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  ■農地強奪粉砕―北延伸阻止闘いぬこう

  3・29三里塚現地闘争に決起しよう


 



 「待ちに待った決戦の時がきた」。二月三日の第一回口頭弁論に先立つ千葉市中央公園での決起集会で、市東孝雄さんはそう発言した。

 空港会社は、「二〇〇九年十月北延伸工事完成」を掲げ、東峰の森を破壊し、東峰・天神峰を鉄板フェンスで覆って北延伸工事、新誘導路建設工事を進めている。そして同時に、悪辣な農地強奪攻撃を強めている。市東さんの農地を強奪しようとする裁判が開始されたのだ。この暴挙を全力で粉砕しよう。天神峰現闘本部、一坪共有地の強奪を絶対に阻止しよう。

 反対同盟は四十三年間のたたかいの上に、三里塚闘争勝利の確信を強めている。3・29三里塚現地に決起し、反対同盟とともに北延伸阻止の現地攻防をたたかいぬこう。



 ●1章 市東さんの農地強奪阻止の決戦へ


 3・29三里塚現地闘争の第一の位置づけは、今冬市東さんに集中してかけられた農地強奪攻撃を、反対同盟―三里塚勢力総体で粉砕する決戦に立ち上がるということだ。

 成田国際空港会社は二〇〇六年、農地法を「根拠」にして、「土地賃貸借解約申し入れの許可申請」を成田市農業委員会、千葉県農業会議に対して行い、最終的には堂本千葉県知事の判断によって「許可処分」が出された。空港会社は、この「賃貸借解約」に先行して、市東さんの畑の一部を「不法耕作」だと決め付けて「明け渡し請求」を行なっており、この裁判においても「被告」とされた市東さんは耕作権裁判としてたたかってきている。

 千葉県知事の決定が空港会社の暴挙に「根拠」を与えたことを許すことはできない。市東さんと反対同盟は、この不当決定に対して行政訴訟を起こしている。県民の生活を守り、千葉県の重要な産業である農業を守るべき知事が、国策に屈して、空港会社に許可処分を与えたのだ。自作農を育成すべき農地法を根拠にこの処分をなすことこそが許しがたい。農地法の趣旨に根源的に反している。それは、戦後の農民運動の中でかち取られてきた日本農民の権利を踏みにじり強奪するに等しい。

 この二つの裁判の中で、空港会社の悪辣さ、ずさんさは明確になってきている。そもそも、空港会社が市東さんに「明け渡し請求」した農地の一部は、市東さんがこれまで一度も耕作したことがない土地であり、請求そのものが誤っているのだ。

 そして、昨年十月十七日、空港会社は、その本来の目的である「土地賃貸借解約」の訴訟を起こした。市東さんの畑の明け渡しと、農作業・生活に欠かせない出荷場・離れの建物の撤去を、空港会社は請求している。空港会社は農地法と堂本知事の許可を「根拠」に今回の請求をなしてきた。

 これは、土地収用法と同様に、悪辣非道、違憲違法な土地強奪攻撃である。

 成田空港建設は、農民の生命、生活を踏みにじる反人民性、そして、その計画のずさんさゆえに、一九八九年に土地収用法の事業認定が期限切れとなり、強制収用の根拠を失った。この時点で、成田空港建設の「公共性」「緊急性」はブルジョア法的にも失われたのである。土地収用法を使えない旧空港公団―空港会社は、運輸大臣が発動した成田治安法・除去処分に乗じて一坪共有地を強奪し、軒先工事による生活破壊・営農破壊と札束で一部の農民の農地を取り上げた。こんな薄汚い手法を繰り返しても、違法に計画を変更した「暫定滑走路」しか作れなかった。農家の上空四十メートルを離着陸する殺人的運用を強行している。誘導路は「への字」に歪んでいて、航空機の地上走行そのものが危険であり、ジャンボ機が使用することはできない。「国際空港」の滑走路とは言い得ない代物である。十分なアプローチ・エリアのないまま運用を強行していることが異様な事態であり、オーバーラン事故が起これば大惨事になる。一刻の猶予なく、閉鎖されなければならない滑走路である。

 成田空港建設の最初からの誤りをここまで引きずってきたのだ。利権と軍事目的、そして、開拓農民の生活と生命を蔑視して、建設用地を三里塚に決定し、収用法を根拠に札束と警察権力を動員して建設を強行してきた。国策だからと、自治体―千葉県も司法権力も屈服させてきた。暴挙を積み重ねた四十三年間の果てに、現在の成田空港の無様で危険な実態がある。

 空港会社は北延伸工事を強行しているが、それだけではどうにもならない。誘導路は屈曲しているし、北延伸強行後には南側へのさらなる延伸を企んでいる。市東さんの農地をはじめとした「用地内」すべての土地を強奪して滑走路を拡張しようとし、同時に、空港反対運動そのものを鎮圧しようというのだ。

 市東さんにかけられた攻撃は、この暴挙の連続の上にあり、市東さんが表明したとおり、「訴訟」の形をとった農地強奪攻撃、農民叩き出し攻撃である。二月三日に始まった市東さんの農地死守裁判は、三里塚闘争の歴史の上に、この闘争の真価を問う決戦である。

 反対同盟はこのことをはっきりと見据えて、二〇〇九年年頭からの闘争に立ち上がっている。一月十一日には、新年「用地内」デモに立ち上がり、団結旗開きを開催して「二〇〇九年闘争宣言」を発した。市東さんにかけられた訴訟攻撃が形を変えた農地強奪攻撃であることを見抜き、反対同盟総体にかけられた攻撃であることを明確にした。そして、日本農民の先頭に立つたたかいとして、この攻撃を迎え撃ち、これを打ち破って勝利へと進むことを確認した。

 一月十四日、反対同盟本部役員で最長老だった三浦五郎さんが逝去された。享年九十六歳だった。

 三浦さんは戦前から農民運動をたたかい抜いてこられた。戦後の農地解放闘争の中でも先頭に立ってたたかってきた。三浦さんにとって三里塚闘争は、日本の農民運動として一貫したたたかいだった。その三浦さんが、市東孝雄さんの農地を「農地法」で収奪するという空港会社の計略を知って、激怒した。農地解放闘争をたたかってきた三浦さんからすれば、祖父の代から耕作してきた市東さんにこそ、耕作権も、所有権も存する。これこそ、万人が納得する当然の法理だろう。市東さんの農地を守るたたかいこそ、三浦さんの遺志を引き継ぐことである。

 この一月、二月の反対同盟と三里塚勢力の決起の上に、3・
29全国集会が提起されている。



 ●2章 北延伸工事・新誘導路建設粉砕!


 3・29闘争の第二の位置づけは、日帝資本―成田国際空港会社の意図を徹底的に捉えぬき、北延伸工事、新誘導路建設工事の攻撃との全面対決に立ち上がることである。

 空港会社社長・森中小三郎は、〇九年年頭に「平行滑走路の2500m化と成田高速鉄道の完成を目指して整備を進め、空港能力の向上に努めてまいります」(千葉日報一月一日)と主張している。「二〇〇九年十月北延伸工事完成」に向けて攻撃を強めることを宣言しているのだ。

 森中の発言は、何もない裸地に新たな空港を建設するかのように聞こえる。市東さんが、萩原さんが生活し、営農を続ける三里塚の地に、延伸工事を強行することへの言及はない。

 新自由主義政策の徹底をもって経済が浮揚できると夢想した安倍晋三、中川秀直は「アジア・ゲートウェイ構想」の一環として「アジア・オープンスカイ構想」を進めようとした、この戦略の目玉として成田空港会社社長を民間から登用するとして森中小三郎を抜擢した。小泉、安倍が進めた新自由主義政策こそが、世界金融恐慌の中での日本経済の破綻を結果している。安倍政権は自壊した。そして今、小泉―竹中への批判が強まっている。それでも森中は、市場原理主義をもって成田空港の経営を続けようとしている。経営者として、現在の成田空港が単独では「国際空港」としての使用に耐えない実態を認識しているがゆえに、羽田―成田の一体運用で成田空港の延命を策している。

 森中は「空港容量の更なる拡大が必要」と主張している。成田空港の年間離着陸回数をむりやり「三十万回」に拡大しようというのだ。これは、暫定滑走路の延伸、さらには滑走路の二十四時間使用をも強行することを意味している。国土交通省は、これまで暫定滑走路の運用時間に関して「午前六時三十分から午後十時までとする」運用制限をしていたが、「空港の能力を最大限拡大し、利用者の利便を高める」なる理由を付して、本年の夏ダイヤからA滑走路と同じく「午前六時から午後十一時」に拡張することを発表した。

 森中は、市場原理に見合った使用ができる国際空港の運用ということだけを考えており、成田空港がいかなる場所にあり、そこに誰が住んで生活しているのかということを見ようとはしない。怜悧なブルジョアジーは、農民の生命・生活を押し潰すことに何の躊躇もしないのだ。

 われわれは、三里塚の「用地内」―東峰・天神峰の地に立つとき、この森中―空港会社の利害とは何かということを実感する。東峰の森破壊を強行した空港会社は、新誘導路部分を鉄板フェンスで囲い込み、農道をズタズタにしてきた。新誘導路建設のためにこれまであった道路をトンネル化してしまった。農家の上空四十メートル飛行という危険極まりない所業が数分おきに繰り返され、この使用時間制限が簡単に撤廃される。人民の生命、生活をまったく顧みることがない。暫定滑走路延伸工事、新誘導路建設工事は、農村集落そのものを破壊する攻撃だ。この農民叩き出し攻撃こそ、日帝資本のむき出しの利害貫徹だ。

 北延伸工事、新誘導路工事を絶対に阻止しよう。



 ●3章 戦争と貧困化の攻撃に対決する09年闘争


 3・29闘争の第三の位置づけは、貧困化と戦争―派兵という世界金融恐慌下の日帝の攻撃と総対決する二〇〇九年闘争の春期攻防に全力で立ち上がっていくことである。

 昨年九月、米帝の投資銀行の破綻、経営危機の連鎖から始まった金融恐慌は、未だ深化し続けている。米帝を辛うじて基軸通貨国として維持しながら、新自由主義政策の拡大をもって、その搾取と収奪の地球規模での強化を推し進めてきた現代帝国主義が、その矛盾を恐慌として爆発させた。資本家どもは、危機の深まりを恐怖し、真実を押し隠し続けている。

 自動車、電機・電子、日帝の機軸産業が軒並み減益、赤字になっている。米帝、欧州各国帝に較べれば危機が軽いと麻生は見ていたが、内閣府が二月十六日に発表した〇八年十〜十二月期のGDPは年率換算でマイナス12・7%と急激に落ち込んだ。中川昭一の醜態を見るまでもなく、日帝経済は泥酔状態に陥っている。

 資本家どもは、自らの身を守るために、徹底的に労働者階級に矛盾を押し付けている。このときのために雇用形態を多様化させてきたのだと言わんばかりに、派遣労働者を切り捨てている。一年前には中川秀直が「移民一千万人」などと打ち上げていたのに、恐慌が始まるや、日系人労働者の解雇が急増している。労働者を見捨てて、資本は生き残ろうとしている。

 一方で、麻生政権は、侵略反革命戦争への参戦―派兵の攻撃を一層強めている。昨年末、給油継続法再決議強行によって、インド洋(アラビア海)派兵を継続した。本年に入ると、海賊問題を理由にソマリア沖派兵の論議を強め、「海上警備行動」を拡大解釈して派兵を閣議決定し、自衛隊に対して「準備命令」を出した。三月には海上自衛隊が出兵しようとしている。その上で、海賊対策目的の派兵を恒常化させるための新法を策定しようとしている。

 二月十六日から十八日に来日した米国務長官ヒラリー・クリントンは、中曽根と外相会談を行い、「沖縄駐留海兵隊のグアム移転に関する協定」を確認し署名した。これは、二〇〇六年五月に「2プラス2」で合意した「米軍再編ロードマップ」の内容を日帝に実施させるために、米オバマ政権が条約の形をとって強く再確認したものだ。表題は「グアム移転」となっているが、協定内容は普天間基地の辺野古移設を含め全てパッケージである。沖縄差別軍事支配を環とした在日米軍基地の強化拡大、米軍と自衛隊の一体的運用をもって、新日米軍事同盟を実体化していくものである。

 麻生政権は、オバマとクリントンの戦略を受け入れつつ、派兵―参戦の道をさらに大きくひらこうとしている。この協定の国会批准とは、たとえ、日本の政権が民主党に移ったとしても日米同盟、米軍基地再編を強行するということに他ならない。
 麻生政権は失政と失態、失言を繰り返し、完全に命脈が尽きている。しかし、恐慌が日本帝国主義そのものの危機へと深化していく中で、ますます、貧困化と参戦―派兵の攻撃が強まっている現実をこそ、はっきりと見なければならない。小沢―民主党が、日米同盟を廃棄するわけではない。それは、同じく、成田空港を廃港にするわけではない。危機の中で強まる攻撃に、労働者階級人民の利害を掲げてたたかうこと、帝国主義打倒の旗を今こそ高く掲げるべきことを、しっかりと確認しなければならない。

 ベトナム戦争ゆえに計画され、自衛隊派兵の拠点となり、国民保護法制の下で治安弾圧拠点・戦争総動員拠点と位置づけられている軍事空港は、なんとしても解体しなくてはならない。
 三里塚闘争四十三年のたたかいの地平は、世界金融恐慌下の熾烈な階級攻防の中でこそ大きな意味をもつ。日本帝国主義足下の階級闘争が敗北を繰り返してきた中にあって、国家の暴力装置をもってしても決して圧殺することができず、その喉元に踏み込んで食い破ってやろうとするたたかい―三里塚闘争が、いかに人民を鼓舞してきたかを強く確認しようではないか。

 反対同盟四十三年の闘争が、日本帝国主義と対決する労働者階級人民の連綿たる闘争の重要な環であることをはっきりと押さえ、日本階級闘争の展望をここから切り拓いていくことである。



 ●4章 現地攻防を実践的に担いぬこう


 以上の位置づけを確認し、3・29三里塚現地に総決起しよう。3・29に向けて、われわれは、具体的な任務を確認しておこう。

 一つは、三里塚四十三年のたたかいの意義を今一度はっきりと確認して、3・29闘争、そして、市東さんの裁判をはじめとする攻防に臨んでいく必要がある。「用地内」東峰で農業を営み、反対同盟事務局次長を務める萩原進さんが昨年十月に、その闘争の半生を『農地収奪を阻む』としてまとめ、出版された。一人の青年として、農民として、そして今、三里塚闘争の指導者の一人として、四十三年間の三里塚闘争とはなんだったのかを明らかにしている。

 三里塚をたたかい続けてきた人々も、初めて三里塚現地闘争に参加する若い青年・学生諸君も、ここで三里塚闘争の歴史に触れ、日本における反帝闘争について考えてみることは大きな意義があるだろう。激動の二〇〇九年のたたかいを担う強靭な力を培おうではないか。

 二つには、三里塚の日常的な現地攻防の中でこそ、勝利の展望は見えるのだということである。

 昨年の三里塚現地闘争には、多くの青年・学生が新たに参加し、全国集会への参加というだけでなく、援農、現地見学、そして、反対同盟との交流会などを実践してきた。空港建設の実態、機動隊空港の実態、そして、四十三年の闘争の意義は、三里塚現地でこそ、学び、感じ取ることができることであるだろう。北原事務局長は、さまざまな集会で多くの人々に対して、まず、三里塚現地に足を運んでみてくれと呼びかけてきた。

 空港会社が市東さんの農地に手をかけようとしている二〇〇九年、この新たな決戦の開始の中で、労働者・市民が三里塚に赴き、現闘団・行動隊とともに援農を行い、じかに反対同盟農民の話を聴くこと、あるいは裁判傍聴を取り組むことは、重要な意義がある。とりわけ、多くの青年・学生諸君が、援農をはじめとする三里塚の日常活動を担うたたかいを強化しようではないか。

 三つには、現地攻防とともに、重要な意義を有している裁判闘争を全国から支援していくことである。空港会社は、訴訟の形式をとって農地強奪の攻撃を強めてきている。反対同盟と弁護団はこれと対決して断固たたかい抜いてきている。法廷は、反対同盟、弁護団、傍聴席が一体となって、空港会社、あるいはこれにおもねった司法権力と対峙する場となっている。現地攻防と一体に裁判闘争を進めていくことは重要な意味をもっている。

 反対同盟は、「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」をもって、裁判闘争全体を取り組んできている。全国で「支援する会」を拡大し、三里塚闘争の重要な環としての裁判闘争を支えていこう。

 北延伸阻止! 農地強奪粉砕! をはっきりと掲げ、3・29三里塚全国集会への総決起を実現していこう。

 

 

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