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  ■「‘09東京都総合防災訓練」反対闘争に決起しよう!





 東京都は〇九年の「防災訓練」を世田谷区と調布市で行うとしている。当初発表は八月三十日であったが、衆院選のため日程は未定だ。しかし石原都知事は震災日の九月一日をさけて人の集まりやすい日曜日に行えと指令しているのだ。われわれは一貫して朝鮮人大量虐殺を許してしまった9・1関東大震災を忘れるなと訴えてきたが、今や石原は完全にそうした歴史的事実を無視してきている。そもそも石原こそが「三国人から首都を守れ!」なる差別暴言をはき、「二〇〇〇年ビックレスキュー」を開始し、自衛隊参加を強行してきたのだ。いまや「防災訓練」は名ばかりで「治安訓練」から「戦争訓練」へと言えるほどにエスカレートしている。昨年は米空母につぐ戦艦で、佐世保を母港とする強襲上陸艇「エセックス」(四万トン級)までが参加したのだ。

 アフガン、イラク戦争への参加、朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星発射を口実としたMD体制の強化、海賊対処法を強行成立させてのソマリア沖への三軍の参戦と、戦争体制構築に向けての策動を、日本政府は憲法九条を無視して推進している。一方、資本家たちは、金融危機と恐慌の矛盾を労働者の切り捨てによって乗り切らんとあがいている。しかし貧困と格差社会の拡大は押しとどめることができない、労働者民衆は怒りは頂点に達している。自・公政権への怒りは政権交代の要求として盛り上がってきている。一方で 「国益を守れ」との掛け声で海外派兵が常態化されようとしている。新自由主義グローバリゼーションの推進に生き残りをかける日本資本主義は必然的に軍事大国化しなければならない。そうした状況下、「防災訓練」はこれまで大規模災害などへの危機対処あるいは住民の組織化を通じて、正面きっては言われなかったが、戦争行動への対処としての機能側面を代行してきた。しかし、いまや「防災訓練」は、〇五年に施行された「国民保護法」とリンクしながらますます公然と民衆を戦争体制に組織化しようとしている。体制の危機のためなら戦争も辞さないと公言する石原都政を徹底批判し、日本政府の「戦争のできる国家」づくりを阻止するためにも、「防災訓練」反対闘争に立ち上がることを訴える。

 「'09東京都総合防災訓練」に反対する実行委員会が、開催地の仲間をはじめ全都からの結集で勝ち取られた。この訓練の問題点を徹底的にあばき、地元・地域から反対の声を上げていこう。


 ●自衛隊・米軍参加の「防災訓練」を許すな

 本年の訓練は世田谷区と調布市にメイン会場を置いて行なわれる。詳細は発表されてないが、東京都は今回の訓練の意義は@区と市の垣根を越えた連携にあるとしている。なんのことはない。東京都が自治体の意向を無視して各区、市町村を自らのコントロールの下において訓練を行うということである。また都は今回の訓練を、A行政主導ではなく、住民主体での訓練と位置づけている。詳細はギリギリまで発表されないが、世田谷区のメイン会場である世田谷公園の隣は陸上自衛隊三宿駐屯地であり、ここには生物兵器対処部隊もある。これまで「防災」の名のもと、自衛隊の参画の拡大、米軍基地の使用等の拡大が行なわれてきたことを考えれば、今後もその動向を十分に警戒していく必要がある。

 元来、住民救護の訓練である「防災」という建前をとってきたが、それは二〇〇〇年「ビックレスキュー」あたりから変質し、警察、自衛隊が主力になる形態になってきて、「住民不在」という批判も起きていた。石原の「治安に強い街づくり」という主張を体現するために、最近の傾向は町内会、自治会はいうにおよばず、小、中、高生を組織化し強制参加させている。目の前で自衛隊の訓練を見せつけることによって治安と国防意識をもたせることをも狙いとしている。一昨年の昭島市の会場内では陸・空が出店を出して、海外派兵での活躍を宣伝して隊員勧誘まがいのことをやっている。また昨年は銀座に装甲車を走らせ、騎馬隊を出し自衛隊参加をアピールしているのだが、「東京オリンピック」招致を失政挽回のテコにしようとしている石原都政のアピールが「治安に強い東京」であることを売りにしていることを見過ごしてはならないだろう。

 またしっかりと見ておかなければならないことは、近年、米軍の参加がその質・量ともに拡大していることである。〇六年に初めて「帰宅困難者の救出」を名目にフリーゲート艦が登場して以来、参加が恒常化しているだけなく規模も拡大しているのだ。昨年は上陸強襲艦「エセックス」が東京湾沖に待機し、LCAC(大型ホーバークラフト形上陸艇)を使って「防災難民」を収容するといったことをやっている。しかし実際に運んだのは許可された職員とマスコミ関係者だけであり、アメリカ軍参加の宣伝の提灯もちをやらされたのである。「防災難民」救出とはなんのつながりのないものだったのだ。

 また自衛隊の動向も見ておかなければならない。自衛隊は救護班の出動とか大型飯ごうの設置などをメインにしているが、昨年は練馬基地駐屯の陸上自衛隊が地下鉄を使い移動し、地下鉄倉庫から地上に出るといったゲリラ対策訓練を行っている。すなわち大震災を想定しながら自衛隊がやってることは治安訓練=テロ訓練なのだ。一九二三年の関東大震災において、日帝は海外侵出を強化し植民地統治の不安を打ち消すために率先して排外主義を煽り、自警団を組織化し、朝鮮人、中国人や社会主義者等の虐殺を行ったのだ。われわれはその歴史的教訓を忘れてはならない。今日の状況がそうしたことを想起させるのだ。石原都政下の「防災訓練」は防災とは名ばかりで、実際はいかに住民参加を組織化するのか、自衛隊、米軍をいかに抵抗なく都民に認めさせるかに重点を置いているのだ。「戦争訓練」化していくこうした「防災訓練」の実態を徹底的に暴露し、弾劾していこうではないか。


 ●国民保護実働訓練を粉砕しよう

 〇五年有事立法の一つとして「国民保護法」が制定され、全国ほぼすべての自治体に「保護条例」を策定させた。「テロ」からの国民の保護といいながら、実際やっていることは「テロリスト」を撲滅するために住民や企業や公務員をいかに組織化するかとういことである。その元締めが警察であり自衛隊なのだ。実際に国民保護協議会の設置に際して、自衛隊がこれに参加することが当然視されている場合が多い。そのためにありもしない架空敵(そのほとんどが朝鮮民主主義人民共和国を想定した筋書き)を想定して、いかに住民を組織化して対処していくのかといったことが行なわれている。そしてその自治体の担当窓口はほとんどが防災担当窓口と同じなのである。まさに戦争対処訓練と防災対処訓練が同一化していると言っても過言ではない。国民保護法にもとづく防災訓練の組織構造は、これまでの防災対策本部がそのまま踏襲されているといっていいのである。

 〇五年福井県で行なわれた最初の実働訓練は「原発テロ」を想定したものだった。その後全国で行なわれているが、千葉では海保の特殊部隊が「テロリスト」と交戦などと戦争訓練と変わらないものにエスカレートしている。

 東京都も毎年、防災課に置かれた部署が「国民保護実働訓練」と称して行っている。テロリストがビルや地下鉄を襲ったという仮定のもとで、いかに武装鎮圧できるのかが訓練の内容で、「国民保護」などという耳ざわりのいい文句にだまされてはならない。昨年はサミット警備ということもあり厳戒態勢並みでおこなわれた。春の訓練では、都庁職員が自警団代わりになり、都庁の出入り者をチェックしたりしている。また秋に行なわれた有明での訓練は自衛隊の中央即応部隊参加でのテロ鎮圧訓練ということで、見学者を締め出しての訓練を行っているのだ。「防災訓練」とリンクしながらおこなわれる「国民保護実働訓練」の問題性を徹底暴露し、反対していこう。


●差別排外主義扇動・右翼の襲撃弾劾!

 われわれはこうした「防災訓練」を問題にするとき、忘れてはならないことがある。八十六年前の関東大震災のおり六千名以上の朝鮮人・中国人たちが軍隊、警察、自警団によって虐殺されたということだ。いまだにその真相は解明されていない。なによりも日本国家としての究明も謝罪も追悼もないまま歴史の闇に放置されたままにされているのだ。朝鮮半島の侵略・植民地化、差別排外主義扇動の激化などが朝鮮人虐殺を生み、さらにアジア侵略を激化させていったのだ。そうしたことの反省ぬきに「9・1防災の日」などは考えられない。わたしたちの「防災」の原点はここにすえなければならない。石原はそうした歴史を否定し、あまつさえ外国人排斥を公然とさけび、朝鮮民主主義人民共和国を爆撃でつぶせとまで公言する正真正銘の右翼ファシストなのだ。

 石原都政は治安管理体制の強化のために「安心・安心まちつくり条例」を改悪した。名目は秋葉原で起きた大量殺傷事件を防止するといったものだが。しかしその中には大変な問題が含まれている。住民に自警団や隣組のような組織を作らせて相互監視を強め、「問題あり」とする行動等が発覚したらただ単に迷惑だからというだけで警察と協力し排除、行動中止させることができるというものなのである。この改悪が「麻生邸見学ツアー」弾圧にみられるように権力に都合の悪い行動の規制や繁華街から外国人排除を簡単にできるようにする狙いをもっていることは明らかである。長年にわたって行なわれていた野宿者への炊き出しが、近隣の迷惑となるといった一部の住民の声で中止に追いやれたり、公園の使用が不許可になるといった事態もおきている。

 石原の「治安に強い東京」とは強権と差別と排外主義に貫かれた代物なのだ。「防災」「防犯」「国民保護」で住民を体制維持の組織化に利用する、反動石原都政を徹底的に弾劾しよう。

 昨年は右翼どもがデモから屋内集会まで付きまとい実行委の闘争への破壊行動を繰り返したが、全体の圧倒的力で最後まで闘争を防衛しぬいて闘争を貫徹した。しかし彼らの暴言は許すことのできない内容だ。すなわち「朝鮮、部落、山谷などがかかわっている運動は社会のクズ」「自衛隊の活動を否定するのは社会の敵」だから排除してしまえというものだ。差別や貧困と闘うものを蔑視し、国家に異議を唱えるものは排除してしまえということだ。最近こうした輩がなにかと社会運動や市民運動に敵対している。「在特会」(在日特権を許さない市民の会)などは在留許可を求め闘っているているフィリピン親子の住んでる地において親子追放のデモを行っている。また、戦争に協力しないのは非国民だなどと露骨な民族排外主義を煽り立てている。戦争準備と差別排外主義行動の激化は表裏の関係にあることを忘れてはならない。右翼の敵対をも跳ね除けて「防災訓練」反対行動を貫徹しようではないか。


 ●現地闘争に決起しよう

 破綻した新自由主義グローバリゼーションがもたらした危機を労働者の首切りと武力による資本市場の確保でしか克服できないのが、今の日帝、自・公政権である。労働者階級はこの反動・矛盾を必ず克服して新たな社会を創造するだろう。労働者階級には、体制護持の側に組織され、戦争協力へと動員されていくのかどうかが問われている。「防災訓練」は「戦争協力訓練」へと変質しつつあるのだ。その先兵になっているのが石原都政だ。絶対に許してはならない。

 当日は実行委を先頭に、早朝監視行動、抗議デモ、報告集会と様々な取り組みが行なわれる。地元の闘う仲間や住民と共に、警察の排除・弾圧、右翼の敵対を粉砕して共に闘おう。


 

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