共産主義者同盟(統一委員会)
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■新学習指導要領反対! 「日の丸・君が代」強制を許すな 闘う教職員と連帯し、 教育現場の団結した力で愛国心教育を粉砕せよ 今春、教育基本法が改悪されてからはじめての新学習指導要領が発表された。「君が代」は「教える」から「歌えるようにする」と変更された。そして「道徳」が最重要な科目として位置付けられ、「国語」「音楽」などが道徳の内容を補完する教科として機能するという構造になっている。まさに戦前・戦中における修身の復活を宣言するに等しい代物になっている。また文部科学省は独島(竹島)を日本の領土として明記し教えることを学習指導要領の解説書にねじ込んだ。これに対して韓国民衆が反発。日本国内では唯一アジア共同行動日本連絡会議(AWC)が抗議声明を発し、この問題に取り組んでいる。日帝の教育政策の柱として領土主義を全面化した排外主義を「愛国心」として刷り込もうとしているのである。 一方、東京都教育委員会は七月十五日「分限事由に該当する可能性がある教職員に関する対応指針」(以下「分限指針」)なるものを都立学校校長に通知した。これは「日の丸・君が代」の強制に反対する教職員を排除するための攻撃に他ならない。今春の反「日の丸・君が代」闘争の高揚に対する報復である。 さらに都は教職員の給与体系をこれまでの「年功序列」型から「職務・職階」型に大きく変更しようとしている。この攻撃は単なる給与体系の変更―賃金引き下げという内容以上に、賃金格差を助長した教職員間の分断を促す攻撃である。賃金格差と雇用の複線化をもって現場教職員を分断しようとする攻撃そのものである。 しかし教職員の闘いはこれらの攻撃にけっして屈服してはいない。むしろ、これらの攻撃との闘争を教育基本法改悪反対闘争の地平を継承する闘いとして位置付け、現場レベルでの反撃の闘いに立ち上がっているのである。 反「日の丸・君が代」闘争は不起立者を先頭にしながら、広範な大衆運動として展開されている。たとえ自らが不起立しなくとも、あくまでも反対の意志を堅持しようとする広範な層と結合する闘いによって一つのうねりをもった闘いとして表現されている。同時にこの闘いは、職場分断支配に対して意識的な現場レベルの団結を創造する闘いでもある。「分限指針」攻撃に対しては「都教委包囲ネット」が八月にこの課題を掲げて、多数の教職員とともに「分限指針」弾劾の都庁包囲行動を貫徹している。 また日帝の教育政策そのものが矛盾をきたし崩壊しようとしている。小泉―安倍による「教育改革」路線そのものが破産しようとしているのだ。大分県における教員採用汚職事件は明らかに「教育改革」路線の構造的歪みに根拠を発している。また管理職―校長が職員会議での挙手採択禁止に疑問をもち、東京都教育委員会に異議を申し立てている。鳴り物入りで始められた「全国学力テスト」はその意義が疑問視され、不要論までが台頭してきている。学校の選択制は江東区や前橋市で廃止の方向で論議されている。 全国の同志ならびに友人諸君! 我々は闘う教職員とガッチリと結合して、日帝の改悪教育基本法路線と闘っていこうではないか。 新学習指導要領解説書の改悪に明らかなように、「愛国心」教育とは他方における排外主義教育にほかならない。すなわち、これとの対決とは国際主義を具体的実践的な連帯関係として実践している潮流しか闘いえないという事である。つまり、アジア共同行動日本連絡会議に結集する勢力には「愛国心」教育と闘う責任があるということである。同時にこの闘いは現場教職員間の団結を分断し、日教組以来の教職員の反戦運動を解体する攻撃と闘うということでもある。 教育基本法改悪反対闘争の地平を継承し、闘う教職員とともに「愛国心」教育反対を闘おう! ●1章 新学習指導要領弾劾 新たな「修身」の復活許すな 日帝―文部科学省は今春、改悪教育基本法下で初となる学習指導要領を発表した。当時の文部科学大臣は、「君が代」を従来の「教える」という表現から「歌えるようにする」という変更を個人的判断としながらねじ込んだ。こうした経過は商業新聞等でも大きく取り上げられ、『戦旗』紙上でも批判されている。そして同時に今次の新学習指導要領は、戦前・戦中の「修身」を想起させられる中身になっていることに注意しなければならない。 教科化の動きもあった「道徳」は教科にならなかったものの、その位置は格段にレベルアップし、各教科はこの「道徳」の中身に沿うように改悪されている。 総則では「道徳教育は……伝統と文化を継承し」から、「道徳教育は……伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し……公共の精神を尊び」に変えられている。すなわち総則レベルにおいて「道徳」の中身に明確な「愛国心」を文言として盛り込んでいっている。そして「学校における道徳教育は、学校の教育活動を通じて行う」という部分に、「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として」という文言を加えることをもって、「道徳教育」の具体的時間を確保しているのである。また「道徳教育推進教師を中心として指導体制」をつくることを提唱している。 つまり今次新学習指導要領によれば、確かに「道徳」は教科として位置付けることは見合わせたものの、その中身には「愛国心」イデオロギーが公然と中軸に据えられ、しかもそれを具体的時間配分や指導体制として確保することが要求されているのである。すなわち「道徳」を「愛国心」教育の要として据えたうでの準教科化である。 そして「道徳」を準教科に押し上げたうえで、これを各教科において最上級に位置付けているのが今次学習指導要領の最大の特色である。例えば社会科には「道徳教育の目標に基づき、道徳の時間などとの関連を考慮しながら」という文言が挿入されている。同様の傾向は「国語」「音楽」にも見ることができる。特に「音楽」においてはこの「道徳の時間との関連」という用語が多用され、「音楽」なるものが「道徳」内容の感性的補完教科として位置付けられていることが顕著になっている。 かつての教育勅語時代において、「修身」なるものが首位科目であり、一切の教科が「修身」的であったという事柄を想起しなくてはならない。とりわけ「音楽」は「国語」と並んで、天皇制イデオロギーの感性的補完装置であったのである。現在の新学習指導要領なるものは、改悪教育基本法のイデオロギー的中身である「愛国心」を「道徳」として教え込み、「音楽」においてその感性的補完を行い、「社会」においてそれを実践的社会観としてたたき込むことを教育の目的として明確にしたものであり、明らかに現代版「修身」の復活である。 そして七月十四日新学習指導要領の解説書において社会科の教科書に独島を「竹島」と明記することが明らかになった。文科省教育課程課長は率直に改悪基本法の「我が国と郷土を愛する」という中身に沿った記載だと認めている。さらに与党議員も「領土問題は我が国を愛する態度を養うという意味では非常に基本的な部分」として、学習指導要領解説書を積極的に評価している。 独島―日本名「竹島」は一九〇五年に日本が領土として閣議決定している。しかしこの閣議決定は「日韓保護条約」と軌を一にしたものであり、まさに日帝が朝鮮半島を侵略支配する流れのなかでの閣議決定である。つまり、現在の独島を「竹島」として領土主張するということは、朝鮮植民地支配の歴史を正当化する行為である。そしてそれは、現代においては領土主義を前面に立てた民族排外主義扇動以外の何物でもない。 そして、この「竹島」記載問題は明らかに改悪教育基本法から導き出される当然の帰結である。文部官僚や保守議員はそのことを公然と述べている。つまり改悪教育基本法下の教育体制では、論理的必然として民族排外主義、侵略戦争肯定論が導き出されるということである。少なくとも日帝―権力はそのように論を立ててくるはずだ。あとは外交問題や階級的力関係を計算した政治的タイミングの問題でしかない。 あらためて国際主義の中身をもった学習指導要領反対―改悪教育基本法路線との闘いが問われている。学習指導要領解説書「竹島」記載問題で日本国内において唯一抗議声明を出したアジア共同行動日本連絡会議とともに、新学習指導要領そのものの批判を深め、改悪教育基本法路線を粉砕していかなければならない。 ●2章「分限処分指針」弾劾 「日の丸・君が代」処分許すな 改悪教育基本法路線とは「愛国心」教育と闘う教職員の排除を路線的基軸とするものである。両者は不可分一体の路線である。 東京都教育委員会は「分限事由に該当する可能性がある教職員に関する対応指針」なる文書を七月十五日付で各都立学校校長、市町村の教育長あてに通知した。 分限処分とは違法行為などの道義的責任が問われる懲戒処分とは異なり、行政能率を維持するための処分である。実際には病欠者らが対象であり、その規定はあいまいであった。そして懲戒処分と決定的に異なることは、懲戒処分が訓告・戒告・停職・免職と段階的に内容が厳罰化していくのに比して、分限処分には休職・免職(管理職は降格)しかないということである。つまり分限処分が出されたら職場を去るしかないのである。今回、それを厳格化しようということは、とりもなおさず「クビにすべき教員はどのような者か」ということを明確化しようという事に他ならない。 それでは、ここで言われる「分限事由に該当する可能性がある教職員」というのはどのような教職員か。その一部を抜粋すると、「上司などから研修受講命令を受けたにもかかわらず研修を受講しない、または研修を受講したものの研修の成果が上がらない」「法律、条例、規則およびその他の規定または職務命令に違反する、職務命令を拒否する、独善的に業務を遂行するなどにより、公務の円滑な運営に支障を生じさせる」「過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び非違行為を行い、都および教職員に対する信用を失墜させている」等の教職員である。 一読して明らかなように、反「日の丸・君が代」闘争などの改悪教育基本法路線と闘う教職員を対象としていることは明白である。すなわち「分限指針」とは闘う教職員の現場からの排除を、解雇として可能にするための厳格化に他ならない。 そもそも、この分限処分の厳格化方針は〇六年の人事院から国レベルの対応策として出されている。しかしその後も防衛官僚等の汚職事件が続き、国は地方自治体にも徹底を指示してきた。いわば当初は、官僚の「たがハメ」として出されたものである。その方針を東京都教育委員会は逆手にとり、闘う教職員の「たがハメ」として位置付け直してきたということである。つまり今年度の不起立教員を免職に追い込むことを公然と示唆しながらも、それができなかった都教委の巻き返し策に他ならない。 その政治目的の第一は、今春の反「君が代」闘争で根津さん、河原井さんらを免職―クビにすることができなかった都教委の巻き返しである。 昨年根津さんに対して「停職は六カ月までですよ」と、次は免職だと公然と恫喝してきたのは都教委である。そして今年の都教委は明らかに根津さんの解雇を念頭において弾圧を行ってきた。しかし大衆的反撃のまえにその野望が打ち砕かれた格好になった都教委は、「日の丸・君が代」強制のために必死の巻き返し策に打ってでたのである。自らのヘゲモニーによって情勢を規定しようというのである。 第二に、言うまでもなく今後の反「日の丸・君が代」闘争は免職をかけたものになる、という都教委からの宣言である。それはまた、反「日の丸・君が代」闘争を闘う教職員に対する恫喝そのものである。 そして第三は、総じて〇三年「10・23通達」以降も一向に沈静化しない反「日の丸・君が代」闘争の高揚を圧殺しようという攻撃に他ならない。 全国の同志諸君! 都教委は「分限指針」の通知をもって今後の反「日の丸・君が代」攻防はクビをかけたものになると宣言した。しからば、我々はこの都教委の反動的宣言に対してその責任を取らせるような闘いを貫徹していかなくてはならない。クビをちらつかせて「日の丸・君が代」を強制しようとするのであれば、都教委諸君も自らの進退をかけて事に臨むべきである! それが理の当然というものであろう。 ファシズム的手法をもって「日の丸・君が代」強制をなそうとする東京都教育委員会には、大衆的背景はない。あるのは極右知事石原の強権だけである。対して「日の丸・君が代」強制と闘う教職員には広範な大衆的支持が存在する。追い込まれているのは、都教委である。 今春の「日の丸・君が代」攻防は明らかに都教委サイドの敗北であった。免職恫喝をもってすれば、反「日の丸・君が代」闘争が沈静化すると踏んだにも関わらず、今春攻防はまったく正反対の事態が現出してしまった。根津さんは「君が代」斉唱を拒否するし、大衆的高揚は起こるし、ましてや多くの現場教職員が反「日の丸・君が代」を闘う状況になってしまったということは、政治的運動的に都教委の敗北でしかない。そこで「より早く・より誰でも」免職できる方策として考え出されたのが「分限指針」である。つまり後に引くに引けない所まで追い込まれているのは、まさに東京都教育委員会なのである。 今春の闘いの地平を継承し反「日の丸・君が代」闘争を闘おう! かつて教職員・市民・保護者・子どもという「四者共闘」の陣型を作り出した国立の闘いを継承し、広範な大衆運動の力で「日の丸・君が代」強制と闘っていこうではないか! ●3章 職場分断攻撃粉砕、階級的団結で反撃せよ 改悪教育基本法路線には、思想的中身として「愛国心」教育、そして政治的攻撃として「日の丸・君が代」強制があり、さらに別の経済的側面として教職員の給与格差による分断支配攻撃がある。 東京都では小泉―安倍の「構造改革」「教育改革」路線時代から、教職員の雇用形態が変化してきた。複線的雇用を取り入れた教職員の非正規化の拡大と、給与体系の年功序列型から職務・職階型への変換である。そのため教職員の雇用形態は複雑かつ繁雑になり、賃金や待遇問題で団結することが非常に困難な状況にあるとも言われている。これは賃金という経済的問題を扱いながらも、それを教職員の分断支配に利用するという政治的攻撃でもある。 東京都教育委員会は〇七年六月、「主任教諭」なる新たな職を学校現場に設置することを決定した。この「主任教諭」なる職階は「学校運営に積極的に貢献」し「指導監督層の主幹を補佐」するものとして位置付けられている。〇八年度導入は見送られたものの、来年度からの導入に向けて今年十一月には選考試験が行われようとしている。 かつて都教委は「主任」なるものを設置し教職員の分断を図ろうとしていた。しかし、教職員組合がこの「主任」を輪番制(全員持ち回りで受け持つ)にし、かつ手当金を組合に拠出する戦術で対抗し、それによって無効化する闘いが闘われ勝利している。これに対して都教委はあらたな管理職として「主幹」なる職を設置しようとした。しかしこれとて、思うように受験者は集まらず、揚げ句の果てには受験年齢を引き下げて対応しようとした。が、当初の獲得目標に届かず事実上破綻したと言われている。教職員個々人は多少の給与増額と引き換えに責任を押し付けられ、かつ、かつての同僚からも煙たがられるような職は敬遠したというのが実相だと思われる。またそういった雰囲気が醸成される背景には、現場教職員が団結して闘ってきた歴史があることは間違いない。 次いで出されてきたのが、この「主任教諭」攻撃である。しかも都教委は今回の攻撃を都教職員全体の給与の引き下げ、そして年功序列型から職務・職階型への給与体系の変換とを合わせた攻撃としてかけてきた。具体的には全体の給与を引き下げた上で、新たな職階として「主任教諭」をアメとしてぶら下げてきたのである。 十月十六日都人事委員会は、都職員の給与を月額0・009%引き下げ、小・中学校の教員と高校教員の給与を一本化する「勧告」を出した。同時に「主任教諭」の給料表を新設し、またこれまでの給料表の細分化を促していった。東京都の人事委員会なるものが、第三者機関などとして機能していないまったくの当局の代弁機関であることは言うまでもない。今後はこの「勧告」を受けた形式で給与体系の変更が行われるのである。 これまで教職員の給料は一級から四級の給料表によって決められてきた。すなわち臨時教員・教諭・教頭・校長までの大体四種類の給与が体系化されていたのである。しかし現在はこれらに「主任」が加わり、さらに給料表も細分化することによって七種類の給料表が存在することになる。また都職員でもある教員の給与は引き下げられ、一方で小・中学校と高校の教員の給料表が一本化されるため、結果、高校の教員の給与はより引き下げられることになる。つまり、全体的に都の教職員の給与が細分化され引き下げられる一方で、「主任教諭」ないしは「主幹」になれば昇給が保証される仕組みになったのである。 これはいわゆる「人事任用制度」の導入である。すなわち、教職員も賃金を上げたければ他の公務員のように試験を受けて職階を駆け登るしかない、という制度の導入である。 しかし、これに他の公務員とは違う欺瞞が存在する。まず前提として、「主任」になるためには管理職からの後押しがなければならない。そもそも教職員の分断支配を目的とした管理を強化するために設けた職に、教育委員会や校長・教頭に反抗的な教員がなれるはずもない。また一旦「主任」となったのならば、教育委員会・校長・教頭そして主幹の手足として働かせられることは余りにも明らかである。また大分県の例を見るまでもなく、教職員が職階を上がるときにはそれなりのコネクションが必要になっているのである。 つまり、「人事任用制度」を導入しようとしても、それは非常に形式的で欺瞞的なものにしかならないということである。その本質は現場教職員の分断支配にあることは明白である。 また教職員の給与を年功序列型として維持してきたのは、これまでの教育労働者の闘いである。それは教職員の現場に職務・職階型の「人事任用制度」を導入するれば、上からの指示に対して柔順な教育しかできないという危惧から発生した闘いの存在である。すなわち「主任教諭」新設に伴う教職員給与の職務・職階型―「人事任用制度」は、これまでの教職員の闘いの歴史を清算するとともに、労働組合の解体をも視野に入れた現場教職員の分断支配攻撃そのものである。 また「主任」職新設と給与体系の改悪による分断攻撃に加え、教育現場での非正規雇用拡大の攻撃がある。 「ある中学校では学年主任以外の担任は非常勤教員」「高校でも正規採用すべき教員を半年ごとの期限付任用で使いすてる」「正規雇用は主任以上、ヒラ教員はすべて非正規」、これらは東京都の学校現場で教職員同士が半ば公然と噂している現状である。こうした事柄が話題になるほど非正規教員の枠が拡大しているということである。実際教育現場では臨時教員、講師、再任用、再雇用など極めて複雑な身分で働いている人々が、一緒の学校で働いている。 これら傾向はけっして自然発生的なものではなく、「複線型」の雇用を標榜する当局の意識的政策である。「構造改革」路線以降、地方自治体に対する財政的圧力は高まっている。地方自治体における教育費はここ十年の下落傾向が止まらない。教職員の給与もそれなりに圧迫せざるを得ない。しかも安倍の「教育改革」路線は小泉の新自由主義政策の教育版であり、「自由競争」なるものを煽るだけ煽る。しからば、教職員の雇用形態も正規職から非正規職へと移行するのも理の当然である。すなわち教職員の非正規職の拡大とは、新自由主義の行き着く先としての「格差問題」が、そのまま教育現場に反映されていることの証明にほかならない。 ●4章 国際主義掲げ、改悪教育基本法路線を粉砕せよ 「夜間有料授業」や民間校長を引き入れたことで有名な杉並区長山田は、公教育の私学化こそが理想だというようなことを言っている。こうした発言は確かに、改悪教育基本法路線の一面を表現していると思われる。新自由主義を教育現場に持ち込むことによって、教育の活性化を図ろうということであろう。それは学校ないしは児童・生徒を競争主義によって差別・選別することであり、一方、教職員にもその「成果」のみが重視される、また学校経営におけるコストダウンを図る意味でも教職員の非正規職化を追求することになる。 経済開発機構(OECD)は九月九日、〇五年の加盟各国の国内総生産に占める教育への公財政支出割合について調査結果を発表した。日本はデータ比較が可能な二十八カ国中で最下位である。つまり各国の比較からみて、公的財政は殆ど教育現場に投入されていないということである。逆に見れば、それだけ個々の家庭状況によって教育環境が左右されるということでもある。すなわち、あくまでも公財政支出からみた場合においてだが、すでに「公教育」とは名ばかりの解体的状況を示しているのである。 しかし一方において、いかに私学化を指向しようにも公教育そのもを清算するわけにはいかない。何故ならば、日帝にとって「愛国心」というイデオロギーの重要な注入機関は公教育に求めるしかないからである。すなわち一方においては限りなく私学化を指向しながらも、その一方では何よりも公教育を必要とするのが改悪教育基本法路線である。この路線は相反する矛盾を必然的に抱え込んでいるのである。故に、今後も様々な形でその矛盾が噴出することになると思われる。 すでにその路線の矛盾は露になってきている。 東京都江東区と群馬の前橋市では学校選択制の見直しを表明している。学校選択制のもとでは地域的つながりが破壊される、逆に子どもの安全が危険にさらされるとその理由を述べている。一般に、こうした動きに同調する自治体も増えてくるのではないかと言われている。 さらに鳴り物入りではじめられた「全国学力テスト」は自民党内からも「不要」という烙印が押されている。またこの学力テストで得られるデータの公表はすでに都や区レベルで実施されており、果たして全国規模で行うことに意味があるのか、という声が噴出している。 また学校運営に関して、都教委が出した職員会議での「挙手採決禁止」に公然と異を唱える高校校長が出現してきている。この校長はけっして「日の丸・君が代」反対ではないが、それにしての挙手を禁止するということは学校の民主的運営に反すると持論を展開し、東京都教育委員会への公開討論を希望している。 小泉―安倍による「教育改革」、改悪教育基本法路線は人民レベルにおいて否定されようとしている。その矛盾が次第に明らかになろうとしている。昨今、教育界を賑わせた大分の教員採用汚職事件などはその証左である。教職員組合の弱体化のために、教員の縁故採用を繰り返してきたことの結果にすぎない。 我々は闘う教職員とともに破綻の危機を迎える改悪教育基本法路線に対して、さらなる反対運動を展開していかなければならない。闘う教職員と連帯し、反「日の丸・君が代」を闘おう。国際主義を掲げ、広範な大衆運動で改悪教育基本法路線と対決していこうではないか。 麻生内閣において運輸大臣に就任した中山は、「日本の教育を悪くしたのは日教組」という発言をもって辞任するにいたった。これは、保守政治家の本音を吐露した発言だと言われている。 しかし我々もまた、中山とは別の角度から「日本の教育を悪くしたのは日教組」と言わざりを得ない。それは日教組中央が文部省とのパートナーシップ路線を選択して以降、教育現場における管理・思想統制が強化されてきたのは間違いないからである。すなわち、「教え子を戦場に送るな」「教員は団結」するという日教組の綱領的確信を清算したことが、今日の状況を招いたことの根拠の一部であることは間違いないということだ。 今こそ「教員は団結する」という創設期の日教組綱領が問われる時はない。そしてかかる綱領は海を隔て軍事独裁政権と命がけで闘う韓国の教員に届き、この綱領を下敷きにして韓国・全教組が結成されたという歴史的事実を忘れてはならない。 改悪教育基本法路線とは排外主義的「愛国心」教育であり、「日の丸・君が代」の強制という思想統制による闘う教職員の排除であり、新自由主義的雇用形態の変化による教職員の分断攻撃である。かかる攻撃にはまさに階級的団結こそが最大の反撃となるのだ。 プロレタリア国際主義を掲げ、「教書員は団結」するという綱領的確信を武器として闘う教職員と連帯して改悪教育基本法路線を粉砕せよ! |
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