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 ■沖縄反革命統合38カ年弾劾

 4―5月闘争の大爆発から安保粉砕―沖縄解放へ突き進もう




 日帝の沖縄反革命統合三十八ヵ年を迎える今日、沖縄解放闘争は歴史的なたたかいへと至っている。沖縄人民は、日米両帝国主義の普天間基地の「県内移設」と真っ向から対峙しており、米軍再編の推進・在沖米軍基地の維持・強化を脅かし、日米安保体制を揺り動かしているのだ。
 沖縄人民のみなさん、「本土」労働者人民のみなさん! この歴史的なたたかいに、わが共産同(統一委員会)は、全力で決起します。ともに決起することを呼びかけます。
 4・25沖縄県民大会と全国でのたたかいの勝利で、五月沖縄闘争へ突き進んで行こう。沖縄のたたかいとともに岩国・神奈川の反基地闘争を実践的に推進し、米軍再編粉砕をかちとっていこう。安保粉砕―沖縄解放へ突き進もう!


 ●一章 普天間基地問題を突破口にした日米同盟・米軍再編の推進

 ▼@米帝・オバマ政権と日米同盟―在沖米軍

 ◆(1)QDRに見られる米帝の軍事戦略

 米国防総省が二月一日発表した「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)は、イラク・アフガン戦争を基に予算や戦略を策定し、加えて、近代化した他国軍や、非国家組織による攻撃を含め、幅広い安全保障上の挑戦に備えた、としている。
 その中の「同盟国との協力」では、「同盟国や友好国との関係強化は米国の安全保障政策の中核。核兵器廃絶が実現するまで米国が核抑止力を堅持する。日本や韓国への抑止力を提供する」。「在日米軍再編」では、「アジア太平洋地域の平和と安定のため同盟国や友好国との関係を強化し、同時に地球規模の安定のため貢献を促す。日本とともに在日米軍再編のロードマップ合意を履行し続ける。それにより在日米軍駐留が堅持され、グアムが地域の安全保障の拠点となる」とした。
 米帝・オバマ政権は、中国への警戒を強め、「テロ」との闘いなど同盟国へ米帝の世界戦略に沿って地球的規模で行動する要求を強めている。
 米帝にとって、普天間基地問題への関心は、鳩山・民主党政権が米帝の世界戦略に従うのか否か、日米同盟を引き継ぐのか否かにある。また、米帝は普天間基地の返還が沖縄の米軍基地の撤去への導水路となることを危惧しているのである。
 民主党が昨年八月の総選挙で大勝した、そのときから米帝は「普天間問題の見直しはない」と言い放ち、「日米同盟の根幹にかかわる」と脅しをかけてきた。民主党の脆弱さを利用し揺さぶりをかけて、米帝の思惑通りに決着を図ろうとしているのだ。
 QDRでは、また、これまで採用してきた二つの大規模紛争に同時に対処する「二正面作戦」を見直すとしつつ、イラク・アフガン戦争を勝利のうちに終わらせるために、軍事投入をさらに強化しようとしている。
 米政府はQDRの公表に先立ち、二〇一一年会計年度の国防予算案七千八十億ドル(約六十四兆円)という過去最大規模の予算要求を行った。このうち、イラクやアフガン戦費は千五百九十億ドルで、これとは別に昨年決定した三万人のアフガン増派に必要な経費三百三十億ドルを一〇年度予算の補正予算に要求しているのだ。

 ◆(2)在沖米軍の展開

 アフガニスタンでは、二月十二日には計一万五千人規模で、二〇〇一年の開戦以来、最大規模の攻撃をおこなったことをはじめ、戦闘を激化させており、対中国への警戒を含め、沖縄での米軍の展開も活発となっている。
 今年二月二十二日から二十六日まで行われた日米共同訓練ではF16戦闘機が米アラスカ州から十機、米空軍三沢基地(青森県)から六機飛来。米海兵隊岩国基地(山口県)からFA18戦闘攻撃機が四機、韓国・烏山からA10攻撃機が七機飛来。これに自衛隊機が加わり早朝から深夜まで訓練を繰り返した。これまでにない最大規模の演習となっている。
 二〇〇六年五月の在日米軍再編合意では、嘉手納基地の「負担軽減」のためとして同基地所属のF15戦闘機の「本土」への訓練移転で合意。しかし、それをはるかに上回る(嘉手納基地配備でない)外来機が飛来しているのだ。
 この外来機は、この演習に限ったことではなく、今年に入り二月六日にアンダーセン空軍基地所属のB52H戦略爆撃機が緊急着陸、同月十一日に米アラスカ州エレメンドルフ空軍基地所属のF22戦闘機四機、十二日に米海軍厚木基地からFA18Eスーパーホーネット戦闘攻撃機三機が飛来した。同月二十七日にF15戦闘機四機、三月二十五日にF22ラプター戦闘機四機が飛来しているのだ。
 また、米軍がアフガン戦争に投入している最新型の対地雷装甲車(MATV)がキャンプ・ハンセンに配備されている。MATVは、旧型の対地雷・伏兵攻撃防護(MRAP)型装甲車と防護力は同じだが、車体を軽量化し、山岳地での走行性や機動性を強化している。米軍のイラクからアフガンへの作戦移行に伴い、沖縄でも最新型の車両を導入している。
 一方、二〇〇八年八月に米海軍ロサンゼルス級原子力潜水艦「ヒューストン」が放射能物質を含む冷却水漏れ事故発覚後から三回目となる寄港を三月二十二日に強行するなど、原潜の寄港が急増している。今年の原潜寄港回数は七回目(三月現在)。原潜の寄港は統計を取り始めた一九六八年以降、〇七年に二十四回と初めて二十回を超え、〇八年は四十一回、〇九年は三十二回となっているのだ。

 ▼A日帝―民主党政権の日米同盟の維持・強化

 米軍再編の推進と在沖米軍基地の維持のために強い態度でのぞんでくる米帝に、鳩山・民主党政権は、すぐさま日米同盟の堅持を表明し、普天間基地問題でも屈服を深めている。その政府案での協議を米政府に「現実的でない」と拒否されたことで、五月決着の目処が立たないでいる(四月上旬現在)。
 鳩山をはじめ民主党は、そもそも(米軍の)「駐留なき安保」を標榜し、選挙マニフェストでは「緊密で対等な日米関係を築く」とうたっていた。この「緊密で対等な日米同盟関係をつくる」「日米地位協定の改定提起」「米軍再編や在日米軍のあり方の見直し」という点は、連立政権合意文書においても踏襲されたのである。
 しかし、これまでの自民党政権とは違う売り出し文句も風前の灯となっており、これでは自民党政権と結局は変わらないと、支持率が30%を割る一因となっているのである。
 先月成立した二〇一〇年度予算において、米軍再編経費と「思いやり予算」とSACO関係経費の合計額が、過去最高の三千三百六十九億円に上っている。
 米軍再編経費の中で増額幅が大きいものには、在沖米軍海兵隊の移転を名目としたグアムでの米軍基地新設費(前年度比百二十六億円増)、米海軍厚木基地の空母艦載機を米海兵隊岩国基地に移駐する経費(同二百十五億円増)がある。さらに愛宕山の用地買収費が初めて計上され、キャンプ・シュワブ内の既存隊舎などの再配置や環境現況調査を継続するための費用も計上された。
 「思いやり予算」も千八百八十一億円と依然、高水準だ。民主党は、「思いやり予算」について「事業仕分け」を米軍基地で働く従業員の給与水準だけを対象として実施し、「見直しを行う」との評価結果を出した。しかし、政府は一〇年度予算で「見直し」をしなかったのだ
 SACO関係経費についても前年度比五十七億円増の百六十九億円。米海兵隊北部訓練場の新たなヘリパッド建設の工事費も盛り込んでいる。
 特に米軍再編については、防衛大臣・北沢みずから、(普天間以外のものは)「淡々と予算計上をして執行していく」と表明しているのだ。
 確かに、自民党政権の長年の政策を一挙に転換させることは難しいと、まだ民主党に期待を寄せる人はいる。しかし、そのまま民主党はその期待に応えることはできないだろう。
 民主党政権の本性は関係閣僚の発言の中にも垣間見られる。防衛大臣・北澤や外務大臣・岡田、官房長官・平野から、いろいろと飛び出す連立政権の合意内容すら逸脱した発言だ。ここには、米帝の恫喝に屈服した姿が現れており、沖縄人民の生命と財産を守る姿勢は微塵も見られない。沖縄人民の反対の声は受け入れないという、まさしく沖縄差別そのものだ。自民党政権と変わらない、帝国主義の権益を防衛する軍事同盟の堅持というブルジョア政党としての姿をさらけ出しているのである。日本帝国主義の歴史的な沖縄への差別軍事支配の姿だ。
 自民党の政治から変わってほしいと望んだ労働者人民の圧倒的支持で誕生した民主党政権が、自民党政権の政策の見直しをできないのであれば、政権の崩壊へとたどることになる。労働者人民自らが政治を変える革命的なエネルギーを持ち続け、突き進んでいくことが勝利の鍵である。沖縄人民が団結を強めることと全国でたたかうことが重要なのだ。


 ●二章 今こそ沖縄人民のマグマを爆発させ、島ぐるみ闘争を

 ▼@名護市長選勝利の地平から普天間「県内移設」阻止へ

 今年初めの名護市長選(一月二十四日)勝利は、沖縄―日本階級闘争の新たな転換への大きな政治的結節環となった。名護市長選勝利が一地方自治体の選挙勝利の意義にとどまらない、辺野古への新基地建設阻止・米軍再編粉砕への重要な政治闘争の勝利であったことを何度も何度も確認しよう。そして、わが沖縄労共闘と沖縄労働者・人民はその中軸で政治闘争(階級闘争)としての名護市長選をけん引し、勝利をかちとったことも。
 それゆえに、「日米同盟堅持」「安保抑止力」論にしがみ付く鳩山政権下の番頭=官房長官・平野は、「市長選の結果は斟酌に値しない」と言いなし、「(地元と国が)合意しているかは別問題」だとして、法的強制での新基地建設強行もちらつかせたことは記憶に新しい。首相・鳩山や外務大臣・岡田、防衛大臣・北沢も「ゼロベース」「政府が本来決めること」と辺野古移設案を排除しないことをことさら強調し、名護市長選勝利の地平をねじ曲げようと画策したのだ。
 だがしかし、沖縄労働者・人民はすぐさま反撃に立ち上がった。二月二十四日の県議会「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」の退場なき全会一致決議がそれだ。名護市長選勝利の地平で、辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない、普天間基地の即時撤去という沖縄人民総体の怒りと闘いが県議会決議として表現されたのだ。県議会決議を一片の紙切れにさせるわけにはいかない。沖縄人民は、四月二十五日県民大会開催の決定をもって、大衆闘争としての反撃を組織化することをただちに開始した。この稿が発表される頃には、4・25県民大会の大爆発・大勝利が刻印されているであろう。
 沖縄労働者・人民は、昨年もオバマ来日・日米首脳会談という政治日程に対峙する形で「11・8辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」を二万一千名の大結集で成功させ、沖縄人民の意志と階級攻防の中味を明確に示してきた。この地平の中から、名護市長選勝利をかちとり、確実に普天間基地の即時閉鎖・撤去の闘いを政治闘争として組織してきたのであり、一過性のスケジュール闘争ではない連綿とした階級攻防戦としての内実を生み出してきたのである。
 同時にそれは、沖縄内部における激烈な路線闘争としても組織されている。沖縄一区選出議員の下地(国民新党)は、今まで自公政権によって独占されてきた利権構造を占有するため、嘉手納統合案・キャンプ・シュワブ陸上案を公然と打ち上げ、新たな分断を図る策動を強めた。それに触発され、新たな利権に群がろうとする部分が、うるま市勝連半島沖埋立て案を提示し、鳩山政権番頭の平野との茶番劇で、沖縄人民の怒りと闘いを分断し、封殺しようと画策していることも断じて許せない。また、「県」知事・仲井真も同様だ。「県内は非常に厳しい」というものの、自らの態度・方針は明らかにせず、他人事のような言動に怒りが高まっている。いかに「暫定」とつけようが、「十五年使用期限」などと意味付与しようが、「苦渋の選択」だとか「ベターな選択」というこれまでの自民党政権の「論理」と何も違わない、反動そのものであり、粉砕以外のなにものでもない。
 鳩山政権は「三月中に政府案をまとめ、五月中に決着をはかる」としているが、マスコミを通して伝えられる意図的な「情報」はすべて「県内移設」である。むしろ、各地の「候補地」を上げかく乱することで、結局は再び当初の辺野古沿岸案を押し付けてくる野望も見え隠れしている。三月二十五日には、与勝海上基地建設計画反対うるま市民協議会主催のうるま市民総決起大会が開かれ、勝連半島沖埋立て案の白紙撤回と普天間基地の無条件即時返還を決議し、断固たる反撃を開始した。
 われわれは、沖縄人民の「県外・国外移設」要求を、まずもって第一義的に断固支持する。だが問題の本質は、普天間基地の「移設地探し」ではないことは自明だ。沖縄人民は、普天間基地の即時閉鎖・撤去を求めているのであり、「諸悪の根源」沖縄基地の撤去を求めているのである。これまでの沖縄人民の血のにじむような叫びと闘いを真っ向から否定するのであれば、われわれは敢然と普天間基地の「県内移設」絶対阻止―鳩山連立政権打倒へ総決起し、総力戦を闘いぬく。

 ▼A日米地位協定改定要求を日米安保粉砕へ

 三月十六日夜、米ミシシッピー州の米海軍第一工兵大隊分遣隊に所属する米海軍女性三等兵曹による飲酒・ひき逃げ逃走事故が発生した。名護市辺野古の国道三二九号で、普通乗用車を破損させる事故をおこし、さらに軽自動車に追突し、家族の計三人に軽傷を負わせて逃走したばかりか、現場から約十二キロ離れた金武町の国道沿いに乗り捨て逃亡するという極めて悪質な事件だ。
 普天間基地問題が焦点化する中、沖縄においてはまたしても米軍による事件事故が続出している。最近でも、三月十四日那覇市で飲酒運転の米海兵隊上等兵と、飲酒取り締まり中の警官に体当たりした米海兵隊二等兵が現行犯逮捕された。三月十二日には、うるま市の県立中部病院に米海兵隊所属の大型車両が侵入し、縁石などを破損した。昨年十一月七日、読谷村楚辺の旧米軍読谷補助飛行場外周道路で、米陸軍トリイ通信基地所属の二等軍曹が男性をはねて逃げ、死亡させた事件や、本年四月四日、那覇市の松山交差点で米海兵隊所属の二等兵が男女三人をひき逃げし、けがを負わせた事件など、飲酒がらみの事件が後を絶たない。しかもこの間の特徴が、米兵がひき逃げや飲酒を「否認」し、居直っていることで、怒りが倍増する。
 在沖米軍のトップを務めるテリー・ロブリング四軍調整官(中将)は、陸・海・空・海兵隊の上級指揮官を集め、「四軍すべての部隊指揮官は、軍人・軍属が米国の親善大使として活躍する姿勢を促進していく必要がある」と述べたという。まったく茶番だ。事件事故のたびに繰り返される「全軍講習」「再発防止」「綱紀粛正」のお題目など何の解決策にならないことは明白だ。
 米兵による女子小学生暴行事件を糾弾し、九万余の沖縄人民が立ち上がった一九九五年の「10・21県民大会」から十五年を経てなお、沖縄人民が求めた米軍による犯罪の根絶はおろか、再発防止、基地の整理縮小という最低限・最小限の要求すら遅々として実現していない。
 米軍犯罪は「復帰」後だけでも、すでに五千五百件を超え、殺人や傷害事件は五百五十件を超える。米軍事件の一割を占める異常な事態であり、しかもこの五年間は増加傾向にある。また、米軍が絡む交通事故も急増している。軍事演習による原野火災も年二十件前後起き、騒音被害は日夜を問わない。
 「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とは、鳩山政権―三党連立政権合意文書の文言である。二〇〇八年三月二十七日、民主党・社民党・国民新党が合意した「日米地位協定改定案についての合意」においては、@日本国の法令を尊重すること(第四条)、A八年ごとを目途に使用計画書を提出すること(第三条)、B演習及び訓練により生じた環境破壊についての原状回復を義務付けること(第五条及び第八条)、C施設又は区域外に居住する場合等においては外国人の登録に関する日本国の法令を適用すること(第十二条)、D裁判権を行使すべき被疑者の拘禁は原則として日本国の拘禁施設で行い、拘禁移転の要請がある場合にはこれに同意すること(第十九条)等が規定されているが、これらはまったく紙切れ同然の状態にある。昨年十一月の読谷村ひき逃げ死亡事件では、容疑者とされた在沖米陸軍二等軍曹が任意出頭を拒否し米軍基地内に「保護」されていたにもかかわらず、国家公安委員長・中井は身柄の引き渡し要求には当たらないとする認識を示して米兵の居直りを補完する有様だった。
 そもそも政府は殺人事件などでの起訴前身柄引き渡しなどを「運用改善」でお茶を濁している。「米側の好意的考慮」に頼る米軍優位の差別的協定が今の日米地協定の実態だ。今回の名護・辺野古でのひき逃げ事件でも、私服(「公務」外が明白)であったのもかかわらず、犯人の米兵の身柄は「県」警の目前で米軍が確保(逮捕ではない!)し、日本側は「任意」での捜査を余儀なくされている。
 何度繰り返せばすむのか。米軍の事件事故多発の背景には、米帝のアフガン―イラク侵略反革命戦争攻撃の激化があることは明白だ。とくに「殴りこみ部隊」としての戦争突撃部隊である海兵隊は、帝国主義軍隊としての本質=殺りくそのものが目的化された部隊であり、前線基地としての沖縄基地は米軍優位の日米安保の矛盾そのものである。米軍の展開は決して「日本の防衛」のために行なわれるというものではない。
 鳩山政権は、「沖縄の負担軽減」を名目に「米軍再編・グアム移転協定」を強行した自公政権と何ら変わらない。それどころか、外相・岡田は日米地位協定改定について「普天間基地問題を解決した後に」(一月二十日外務省政策会議)と、事実上棚上げすることをあからさまに公言する始末だ。「沖縄返還」時における密約問題も隠しようのない事実として公然化している。まさに、日帝国家権力は、沖縄を犠牲にし、踏み台として生き延びてきたのだ。これ以上の日帝の沖縄差別軍事支配を断じて許さない。
 戦後六十五年、日米安保改定・日米地位協定締結五十年の今日、われわれは、相次ぐ米軍の事件・事故を糾弾し、日米地位協定の壁を打ち破り、米軍の事件・事故の温床である米軍事基地の撤去・安保粉砕へ引き続き決起しなければならない。

 ▼B反基地闘争の推進で、日米軍事再編―一体化打ち砕け

 在日米軍再編合意では、嘉手納基地のF15戦闘機の「県」外への訓練移転による「負担軽減」をうたい文句にしたが、実態はこれとは明らかに逆行している。「訓練移転」後、嘉手納基地へは韓国やアラスカ、グアムなどからの外来機、しかもF22ラプターやFA18ホーネット機など多様な機種が倍増した。また日米共同演習も加わって、日中の離着陸の増加とともに夜間のエンジン調整音でさらに騒音が激化しているのである。「可能な限り航空機騒音を最小限にする」と明記された九六年日米合同委員会合意の「騒音規制措置」「事前通告」など米軍の作戦展開には何らの制約もない。
 昨年の11・8県民大会前日の十一月七日には「米軍普天間飛行場の嘉手納統合案反対町民大会」とデモがかちとられ、二千五百名の嘉手納町民が抗議の声をあげた。大会では、「嘉手納統合案は新たな基地負担と犠牲を強いるもので、断じて許すことはできない」とする大会決議と、普天間基地の嘉手納統合案断固反対、基地の整理縮小と「静かな夜を返せ」、「嘉手納基地の機能強化と基地被害の拡大は断じて許さない」、「騒音防止協定を順守し、基地負担を軽減せよ」、のスローガンを採択した。「統合案の実施で騒音が減少すると言うなら、なぜ今の騒音を減らさないのか」という怒りは、爆音下にさらされる嘉手納基地周辺住民の血の叫びである。防衛大臣・北澤の「嘉手納統合案断念表明」も、もとより当然のことであるが、米軍嘉手納基地の戦略的な位置と機能、殺人的な爆音被害は依然として残っていることを忘れてはならない。
 こうした中、現在最高裁に上告中の新嘉手納爆音訴訟原告団は、嘉手納基地の夜間・早朝の飛行差し止めや将来・過去分の損害賠償を求める第三次訴訟を起こす方針を決めた。原告団体制は、現在の第二次訴訟では五市町村六支部で構成されているが、嘉宜野湾市伊佐区でも嘉手納基地の騒音被害がみられるとして、第三次訴訟では新たに宜野湾支部を結成する方針を打ち出し、さらなる闘争態勢を立てた。
 また同様に、米軍機の夜間飛行差し止めなどを求めた普天間基地爆音訴訟控訴審闘争も展開されている。一月二十八日には結審し、七月二十九日に判決公判を迎える。とくに普天間基地周辺地域の場合、航空機騒音とともにヘリ機特有の低周波音の被害は深刻だ。二〇〇四年八月十三日に起きた沖縄国際大学へのヘリ墜落爆発事故の記憶と怒りもまだ鮮明に残っている。墜落現場一帯が米兵によって占領・封鎖され、「県」警機動隊が抗議する大学関係者や市民の盾となり排除するという許しがたい構造が、安保・日米地位協定の実態なのである。
 宜野湾市の伊波洋一市長は、「騒音被害や墜落の危険性を放置することは許されず、国の不作為を法的手段で問いたい」として、訴訟検討調査費を盛り込んだ二〇一〇年度予算案を提起し、市議会での可決をかちとった。この間「普天間基地の危険性除去」を放置してきた自民党―自公政権の責任は決して許すわけにはいかない。同時に鳩山政権が再び繰り返すことも断じて許さない、という固い決意だ。米本国の軍事基地に適用している「クリアゾーン」基準すら満たない欠陥飛行場である普天間基地はただちに閉鎖し、撤去せよ。
 かかる中、普天間基地や嘉手納基地、伊江島補助飛行場など、「戦争のためには一坪たりとも使わさない」とする反戦地主・一坪反戦地主による軍用地強制使用粉砕闘争も継続的に闘いぬかれている。
 沖縄戦と戦後の米軍支配―土地闘争という歴史的背景を下に反戦地主・沖縄人民は、「復帰」後、日帝の「公用地使用暫定法」「米軍特措法」攻撃と実力で対決し、「四日間の空白」「象のオリ不法占拠」「重課税取消し訴訟」を生み出し、日米安保に風穴を空け、日米安保の根幹をたたきつぶす地平をかちとってきた。
 今日、改悪「米軍特措法」で公開審理を空洞化し、実質的な恒久的強制使用権を確保したかにみえるが、裏を返せばここが日米安保のアキレス腱でもあることを明確に証明しているのだ。日帝―沖縄防衛局は「日米安保は、アジア太平洋地域の平和と安定を確保するため必要不可欠」「日米安保条約の終了は想定されず、米軍駐留も今後相当長期になる」と、居直り強盗張りの「論理」で軍用地強制使用の「正当性」を主張するが、契約拒否地主・反戦地主の存在と闘いは、これを決して許さない。
 反戦地主の闘いにあっては、二〇一二年民法上の最長契約期限切れ=契約更新を前に、従来の契約地主の中からも契約拒否の闘いが生み出されている。金武町伊芸区での米軍演習被弾事故に対する怒りと米軍の居直りに対して、軍用地などの財産を管理する伊芸財産保全会は昨年、キャンプ・ハンセン内七ヵ所に持つ約三十二万六千平方メートルの軍用地の賃貸借契約を拒否するという意義ある決定をした。また、「キャンプ・シュワブ陸上案」に対しては、辺野古軍用地地主会で契約拒否が呼びかけられるなど、闘いの大きな武器として、大きなうねりと包囲網が形成されている。島ぐるみ闘争の爆発へマグマが確実に動き始めたのだ。
 沖縄現地での闘いはまだまだ続く。「普天間基地移設」問題の裏で、SACO路線の最後の環たる高江ヘリパッド建設攻撃が強まっている。防衛省は、前代未聞の不当極まりない住民の座り込み行動に対する「通行妨害禁止仮処分」に続き、本訴訟を提起し、七月にも工事を強行する動きだ。自公政権の末期的断末魔攻撃を鳩山政権は受け継ごうというのだ。不当な国策攻撃に対して、住民の当然の抗議に、司法という国家権力まで介入させ弾圧を仕掛けるという、全国の住民運動・闘争への真っ向からの敵対である。
 高江住民の会を先頭とする沖縄労働者・人民は、二月のフェンス設置工事阻止連続闘争を勝利的に闘いぬき「中断」へと追い込んだ。高江ヘリパッド建設攻撃は、米海兵隊CHヘリ後継機であるオスプレイ機の配備と軌を一にした攻撃であり、新たな基地強化攻撃を断じて許さない。
 いうまでもなく米軍再編は、在日米軍の再編に加え、自衛隊の再編・日米軍事一体化攻撃でもある。まさに日米軍事再編の攻撃である。
 三月二十六日、陸上自衛隊第一混成団は中期防衛力整備計画(中期防、二〇〇五―〇九年度)に基づき、第十五旅団へと昇格した。部隊規模を千八百人から二千百人に増員し、化学兵器対策や偵察などの機能が強化されるという。那覇駐屯地での編成式で防衛大臣・北澤は、「南西諸島の地理的特性を踏まえ、ゲリラや特殊部隊による攻撃、島嶼への侵略などに対処することが求められている」とのべ、その後、台湾と隣接する「国境の町」与那国町へ直行し、自衛隊配備の策動を公然と示した。
 陸自は昨年一月に、射程三百メートルの実弾射撃が可能な射撃訓練場を沖縄市の旧米軍東恩納弾薬庫地区の跡地に完成させ、実戦機能を飛躍的に強化している。また「対テロ」作戦訓練として、「県」警との「共同実動訓練」や、キャンプ・ハンセンでの陸自共同使用も確保し、陸自「中央即応集団」(日本版グリーンベレー)の部隊がレンジ4内の米陸軍グリーンベレー用都市型戦闘訓練施設での実戦訓練をおこなっているのである。
 また、F4ファントム戦闘機をF15戦闘機に交代した航空自衛隊も米軍との共同演習を強化している。さらに特徴的には、ホワイトビーチへの米軍原潜寄港の異常なまでの増加とともに、この間日米両軍による民間港湾施設への強行入港も顕著となっている。昨年来より海自ミサイル駆逐艦の西表(いりおもて)島と米軍掃海艦二隻の石垣港、海上自衛艦船の那覇港・中城湾港への入港が相次ぎ、「台湾海峡」をめぐる軍事作戦拡大のための民間港湾施設の能力調査、住民翼賛化を狙った動きが急ピッチで進んでいる。
 こうした米軍再編―日米軍事再編・日軍事一体化攻撃と沖縄のさらなる侵略反革命前線基地化の動きに対して沖縄労働者・人民は、沖縄平和運動センター、八重山地区労、中部地区労、全港湾などを先頭に入港阻止闘争・抗議行動を展開し、闘いの地平を押し広げている。先の陸自第十五旅団編成式には、早朝の仲井真・北澤会談弾劾の「県」庁前抗議行動に続き、陸上自衛隊基地前での抗議行動にも決起し、弾劾のシュプレヒコールを容赦なくたたきつけた。
 日帝―陸自は旅団昇格に伴ない、「地元の感情に配慮して」戦車の配備は当面行なわないというが、われわれは、沖縄戦での日本軍=皇軍による住民集団死の強制、スパイ視虐殺などの蛮行を決して忘れない、許さない。
 二〇〇七年九・二九教科書検定意見撤回を求める県民大会における空前の十一万六千人の総決起は、沖縄戦「集団自決」を賛美し、「戦闘協力者」へと仕立てあげるヤスクニ化=総翼賛体制攻撃に対する沖縄人民の総反撃であった。陸自は、「公式行事ではない」と強弁しながらも、毎年「慰霊の日」の六月二十三日、あの沖縄戦第三十二軍司令官・牛島、参謀長・長が祭られている「黎明之塔」での軍服「慰霊祭」を強行している。今日の沖縄への差別軍事支配の強化拡大の中で、自衛隊の強化と歴史教科書改ざん=再び侵略戦争の責任を清算し、天皇と天皇制の戦争・戦後責任を隠蔽せんとする一切の侵略反革命戦争攻撃―国民総動員体制攻撃を打ち砕こう。


 ●三章 米軍再編粉砕!安保粉砕!の怒涛の進撃を

 一九九五年10・21「米海兵隊員による少女暴行事件に抗議する県民総決起大会」の大爆発を起点に、この十四年間余り、沖縄労働者・人民は、命を守る会・ヘリ基地反対協を先頭とする辺野古現地での断固たる実力阻止闘争の継続を背景に、SACO路線を粉砕し、米軍再編攻撃と真っ向から対峙してきた。具体的には海上ヘリ基地案、軍民共用案、沿岸案、そして現在のV字型案など、形を変えて襲い掛かる日米両帝国主義の新基地建設攻撃を一貫して粉砕してきた。この力と地平が、日帝―鳩山連立政権へ大きな政治課題として突きつけている。
 この沖縄の闘いと結合する「本土」での闘いは、この間、ひとつには全国各地の反基地闘争を実践的に推進し米軍再編を粉砕していく闘いとして、もうひとつには沖縄の闘いに呼応した実践的な闘いとして、確実に積み重ねられてきている。
 前者では、岩国や神奈川をはじめとした反基地闘争である。とりわけ、岩国では岩国基地四訴訟の大衆的推進を軸としながら、岩国基地の関連予算計上に対するたたかいが始められている。後者では、首都圏で、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかけて三十八団体が参加する「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」が主催をしたり、その上に他団体との共催をしたりして辺野古新基地建設の動向に対応した、さまざまな行動を展開してきている。
 沖縄基地問題の全国化の中で、沖縄の闘いと実践的に結合する闘いを発展させることが、沖縄―「本土」貫く階級闘争の前進、革命運動の発展となる。沖縄の闘いを自己の狭い利益のために利用したり、「本土」での闘いを放棄したりするのは許されない。差別と同化によって沖縄の闘いに孤立を強いてきた歴史を総括し、実践的な結合が求められているのである。
 昨年は一六〇九年薩摩の琉球侵略四百年、一八七九年日本・天皇制権力による「琉球処分」百三十年の節目の年であった。そして今年は、改定安保から五十年。連綿と続く差別と抑圧、収奪の関係が、権力によって政治的経済的そして軍事的につくりだされてきた。こうした沖縄支配の構造を革命的根源的に変革することが求められているのだ。アジア人民連帯と反帝国際主義の旗の下、「反ヤマト」「命どぅ宝」として広範に形成されている沖縄人意識を沖縄人民の自己解放闘争の出発点とし、沖縄―「本土」労働者人民の革命的団結を創造していくことが勝利のカギである。
普天間基地の即時閉鎖・撤去の闘い、辺野古への新基地建設反対、一切の県内移設反対の闘いは、日米両帝国主義の軍事基地隷属・差別軍事支配を打破し、沖縄と沖縄人民の未来をかけた、まさに自己解放闘争である。それは沖縄人民の誇りと尊厳をかけた闘いである。
 沖縄―「本土」を貫く闘いで米軍再編粉砕! 一切の日米軍事基地撤去! 沖縄差別軍事支配打破! 安保粉砕・日帝打倒・米帝放逐!の路線的決起をかちとろう。4・25県民大会の大勝利をバネに、日帝の沖縄反革命統合三十八ヵ年糾弾! 5・15沖縄解放闘争―5・16普天間基地包囲闘争の大爆発・大勝利をかちとろう。

 

 

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