



 新たな防衛大綱・中期防衛力整備計画(中期防)で陸上自衛隊の部隊配備が検討されている与那国市、石垣市、宮古島市に対し、沖縄防衛局は二月までに大綱・計画の説明とともに部隊配備に向けた調査の意向を伝えた。防衛省は二〇一一年度予算案で調査費三千万円を計上し、(来年度の)「可能な限り早い時期に(調査に)着手する」としているのだ。
 調査について同防衛局は「部隊配置等に向けた具体的な調査になる」とし、内容については「先島諸島の全般的な状況やインフラ整備の状況等を調査する」と説明している。与那国町によると、四月以降にレーダーを積んだ車両を持ち込んで、電波環境などの調査をするという。
 防衛大綱や中期防で、宮古島以西での対応能力の強化を明記、「必要最小限の部隊を新たに配置する」としている。与那国島への沿岸監視部隊の配置、石垣島と宮古島には実動部隊の配備をしようとしているのだ。新「防衛計画の大綱」については、『戦旗』一三六五号三面で批判しているので参照されたい。

 加速化する策動

 自衛隊の艦船が、今年二、三月と連続して各地の港湾施設に入港し、宣撫工作を精力的に展開している。
 二月十九日には、海上自衛隊沖縄基地隊所属の「あおしま」「ししじま」(いずれも五百十トン、定員四十五人)の掃海艇二隻を災害派遣に備えた港湾調査などを理由として石垣港に入港させた。さらに入港中に特別公開として八重山防衛協会などの協力団体を招いたり、市議会議長や議員が昼食会に出席したり、一般公開をおこなったりしたのである。これに対して市民団体や労働組合のメンバー約五十人は「自衛隊はいらない」などとシュプレヒコールを繰り返し、掃海艇の入港に抗議した。
 また、その翌月三月三日、海上自衛隊第三護衛隊群(京都府舞鶴市)所属のイージス艦(護衛艦)「あたご」(七千七百五十トン、全長百六十五メートル、乗組員二百五十人)が、乗組員の休養と災害派遣時に備えた港湾調査を理由として石垣港の港湾区域内(検疫錨地)に入港した。入港に合わせて、母港の佐世保地方隊からトップの加藤耕司総監も来島し、中山義隆市長と面談して護衛艦を出迎えた。また艦内で市議会議長や八重山防衛協会の役員と会食もした。乗組員が上陸した接岸場所では、市民団体の集会が開かれ、プラカードやシュプレヒコールなどで抗議の意志を表した。
 一方、「あおしま」「ししじま」も同日、西表島白浜港を出港し、港湾調査と一般公開を理由として与那国島久部良漁港に寄港したのだ。
 宮古島以西での自衛隊の動きは、約十年前から具体的になっているが、昨年から一挙に加速化している。
 三月北澤防衛相が与那国初視察と同町への自衛隊配備検討発言、五月石垣市が初の自衛官募集業務受託方針表明、六月自衛隊ヘリ搭乗体験、八月衆議院安全保障委員会の議員が与那国と尖閣視察、十一月与那国防災訓練に陸自百二十人参加、十二月石垣市・竹富町が国民保護協議会関連条例提案、自衛隊音楽コンサート開催等々。そして、今年に入ってから前述した連続の入港、三月自衛隊採用予定者激励会開催といった具合である。
 以上のように自衛隊は、これまで地元の利権者を導水路にして議員、首長に自衛隊配備を容認させ、なし崩しに乗り込んで住民への宣撫工作をおこなってきた。一度も住民への説明を行なわず、住民の了解を得ないままである。住民自身が話し合って決める機会もない。防衛省は沖縄戦の経験にもとづく住民の反自衛隊感情を恐れている。
 宮古島、石垣島、与那国島の住民は、反対の声を上げ続けている。与那国島では、昨年九月の町議選で反対派議員が初めて当選し議会で追及する一方、平和で明るい豊かな与那国を求めて設立された与那国改革会議が署名運動を展開している。二〇〇八年の町議会での自衛隊誘致決議が住民の理解がないままにやられたことから、住民不在の自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止を求めているのだ。
 反対する住民の呼びかけに応え、宮古島以西への自衛隊配備に反対していこう。四月以降にも強行されようとしている配備のための調査を許すな。


 

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