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  ■朝鮮民主主義人民共和国への制裁延長・強化を弾劾する

  朝鮮侵略戦争の準備を許さない!





 朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)は四月五日、試験通信衛星「光明星二号」を打ち上げた。これに対して日米帝国主義、とりわけ日帝・麻生政権はミサイル防衛(MD)システムによる人工衛星の迎撃態勢をとり、国連安保理による制裁決議を追求し、日本の独自制裁措置を延長・強化した。われわれは、朝鮮への侵略戦争の準備を絶対に許さない。そして、共和国への制裁措置の解除と日朝国交正常化の実現に向けてたたかうことをあらためて呼びかける。


 ●(1)朝鮮敵視政策を推進する麻生政権弾劾

 この一連の事態のなかで、日帝・麻生政権の朝鮮敵視政策は、国際的にも際立ったものであった。麻生政権は、共和国による人工衛星の打ち上げを「長距離弾道ミサイル」の発射実験だと決めつけ、あたかも日本がミサイルの標的にされているかのように「北朝鮮の脅威」を煽りたてた。そして、日本海に二隻のイージス艦を配置し、PAC3を東北地方と東京に配置して人工衛星の迎撃態勢をとった。それは、初めてミサイル防衛(MD)システムを実戦に発動するものであり、実際に迎撃すれば宣戦布告に等しい行為となるものであった。そして、四月五日に人工衛星が打ち上げられると、共和国による核開発・長距離弾道ミサイル開発に関連した活動を禁じた国連安保理決議一七一八違反だとして、ただちに新たな共和国制裁決議の採択を要求した。この麻生政権が推進した安保理決議は、中国・ロシアが拒否権の行使を通告したことで成立せず、四月十四日に拘束力のない安保理議長声明が採択されて終わった。他方で麻生政権は、四月十四日に期限切れを迎える日本独自の共和国制裁措置を一年間延長し、共和国への送金規制など追加制裁措置を決定した。さらに自民党内では、朝鮮総聯など共和国関連団体の資産凍結、訪朝した在日朝鮮人の日本再入国の原則禁止などの徹底した追加制裁措置の実施までが検討された。

 われわれは、このような麻生政権の朝鮮敵視政策を厳しく弾劾する。そもそも、人工衛星の打ち上げなどの宇宙開発・探査は、国連宇宙条約(一九六六年採択)によってすべての国に保障された権利である。共和国は、今回の人工衛星打ち上げを前に宇宙条約に加盟し、国際海事機構や周辺国への通告など必要な国際的手続きをすべて行った。にもかかわらず、麻生政権は「長距離弾道ミサイル」の発射実験だと決めつけ、迎撃や制裁の対象としてきたのだ。その論拠としたことは、人工衛星の打ち上げと長距離弾道ミサイルの発射は、技術的に共通しているということであった。そのような論拠に立つならば、日本が種子島から打ち上げてきた人工衛星も、憲法九条に違反する長距離弾道ミサイルの発射だということになる。何という二重基準(ダブルスタンダード)であることか。


 ●(2)麻生政権による戦争準備を許さない

 麻生政権がこのような対応をとってきた目的は、この機会に日本の戦争国家化をさらに推進し、また危機に瀕する麻生政権を延命させることにあった。実際には麻生政権もまた、人工衛星が日本に落下する可能性はほとんどないと予測していた。しかし、麻生政権は迎撃のためのPAC3の配備を大々的に宣伝し、防衛相による「ミサイル破壊命令」を発令した。そして、「緊急情報ネットワークシステム」(Em―Net)を用いて、地方自治体や報道機関などに「ミサイル発射情報」を瞬時に伝達し、各地方自治体がさまざまな対応措置をとるという態勢をつくった。これらは、ミサイル防衛(MD)システムの巨大な実動演習であり、戦争への総動員を目的とした「国民保護法制」の事実上の実動演習でもあった。さらに、人工衛星の打ち上げ後には、自民党の内部から朝鮮のミサイル基地への先制攻撃を可能とするために、自衛隊が「敵基地攻撃能力」を保持すべきだという意見までが噴出した。「日本の敵基地攻撃能力は、自衛権(の範囲内)であれば憲法には違反しない。能力、要件を本気で議論することが抑止力を増す」(山本一太自民党参議院議員/四月六日自民党「北朝鮮ミサイル問題に関する合同部会」。そして、「純軍事的に言えば核に対抗できるのは核だというのは世界の常識だ」(四月十九日 中川昭一前財務相)など、共和国による核開発に対抗して日本としても核武装を議論すべきだと意見が相次いできた。

 麻生政権は、これらの過程を通して、日本の戦争国家に向けて明らかに攻勢に転じたと見なければならない。安倍政権の崩壊後、安倍が推進しようとした集団的自衛権行使の合憲化や憲法改悪の動きは停滞してきた。しかし、麻生政権はいま、「海賊対策」を口実としたソマリア沖派兵を推進し、集団的自衛権行使の合憲化に向けた動きを再開し、衆議院における憲法審査会の編成を強行しようとしている。「北朝鮮の脅威」が民衆に浸透しているこの時期をとらえて、一挙に戦争国家化を推進していこうとしているのだ。

 これらの麻生政権の動きは、崩壊寸前にまで至った自公連立政権の延命をはかろうとするものでもある。すなわち、世界金融危機・同時不況のもとで、犠牲を集中される労働者の怒りが資本家とその政府に向かうことをおしとどめ、「北朝鮮の脅威」を再び民衆のなかに浸透させることをもって、排外主義と戦争準備のもとに統合していくことをねらうものなのである。麻生政権は、朝鮮敵視政策にもとづく強硬な態度を国内外において貫くことをもって、民衆を自らのもとに引きつけようとしてきたのだ。そして、マスコミは、このような麻生政権に全面的に迎合して、共和国への排外主義的反発を煽る報道をくり広げた。まさに、麻生政権とマスコミが一体となった情報操作、排外主義煽動が展開されたのだ。例えば、四月十四日に採択された安保理議長声明では、共和国の人工衛星について「ロケット」という表現が用いられていたにもかかわらず、麻生政権はその日本語訳においては意図的にその部分を「ミサイル」と表現することまで行った。マスコミは、このような麻生政権の対応を何ら批判的に検証しようとはせず、「長距離弾道ミサイル」という表現を用い続けた。拉致問題が明らかになって以降、共和国に関連する報道についてマスコミが厳しい報道統制下に置かれていることをこれらは示すものであった。


 ●(3)緊迫する東アジア情勢

 東アジア情勢は、四月十四日の安保理議長声明の採択をもって、再び緊迫してきている。この議長声明に対して、共和国外務省はただちに声明を発表し、六者協議からの離脱と無能力化した核施設の現状復旧など「自衛的核抑止力」を強化していくことを表明した。そして、国連制裁委員会が共和国関係の三つの企業の資産凍結を決定し、多くの種類の軍需関連物資および資材を共和国に対する輸出入禁止品目に公式指定したことに対して、四月二十九日に共和国外務省スポークスマン声明を公表した。声明は、安保理の措置を「わが国の最高利益である国と民族の安全を直接侵害する」ものだと断じ、「敵対勢力は六者会談を通じてわれわれを武装解除させようとする目的を果たせなくなるや、ついに物理的方法によってわれわれの国防工業を窒息させようと妄想(ママ)している」と非難し、国連安保理に対して、朝鮮の自主権を侵害したことについて即時謝罪し、現在まで採択した「すべての反朝鮮決議および諸決定を撤回すること」を要求した。そして、安保理がこの要求に応じない場合、核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験を含む自衛的措置を講じ、軽水炉型の原子力発電所建設の第一歩として核燃料の独自生産に向けた技術開発を始めると宣言した。

 東アジアの情勢は、緊迫していこうとしている。共和国が再び核実験や長距離弾道ミサイルの発射実験を行えば、麻生政権はいよいよ朝鮮総聯などの資産凍結、訪朝した在日朝鮮人の日本再入国の禁止など徹底した独自制裁に踏みきるとともに、国連安保理での共和国制裁決議を推進するであろう。このようななかで、われわれがあらためて明確にしておくべきことは、東アジアにおける軍事的緊張の主要な責任は、米日帝国主義の側にあるということである。朝鮮戦争停戦後も、米日帝国主義は朝鮮敵視政策をとりつづけ、いつでも共和国を先制攻撃できる態勢をしきつめてきた。今年の三月にも、米韓両軍五万人以上を動員した米韓合同軍事演習(キーリゾルブ/フォールイーグル)を強行した。東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一にとって最大の脅威は、このような米軍の存在とこれを支える日米軍事同盟である。われわれは、このことを全力で日本の労働者人民に訴え、共和国に対する侵略戦争の発動を阻止するたたかいを強化していかねばならない。そして、総聯への政治弾圧、在日朝鮮人への人権侵害を絶対に許さず、ともに反撃に立ちあがっていかねばならない。

 

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