共産主義者同盟(統一委員会)
|
■中国政府はチベット人民への弾圧を止めよ 中国政府はチベットへの民族抑圧政策と抗議運動への弾圧を止めよ チベット・ラサでおこった民族政策に対する抗議運動に対して、中国政府は人民解放軍を投入、死者負傷者が出る暴力弾圧を行った。抗議運動は四川省・甘粛省・青海省の自治区にひろまり、各地は戒厳令状態にあり、抗議運動参加者関係者の逮捕追及が行われている。中国政府は早々に「ダライ・ラマ一派の分裂主義行動」と決め、今後も弾圧政策を続ける情勢である。 われわれは今回の抗議運動がチベット人民の民族運動であり、暴力的弾圧を直ちにやめるよう要求する。 また、この事態に対して、日本の右翼排外主義者は、「人権」を掲げて反中国の一大キャンペーンを行ない、デモや集会という「運動」を起こしている。その内容は反共産主義にとどまらず、中国と中国人民への蔑視的な敵対をあおる悪質なキャンペーンであり、決して許してはならない。 チベット人民は歴史的に、中国政府の民族政策にさまざまなかたちで、抗議を行ってきた。今回の抗議運動は、八九年ラサ戒厳令以来の激しさと広まりをもっている。亡命政府の実態や、亡命政府と独立運動との関係の実態はわからないが、中国政府の民族政策がなお、チベット人民の生活と文化を抑圧しており、今回の行動がそれへの抗議運動であることはまちがいない。チベット自治区だけでなく、自治州や小さな県にまで抗議運動がおこっているのだ。 改革開放路線で、チベットも経済発展し生活は向上した。しかし、商品経済の発展は、流通を漢族・回族がにぎっており、環境も破壊され、伝統的なチベット社会の発展とは違う道に進んでいる。遅れた「西部大開発」も、漢族の入植と漢族資本の収奪を進めた。こうした漢族主体の経済発展に対するチベット人民の抗議が民族運動として行われているのである。 暴力弾圧は中国人民とチベット人民の階級的団結にとって大きな禍根を広げ、民族融合を遠くに押しやる。弾圧を直ちに止めなければならない。 われわれは、中国共産党の民族自決権を否定する民族政策を批判する。 中国共産党は中華人民共和国成立の当初から「純血主義をめざすような狭隘な民族主義を批判」「中国共産党は中国の全領土を解放し、一寸の土地も支配のほかに残すことをしない」と宣言した。五二年の「民族区域自治実施要綱」では「各民族の自治区はすべて中華人民共和国の切り離すことのできない一部分である」と、明確に民族自決権を否定した。 もちろん、中国革命で日本帝国主義ほか列強の分断攻撃に対する革命運動の統一が必要であったこと、また、現在に至る民族政策は民族の意思を反映し、さまざまな論議、政策が積み上げられ、努力が払われてきたことを見ないわけではない。自治政府での少数民族優遇制度や民族文化の尊重、民族言語の使用などなども行われている。しかし、チベット人民の今回の民族運動はこれらの民族自治政策が形骸化していることを示している。だからこそ、民族自決権の無条件の承認に立ち返らなければならない。 民族文化の尊重を掲げても、一方で現在の五十六民族をひっくるめて「中華民族」とくくり、少数民族をその下位の○○族として位置づけている。中国共産党にとっては、少数民族の民族運動はこの中華民族の統一を破壊する「分裂主義」なのだ。こうした考えかたの根幹は「民族区域実施要綱」以来の民族政策にある。自治区における共産党地方委員会は漢族によって占められており、民族自治政府に権力を行使している。漢族の大量入植も続けられており、これは民族同化政策というべきだ。〇五年、「反国家分裂法」が公布された。直接的には台湾の独立運動に対する規制の法であるが、その「論理」は「ひとつの中国―領土分割は許さない」と同じである。そして、「分裂させる事実をひきおこした場合、……国は非平和的手段を取る」ということを宣言している。今回のチベットの抗議運動に対しても、中国共産党は同じく「国家分裂主義者」と批判している。 中国共産党は中国人民全体の解放のためにも、民族自決権の無条件の承認というレーニン主義にたちもどらなければならない。五九年のチベット動乱時の大規模弾圧、文革時の宗教文化抑圧、八九年の独立運動への徹底的な過酷な弾圧の痛手、民族の屈辱感は癒(い)えてない。 民族運動への再びの暴力弾圧をただちに、止めなければならない。 チベットの民族運動への弾圧に抗議し、民族自決権を承認する民族政策の実行を求める。 |
当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.