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  高江ヘリパッド建設工事再開弾劾!

   工事強行を許さず現地闘争軸に闘おう



 沖縄の東村高江の米軍ヘリパッド建設阻止闘争が、一挙に緊迫している。沖縄防衛局が、昨年十二月二十二日、まだ日が昇る前の暗闇に職員と作業員約百名を動員して、ヘリパッド建設予定地N1とN4の出入り口周辺のフェンス設置工事を強行したのだ。午前六時過ぎにかけつけた住民らに、二、三十人の職員らが腕を組んで立ちはだかった。「工事をやめろ」「裁判所は話し合えと言っているだろ」と追及すると、現場責任者は「裁判は知らない」「フェンスを設置するだけだ」とうそぶくだけで、工事を完了させ、ユンボなどの重機や、砂利を含む資材を搬入した。翌日には機材を運び入れ、本格着工に向けた環境調査を実施したとしている。
 また一方、フェンス設置が強行された翌日二十三日の夜、米軍ヘリのホバリング(空中停止)によって座り込みテントが破壊された。強風でテントの支柱は曲がり、中にあったいすや割れた茶碗が散乱し、道路上に約四十メートル飛ばされたいすもあった。近くで乗っていた車が大きく揺れ、沖縄平和運動センター・事務局長の山城博治さんも恐怖に襲われたのだ。この日も、事件を調査せずに作業を強行したが、住民らの抗議を受けて中止した。
 この事態にすぐさま、「ヘリパッドいらない住民の会」と弁護団をはじめ支援者や県議会議員や国会議員約四十名は、同月二十八日に抗議申し入れに、沖縄防衛局に乗り込んだ。当初、課長対応で会おうとしなかった沖縄防衛局長・真部朗を、抗議団はその場に座り込んで断固とした決意を示したことで、引きずり出した。しかし、真部は、テント破壊に対して「照会中」という説明に終始し、回答期限についても明らかにしなかったのだ。翌日には、米軍も「テント上空でヘリは一切、ホバリングしていない」と、テント破壊とは無関係だと言いのけた。さらに事件から三週間以上もたった一月十三日、真部自ら、住民らが座り込むN4のテントを初めて訪れ、その場でも「事実関係を究明中」と言い放った。約百二十名で真鍋ら沖縄防衛局職員を迎い入れた住民をはじめ市民団体や国会議員らは、怒りの声をあげた。
 「本土」東京でも、これまで闘争を支援してきている「ゆんたく高江」実行委員会や沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックらが、緊急の連帯行動を展開してきている。昨年の年末には、「ゆんたく高江」実行委員会や沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会の有志が緊急で、防衛省前抗議行動と新宿ど真ん中デモをたて続けにおこなった。そして、今年一月十日には、沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会と「ゆんたく高江」実行委員会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの三者の呼びかけでアメリカ大使館への抗議・申し入れ行動をおこなったのだ。
 ヘリパッド建設工事は、年明けて一月十一日にも未明からフェンス中に入り作業をおこなっている(翌日の十二日には沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかけて、防衛省への緊急抗議行動をおこなった)。まさしくテント破壊をごまかすことで、工事を中断せずにヘリパッド建設を押し進めているのだ。
 この事態は、来年度予算案の最終的な調整時期に来て、来年度にも建設を継続させるための動きというだけではない。明らかに昨年5・28日米共同声明による辺野古新基地建設の三度の強行と普天間基地の「県外移設」を訴える沖縄という状況の中での、日米両政府の新たな踏み込みである。
 一月二十日、訪沖した北澤防衛大臣が仲井真知事に、「SACO合意の残っている課題を優先し、急いで沖縄県民の負担軽減を実現する」と話した。辺野古新基地以外の基地機能強化を押し進め、まったく使っていない部分を返還することを負担軽減であるかのように立ち居振る舞い、辺野古新基地建設とのパッケージをごり押ししようとしているのだ。
 また来年に迫ったオスプレイ配備開始がある。そもそも高江ヘリパッド建設は、普天間基地の返還を名目にした辺野古新基地に、現在普天間基地に配備されているCH46Eの後継機として二〇一四年までの配備が決まっている垂直離着陸機MV22オスプレイの訓練場なのだ。そのオスプレイが二〇一二年十月から順次普天間基地に配備されることが米二〇一一年会計年度の「航空機の配備計画」に明記された。また、新基地建設計画の遅れや中止の場合も想定し、米軍予算で普天間飛行場への駐機場建設や滑走路、路肩の整備などを計画していることも判明している。
 そして、沖縄防衛局は地元高江の現区長を抱き込み、補償を条件に容認させているのである。
 まさしく、高江ヘリパッドの建設工事の強行へと踏み切ってきている。それも国会権力自ら裁判制度というブルジョア民主主義もかなぐり捨て、実力行使してきたということだ。
 二〇〇八年十一月に沖縄防衛局は住民らを対象に「通行妨害禁止」の仮処分を申請し、認定された二名が不服申し立てをしたことによって本訴をし、現在裁判中である。この間、裁判所が両者に話し合いを求めるとともに、訴えられた二名がどういうことをした場合にどういう被害が被るか明らかにしなさいと言われているが、沖縄防衛局は何も提出していない。つまり、沖縄防衛局はまったく「通行妨害禁止」の必要性の証明をしていないということだ。まさしく、このような裁判中に工事を強行するということは、裁判を否定するものだ。またまた法律の上に安保体制・日米同盟があることをさらけ出したのである。これで「通行妨害禁止」の仮処分申請によって住民らを恫喝することだけが目的であったことも、あらためて明らかとなった。
 工事強行を続けている事態に、高江住民の会は、二十四時間の監視活動を決め、緊急時には現地にかけつけることを呼びかけている。三月から六月まではノグチゲラなどの繁殖期として、これまで工事を沖縄防衛局はやらないできた。当面、二月まで支援を集中することが重要だ。現地座り込みにかけつけるとともに、名護新基地建設阻止闘争と結合して、闘争を強化・拡大していこう。



 ■ヘリパッド予定地フェンス設置工事強行に対する緊急抗議声明

 高江ヘリパッド建設に関し、沖縄防衛局は、二〇一〇年十二月二十二日早朝午前六時三十分ころから午前八時過ぎころまでの間、住民らの抗議を押し切り、約百名もの大量の人員を導入してヘリパッド周辺のフェンス設置工事を強行した。
 ところで、日本政府は、二〇一〇年一月、高江住民二名を相手として、通行妨害禁止の訴訟を提起した。この訴訟において、政府は、同年十月一日に開催された口頭弁論期日において、裁判所から主張の特定と立証の補充を求められていたが、これを怠り、同年十二月一日に開催された口頭弁論期日を事実上空転させた。
 このような政府の態度は、自ら提起した訴訟における裁判所の釈明要求にしたがわない一方で、訴訟とは無関係に工事を強行するものであって、司法権を軽視するものとして到底許すことのできない暴挙である。
 さらに、十二月一日の口頭弁論期日においては、裁判所から、住民らとの対話による解決を促されていたにもかかわらず、今回の工事強行は、住民らとの対話を避けて早朝に敢行されたものであって、対話による解決を放棄するものといわざるを得ない。
 そもそも、同訴訟において被告とされた二名は、平和的に抗議ないし監視活動を行っていたものであり、行き過ぎた行為は全く行なってない。さらに、裁判所から政府に対して主張・立証の補充が求められていることに現れているとおり、同訴訟に提出された資料によっては、政府の請求は何ら根拠づけられないものである。
 結局のところ、政府は、同訴訟を提起することによって裁判の負担を住民側に負わせ、さらに市民に対して様々な萎縮効果を呼び起こしながら、肝心の訴訟においては裁判所の訴訟指揮には従わずに自らは主張立証を怠った上で、訴訟の進行状況とは全く無関係に工事を強行するというものであって、訴訟手続自体を、住民弾圧の道具として利用しようとするものにほかならない。
 われわれは、住民らに対する説明・対話を放棄した工事強行に厳重に抗議するとともに、きわめて不当な本件訴訟を直ちに取り下げるよう求めるものである。

          二〇一〇年十二月二十二日

                 ヘリパッドいらない住民の会

                 ヘリパッドいらない弁護団



 

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